魔王少女?冥王の前では無力!!17後編
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リリカル17後

 

シグナム〜

 

「はぁーっ!!」

 

 

「へぁあーっ!」

 

 

互いの武器がぶつかり合い刃が擦れる際に出る火花。

 

 

ソレを無視しながらも激しい攻防を続けていた。

 

 

面を捉えれば胴を狙われ、小手を取ろうとしても相手が槍の使い手というのもあり格闘に持ち込めずに硬直していた。

 

 

「ふふふ、あははは!昂ぶる、激しく昂ぶりますね!!貴女も感じるでしょう?シグナムゥゥゥ!!!」

 

 

「…………あぁ、そうだなぁぁぁ!!」

 

私は互いの力がぶつかり合う度に騎士としてでは無く1人の武人としての高揚を感じた。

 

 

奴の言う通り、私は昂り、更に激しくそして自身でも分かるほど興奮していた。

 

 

だが、

「だが、今の私には主を救うという使命がある。…………時間が無い、次で決めよう。」

 

 

「……そうですか、私としてはまだ貴女の剣技と共に奏でていたいと思いますが、此方も時間が無いのでね。」

 

 

それだけを言い、互いに構え相手を睨む。

 

次の一撃が全てを決める。そう確信していた。

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

 

「レヴァンティン!!」

 

 

私は長年の相棒の名を呼ぶ。

 

そして次の言葉を理解していたのか無言でカートリッジをロードしてくれた。

 

「紫電」

 

 

「アブソリュート」

 

 

互いに魔力を込め、

 

 

「一閃!!」

 

 

「スティンガー!!」

 

衝突する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私は打ち負けた。

 

 

 

 

 

「うがぁっ、!?」

 

 

 

 

カートリッジを使っても圧倒された、だと?

 

 

 

私は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

 

 

 

「うぅ、……」

 

 

 

何とか武器だけは握れているが身体中に激痛が走る。

 

 

 

 

戦えるが満身創痍なのは変わりない。

 

 

 

私は両脚に力を入れて立ち上がる。

 

 

 

「おっと、そのままでいて下さい。」

 

 

目の前にはメビウスの槍が首に突きつけられていた。

 

 

「暫くの間眠っていてください。その間に色々と片付けておくので。……それではまた、good

night。」

 

 

それだけを言いメビウスは魔力を込めた矛先を私にむけて、

 

 

 

 

突き抜かれると思った瞬間、金色の魔弾がメビウスの脇を貫いた。

 

 

「うぐぅ?!」

 

メビウスは防御出来ずに吹き飛ばされる。

 

 

 

「シグナム!ゴメンなさい、

少し手間取った。」

 

 

 

「シグナム殿、大丈夫ですか!?」

 

 

 

振り向くとそこにはテスタロッサと先程まで戦っていた魔導師、そして此処に来る前に洗脳を解いた魔導師達が駆け寄ってきていた。

 

 

 

そして奥にあった筈のシャッターが消えていた。

 

 

 

「ぐっ、……な、何故だ!何故貴様らが!?」

 

 

 

先程の優雅さは無く、理解の出来ない状況に混乱していた。

 

 

 

 

「私達の仲間がファントムの洗脳を解く魔法陣を完成させていたの。今、その魔法陣を使い洗脳された人の解放をしている。洗脳を解いた魔導師達に同じ物を渡しているから、半数の人間は正気に戻っている筈だよ。」

 

 

「そして洗脳が解けた仲間達が同じように我々を解き放ってくれたのだ。」

 

 

「我々局員は二度とお前達の元には降らない!」

 

 

皆はデバイスを手に戦う構えをとった。

 

 

そして、その先頭に立つテスタロッサはバルディッシュを突きつけ、高らかに言った。

 

 

 

「メビウス・A・トーリッシュ、国家転覆罪、及び殺人罪などで逮捕します!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………フフ。」

 

 

 

 

「「!」」

 

 

突然、メビウスは笑い始め、

 

 

「フフフ、ククククク、フヒヒヒっ、アハッ!」

 

 

 

「アハハハハハハッ、アーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 

狂ったように笑いだした。

 

 

嗤う、わらう、ワラウ、

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

「全く、この私を此処までコケにしてくれるとは、…………舐めんじゃねーぞクソが!」

 

 

 

 

 

その瞬間この部屋の温度が一気に下がり足元から氷の柱が現れた。

 

 

 

「!?…全員下がれ!!」

 

 

 

 

私の掛け声に反応し皆後ろに後退する。

 

 

 

 

「皆、皆私の邪魔ばかりして、あぁ、憎たらしい、ウザったい!巫山戯んじゃねぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

また魔力の爆発を感じた私はシールドを張り更に魔力変換で炎の壁を作り出す。

 

 

 

しかし、それを瞬く間に呑み込み炎を消した。

 

 

 

「な!?」

 

 

 

そして、

 

 

 

激しい吹雪が私達を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、魔力の壁を作れ!でないと吹雪に呑み込まれるぞ!!」

 

 

 

 

1人の魔導師が私の前に立ち全力でシールドを張った。

 

 

 

そして次々と私達を護るように魔導師達が前に立つ。

 

 

 

 

「お前達!?」

 

 

 

 

「気にしないで下さい!我々ではあいつに勝てなかったんです!あいつを止めるにはハラオウン執務官とシグナム殿しかおりません!!」

 

 

 

 

「こんぐらいでも仕事しませんと死んでいった、殺していった他の局員達に顔むけできません!」

 

 

 

 

 

「お前達……」

 

 

 

 

そう言って彼らは必死になり魔力をひねり出す。

 

 

 

 

そんな努力を吹雪は無情にも凍らせるという形で返してきた。

 

 

 

次第にシールドを張っていた術者の手が凍り出し1人づつ倒れていく。

 

 

 

 

 

「皆!?」

 

 

 

 

「し、シグナム殿、お下がり下さい!!」

 

 

 

 

 

「な、何を言っている!?」

 

 

 

 

「なに、ちょっとした特攻をかますだけです。もう、身体中が凍って身動きとれませんがね。」

 

 

 

 

「何を巫山戯たこと「そんな身体じゃ!!」?!」

 

 

 

 

 

 

「そんなボロボロな身体じゃあ戦うにも戦えんでしょう。此処は我々に、従ってください!!」

 

 

 

 

「さぁ、此方へ。」

 

 

 

 

3人が私とテスタロッサの手を掴み無理やり下がらせた。

 

 

 

 

「待て、このままではあいつらが!?」

 

 

 

「離して下さい!!」

 

 

 

 

次第に私達は後ろへと下がって至った。

 

 

私達を護ってくれた局員を残して。

 

 

 

 

 

シグナム 終〜

 

 

 

 

 

 

そして残った局員達は

 

 

「行くぞ、てめぇら!覚悟は充分か!!」

 

 

「「「応!!」」」

 

 

 

 

この吹雪を起こしているメビウスに向かって特攻を仕掛けた。

 

 

 

「うらあああ!!」

 

 

 

 

1人は非殺傷設定を切り己のデバイスで斬りかかる。

 

 

 

 

それに続いて1人、また1人とメビウスに組みつこうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレを、

 

 

 

 

「邪魔だよ。……」

 

 

 

無感情で言い捨て、

 

 

 

 

「エターナル・フォース・ブリザード」

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを永遠の氷の世界に閉じ込めた。

 

 

 

 

 

 

 

シグナム〜

 

 

 

そうしてそれから暫くして吹雪の奥から何かが近づいて来るのを感じた。

 

 

 

メビウスだった。

 

 

「本当に皆、皆が私を侮辱して、母さんも父さんも、学校の連中も会社の奴等も!!皆バカにしやがってよぉぉぉぉ!!」

 

だが明らかに違う、まるで存在する全てを憎むように、恨むように叫んでいた。

 

 

「力を手に入れた!優れた容姿も、優秀な頭脳も手に入れた!!なのに、何故世界は俺を認めない!!」

 

 

「俺は選ばれたんだ!!神に!!神に選ばれた人種なんだ!!貴様ら下等生物とは違うんだ!!なのに、なのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!」

 

 

頭を掻き毟り、ヤツは狂ったように叫び続け、

 

 

 

 

「もう、……全員纏めて、死ねよ。」

 

槍を私達に向けて魔力を込めた。

 

 

「死ぬのは、お前だーッ!!」

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

私達を治療していた局員達もデバイスを起動させて駆け出す。

 

 

メビウスはその局員達を、

 

 

ビュンッ!!

 

ビジュッ!ジュバーーッ!!!

 

一閃。

 

 

横に一閃の一振りで斬り捨てた。

 

 

 

斬られた局員は何事も喋らずに絶命した。

 

 

 

 

「?!!……貴様ぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

テスタロッサが憤怒しバルディッシュを起動させて駆け出す。

 

 

「テスタロッサ!?…くっ!!」

 

 

私もテスタロッサの援護に駆け出した。

 

 

バルディッシュ斧による斬撃とレヴァイティンの斬撃。

 

 

その両方を受け止め奴は流し続けた。

 

 

「「!?」」

 

 

 

先程までとは違う、洗練された動きに磨きがかかっていた。

 

 

 

「………」

 

 

 

そしてあの冷たい眼は何だ?全くの別人じゃないか。

 

 

 

 

ビュンッ!

 

 

 

 

 

「クゥッ!?」

 

 

 

 

「キャッ!!」

 

 

 

次第に私達が押され始めた。

 

 

 

 

二人合わせての斬撃よりメビウスの槍術は速く、上をいっていた。

 

「くぅっ、……シグナム!」

 

テスタロッサの掛け声で大体の事を察した私はメビウスの懐に入ろうと駆ける。

 

 

「ふぁあ!!」

 

「………」

 

数回の斬り合い、互いに隙あらば魔弾を放ち相手に決定打を与えようとする。

 

 

「りゃぁぁあ!!」

 

裏に回ったテスタロッサがサイズフォームで斬りつける。

 

パリンッ

 

「テスタロッサ!周りに気をつけろ!次が来る!」

 

 

「!?はい!!」

 

 

 

次の瞬間、

 

 

氷の柱が無数に降り注ぐ。

 

 

「プラズマランサー!」

 

 

 

「陣風!」

 

 

直撃する前に全てを迎撃する。

 

 

「!テスタロッサ、後ろだ!?」

 

 

「え?」

 

 

テスタロッサが振り向く時には槍を構えたメビウスの姿が、

 

 

 

「ソニックムーブ!!」

 

 

咄嗟の判断でテスタロッサは避ける。しかし、テスタロッサ脇を抑え膝をついていた。

 

よくみると抑えた手から血が流れていた。

 

恐らくすれ違いざまに一筋の傷を付けられそこから血が流れたのだろう。

 

 

「大丈夫か!?テスタロッサ!!」

 

「かすり傷です!問題ない!!」

 

 

テスタロッサはすぐに言葉を返し立ち上がり、構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、…終わりです。」

 

 

不意に、前方から声が聞こえ見る。

 

 

そこには片手を此方に突き出し魔法陣を発動させたメビウスがいた。

 

 

「エターナル・フォース・ブリザード!」

 

 

 

 

メビウスが唱えた途端、極寒の風が私達を襲う、それは先程の吹雪などよりも激しく、確実に殺す意思を持っていた。

 

 

 

 

私はテスタロッサの前に立ち魔力変換を使い炎の壁を作り出した。

 

 

 

 

「ぐぅっ、………レヴァンティン!!」

 

 

 

 

私が叫ぶを相棒はカートリッジを使い炎の壁を更に強化させた。

 

 

 

 

術を使用している間にも、極寒の吹雪は私の手を、足を、胴体を凍らしていった。

 

 

 

 

「し、シグナム!!」

 

 

 

 

テスタロッサの悲鳴のような声が聞こえたがそれを無視して魔力を燃やし続ける。

 

 

 

 

「シグナム、降伏して下さい。でないと貴方を殺めることになる。」

 

 

 

 

気がつくとメビウスが近づいていた。

 

 

 

 

「悪いが、貴様に降る事はない。私は主はやての為に戦っている。あの暖かい笑顔を、私達を救って下さった笑顔の為に、我が剣はある。」

 

 

 

 

それを聞いたメビウスは俯き、吹雪を辞めた。

 

 

 

 

「そうですか、……なら、ここで、貴女を殺します。」

 

 

 

メビウスは槍を水平に構え魔力を込めた。

 

 

「テスタロッサ、先に行って主を助けてくれ。」

 

 

「シグナム!?」

 

 

テスタロッサは驚愕して私を見る。

 

 

「死ぬわけではない。ここで奴を必ず撃つ。幸いにも彼方は私にしか眼を向けていないらしい。」

 

「でも、」

 

 

「奴に関わった隊員達の為にも引けないんだ、頼む。」

 

 

「………」

 

 

敵を見ている為に振り向けない。

 

 

だが、私の決意は理解してくれた事は分かった。

 

 

「必ず後から追いついて下さい。」

 

 

「…分かっている。」

 

 

それだけ言い、テスタロッサはヴィータ達を追っていった。

 

 

「………レヴァイティン、お前には無理をさせる。ついて来てくれるか?」

 

 

相棒は無言でただ点滅した。

 

 

“まかせろ”そう語るように。

 

 

それを私は頼もしく思い空いたカートリッジをリロードした。

 

 

私はこの一撃に全てを賭ける。

 

 

そう力みながら構えた。

 

 

 

 

 

 

「行きますよ?」

 

 

「……あぁ、来い!!」

 

 

同時に駆け出し、

 

 

そして、

 

 

「アブソリュートスティンガー!!」

 

 

 

「紫電一閃!!」

 

 

 

文字通り限界をひねり出しての一撃を放つ。

 

 

 

「そんなのでは、やられる事はありませんよっ、シグナムぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう!!」

 

 

メビウスは更に魔力を込め力を増した。

 

 

 

「うぅ、まだ、まだだ、まだ戦える、そうだろうレヴァンティン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

「かートリッジ、フルロード!!」

 

 

 

 

バシュッ!バシュッ!!バシュッ!!バシュッ!!………

 

 

高速でレヴァンティンはカートリッジを消費させる。足らないのならある所から持ってくるまで。この一撃を究極まで魔力を込め確実に倒す。

 

それが私達がやろうとしている事だ。

 

 

しかし、そんな無理なことをさせれば術者とデバイスはタダでは済まないだろう。

 

 

ピシッ!

 

 

レヴァンティンにヒビが入っていく。

 

 

その高い代償を払った代わりにどうにか奴の魔力を上回る事が出来た。

 

「何!?」

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

そして力の限り振りかぶった。

 

 

 

 

「ぐぅっ!?、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァアァァァァァァァァァァァア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ、………ぅぁ。………」

 

 

 

ここ、は?

 

 

 

私は、一体。……

 

 

 

あぁ、そうか。

 

 

 

メビウスとの戦闘で、魔力が爆発、し、て、………

 

 

 

あ、レヴァン、ティン……

 

 

 

 

ボロボロ、だな。……今の……私と、同じで………

 

 

 

す、まなかっ、た。……

 

 

 

 

お前を、……此処まで、酷使してしまった、な。

 

 

 

 

 

そして、ありがとう。……

 

 

 

 

コツ、コツ、コツ、

 

 

 

 

何かが、歩いて来る、音が、………

 

 

 

だ、れだ?

 

 

 

 

わか、らない、もぅ、前が、みぇ、……な、………ぃ。

 

 

 

 

せ、せめて、ぁ、主を、

 

 

 

 

「主を、救って、くれ………お願い、だ……」

 

 

 

 

 

すまん、テスタロッサ。

 

 

 

 

約束を、破って……しまっ……た。……

 

 

 

 

 

も、う…しわけ、…ありません、わ…が………あ………る……じ………

 

 

 

 

シグナム 終〜

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、…うあぁぁ!!」

 

 

隠し通路を1人の男が壁伝いに歩いている。

 

 

メビウス・A・トーリッシュ、彼は先程までシグナムとの激戦を続けていた。

 

 

 

メビウスは左顔面を抑え何かに耐えるように歩いている。

 

 

 

 

「ぅぐっ、ぁぁぁあ!痛いいたい、イタイ、イタイイタイイタイイタイィィィィ!!」

 

 

 

 

彼は残った魔力で手を氷で覆い顔を抑えた。

 

 

 

彼は最後の一撃で顔の皮膚の大半を焼いてしまった。

 

 

 

顔だけではなく、斬られた跡には焼け傷、手足にも焼きただれていた。

 

 

 

 

「ち、くしょぉぉぉ!!あいつも、あいつも俺を裏切りやがった!こんなに愛していたのに、こんなに、こんなに!!」

 

 

 

 

無事な方の手で何度も何度も壁を叩く。激しい痛みと怒りで手から血が出ている事に気づいていない。

 

 

 

「次あったら、皆、纏めて殺してやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念だが、其れは無理だ。」

 

 

 

急に後ろから声が聞こえてメビウスは勢い良く振り向く、その瞬間、

 

 

 

 

 

 

視界が少し低くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 

脚に力を入れてもうんともすんともしない。

 

 

 

 

不思議に思い足元を見てみると、

太腿から下が無くなっていた。

 

 

 

 

「!??!!!!!??!!」

 

 

 

 

ソレを理解した瞬間激痛がメビウスを襲う。

 

 

 

 

「いやぁ、彼女に頼まれちゃってね。『主を頼む』って、私としてはぶっちゃけどうでもいいんだけど、折角だし、敵討ちだけでもしてあけようかなって。あぁ、安心してくれ、君の愛しのシグナムは生きているよ。死にたいだけれど。ボロボロだったから特製の回復薬を飲ませてアースラに送っといた。」

 

 

 

 

そう言って、ソレはメビウスの胴体を思いっきり踏みつける。

 

 

 

 

「ヴガぁぁっ!?」

 

 

 

 

勢い良く踏みつけられ内臓が潰れ助骨の数本を折った。

 

 

 

 

「うーん、どうしようか?本来なら君の事は放っておく積もりだったけど。ついでだし、取れるモノだけ取っておくか。」

 

 

 

 

 

 

そう言い、ソレはメビウスの下半身に手を掛け、二つの精巣を引き裂いた。

 

 

 

 

 

 

「fcっfdhjdけbskhgwcsjをsぁsーsんsぁぱk?/「/」29vfjししbぢぢぇvwgdyぢえkwけおふぇdyxgvwjづっrjctvけんをwじぇrヴdけvrっじぇvすqーqんd!!!!??!」

 

 

 

 

その声は最早言葉になっておらずただ絶叫をあげていた。

 

 

 

 

次第に赤い泡を吹き意識を手放そうとして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、気絶しないでよ。ほら回復してあげるから。」

 

 

 

 

ソレは意識を手放す事も赦さず、ただ無情に痛みを与え続ける積もりらしい。

 

 

 

 

「ひぃ、…ひぃ、…ひぃ、だ、だずげで、……だずげでぐだざぃ!ぉでがぃでず、ダズげで、ダズげで、…」

 

 

 

 

泣きじゃくり、焼きただれる前は美しかったであろう顔には鼻水やヨダレで汚れただソレに赦しを請い続けた。

 

 

 

 

「ぷっ、くくく、赦してだなんて。ねぇ、面白いと思わない?君もその貰った能力で散々人を殺めて来たんでしょう。其れなのにいざ自分が死にそうになると命乞いかい?それは筋違いも良いとこだろ?」

 

 

 

 

ソレはパチンッと、指を鳴らすとメビウスの両腕が消滅していた。

 

 

 

 

 

「……ぁ、………ぁぁっ、ぁぁぁ?」

 

 

 

 

 

既に痛みが麻痺したのか自身の腕が消えたのにただ唸り続けるメビウス。

 

 

 

 

「あれ?脳が壊れちゃった?なら、それも直してあげる。」

 

 

 

 

ソレはメビウスの顔に手を掛け魔法を発動した。すると先程までも唸りは次第に叫び声になっていく。

 

 

 

「ぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぉがぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

 

「ふくくくく、いつまでそんな風に叫んでるの?言語で喋って欲しいな。」

 

 

 

 

「アァァア!?ァアァァァアァァァァァアっ!??アガぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁ!?!!」

 

 

 

 

「…………………………うるさっ、もう静かにしてよ。」

 

 

 

パチンッ、

 

 

再び指を鳴らし、喉を消し去る。

 

 

丁寧に背骨や血管を傷付けずに。

 

 

「ーーー!?ーーー!!ーーーーーー!!ー?!ーー?!、!」

 

 

達磨状態になったメビウスは必死に助けを乞う。

 

 

 

 

しかし、口から出るのは大量の出血のみ。

 

 

 

 

次第に呼吸が出来ずに弱々しくなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「次は眼、髪、そしてリンカーコア。ん、こんだけ取っておけば実験では問題ないだろう。」

 

 

ソレは採取したモノ全てを謎の空間に入れ満足そうに言った。

 

 

 

「うん、良いことをすると気分がイイね。そうは思わないか?転生者くん?」

 

 

 

 

メビウスは答えない。

 

 

光を奪われ四肢を無くし、死が近づけば回復させられ、永遠に与えられる激痛に心を壊してしまったからだ。

 

 

ただ、肉人形として、その場で痙攣しているのみ。

 

 

 

 

「……………飽きた。もういいよ、お前。」

 

 

散々遊び回したメビウスに向け無感情に言い捨てた。

 

 

そして、

メビウスの胸に手を刺し、

 

 

 

心臓を抉り出した。

 

メビウスは恐怖を覚えることも、ましてや恨み言をいうことも無く、死んでいった。

 

 

 

 

「さぁて、さっさと仕事をしようか。遊んでいて本命を逃がしてしまったら意味ないしね。」

 

 

 

 

そう言って亡骸となったメビウスを踏み潰し、奥へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

「待っていてくれ、ファントム。今、行くからね。フフフ、あはは、ハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

 

 

ソレは愉快そうに、本当に愉快そうに、嗤った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アレの処分し忘れた。…………まぁ、イイか。」

説明
17の後編です。
この回は原作キャラ大活躍、と同時にグロ注意です。
気分を害する場合も御座いますので(特に男性)お気をつけ下さい。
……………コレが作者の限界ですかね。コレで「ヌルい!モットヤレ!!」と言われたらドオシオ( ̄ー ̄)
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コメント
早く続きが読みたいです(ヒナたん)
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