〜貴方の笑顔のために〜 Episode6 絶望への序曲
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〜ねね視点〜

 

ねねにとって、恋殿は唯一の大切な人で。

絶対にいっしょにいなければいけない人・・

ねねに生きる意味をくれた人・・

 

 

恋殿を探すために、騎馬隊二千を引き連れ城を出た。

そしてねねは、ただひたすら恋殿がいった方角に馬をはしらせていた

 

「陳宮様、速すぎます。もう兵たちは限界です。」

 

疲労がにじみでている様子でねねにうったえる騎馬隊隊長

 

「うるさいのです。今はそんなこと、かまってられないのです。

 さっさとつい“うぎゃあぁぁああ”・・・っ!?」

 

ねねの言葉が終わる前に後方の兵たちがどさどさっと倒れていく。

何?なにが起こったのですか?

 

「陳宮様!敵襲です!旗は・・・冷・・・あっあれは・・・

 冷苞将軍です!!」

 

「なっなんですとー!!」

 

疲れと思わぬ奇襲のため、全く抵抗もできずに

つぎつぎにやられていく兵たち。

 

そしてねねの前に冷苞が現れる。

 

「ほう、これはこれは。

呂布の犬の陳宮殿ではないか。

ここに来たのは・・まあ、聞くまでもない、か。

では、手土産程度に教えてやろう

飛将軍、呂奉先はこの冷苞がうちとった!!」

 

「・・・・・」

 

予想外の言葉にねねは何も言えなかった。

 

「陳宮、お前の頸もこのわたしがもらいうける」

 

といいねねにちかづく冷苞

 

「陳宮様っ!お逃げください!

 ここは我々が何とか食い止めます!

 どうかお早く」

 

主の危機を悟った兵たちはねねの前に壁をつくる。

 

「うっうそなのです。恋殿がお前みたいなやつにやられるわけないのです」

 

口ではそういうねねであったが内心あせっていた。

 

冷苞がうそを言う利点なんかどこにもないということを。

 

戦に臨む兵や将軍たちならば動揺をさそい

士気をおとさせることができるかもしれない。

しかし、ねねは武将でもなければ、兵たちも戦に備えた者たち

ではない。すでにこちらの軍は瓦解しているのに

嘘をつく意味はない・・・・

 

そう思ったねねは冷苞が来た道を

少数の兵を連れ、全速力で馬をとばした

 

 

「ちっ!逃げられたか・・・まぁよい・・

 我々は残った陳宮隊を殲滅後、

 白帝城に向かう!」

 

「「「「応っ」」」」

 

陳宮隊は一刻もかからずに壊滅。

冷苞は白帝城に向かうのであった。

 

 

そしてねねは目前に広がる火の海と恋殿を探すための先行隊が

壊滅しているのを見て絶望し、立ち尽くすのであった。

 

「恋殿ーーっ!」

 

ねねはかけつけた。

ねねはしっていた。恋殿がみずから策にはまったって。

だって、恋殿は本当に優しい人だから

きっと、文が嘘のものだとわかっても、いくはずだ。

 

 

だけど、これは・・何??

ねねの前に広がるものは・・

火?山が燃えている。 

恋殿を探しに先行した兵たちはみな死んでしまっている。

 

「恋殿ーーっ!恋殿ぉーーっ!ねねは、ねねはっー!!」

 

恋・・・殿?嘘といってください。恋殿がいなければねねは、ねねは・・

 

「陳宮様、一度成都に戻られたほうがいいかと」

 

強引にもねねを連れて行こうとする兵たち。

 

「はなせっ、はなすのです!ねねは恋殿を探すのですぞ―!」

 

「陳宮様、呂布様は冷苞将軍に打ち取られてしまったのです。

 どうかお願いですから、一度成都にもどって報告を」

 

そう、あれはきっと冷苞の仕業である、

そして、大傷をおおいながらも生きていた兵士は恋殿

を守れなかったと涙を流し逝ってしまった。

 

「うそです、うそなのです。恋殿は最強なのです。

 負けるわけないのです!!」

 

そんなねねの姿にもう説得は無理だと判断した兵は、

強引にねねを連れ、成都に向かった。

 

 

 

〜白帝城・蜀陣営〜

 

白帝城まで約十里地点。

ここでは、紫苑、桔梗、焔耶、雛里を中心に白帝城

にいる張任をどうにかするために戦線が組まれていた。

 

蜀軍は敵の奇襲なく、あっさりと目的の地へとついた。

 

「ずいぶんと静かですね、桔梗様」

 

「そうじゃな・・・」

 

とはなしているなか、白帝城より斥候がもどってきた。

 

「報告します。敵はやはり白帝城にこもり籠城戦に備えている模様、

 旗は張、やはり張任将軍かと」

 

「うむ、ならばわしと紫苑が張任を説得させよう。

 焔耶は雛里とともに本陣で待機じゃ」

 

「わかりました、桔梗様」

 

「ならばゆくぞ、紫苑」

 

「ええ」

 

 

 

〜白帝城正門〜

 

 

「張任様!敵二騎がこちらに接近中、

 いかがなさいますか?」

 

「ふむ・・・おそらく厳顔と黄忠あたりが俺を

 説得しに来たんだろう。

 このままでよい、何もするな」

 

「はっ」

 

 

城壁の上に立つ張任を桔梗と紫苑が見上げる。

 

「張任よ、三国が一体となり、平和への道を歩んでいる中、

 なぜわしらに抵抗する?お主はもとより

 益州の民を一に考えていた身であろう、

 お主がいましていることは民を傷つけることじゃぞ!」

 

「かっかっかっ、笑止!益州を裏切り、

 反旗を翻したのはこの俺ではない!お前らだっ!

 そしてこの俺は武人として生きてきた!

 一度劉璋様に忠誠をささげた身、

 その忠誠を自身の考えにそぐわないと言って

 裏切るのは下郎のすることだ!」

 

「ええ、あなたの言っていることは確かに間違ってはいない。

 けれど貴方が今していることは、

 益州の民を傷つけ、劉璋様の死を無駄にしているようなものです。」

 

「黙れ下郎!劉璋様は益州の民を一に考えていた。

 しかしお前らは協力することがあったか?否!断じて否!

 そのようなやつが今更俺に民を一に考えろと、ふっ

 笑わせるなっ!

 そして二度と我が主の名を口にするな!!」

 

その後も桔梗、紫苑による説得は続くが、

張任は断固として拒絶。

二人はしぶしぶと本陣へ戻っていった。

 

説得が失敗した今、武力による制圧でしか方法はない。

そう考えた皆は軍議にうつるのであった

 

しかし、このあとおこることを誰がこのとき予測

できたであろうか?

 

そう分かっていたなら・・・・

 

 

しかしすでに悲しみへの道は開いてしまったのである。

 

説明
恋の行方を知るために馬を走らせるねね。しかしそこには彼女の姿はなかった。そして白帝城へ向かった蜀の将軍たちを待ち受けるものとは
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コメント
音々は大丈夫でしょうか?一刀、急いでくれ!次も楽しみです!(本郷 刃)
一刀ー!間に合ってくれ!次回を楽しみにしています(ミドラ)
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