ぬこの魔法生活 第21話
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 ◆ 第21話 無茶しやがって…… ◆

 

 

 どうも、今日も今日とてご主人の盾として大活躍? なぬこです。

 ぬこたちがアースラで行動をし始めて、今日でそろそろ10日になろうかとしています。

 ジュエルシードの回収はこの10日あまりで3つ。あれから遭遇していないけど、フェイト嬢たちは2つ回収しているらしい。

 どうやらぬこたちと鉢合わせないように探してるみたい。

 

 残り6つのジュエルシードの捜索は、基本アースラスタッフの人たちがやってくれているので、結構時間を持て余していたりする。

 その間、ご主人はフェイト嬢とどうやってお話しするかを考えてるみたいです……主に魔砲言語で。

 肝心のぬこはというと、クロノ少年との模擬戦でいろいろ改善点が浮上したバリアの見直しとか

 セラスさんに頼んでヒーリング系統の魔法を教えてもらったりしていたのである。

 

 無茶するご主人を持つと大変なのであるよ。

 この事をユーノに言ってみたところ「君も大概だと思うけどね……」とのこと。

 まったく失礼な奴だ。

 

 そんなぬこたちは現在

 

 「はい、みぃ君。ミルクもらってきたよー」

 (あ、ありがとうございます、ご主人)

 

 待機命令とのことなんでティータイムを楽しんでいます。あ、ミルクうめぇ。

 ぺろりぺろりと舐めていると、ユーノがご主人を気遣いながら話し出す。

 

 「ごめんね、なのは。寂しくない?」

 「えっ? ……うん、ちょっとね。でも、ユーノ君もみぃ君も一緒だから平気だよ」 

 

 「私ね、ちっちゃい頃にお父さんが大怪我入院しちゃって……

 お母さんや、お兄ちゃん達は翠屋と病院を行ったり来たりしてて、私よくひとりぼっちだったんだ……

 そのころの私なら、だからひとりぼっちでも平気って言うんだろうけどね」

 

 そこで言葉を切ってぬこを見つめるご主人。

 

 「そんな風に独りでおうちにいることに飽きちゃってた私は、公園に行って他の子たちが遊んでるのをずっと見てたんだ。

 あのころの私は今よりずっと引っ込み思案でね、知らない子と遊ぼうって言えなかったんだ……

 そんな時にみぃ君と出会ったんだよね」

 (そうですねー、ぬこ不貞寝してたけど)

 「今だから分かるんだけどね、やっぱり私は寂しかったんだと思うの。

 お母さんたちには心配かけないように大丈夫って言ってたけどね。気づいていない振りをしてたんだと思う。

 でも、みぃ君がいてくれたから、私は独りじゃなくなったし、寂しくなくなったんだ。

 一緒に遊んで、ご飯を食べて、お昼寝して……。わたしね、みぃ君と一緒にいて気づいたんだ。

 独りでいることのつらさとそれを分け合うことができることの嬉しさを」

 (…………) 

 「そっか……」

 

 改めていわれると照れるというか、なんというか……

 恭也さんも前に言ってたけど、ぬこを過大評価しすぎだと思うんだけどねぇ……

 

 「ねぇ、ユーノ君は? ユーノ君の家族の人たちはどんな人?」

 「あ、うん。僕の家族はねぇ―――」

 

 そのまま、ユーノの過去バナに……

 ぬこはあんま興味ないので一眠りしますかねぇ、そう思ってご主人の足元で丸まって、割りとすぐのことだった。

 

 けたたましい警報音が鳴り響き、続けて艦内放送が入る。

 

 (エマージェンシー! 捜査区域で大型の魔力反応を感知!)

 

 「……ッ!」

 (ぎ、ギニャーーッ!?)

 「あ。ご、ごめんねみぃ君! 後でちゃんと謝るから!」

 

 急いでブリッジまで走っていくご主人。

 足元で丸まっていたぬこはご主人に自慢のしっぽを踏まれました。

 うぅ〜、超痛いです。涙が出てきました……

 

 「僕たちも行くよ!」

 (あ、コラ! 置いてくな!)

 

 痛みをこらえて急いで追いかけるぬこでした。

 ちなみに、ご主人にすぐに追いついたのは決してご主人が運動音痴なせいではありません。

 ええ、違いますとも。

 

 

 

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 

 

「フェイトちゃんっ!!」

 

 ブリッジに到着するとモニターにはフェイト嬢が海上でジュエルシードを封印しようとしていた。

 でも、どうにも魔力消費が激しすぎるためか苦戦してるようです。

 

 「私っ、すぐに現場に―――」

 「その必要はないよ。放って置けばあの娘は自滅する」

 「っ、でもっ」

 「今のうちに捕縛の準備を」

 「了解」

 

 淡々とした様子でフェイト嬢を捕まえる準備をしていくアースラの人たち。

 

 「……ッ」

 「私たちは常に最善の手を尽くさなければならないわ。残酷に見えるかもしれないけど、コレが現実よ」

 「でも……!」

 

 (あー、時間がかかりそうなんでぬこはそろそろ先に行きますよ?)

 

 ぬこのそんな言葉に一同唖然。

 わはは、その顔が見たかった!

 

 「へっ? みぃ君?」

 「なっ、何を言っているんだ、君は! 命令を無視する気かッ!」

 (何言ってるの? 最初の条件では両名(・・)は指示に従ってもらうってことだったはずでしょ?

 だったら人間じゃないぬこには関係ないのですー)

 「くっ、屁理屈を!」

 

 うむ、屁理屈上等。

 だが、それでいいのだ。ユーノはぬこの考えを組んでくれたみたいだしね!

 

 (ユーノ!)

 「うん! 転送!」

 

 

 さぁて、行きますか!

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 っと、何とか到着したな。

 さて、どうするかな……ってぇ、おぉぅ!? フェイト嬢危ない!

 

 (ぬこバリア!) 

 

 フェイト嬢に向かってきた竜巻を防ぐ。

 いやぁー、いくらジュエルシードの魔力による現象とはいえ、竜巻が防げるってぬこすごくね?

 

 「……あれ? 君は……」

 (大丈夫ですか? フェイト嬢?)

 「あんたっ!? 何しに来たんだいっ!!」

 (いやー、前回助けてもらった借りを返しに来たという建前のもと、心配なんで助けにきました!)

  

 もうすぐご主人も来るよ! なんて言ったら、疑わしそうな、呆れたような目で見られた……酷いや。

 

 「あぁもうっ! とにかく敵じゃないんだね!?」

 (まぁ、そういうことです。それより早くここを―――)

 

 何とかしないと、と続けるつもりだったんだけど……

 

 「みぃ君っ! どうして先に行っちゃうの!」

 

 どうやらご主人も到着したようだ。

 かなりご立腹ですけどね……後が怖いなぁ。

 

 (まぁまぁ、ご主人。それは置いといてですね、フェイト嬢と共同作業で封印をお願いしますよ。

 向こうからの余波はぬこたちがきっちり止めますから。ねっ、アルフさん)

 「……はぁ。ま、フェイトを助けてもらったんだ、それくらいはやらせてもらうよ」

 

 ということで、共同戦線を張ることに。

 バインドが苦手なぬこは完全にご主人とフェイト嬢の盾として、アルフさんとユーノはバインドで竜巻を封じる。

 

 んで、我らがご主人たちはというと……

 

 「フェイトちゃん! 二人でせーので一気に封印!」

 (Shooting mode.)

 

 「あ……」

 (Sealing form, setup)

 「――バルディッシュ……?」

 

 特大の魔砲を喰らわせるようです。ぬこなら完全にトラウマモノだな…

 

 「ディバインバスター、フルパワー……いけるね?」

 

 ふ、フルパワーだと……!?

 馬鹿な、今までご主人は本気じゃなかったのか!

 もしかして今までのは「今までのは私のメラなの……」ということだったのか!?

 怖い、怖いよご主人。

 

 「行くよ、フェイトちゃん!」

 

 やっちゃうそうです。

 さすがご主人敵には情け容赦ないのね、そこにシビれる、憧れるぅ!

 

 「ディバイン」

 「サンダー」

 

 「バスターーッ!!」

 「レイジッ!!」 

 

 ……なぁに、コレぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、さっきの魔砲のことは忘れることにします……主に精神衛生のために。

 あのジュエルシードにはご冥福をお祈りします。

 で、無事に封印が終わったので、改めてご主人はフェイト嬢にお友達になりたいんだと伝えています。

 うぅ、いい話ですねぇ。

 

 

 その光景をみんなで見守っていると、空から雷が降って来た。

 って、コレは攻撃魔法かっ!?

 

 「ぇ…母さん……?」

 

 フェイト嬢ッ! くっ、最大出力でバリア広域展開ッ!!

 

 (ぐぅっ、ちょっと、持たないかも……っァ! ああぁあーーー!!?)

 「ぅあぁああーーーッ!?」

 「みぃ君!? フェイトちゃん! っきゃあーー!?」

 「フェイトッ!? あんた、何で……」

 (ごめん、アルフさん……ちょっと、防ぎきれませんでした……)

 「ちょっと!? しっかりしなっ! くっ、ジュエルシードは―――」

 

 

 

 アルフさんに受け止められたぬこは、そのまま意識を失ってしまった……

  

 

 

 

 

 

 ◆ あとがき ◆

 読了感謝です。

 ようやく、話が進み始めました。相変わらず、役に立つのか立たないのかよく分からないぬこです。

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