【獣機特警K-9】そして妹は目覚めた【交流】
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リクが引き取られて数日たったある日。

カフェ・ラ・ヴォルペに、白衣を着た一人のロボットが訪れていた。

 

「ああ、レオン博士。お久しぶりです」

店先でカルロが迎えたそのテラナー形ロボット…。

見た目は少年そのものだが、実はある科学者の記憶を移植されていた。

彼こそレオンハルト・マイバッハ、K-9隊創設時において支援をした人物の一人である。

「わざわざご苦労様です。コーヒーでもお入れしましょうか?」

「ああ、頼むよ」

さて、何故彼がここを訪れたのかと言うと…。

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暫くして、3階の部屋からリクが降りてきた。

「おはようございます…あれ?レオン博士!!」

「やあ、リク君」

「…僕をロボットにしてくれて…本当にありがとうございます!」

深々と頭を下げるリク。

「いや、例には及ばないよ。…それよりも、亡くなった君の両親…本当に残念だった」

と言うと、レオンは一口コーヒーを飲んでさらにこう続けた。

「…あの二人は私の教え子だったのさ。同じ研究所で一緒に過ごしていた。いつもロボットの話題で盛り上がっては大笑いしていたものさ」

「へえ、そうだったんですか」

「…それがあの若さで、しかも悪意ある者に殺された。車からの救難信号を受けて助けに行ったときには遅かった…」

「…」

その話を聞いて俯くリク。さらに続けるレオン。

「…酷い有様でね。頭が吹っ飛ばされていたよ…それを見た瞬間私は思わず泣いた。空に向かって叫んでいた。あの二人が何をした!あの家族が何の罪を犯したんだ!!…ってね」

リクが顔を上げると、レオンの頬には涙がひと筋こぼれていた。

レオンは、涙をすぐにふき取ると、さらに続ける。

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「…でも、君たちはまだ助かる見込みがあった。頭が無事だったからね…少なくとも記憶だけは、彼らの作っていたロボットに移植できると思ったんだ」

「じゃあ、僕をロボットにしてくれたのも…」

「……大切な教え子の子供さんだ。師匠である私としては、どうか君たちに生きてほしいと思ったのさ…彼らのためにもね」

「博士…」

 

ここまで話したところで、ため息をつくレオン。

「しかし目覚めたのはどういうわけか君だけだった。君の妹…ソラは事故のショックで目を覚まさなくてね…」

「それで…ソラはどうなったんですか?」

「…私の研究所で保管している。いつか目覚めてくれると信じてね…」

レオンはいつしか、目の前に置かれたコーヒーを飲み終えていた。

そしてゆっくりと立ち上がると、窓の外の空を見つめていた。

空は雲行きが怪しくなっていた。

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「…雲行きが怪しい。待てよ、今日の予報は確か…」

レオンが心配して見つめていると、雲の隙間にところどころ閃光が走り、空は轟音を響かせていた。

「…いかん!あの方角は!!」

「ど、どうしたんですか博士!!」

レオンは慌てて、椅子にかけていた白衣を羽織り、店の外へと飛び出していった。

(頼む…落ちないでくれ!いまここで落ちたら…『彼女』は…たぶん永遠に…!!)

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その頃、レオン博士の研究所。

明かりが落ちて薄暗いロボット研究室の奥に、イヌ形ロボットの少女が横たわっている。

彼女の身体のあちこちにはコードが繋がれている。そのコードの先には無数の機械。

…ふいにその研究室のドアが開き、レオンが入ってきた。

 

「はぁ、はぁ…急いでコードを外さなければ…!」

レオンがそのロボット少女に繋がっているコードを外そうと手をかけた、その時!!

 

「うわぁぁぁあああ!!!!」

突然、研究室にあった機械に強烈な電流が流れ込む。落雷だ!!

その高電圧に弾き飛ばされ、入ってきたドアの近くにある壁に叩きつけられるレオン。

膨大な電流は周りの機械を次々に破壊していく…。

そして、そこから伸びるコードの先に横たわっているロボットにも、その電流は容赦なく流れ込んだ。

 

「…遅かったか…ソラ…!」

レオンは左手で握りこぶしを作り、床に叩きつける。

もう、ソラが目覚めることはないだろう…そう思われたその時だった。

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「…ウ、ウウ…」

まだ調整が終わっていない電子音声が響く。そして…目の前に横たわっていたソラが…ゆっくりと動き出した。

 

「ソラ!?まさか今の落雷のショックで目覚めたって言うのか…?」

「…オ・ニー…チャン……」

虚ろな瞳のままで、呟くソラ。

「…」

「パ・パ…、マ…マ…、オニー…チャン…、ド・コ…?」

「ソラ、落ち着いて聞くんだ。君のパパとママは…死んじゃったんだ…」

「ソ…ン・ナ…」

ソラの目からは涙が一粒、二粒と流れだしていた。

そして、涙を流しながらソラはさらに続ける。

「…オニ…ィ…チャン…は…?」

機械の身体に慣れてきたのかソラの声は、やがて少しずつ本来の彼女の持つ幼く柔らかいものに変わっていた。

「…お兄ちゃんなら…君と同じようにロボットになったよ」

その言葉を聞いたソラは、涙を右手でこすりながら、ゆっくりと立ち上がる。

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「ソラ…会いたい…」

「え?」

「ソラ、おにーちゃんに会いたい!!」

そう叫んで飛び出そうとしていくソラを引き止めるレオン。

「待つんだ、ソラ!!」

「だって…おにーちゃん生きてるんでしょ!?ソラ、おにーちゃんに会いたいんだもん!!」

「いいから待つんだ!!」

「でも!!」

…少しため息をついて、レオンはそっとソラに言った。

 

「…まさか君、丸裸で外に出るつもりかい?」

「あっ…」

…何はともあれ、ソラは目を覚ました。

そしてその後、無事に兄の待つ喫茶店に辿り着き、感動の再会を果たすことになるが、それはまた別の話である。

 

説明
http://www.tinami.com/view/469740 の続き的な何か。
ソラちゃんの復活…その全貌が明らかに!?

◆出演
リク:http://www.tinami.com/view/376146
カルロ:http://www.tinami.com/view/410344
レオン博士:http://www.tinami.com/view/418673
ソラ:http://www.tinami.com/view/412107
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コメント
ほんわかあったかなハートの持ち主なんです。そんな子なんですよソラちゃんはw(古淵工機)
ええ、意外性を狙ってみましたwwwあと、1階の店先にはテラス席があったら嬉しいなとかwww(古淵工機)
あと、ヴォルペの建物はこんな感じと妄想してます。RC造三階建て、1階:店舗 2階:リビング、キッチン、風呂、トイレ、両親の部屋 3階:モニカの部屋、リクとソラの部屋、テラス(露天なので日光浴が出来る)。1階の厨房の奥に2階へ行く階段あり(なので家族は外に出なくても居住スペースに行き来出来る)(Ν)
リクの両親はレオン博士の弟子だった。そしてリク・ソラ兄妹の命を繋ぎ止めたのも彼。ここに来て意外な人間関係が!(Ν)
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