ゼロの使い魔〜魔法世界を駆ける疾風〜 第十一話
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ハヤテSide

 

俺たちは今、ミス・ロングビルが御者をする馬車に揺られている

しばらくすると、キュルケがミス・ロングビルに話しかけた

 

「ミス・ロングビル。手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか」

「いいのです。わたくしは貴族の名をなくしたものですから」

 

キュルケはきょとんとした

 

「だって、あなたはオールド・オスマンの秘書なんでしょ?」

「ええ。でもオールド・オスマンは貴族や平民だということに、あまり拘らないお方です」

「差し支えなかったら事情をお聞かせ願いたいわ」

 

ミス・ロングビルは微笑んだ。まあ言いたくは無いだろうな

 

「いいじゃないの。教えてくださいな」

 

キュルケは興味津々と言った顔で、御者台のミス・ロングビルににじり寄る

ルイズがその肩をつかんだ。キュルケが振返ってルイズを睨みつける

 

「なによ。ヴァリエール」

「よしなさいよ。昔の事を根掘り葉掘り聞くなんて」

 

キュルケは不機嫌そうに、背もたれに寄り掛かった

 

「暇だからお喋りしようと思っただけじゃないの」

「あんたのお国じゃどうか知りませんけど、聞かれたくないことを無理に聞き出そうとするのは、トリステインじゃ恥ずべきことなのよ」

「そうだね、キュルケ。俺もそう思うよ。キュルケだって言いたくないことはあるだろ?もちろん、俺にだってある。誰にでも秘密の一つや二つあるんだよ」

「…わかったわよ。ごめんなさい。ミス・ロングビル」

「いえ。いいのですよ」

 

それからは、目的地につくまで誰もしゃべらなかった

 

 

 

 

 

「ここからは徒歩で行きましょう」

 

ミス・ロングビルがそう言って、全員が馬車から降りた

森の入り口から、鬱蒼とした小道が続いている

 

「なんか、暗くて怖いわ…。いやだ…」

 

キュルケが俺の腰に手を回してきた

 

「あんまりくっつかないで。非常時に動きにくいから」

「だってー、すごくー、こわいんだものー」

 

キュルケはものすごくうそ臭い調子で言い放った

 

 

 

俺たちは開けた場所に出た。真ん中に廃屋が確かにある

もともとはきこり小屋だったのだろう

俺たち五人は小屋の中から見えないように茂みに身を隠した

まあフーケに見つからないようにって配慮なんだろうけど、意味無いんだよな

すぐそばにいるし

 

「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」

 

ミス・ロングビルは廃屋を指差した

 

「で、偵察兼囮は誰がやるの?」

 

キュルケが全員に尋ねた

 

「すばしっこいの」

 

タバサが答えたあと、全員が俺を見た

 

「俺だね。分かったよ」

「では、わたくしは周りを見てきますわ。フーケがあの中にいるとは限りませんもの」

 

ミス・ロングビルがそう言った

ふむ…そうだ!

 

「じゃあ、俺が護衛をしますよ」

「え?で、でもあなたは偵察をするんでしょう?わたくしの護衛は出来ませんわ」

「大丈夫ですよ。『((影分身|かげぶんしん))の術』!「ほら、これで大丈夫でしょう?」」

 

白煙が上がりそれがはれたときには、俺が二人いた

 

「「「「ええ〜〜〜!!??」」」」

「ハ、ハヤテ!それって、偏在?!」

 

ルイズが目を丸くしながら俺に質問してくる

 

「「う〜ん。似たようなものかな?ともかくこれで偵察も、ミス・ロングビルの護衛も問題ありませんよね?」」

「え、ええ。よろしくお願いしますわ…」

 

うっし!これでいける!!

 

「それじゃ、分身。ミス・ロングビルの護衛を頼んだよ」

「ああ、了解した」

 

さって、それじゃ行こうか!

 

 

 

分身Side

 

俺は今、ミス・ロングビルの護衛をしている

ロングビルはなにか焦っているようだ

そりゃそうか。早く俺を消さなきゃ、ルイズたちに『破壊の杖』を回収されちゃうからね

 

「ミスタ・ナミカゼ?アレはなんでしょうか?」

「ん?どれですか?」

「ほらアレですよ。アレ…ブレッド!」

 

おっと、いきなり攻撃してくるなんて

それだけ余裕がないのかな?

 

「なにをするんですか。ミス・ロングビル…いえ、土くれのフーケ」

「ッ!あんた、気づいてたのかい。いつからだ?」

「最初からですよ」

「ふん。あたしが周りを見てくるといった時からかい」

「いいや。文字通り『最初から』ですよ」

「?どういうことだい」

「はあ…。今朝からですよ。あなたが宝物庫に来たときからです」

「どうして!?」

「本当に気付いてなかったんですか?自分が言ったことの矛盾に。まず最初に怪しいと思ったのは、あなたが朝、いなかったからです」

「それは知っているさ。だから調査をしてきたと言ってるじゃないか」

「それですよ。あなたは調査をしたところまで、何時間かかるといいましたか?」

「何時間って…徒歩で半日、馬で四時間…ッ!?」

「そこですよ。今朝調査に行ったのなら、馬で行っても調査の時間を含めて最低九時間かかります。なのにあなたは今朝あの時間、宝物庫にいた。これが一つ目の不審点です」

「一つ目…?残りは何なんだい?」

「今から説明しますよ。二つ目はあなたがフーケの容姿を説明したときです。あの時あなたは『黒いローブの男』と言いました」

「それの、どこがおかしいんだい?」

「おかしいですよね?あの時犯行を目撃した俺たちでも、黒いローブの人物の性別は分かりませんでした。だから思ったんですよ『もしかしたら、フーケは女性で自分の疑いを減らそうとしているのではないか?』とね」

 

まあ、実際は原作知識だけど…。オスマン氏なら分かってたんじゃないか?

 

「………」

 

フーケは黙って聞いている

だけど、隙を見せたら殺られるだろう

 

「最後は不審点というより『あれ?なんでこんなこと言ったんだ?』というのなんですが…」

「…さっさと言いな」

「何であなた…フーケを『大怪盗』なんて言ったんですか?」

「へ?」

 

フーケが口をあけてポカーンとしてる

 

「いやおかしいでしょ?自分の職場に盗みに入った泥棒に『大怪盗』なんて褒めるような呼び方をしたんです?実際、他の先生方は単に『賊』としか言ってませんでしたよ?」

「ッ!///」

 

あ、真赤になった

 

「い、いいだろう!別に///」

「いや、おかしいな?と…。とりあえず俺があなたをフーケだと思った理由は以上ですよ」

「…あんたの言うとおりさ。あたしがフーケだよ。それで?あたしを捕まえて、王室に引き渡すのかい?」

「おや?抵抗しないんですか?」

「あたしだって、勝てる相手と勝てない相手くらい分かるさ。ましてやあんたは『風』と『土』のスクウェアメイジだろう?『土』のトライアングルのあたしが勝てるわけないじゃないか」

「ふむ…。別に俺はあなたを捕まえる気はないんですけどねぇ…」

「ふぇ?」

 

『ふぇ』って…

 

「だって、妹の生活費を稼いでる姉を捕まえるのはしのびないでしょう?それに平民を虐げている悪徳貴族からしか盗んでなかったみたいですし」

「!?」

 

お〜、驚いてる驚いてる

 

「あんた、何でそんなことを知ってんだ!?」

 

「いえ。俺には独自の情報ルートがありましてね…。もちろんご主人様にも内緒です」

 

まあ原作だけど…

 

「じゃあ、あたしをどうするつもりだい?捕まえる気がないってんなら…」

 

…さてここが正念場だ

 

「俺と、手を組まないか?」

「は?」

 

もういいよ驚くのは。見飽きたよ

 

「だから俺と手を組まないか?と言ったんだ」

「…メリットは?」

「ふむ、キミの妹さんの生活を保障しよう。ハーフエルフの、ね」

「…あんたどこまで知っているんだい」

「君の本名。妹さんの名前、住んでいる村。その他にも色々と知ってるよ。ねえ?ミス・マチルダ」

「その名で呼ばれるのは随分久しぶりだねぇ。…あたしは命令できない男は嫌いだよ」

「ふっ、いいだろう。俺の大切なものたちを護るために君が必要だ。君が欲しい。ついて来いマチルダ!」

「ッ!//////」

 

ん?何で真赤なんだろう?

 

「い、いいだろう。あんたについていくさ。それじゃ、あたしは何をすればいい?」

「そうだな…。ルイズたちのほうにゴーレムを向かわせてくれ。肩に人間を模した人形を乗せてな。ああ、くれぐれもルイズたちを殺すなよ?」

「なんでさ?あんたの大切なものってのはあの子達だろう?」

「ここで『土くれのフーケ』を殺しておいたほうがいいからさ」

「なるほどね。『錬金』!」

 

さて本体。うまくやれよ?

 

 

分身Side Out

 

 

ハヤテSide

 

俺たちは『破壊の杖』を回収し、広場でマチルダと分身を待っている

『破壊の杖』はルイズが持っている

 

…どうやら分身はうまくやったようだな

 

「見てダーリン!フーケとゴーレムよ!!」

「わかってる!タバサ!ルイズとキュルケをシルフィに乗せてくれ!」

「分かった…」

 

よし!それじゃ派手にやるか!

 

俺はデルフを左手に持ち、ゴーレムに斬りかかっていった

しかし、いくらガンダールヴといっても剣がさび付いていると…

 

 

土製のゴーレムにすら、刃が弾かれる

 

「チッ!やっぱりか!しょうがない!」

「お、おい!あいぼu」

 

俺はデルフを鞘に戻し、両手にクナイを持って斬りかかる

今度はゴーレムは面白いほど軽く斬れた

しかし、土が材料のゴーレムは斬ったそばから再生してしまう

それに肩に乗っている人影を攻撃しても、ゴーレムの腕で防がれてしまう

「クッ!これじゃ堂々巡りだ。アレを使うか!タバサ離れててくれ!」

 

「(コクン)分かった…」

 

シルフィは空高く飛んでいった。もう豆粒くらいの大きさになっている

うんあれだけ離れれば大丈夫だろ!

俺は螺旋丸を作り、それに風遁のチャクラを練りこんでいく

螺旋丸の形が変わり、周りに手裏剣のような刃が出来た

そういえばナルト君は、俺が影分身を使わずにこれを完成したときはすごい落ち込んでたなあ…

さあ!これで終わりだ!

 

「『((風遁・螺旋手裏剣|ふうとん・らせんしゅりけん))』!!」

 

俺は螺旋手裏剣をゴーレムに投げた

ゴーレムに当たった瞬間、ナノメートルの針が次々と土を削ってゆく

もちろん人影も例外ではない

手裏剣が消えたとき、そこにはゴーレムはいなかった

倒した…かな?

 

一応警戒していたが、いつまでたってもゴーレムが出てくることはなかったので警戒を解いた

あ、シルフィが戻ってきた

 

「「ハヤテ(ダーリン)!」」

 

おっと、ルイズとキュルケが飛びついてきた。危ないなあ

 

「バカ!バカ!あんたは私の使い魔なのよ!なのにこんな無茶して…死んだらどうするの!」

「そうよ!ダーリン!あたしたちスッゴク心配したんだから!」

「ルイズとキュルケは俺の強さを知ってるだろ?」

「「それとこれとは話が別!」」

 

な、仲いいなぁ〜(汗)

 

「っとそういえば、ミス・ロングビルは?」

 

そういった時丁度よく分身とロングビルが戻ってきた

 

「ミス・ロングビル!どこに行ってたんですか!?さっきフーケとゴーレムが来たんですよ!」

「いえ、周りを警戒していたら、いきなり誰かに気絶させられまして…ついさっき、彼が起こしてくれたんです」

「俺が少し目を放した隙に、な。黒いローブを纏った人だった。おそらくあれがフーケだろう。しばらくにらみ合ってるとあっちが逃げたんだが…。こっちに来たんだな」

 

と分身が言う

 

「分身よくやった。それじゃ解くぞ」

「りょ〜かい」

 

白煙を上げて分身は消えていった

 

「でもまあ、フーケはゴーレムの肩に乗ってたんだし…ダーリンの魔法で死んじゃったんじゃない?」

「多分そうだと思う。それじゃ学院に戻ろうか」

「『破壊の杖奪還』完了ね!」

 

ルイズが満面の笑みで言った

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説明
第十一話です。
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コメント
やはり俺の疑問は間違っていなかった(あらたか)
物語の後に、短ければ閑話として入れてはいかがでしょうか。(hall)
hall様コメントありがとうございます。すいません。こちらのミスです。元々この作品は『にじファン』にて投稿していたものなのですが、こちらに移転するに当たってその部分が書いてある閑話を抜かしてしまったのです。その閑話は作者とハヤテが対談するという形のものなのですが、こちらではそういう形式のものを書いていらっしゃる方がいなかったので抜いてしまいました。投稿したほうがよろしいですかね?(ディアーリーズ)
疑問なのですが、ナルトとはどこで知り合ったのですか?たしか、ゼロ魔に来る前は白い空間で歴代火影と伝説の三忍くらいとしか合っていない筈ですが、どうなっているのですか?(hall)
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ゼロの使い魔 NARUTO オリ主 土くれのフーケ 

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