混沌王は異界の力を求める 3 |
「さて、あらためて自己紹介やね、古代遺物管理部、機動六課部隊長の八神はやてです」
「機動六課スターズ分隊隊長の高町なのはです」
「……副隊長のヴィータだ」
「人修羅だ」
フェイトとシグナムに連行された人修羅は、機動六課の部隊長室に案内され、中で待っていた高町なのは、八神はやて、ヴィータの三名と簡易的な自己紹介を行い席に着き、今これから機動六課隊長副隊長の面々と人修羅との交渉が行われようとしていた
(ピクシー何処行ったんだろうなぁ……)
いつの間にか気配を感じなくなった相方の事をぼんやりと考えながら、人修羅は指定されたソファに腰を下ろした。
(まぁ、あいつの事だし何が起こっても大丈夫だろうけど……)
ソファに座る人修羅は、先ほどまでのズボンのみの服装ではなく、上半身に人間だった頃に着ていたパーカーを身に着けていた。どうやら人間は半裸の入墨男には如何しても奇異の眼を向けてしまうらしく、先ほど廊下で対面した局員が顔を背けて逃げ出したのを見て
「何か衣服を持っていないのか」とシグナムに冷めた眼で言われ、閣下に奪われていたこれを引っ張り出してきたのだ、虚空から。
はやてが人修羅と自身の間にモニターを展開させ、口を開く。展開されたモニターには先ほどまで観測されていた魔力の台風の図が表示されていた。
「さて、まず訊きたいんやけど、さっきまで計測されてたこの魔力の大渦起こしたん、人修羅さんで間違いないな?」
「ああ、間違いないな、俺だ。」
「なんでこんな事したかって、訊いてもええか?」
人修羅は一つ頷くと言った。
「人を探すのが面倒だったから、そっちから来てもらおうと思った」
「……それだけなん?」
「それだけだ」
フフン、と何故か偉そうに人修羅は胸を張っている。
「…………」
思わずはやては言葉を失う。アレだけ機動六課中を大騒ぎさせた大渦の真相が、ただ人に来てもらうために目立つ為だけの行為だったとは…。
「テメェ! ふざけてんじゃねぇぞッ!」
「それ以外にあんた等に気付いてもらう方法を思いつかなかったんだからしょうがないだろ」
突っかかるヴィータを人修羅はまるで猫でも相手にするかのようにいなしている。
「あー…ヴィータ、下がり」
少し気が抜けたはやてだったが、気を取り直し、ヴィータを下がらせ、次の問いに移った。
「次の質問や。人修羅さんの目的はフェイト隊長とシグナム副隊長から聞いたんやけど、何でもこの世界に探し物があるとかで、別の世界からやってきたとか」
自身の目的のために世界を渡り歩く者は意外と少なくない、だが時空管理局の眼の届かないところで時空を渡り歩けるものとなると一気に数が減る。
独力で人修羅が世界を渡り、ミッドチルダに来た理由は、フェイトとシグナムに大体は既に聞いているが、何を探しに来たのかはまだ人修羅の口からは聞いていない。
「ああそうだ、この世界で少々手に入れたい物があってな」
「それってどんな物なん? もしかしたら私達が協力できることかもしれんし、もし良かったら話してくれへん?」
「ああ、こんな物を探しているんだが……」
突如人修羅の右肘から先が消失した。
「……え?」
背後で誰かが呟いた、はやてはその呟きに全力で同意しながらも目の前で右肘を消失させた人修羅を目を見開きながらも見た。
「あれ、何処やったかな?」
人修羅が虚空に手を突っ込み何かを探す様に手を動かしている…のだが、人修羅の肘から先が見えない機動六課の面々は何が起きているのか分からなかった。
「おっ!あったあった、こんな物なんだがあんた等、知らないか?」
人修羅の右手が虚空から引き抜かれるすると、そこには機動六課が確保に全力を尽くしているレリックが握られていた。
…。
…。
…。
…―――――――!?
突然のロストロギアの出現に息を呑む機動六課の面々。
「おっ、その反応だとやっぱり、あんた達はこれを知ってるみたいだな」
人修羅が何故か嬉しそうに言う。
(そういえばこの人ガジェットに襲われてました!)
(何で言わないんだよ!! 大事なことだろ!)
(すまない、私もその後のことが衝撃的で失念していた)
(いや、それ以前になんでこの人が持っとるん?)
(いやいやいやそれ以前に何処から出したんですか!?)
(………)
首をかしげる人修羅を前に高速で念話でやり取りをする、そしてなのはが人修羅の問いに答えるのではなく、別の問いを投げた。
「それ……どこで手にいれたんですか?」
「ん? いやこの前、仲魔の一人がこの世界に来たとき持ってきてな」
「それって……何日前ですか?」
今度はフェイトが尋ねる。
「あ? 多分この世界だと昨日か一昨日だとおもうが?」
一同の頭に、一昨日現れた蠅型アンノウンの報告が蘇る。
(いや……まさか……)
五人とも心の中で同じ声を作る。先ほど彼は仲間の一人が持ってきたと言った、ならばこの男はアンノウンを駆使、あるいは支配していることになる。
あれほど強力な力を持った者達とこの男は共に過ごしていることになる。
(流石に幾らなんでも…)
しかし。
「でっかい蠅みたいな奴でベルゼブブって言うんだけどな、この世界の人間と接触したって言ってたから、たぶんあんた等、接触したんじゃないか?」
(やっぱりぃぃぃーーー!!!!)
再び心の中の声が一致する。
(え、嘘、なんで!?)
(待て、実はあの大蠅はアンノウンではなく、この男が使い魔にした、ただの蠅ということは…)
(あんなドでかい蠅どんな世界でも見たことねーよ!)
(え、この人、実は人間じゃなくてアンノウン!?)
(まままま待て待て、みみみ皆落ち着きききぃや)
念話内では混乱する思考が飛び交っていた。
「で、こいつの事を知ってるんだろ?」
なかなか返答を返さない六課の隊長陣に人修羅が再度尋ねる。今度はちゃんと答えが返ってきた。
「すぅー…ふぅー……ええと……やね、自己紹介で言うたとおり、機動六課は遺失物管理部っていう中の一部隊なんやけどね……」
「ああ」
何故か目を合わせようとせず話すはやてに人修羅は相槌を打つ。
「それでやね……遺失物管理部はロストロギア―――人修羅さんが持ってるレリックなんかの探索、確保なんかを担当する部署なんやけどね……」
「ああ、それで?」
言いにくそうにはやては次の言葉を作る。
「それ…渡してもらえんやろか?」
「もし拒否した場合は?」
人修羅の問いにはやては深呼吸を一つ行い心、心を落ち着けると切り出した。
「そのときは……貴方と敵対することになるかと思います」
「そうか」
人修羅が組んでいた腕を解き、だらりと力無く下げた。
「お断りだ」
人修羅が無表情に言葉を作った瞬間。
(………え?)
はやては自分の背を冷たい汗が噴出すのを感じた。そして一瞬、目の前に居るこの「モノ」が本当に先ほどまで共に談笑していた青年と同一人物だということに
気が付かなかった。人修羅の雰囲気が違う。人修羅が再び虚空に手を突っ込み、冷や汗をかく面々の前でレリックをしまう。
一切の表情を消し、人修羅が無色透明という言葉が相応しい声色で喋りかけてきた。
「俺は力を求めてこの世界に来た」
はやては目の前にいる「モノ」の言葉を聞くのが精一杯だった。人修羅が表情を消してから、目の前に居るのが青年ではなく、何か未知の邪神の類ではないかと思えて仕方が無い。自分の中で本能が逃げろ、と警報を鳴らし続けている。はやてだってそれに従いたい。
目の前のそれはそれほどまでに、恐ろしいのだ。
(フェイトちゃんの言ったのはこういう事やったんか…)
「だが、その世界の住人達は俺からそれを奪おうとする」
だが仮にも一課の長である自分が交渉中に逃げては示しがつかない。はやてはそれだけで必死に逃げようと震える脚を抑えていた。
ふいに部屋に飾られていた花瓶にいきなり何の前触れも無く亀裂が走った。背後の四人の内誰かが唾を飲み込んだが目の前の存在を前にすればたとえ百戦錬磨の英雄でもそうなるだろう。
「そしてあろうことか、この俺に敵対すると言った」
目の前の存在が大仰に天を見上げた。そして。
「ぶち壊すぞ、人間?」
人修羅が舌を見せて哂った。
人修羅のその挑発に対し、反応を返したのは当人のはやてではなく、その隣に控えていた。
「貴様っ!! 主はやてへの侮辱は許さんぞ!!」
シグナムと。
「テメェッ!! はやてをバカにすんなよ!!」
ヴィータだった。
二人ははやてを遮るように、人修羅の前に立ちそれぞれのアームドデバイスを即座に放てるよう構えている。
しかし二人のデバイスを持つ腕からは、金属と金属が細かく震え合うカチカチという音が、絶える事無く鳴っていた。
「シグナム、ヴィータ下がりや」
深呼吸を一つ行い、はやてが二人に下がるように言う。
「でも、はやて……」
納得がいかない様子のヴィータへはやては視線を向ける。二人とも渋々と言った様子だったが、後ろへ下がろうとした。だが人修羅は。
「うん、ずいぶんと行儀の悪いお嬢さん方のだな、これで副隊長か。感情論だけで交渉を台無しにしようとするとは「主」の教育不届きが目に見える」
煽った。
「貴様ぁぁぁああああああ!!!」
「テメェェェエエエエエエ!!!」
一旦は引きかけたシグナムとヴィータは、今度ははやての静止も聞かず人修羅にそれぞれの得物を、雄たけびと共に叩きつける。非殺傷設定がかかっているとはいえ、副隊長二名の筋力から放たれる一撃は一般人相手ならば容易に数日は昏倒させる。
誰もが一呼吸後に、剣と槌が肉を穿つ音が響くと確信した。
が現実はそれを裏切る。
肉を裂き、穿つ音の代わりに聞こえてきたのは、金属で金属を殴りつけたような音だった、
「「「「「!?」」」」」
人修羅を除く全員がその思いもしない音に一同は人修羅の体に視線を向ける、だが入墨の走った体の何処にも剣も槌も激突していない。炎剣も鉄槌も人修羅の体へ到達する前に、別の物体に止められていたからだ。
「――――――え?」
騎士二人の攻撃を止めたそれが何なのか人修羅を除くその場にいる全員が理解できていなかった。
シグナムの((炎剣|レヴァンティン))は人修羅の左上から生えた、火を噴く刃を持つ極厚の((?剣|レーヴァテイン))に、ヴィータの((鉄槌|グラーフアイゼン))は人修羅の右下からいきなり現れた丸太のような腕に支えられた、雷光を纏った巨大な((雷槌|ミョルニル))に止められていた。
硬直は一瞬。騎士二人は素早く後ろに下がり、デバイスを構えなおし人修羅へ向き直る。しかし人修羅はそんな動きには見向きもせず自身の側から生えている武器に喋りかけ始めた。
「おいおいお前ら、俺はまだ呼んでないぞ? なんで勝手に出てきてんのさ」
人修羅の問いに、雷槌が答える。
「我が王よ、貴殿を守護することが我らの役目。それは王の令が無くとも当然のことだ」
?剣が相打つ。
「左様だ、主は傷つかぬ身なれど、((態々|わざわざ))喰らってやる事も無かろう?」
その言葉に人修羅は興を削がれたのか、深く息を吐き出すとはやて達に向き直り、頭を下げる。
「悪かった、少し短気が過ぎた」
いきなりの謝罪にはやては面食らったのか慌てて返事をする。
「いや……あの、こっちも部下がえろうすんませんでした!」
頭を下げる人修羅に対し、シグナムもヴィータを納得がいかないようだったが武器を収め下がる。いつの間にか、先ほどまで感じていた人修羅が放つ圧は霧散していた。
「だが、さっきの言葉は本当だ。交渉の場で上司の静止を聞かず、私情で行動する者は下がらせておいたほうがいい。本当にエラいことになるからな」
「…以後、気をつけます」
人修羅が自身も体験したことがあるかのような言葉に、はやては素直に頷く。
「あの……」
そのとき今まで人修羅とはやての交渉を見守っていたフェイトが声を上げた。
「ん、何だ?」
人修羅の顔には既に先ほどまで散っていた表情が戻っていた。
「レリックの事は一先ず置いといて、人修羅さんに一つ聞いておきたいんですけど…その剣とハンマーは何なんですか?」
なのはが未だに虚空から突き出している?剣と雷槌へ交互に視線を向けながら、人修羅に尋ねる
人修羅は頭を上げると、答えようとする――――が
「ああこいつらは――――――あーもうめんどくさい!二人共出て来い!」
「「御意」」
人修羅の命令に対し、二つ武器から返事が返る、すると二つの武器から巨体がじわじわと、生えるように現れ始めた。
そして数秒前には武器しかなかった空間に二人の巨人が現れた
「お初にお目にかかる、我は名を「魔王スルト」と申す!」
赤黒い肉体に紅蓮のマントを纏った巨人が名乗った。
「我が名は「鬼神トール」! 主の呼び出しにより参上した!」
双角の鉄兜に濃い黄皮で出来た鎧を着た、筋骨隆々の巨人も名乗る。
そして二人の巨人は型膝をつき、人修羅を守護するかのように左右にそれぞれ居座った。
「な……何々だよ!こいつ等!!」
ヴィータから苛立った声が上がった。人修羅はだた簡潔に答える
「俺の仲魔だよ」
その言葉に一同の間に暫しの沈黙が流れた。
「え、えー……と……」
最も早く沈黙から回復したなのはが、未だ警戒を解かないシグナムとヴィータの間を抜け、人修羅に尋ねた。
「な……仲間?このアンノウン達が君の?」
なのはの問いに対し人修羅は
「アンノウン?……まぁいいや、詳しいことは後だ後、今は先にこれの話を終わらせなきゃな」
そう言うと人修羅は右手を翳し再びその手にレリックを出現させる。
「俺もあんた達もこいつが欲しい、だが互いにこいつを求めてゆくとなると俺はお前達を敵と認識しなきゃならん」
人修羅が冷たい笑みを浮かべる
「あんた等全員を葬ることは、俺にとっては造作も無いことだからな」
「あにをッ!!」
ヴィータが再び人修羅に突っかかろうとするが、再びはやてが手で静止する。
「いくつか尋ねたいんやけど、ええかな?」
「ああ、かまわない」
はやてが問う。
「なんでレリックを欲しがんねん。レリックは使い方も何も分からん、いつ爆発するかも分からん危険なだけの代物なんやで?」
「そんなの決まってるじゃないか、力が欲しいからだよ」
人修羅が握った左手をはやてに向け、答える。
「俺達と敵対している奴がいるんだがな、今の俺達ではどうひっくり返っても奴には勝てない。だからそいつを倒すために少しでも力が必要なんだよ」
「その為にレリックを? せやけどレリックは使い方が―――」
「使い方なんて解んなくて良いんだよ」
はやての言葉を人修羅が言葉を重ねることで遮る。
「正しい使い方なんてどうでも良い。適当に力を注いで適当に圧すれば、世界一つ滅ぼすくらいの爆弾にはなるだろ」
しれっと言ったその内容に、はやても、その後ろに控える隊長副隊長陣も言葉を失う。この男は当たり前のように世界を一つ滅ぼすと言った。
「人修羅さん」
はやてが一切の感情を消して人修羅に言う。
「私達は時空管理局の人間や。例え冗談やとしても、私たちの前でそういった発言はやめてもらえんやろか」
「ん…悪い失言だった」
人修羅は大して悪びれるでもなく引き下がる。
(はやてちゃん…)
(はやて…)
(うん、わかっとる)
なのはとフェイトから念話が来る。解っている、この男にレリックを渡してはいけない。この男なら本当に世界を破壊してしまうという確証があった。
(せやけど……)
レリックを渡さないといってもこの目の前の男と敵対してはダメだ。はやては人修羅の左右を固める赤と黄の巨人に一瞬目を向ける。
(どっちもオーバーSSって、とこやな……)
どちらとも自分やなのはが能力限定を解いて、やっと勝てるかどうかという実力を秘めているのが、その身から溢れる強大な魔力で解る。
さらに、この二体よりも明らかに格上の、あの蠅型アンノウンもこの男の配下なのだ。他にもどんな強力なアンノウンを従えているか解らない。
(ぶつかったら良くて全滅、最悪ミッドチルダ消滅やろうね……)
仮に時空管理局の人間を総動員させたとしても勝てる気がしない。はやては心の隅でそう思った。
「さっきの人修羅さんの言葉で確認したいんやけど」
「何だ」
「人修羅さんは、レリックの正しい使い方はどうでもいいと言った。そうやな?」
「ああ」
「つまり、力そのものが必要なわけで、レリックそのものは必要やない、と?」
「ああ、そうなるな」
人修羅の言葉にはやては乗り出していた身を引き、目を閉じ、言葉を止める。同じように人修羅も自ら尋ねることは無い為、自然に場には沈黙が下りた。
(なのはちゃん、フェイトちゃん、それにシグナムとヴィータも)
場は沈黙していても、水面下はそうではない。はやては念話を使い、人修羅に覚られぬよう周囲の四人に呼びかけた。
(何だ?どうしたんだ、はやて)
(皆、私が今から人修羅さんに提案することに一切の口を挟まんでほしいんや)
(え…?)
(恐らく、今出せる答えの中で、人修羅さんとの争いを回避できて、尚且つ人修羅さんからレリックを渡してもらえる方法は私が思いつく限りでは一つしかあらへん、せやけど成功の確立は高くあらへん
せやけど私に任せてほしいんや)
(無論だ主はやて。我等ヴォルケンリッターは常に主を信頼しています)
(うん、はやてなら大丈夫だよ。必ず成功する)
(わかった、ありがとな)
はやては小さく息を吸い込み、閉じていた目を見開き、机を挟んで座っている人修羅を見据える。
「レリックの確保は機動六課の存在理由といっても過言やないんや。誰が相手でも引くことは出来へん。人修羅さんから何としてでもレリックは渡してもらう」
「へぇ……」
人修羅は口元を歪め、哂う。
「それはつまり俺と……((否|いな))、俺達と敵対すると、そういうことで良いんだな?」
人修羅の言葉にトールとスルトがその巨体を立ち上げる。
「いや、そういう訳やあらへん」
こちらを睨みつけてくる二人の巨人に臆する事無く、はやては言う。
「人修羅さんにレリックの代わりになる物を提供させてもらいます」
「へぇ……」
はやての言葉に人修羅は興味を持ったようで、立ち上がった二人の巨人を再び座らせる。
「それはつまり、俺がレリックを渡す代わりに、それに近しい……お前等で言うロストロギアとやらを俺に渡すと、そういうことか?」
「いや、ロストロギアを渡すわけやあらへん」
「じゃあ、俺がレリックを渡しても良いと思えるような、そんな魅力的な物をお前は用意できると?」
その言葉にはやては、そや、と言い言葉を続ける。
「無限書庫の閲覧許可や」
はやてが人修羅の眼を見たまま続ける。
「時空管理局本局にな、無限書庫ちゅうむっちゃでかい書庫があるんや。管理局の管理を受けとる世界の情報全てがストックされるとこなんやけど、余りに大きすぎて私らでもその一割を知っているかどうかなんや、だけどな無限書庫には失われた禁忌級の魔法なんかの情報もある事がある。レリックと違って即物的な力やあらへんけど、もしかしたらレリックを超える力が在るかもしれへんのや「要するにだ」
人修羅ははやての言葉に割り込むように口を開いた。
「レリックを渡す代わりに、自分達でも当たりが在るかも分からない、そんなデメリットの大きい賭けに乗れと俺に言うんだな?」
「………そや」
人修羅は思考を走らせる。このレリックとかいう代物は確かに自分達が、爆弾として使えばかなりの威力を出せるだろう。しかし、どうやらこの機動六課とかいう連中の態度を見る限り、この世界にもそんなに数があるわけではないらしい。
それに世界破壊程度なら自分は勿論、シヴァやデミウルゴス、クトゥルーにマザーハーロット辺りでも充分可能だろう。それならば、態々レリックを爆弾にしてまで使うのが何だか馬鹿らしく思えてくる。
マガタマと似た気配はするものの、自分でさえレリックの正しい使い方は皆目見当もつかない。
(無限書庫とか言ったか……)
レリックと引き換えにこの部隊長が提案したのは「情報」だ。レリックのような物がある世界だ、探ればそれなりのものは得られるだろう。
それに自分達が立ち向かうのは、大いなる意思だ悪魔の力だけでは、勝つのは難しいだろう。
このとき既に人修羅は、レリックへの執着と興味を失っていた。
(失敗したか……!?)
人修羅は先ほどから腕を組み眼を閉じたままで一切の言葉を発しない。その雰囲気にはやては不安を感じ何か言おうと口を開こうとしたとき。
「いいだろう」
と言って人修羅はレリックを机に置いた。驚くはやて達をよそに人修羅は立ち上がりながら言う。
「この世界には元々暇潰し程度の気持ちで来たんだがな、最終的に得られる物が失われようとも、大きくなる可能性があるなら乗ってやろう」
「ほんまか!?」
思わず席を立つはやて。
「でもはやてちゃん、無限書庫の閲覧は局員しかできないんだよ? 人修羅さんはどうするの?」
なのはの問いにはやては振り返り答える。笑顔で。
「そらまぁ臨時で局員になってもらうしかあらへんやろ」
「……え?」
はやては人修羅に向き直り言った。
「人修羅さん、早速なんやけど……機動六課に入らへん?」
「冗談言わないでくださいッ!主はやて!!」
はやての提案に異議を申し立てたのは人修羅ではなく、シグナムとヴィータだった。
「そいつアンノウンを連れてるんだぞ!もしかしたら最近発生してるアンノウンの事件もこいつが犯人かもしれないじゃなか!!」
「シグナム!ヴィータ!」
はやての叱責が飛ぶが二人とも引こうとしない、その様子に人修羅が疑問の声を出す。
「さっきも聞いたが、なんだ? そのアンノウンって?」
「お前がつれてる奴のことだよッ!!」
ヴィータがアイゼンを人修羅の背後にいるトールとスルトに向ける。
人修羅はそれを見て、ああ、と納得したように言った。
「悪魔のことか」
「悪魔…?」
「まぁ、俺があんた等の部隊に入らなければ、ここでの交渉は決裂になる訳だし、あんた等も諦めろよ」
それに、と人修羅は続ける。
「信用ならないと言うなら、あんた等が今まで遭遇した悪魔の情報を全てあんた等の部隊の連中全員の前で提示してやろう、弱点、耐性、特性、能力全てな」
「じゃ、じゃあ!」
はやての期待したような声に人修羅は右手を差し出すことで答えた。
「よろしくお願いするよ、「八神総隊長」俺は「魔人 人修羅」コンゴトモヨロシク」
はやてはその手を取った。
「機動六課部隊長の「八神はやて」です、よろしくお願いしますね「人修羅さん」
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