超次元ゲイムネプテューヌ『女神と英雄のシンフォニー』チャプターT第8話『人道を阻みし襲撃者』 |
「ソウルズコンビネーションッ!」
アイエフの足技とカタールの連撃が依頼のモンスター、サンドワームに全て叩き込まれ、そいつはゆっくりと体を横たえらせる。アイエフは警戒したままゆっくりとそれに近づき、完全に息絶えているのを確認すると他の三人に頷いて見せカタールを袖の中に仕舞い、ケイト達もそれぞれ構えを解く
「これで、依頼は終了……と」
戦闘自体、それなりに慣れてきたつもりだし戦えば戦うほど自分の動きが良くなってるのが判る。まるで昔のカンを取り戻しているかの様に。とは言え、やはり精神面ではまだ戦いに慣れていないらしく棒を握っていた手はじんわりと汗で湿っていた
「アイエフ、セプチウムの方はどうなってる?」
「依然変化無し、やっぱりこのモンスターのせいって訳じゃないみたいね」
アイエフの言うとおり、セプチウムは未だ普段以上の輝きをしているらしく、ここにモンスター以外の何かが入り込んでいるのは明白だ
「で、でしたらモンスターさんも倒したですし、早く戻るです」
「言われなくてもそのつもりよ。無駄に事を構えるつもりは――」
と、次の瞬間。セプチウムの輝きがより一層増し、あたりはまるで証明で照らしているかのように明るくなる。その事態にアイエフとケイトは表情を険しくする
「どうやら、鉢合わせ……の様だな。出来れば敵でなければいいが」
二人は再度武器を持ち、いつでも構えられる様にする。それから数秒後
「ハーッハッハッハッハッハ!!!! ……見つけたぞネプテューヌ! まさか本当に下界に降りていたとはなっ!!」
「誰!? この時代遅れの笑い声は……?」
「時代遅れは余計だ! ……だが、人をおちょくる意地の悪さも相変わらずだな?」
そこに居たのは真っ白な肌にネプテューヌと同じ薄い紫の髪。それに魔女の様な黒い服に所々にバラと茨がまきついた格好をした女。その手には杖が握られている
「これなら、なんの躊躇いもなく……」
そう言って、女は杖の先をネプテューヌに向け
「潰せるっ!! 覚悟しろッ!!!」
言うと同時に火球をネプテューヌに向けて飛ばし、ネプテューヌの近くに着弾すると同時に爆発、いきなりの攻撃に回避が間に合わずそのまま爆発に巻き込まれる
「ネプテューヌッ!!」
「ネプネプッ!!?」
「ちょっと冗談でしょ……?」
アイエフがすぐさま女を睨み付け武器を構える。しかし、女の方も表情を険しくしたまま未だ煙が立ち込める着弾地点をにらみつけ
「フン、ネプテューヌを言えど、やはりこの程度では無理か」
「えっ!?」
「全く……いきなり何するのよ? 少なくても、あなたから恨みを買う様な事をした覚えは無いわよ」
次の瞬間、煙がなぎ払われる形で晴れ、そこから変身したネプテューヌが姿を現す
「え? だ、誰……?」
「話は後よ。あいちゃん、まずはあの女を何とかするのが先。こうなった以上、戦うしかないわ」
「その呼び方……まさか、ネプ子!?」
「信じられないかもしれないですけど正真正銘、ねぷねぷです」
「まっ、概ね予想通りの反応だな」
未だ、混乱が収まらないながらもネプテューヌの言うとおり武器を構えるアイエフから謎の女の方に目を向ける。アイエフと違い、驚くどころか表情一つ変えない
(変身する事も承知済みか……こりゃ、ただの顔見知りって訳じゃなさそうだな)
恐らくこの女、ネプテューヌとかなり深い関係にある。尤も、決して良い関係でもなさそうだが……
「では、今度は本気で行くぞ!」
そう言って、今度は杖を頭上に掲げる。するとさっきの火球が4つ、同時に出現し杖を振り下ろすと同時に飛んでくる
「よけてっ!」
アイエフが叫ぶと同時に四人はそれぞれ飛んできた火球を回避、それぞれが地面や壁、天井に着弾すると同時に爆発。天井で爆発した事で振ってきた岩の破片をケイトは頭上で棒術具を回転させて弾く。それと平行し闘気のエネルギーを棒に集中させ
「捻糸棍っ!」
「むっ?」
破片を全て弾くと同時に振り下ろし、エネルギー弾を飛ばすが、謎の女はそれを軽々と弾く。しかし、それとは別で怪訝そうな表情をケイトに向ける
(今の技は……)
一瞬、ある考えが過ぎるが、すぐに切り替え、更なる魔法の詠唱に入る
「遅いわよっ! マグナブレイズっ!!」
が、それを遮る様に今度はアイエフがさっき相手が放ったのと同じ火球を飛ばす。相手は詠唱を中断、前方に魔力の障壁を張り、着弾と爆発を防ぐ
「金剛撃ッ!」
「グッ……!」
それと同時にケイトが障壁を避け、相手の側面から打ち込む。流石に回避、障壁ともに間に合わずそれを杖で直接防ぐ。踏ん張りが利かず足が体ごと後ろに滑り、表情を大きく歪めたとは言えあの巨大なモンスターすら吹っ飛ばした一撃を防いだのだ。それにケイトは驚きを覚える
「発射っ!」
その時、コンパが注射器から魔力弾を3発立て続けに撃ちだす。今までアクションが無かったのは注射器に大量の魔力を圧縮、チャージしていたからだ。が、魔法を使う者は魔法に対する耐性もそれなりにある為、コンパの魔力弾が直撃しても怯む程度だ。しかし、怯んだ事で障壁が解除され
「これで終わりよっ!」
ネプテューヌが続けて相手に切り込む。太刀の刀身が紫の光に包まれ
「デュアルエッジッ!」
「クッ……!」
そのまま太刀を振り下ろす。しかし、直前で一歩後ろに引く事で直撃を防ぐ。が、被っていた三角帽子の唾は深く切り裂かれ、そのまま地面に落ちる
「クソッ!! 大して強くもないクセに、なぜ!?」
そこで体勢を整えた相手はそのまま苦虫をかんだ表情で悪態を吐くが
「そうか。プラネテューヌだからか……! プラネテューヌはお前のフィールドだったなネプテューヌ……」
すぐに合点が言ったらしく、ネプテューヌを睨み付ける
「だが次は無い、覚えておけ!」
やがて帽子を広い被り直すと、何故かケイトを一瞥しそのまま捨て台詞を吐き姿を消した
「一体なんなの、あの人。突然わめいて、突然襲ってきて……幾らなんでもストレスの溜めすぎじゃない!?」
謎の襲撃者を何とか退け、四人はもと来た道を戻っている。彼女が居なくなった事で輝きが弱くなり薄暗くなっているが、アイエフがランタンを持っておりそれに火を灯して視界を確保している
「いや、どう見てもストレス過多による八つ当たりって感じじゃなかっただろ」
「さっきの人、どう見てもねぷねぷの事を狙ってたですよ」
「判ってるわよ、そんな事。で、どうなの?」
アイエフが足を止めるとネプテューヌの方に振り返る
「えっ?」
「えっ? じゃ無いわよ。あの女、どう見てもネプ子狙いだったじゃない。何か恨みでも買う様な事でもしたの?」
「う〜ん……そんな事言われてもなぁ。私、記憶喪失だし」
「そうだったの。じゃ、さっきの変身能力についても判らないって訳?」
「うん、ぜ〜んぜん。覚えな〜し!」
「てことは、三人はケイトの親友とネプ子の記憶探しの為に旅をしているのかしら?」
「それもあるけど、主な目的はもっと別にあるんだ」
「……良かったらその目的、聞かせてくれる?」
「ああ。とは言え、立ち話もなんだし、まずは街に戻ろうぜ」
「大体、話は分かったわ。つまり三人はその……イースンって人に頼まれて四つの大陸にある鍵の欠片を探しているのね」
洞窟を抜け出し、無事に帰還した四人は街中のレストランで昼食をとりながらイースン、そして鍵の欠片の話をしている
「そのとーり! いーすんはこの世界のどこかに封印されてて世界とも呼べる、いわば隠れキャラなんだよ!?」
「で、それは何故かモンスターに守られている、と。モンスターが守ってるってコトは、その元凶がかぎの欠片を守るよう命令したってコトよね……」
普段ならばそんな話は信じられたもんじゃない。しかし、3年前からのモンスターの急増。その時期に前後して、以前は弱いモンスターしか居ないはずの工場跡地でケタ違いのレベルのモンスターが出現したと言う噂を聞いていた。それが鍵の欠片を守っていたとなれば話の筋は通っているし、鍵の欠片の現物も見せてもらった。加えて、明らかに普通じゃないネプテューヌと言う少女に古の英雄が居た世界から来たと言うケイト。幾ら異世界『地球』の存在が公になってるとは言え、実際にチキュウから誰かが来たと言う話しは古の英雄以降は聞いていないつまり、ケイトが此処に来たのとモンスターの急増には何か繋がりがある可能性が示唆される。これらが今の状況の異常性を示し、三人の話が単なる妄想と切り捨てるのは不可能になっていた。故にアイエフは聞いた話を親権に吟味している
「つまりイースンさんは、モンスター騒動の現況にとっても何らかの意味ある存在ってコトになる。世界を救うって言うのも、あながち嘘じゃないかも」
「おおーっ!!?? あいちゃん鋭いってレベルじゃないよ!! もうそんなトコまで分かっちゃうの!?」
「別にフツーに考えたらこれくらい。でも、もしそれが本当なら――」
そこで言葉を止めて、コンパはケイト達一人一人に目を向けていく。あの巨大注射器のおかげで戦えるとは言え、ただの看護学校の生徒でしかないコンパ。戦いなれてこそいるもののこの世界に来てまだ一ヶ月も経っておらず、未だゲイムギョウ界の右も左も殆ど分ってないケイト。そして、腕っ節こそ自分たちの中じゃ飛びぬけているが、究極に能天気でお世辞にも思慮深いとは言えないネプテューヌ
「……アンタ達三人に任せるのは、自殺行為かもね」
無謀に感じる上に、そんな三人に世界の命運を一任するのもいろんな意味で怖い。故に
「ま、いいわ。なら私がサポートしてあげる! そもそも世界中回るつもりでしょ? やっぱり一人くらい旅慣れしたキャラがいないと。それにしても……鍵の欠片ねー。モンスターに守られているって言う条件付なら案外、探すのはそんなに難しくないかも」
「ほ、本当ですか!? じゃイースンさんも、きっと直助け出せるです」
「少し前から各大陸の協会がモンスター被害への対抗策を立てるために、分布調査をしているの。心当たりぐらいあるんじゃない?」
「あのさー、一つわかんないんだけど。協会って……なに?」
「そういや、前にちょろっと話に出て以降、それっきりだったな」
「えっとですね。協会って言うのは女神様に仕える人達が運営する神聖な組織ですぅ! 主に下界におりてきた女神様のお世話をする教院と、大陸を纏めて政治をする国政院の二つで成り立ってるです」
「あー、ストップストップ! どうせならそこんところは協会の人に説明してもらわない? どうせ行くコトになるんだし」
「モンスターのコトでも聞きに行くのか? しかし、この大陸の鍵の欠片は既に見つけてるぞ」
「そうじゃなくて。大陸を渡るのに協会の許可がいるの。大陸の接岸場も、管理してるのは教会だし……」
「なら、この続きは大陸を渡る時だな」
「そうね。ところで、話は変わるんだけど……」
アイエフは食後のコーヒーに口をつけて、ケイトの方に目を向ける
「あんたは、あんたで失踪した友達を探していたのよね? いいの、そっちの方は?」
「ああ、その親友もこの世界に居る可能性は極めて高い。鍵の欠片を探す中で同時に探してみるつもりだ」
「そう、それってどんな奴なの?」
「ちょっと待ってろ。確か携帯に……」
そう言ってケイトは自分の携帯を開く。流石に形態が普及しているとは言え、ここは異世界。やはり電波は圏外となっている。ケイトは改めて画像フォルダから高校の入学式の際に親友ととった写真を読み込み、三人に見せる。少し跳ね気味の黒髪に鋭くも人懐っこい目をした少年が満面の笑みを浮かべ隣のケイトの肩に手を回し、反対の手でピースしてる
「この人がそうなの?」
「ああ、名前は譲崎 疾風(ゆずりざき はやて)。俺の昔からの幼馴染だ」
「なるほどね。ねぇ、ケイトその携帯の画像私の携帯に送れる? 知り合いの人達にも目撃した人が居ないか聞いてみるわ」
そう言うと、アイエフは自分の携帯を操作し、それをケイトに向ける。赤外線によるデータの受け渡し、その意図を汲み取ったケイトも携帯を操作。赤外線機能は使えるらしく無事にデータの受け渡しが終了する
「よし。後、外見以外に特徴は無いの? 例えば得意な事とか」
「そうだなぁ……あいつがよく口にする口癖が一つあるんだ。事ある毎にいつも口にしている言葉」
それは彼にとっては自分の望む生き方そのものを示した言葉だ
「それって、どんなの?」
「それは――」
同刻、ラステイション某所にて――
「大丈夫だぜ、少年! 俺が絶対に親の所に返してやるからな!!」
「で、でもこんなに沢山のモンスター、お兄ちゃん一人で本当に勝てるの?」
とある草原の真ん中。病気の親の為に薬草を取りに来た少年がモンスターの群れに襲われていた。そしてそんな少年を庇う様に一人の青年が自信と確信に満ちた表情で立っている。白いズボンに、裾が腰より少し下の長さをした赤を基調とし真ん中が黒で縁が白のラインで描かれたチェック柄の半袖のポロシャツを前を開く形で着ており、腰には厚手の皮製の幅広のベルトをシャツの上から少し斜めに巻いており、左右の腰の部分にはホルスターが付いている。とは言え、それは拳銃を入れるには長く大きい。そこに収められていた武器は今、彼の手に握られている。二本の四角い形をした幅広かつ重厚な硬鞭、しかもグリップが本体に対し垂直に、かつ真ん中より少し端の方に付けられ一見するとトンファーの様な形状をしている
「任せとけってっ! 俺を誰だと思ってやがる? 何てったって俺は――」
「「いつだって全てを守るナイトなんだぜっ!」(ってな)」
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この部分、何を書くか毎度迷うので。チャプター2からは前回のあらすじとコメに対する簡単な返事を書くことにします | ||
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