〜貴方の笑顔のために〜 Episode8 君の命は
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〜一刀視点〜

 

呂布奉先、三国志の中で、三国無双と謳われた武将。

そんな、彼女にもやはり、悲しみや辛さ、そういったものはあって、

俺には全てはわからない・・

けど、その一部でも分けてくれることができたらと、

俺はそう思う。

 

 

刃、彼女、恋からもらった真名。

重い、真名だなと俺はそう思う。

 

俺はとりあえず安全なところへ行くために馬を飛ばしていた。

恋の傷の方はとりあえず応急処置は終わり、あとは少しの処置を

加え、ゆっくりと安全なところで休ませることができたら大丈夫であろう。

 

問題は、思っていたよりも、相手の動きが早いということだ。

歴史の再現・・・

そんな言葉が俺の脳裏を何度もかすめる・・

それは鳳統の死である。

 

 

 

なにか嫌な予感がする・・そう思った俺は早く馬を飛ばした。

 

「・・にぃにぃ、」

 

恋をとりあえず安全な小屋に寝かせ白帝城へ向かおうと小屋を出ようとしたとき

彼女が目を覚ます。

 

「・・ああ、恋。よかった、気がついて」

 

「・・また、いく?」

 

そう不安な表情で聞いてくる恋

 

「ああ、ごめんな恋。いかなきゃいけないんだ。

 大丈夫、すぐ、戻るから」

 

「・・ぜったい?」

 

「・・ああ」

 

この言葉は嘘になるのかもしれない。戦場において絶対という言葉は

存在しないのだから。

それでも、ただ今だけは、こんな嘘も許されるのかもしれない。

俺はそう思う。

そして恋もそれは分かっていると信じている。

 

「じゃあ、恋、いってくる」

 

「うん、」

 

そうして俺は、恋を小屋に残し全速力で白帝城へと馬を飛ばした。

 

歴史の修正力・・そんな言葉が頭に浮かぶ。

それはとてつもなく大きなものとなって俺の頭に押し寄せる・・

 

また、あのときの再現なのではないか?

これが、俺の導き出した答えなのか?

 

結局は歴史という流れが、正しいのかもしれない・・

あのとき、俺が消えたことがそれを証明しているのではないだろうか?

そして、また歴史上、消える人物が消えてしまうことは本来であれば

正しいことなのかもしれない・・・

 

しかし、俺は・・・俺は

 

 

抗い続けたい。

 

 

この命が尽きるその時まで。

きっと、そのために俺はここでの命を再び得たのだろうから。

 

 

だから俺は、俺の思った通りに、自分を信じて最後まで生きてやる。

 

俺はそんなちっぽけで、どうしようもないかもしれないけど、

俺なりの覚悟を持って馬を進めた。

 

戦いの音が近づいてくる。

もうすぐ、白帝城なのであろう。

 

しかし、そこで俺が見た光景は残酷なものであった。

まるで数多い虎が、何匹かのうさぎを食い尽くしている光景だった・・

 

間に合わなかった・・

 

そんな残酷な一言・・

 

しかし、そう考えていると、何やらまだ戦っている人もいるようだ、

いや、あれはどちらかが一方的に何かを言っている。

その武将は冷という旗を部下に抱えさせている、おそらくは張任の仲間の

冷苞のことなのであろう。

 

そしてそれに相対する人物、いや何かを言って今まさに戦線を離脱しようとしている。

あれは・・・

 

鳳統・・・

 

確かに彼女は見たことがある。蜀の二大軍師のひとり、鳳統に間違いない。

 

俺は冷苞が彼女に弓を構えるのを見、さらに馬を早めた。

 

瞬間、彼女の矢が鳳統へと放たれた。

 

駄目だ、このままでは。矢の軌道からして彼女の心臓が射抜かれてしまう。

そうしたら、彼女は即死だ。

しかし、矢を撃ち落としてしまったら、冷苞が気づき、今度こそ確実に仕留めてくるであろう。それに俺の存在にも気づく可能性が高い。

俺が足止めをくらってしまえばそれでもう、終わりだ。

じゃあ、どうする・・どうするんだ。

 

俺にとって、彼女が放った矢の時間は永遠と思えるほど長かった。

 

見える、まるで矢が止まっているかのように・・

 

俺は、目を閉じて鳳統へ放たれた矢に対し、氣の斬撃を放つため俺は

刀を振り落とした。

 

“グサッ”

 

矢は少女に当たる・・・

 

俺はその鈍い音を心で感じる・・

鳳統さん、本当にすまなかった、

それでも、俺は俺のできることを最大限したつもりだから、

最後まで俺に君を守らせてくれ。

 

その矢は心臓をつらぬいたわけではなかった。

 

俺は氣の斬撃をはなち、

放たれた矢の後方の風の流れを変化させ、

矢の軌道を少し変えることに成功した。

 

これによって鳳統は落馬し、冷苞は勝鬨を上げている。

 

俺は、そんな混乱に生じて鳳統が倒れた場所に瞬時に駆けつけ、

彼女を抱え戦線を離脱した。

 

彼女は重傷だった。もともと小さい体だ。

はやく治療をしなければならない、そう思って今までにない速さで馬を飛ばし

恋がいる小屋へと向かった。

 

「・・にぃにぃ・・それ」

 

俺の服にべっとり付いている血を見たのだろう・・

恋が心配そうに近づいてくる。

 

「これは俺の血じゃない、彼女の、なんだ」

 

「・・」

 

恋は呆然とした目で俺が運んできた鳳統を見つめている。

 

何を言われてもいい・・そう思った、

あんなに偉そうなこと言っておきながら、俺は、

恋の友達である彼女ですら無事に助けることができなかった。

自分の無力さに腹が立つ・・

 

「・・ありがと、にぃにぃ」

 

それでも彼女、恋はそういってくれた。彼女が何を思ってそういったのかは

わからない・・

けど、その言葉に俺は救われたんだ。

 

「はぁ・・はぁ・・・あっあなたは?」

 

意識が戻ったのか寝台に寝かせた鳳統が辛そうにしながらもそう、聞いてくる。

 

「後で説明する。今はしゃべらないほうがいい。」

 

俺は、そういって、不安そうにしている彼女の手を握った。

 

 

 

〜雛里視点〜

 

あたたかい、これがあの世なのだろうか・・

わたしの天命は尽きてしまったのだろうか・・・

 

「これは、俺の血じゃない。彼女のなんだ」

 

気がつくとそんな人の声が聞こえてくる。

その人の声は震えていた・・

 

「・・ありがと、にぃにぃ」

 

そんなふうに聞こえてくる声は紛れもなく恋さんの声で、

私は現実か、そうでないかはわからなかったけれど、

目をあけた。

 

そこには、知らない男の人と恋さんが心配そうな表情で

私を見ていた。

 

生きている・・・

生きているんだ・・・

 

そんな感情が溢れて止まらない・・

 

「・・・・あなた、は?」

 

辛いけれどもとりあえずお礼がしたくて名前を聞こうとした。

しかし彼は、私の状態を気遣ってくれ、

話そうとはしなかった。

 

それでも、確かに私がわかったことは、

彼の目が優しく、そして温かかったこと。

そして私が、こんな状況下でも本当に安心ができたこと。

 

だから私はもう一度目を閉じることができた。

彼に全てを委ねて・・・

 

 

〜恋視点〜

 

すごい、と思った。

恋はにぃにぃが雛里を助けてくれたってわかっていた。

 

雛里は重傷だったけれど、それでも急所からは完全に矢は外れていた。

状況を考えても、恋なら、無理だったかもしれない・・・

飛び出すことが精一杯・・そう思う。

それでも、にぃにぃは本当にごめんっていう顔をしている。

なんで?

にぃにぃは雛里を助けたのに・・・

 

でも、恋はにぃにぃが目を覚ました雛里を見ている表情で

分かってしまった。

 

にぃにぃはどこまでも、にぃにぃなんだって。

一番最初にあったとき、恋に暖かい光をみせてくれた

にぃにぃなんだって。

 

 

「はぁあっ」

 

気がつくとにぃにぃが雛里を寝台に寝かせ、何かをやっている。

にいにぃの手からは青白い光がでて、

雛里を包み込んでいる。

 

すごい・・・

 

傷口がどんどんふさがってきている・・・

 

そうしてほとんど傷口がふさがって、その光はだんだんと消えていった。

気がつくと、にぃにぃは汗でびっしょりだ。

 

「・・・にぃにぃ?」

 

“ドサッ”

 

光が消えたあと、にぃにぃがフラっとして後ろに倒れた。

恋はそんなにぃにぃを後ろから抱えとめる。

 

「・・・にぃにぃっ!?」

 

「・あ、恋・・・だいじょ・・う・ぶだ・・

 ごめんな、心配かけちゃって。

 ちょっとつかれちゃったか・・・な・・

 すこし・・やすませ・てくれ」

 

きっと、にぃにぃは今日で恋と雛里を助けるために

ありとあらゆる手段を尽くしてくれた。

きっと、もう体力の限界なんだ。

 

「・・・・ん・・・にぃにぃ・・・」

 

 

倒れた一刀を恋は抱きしめた。

恋の頬には涙が伝わった。

 

「・・・・いっぱい・・・いっぱい・・ありがと・・にぃにぃ」

 

 

にぃにぃ、恋の大切な家族。

恋は、恋は、にぃにぃが大好きです。

 

恋は一刀をまた強く抱きしめた。

説明
歴史の修正力、一刀はそんな言葉を思い浮かべる。
自分が消えた理由、そして今、自分が何をするべきなのか、
何をしたいのか、考え、悩み、彼は動き出す。
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コメント
雛里が助かって良かったよ。そして、反逆者の運命は?(act)
気を使って倒れて、外史の修正力で消されていく・・・つらい運命に立ち向かう刃さんは・・・漢だなぁ・・・(デーモン赤ペン)
雛りん助かってよかった(T。T) 刃さんナイスb(オシリス)
この後状況をどう逆転させていくのかな。そして反逆のむくいをどう受けるのか・・・色々楽しみだ。(きまお)
恋ええ子やなぁ(泣)。雛里も助かってよかったです。次回も楽しみに待っています!(本郷 刃)
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華琳 真・恋姫無双 恋姫†無双 北郷一刀 

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