IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第18話
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六月の最終週、遂に学年別トーナメントを迎えた。

更衣室では一夏、シャルルはモニターで観客席の様子を見ていた。

 

「しかし、すごいなこりゃ……」

 

観客席には世界各国政府関係者、研究所員、企業エージェント等の顔ぶれが揃っていた。

 

「三年にはスカウト、二年には一年間の成果の確認にそれぞれ来ているからね。一年には殆ど関係ないけどトーナメント上位入賞者にはさっそくチェックが入ると思うよ」

「だけど、一番の目的は俺だろうね」

「一夏はボーデヴィッヒさんとの対戦しか頭にないようだね」

「まあ、な」

 

一夏はあの騒動を思い出し、何も出来なかった事に自然と左手に力が籠もっていた。

 

「一夏、あまり感情的にならないで、彼女は一年の中で最強だと思う」

「……ありがとな、シャルル」

「もう! 二人の時はシャルロットって呼んでいたのに」

「あ、ごめん、シャルロット」

 

学園の中でいつも行動しているせいか二人きりの時でもシャルルと呼んでしまう事が多い。

どうしたものかと考える一夏はある考えが浮かんだ。

 

「なあ、お前のこと、シャルって呼んでいいか?」

「え?」

 

突然の事にシャルルは驚いた。

 

「いや、愛称をつけた方が何処でも呼べるから、どうかなって?」

「いいよ! 是非そう呼んで! 皆の前でも、2人きりのときでも、どっちでもそう呼んで!」

 

シャルルは一夏が付けてくれた愛称に喜んでいた。

一夏もシャルルの喜ぶ姿を見て嬉しくなっていた。

その時、モニターに対戦表が発表された。

本来なら昨日発表されるはずだったのだがシステム不調でトーナメント当日に発表となっていた。

 

「俺達はAブロック二回戦目か」

「対戦相手は……」

『……え?』

 

一夏とシャルルの対戦相手はラウラと箒であった。

 

 

既に一回戦第一試合が行われており一夏とシャルルはビットに待機して第一試合をモニターで完成していた。

 

「それにしても簪、凄いな」

「うん、山嵐のミサイルで相手の動きを封じている間にのほほんさんが近接ブレードでダメージを与える、見事の戦法だよ」

 

一回戦第一試合は簪と本音のペアの試合であった。

"打鉄・弐式"が開発を終えた簪は学年別トーナメントの相手をどうしようか考えていた時だった。

本音が簪を尋ねてきた、聞けば本音も幼じみである簪とペアを組むために尋ねてきたという。

簪は迷うことなくペアの相手を本音に決めた。

 

「幼じみだけあって、連携が上手いな」

「うん、やっぱり共に過ごした時間が長いから、お互いの癖を把握している」

 

そんな事を言っているうちに試合は簪と本音の勝利で終わった。

 

「終わったな……」

「それじゃあ、僕達も出よう」

 

一夏とシャルルはISを展開してカタパルトに接続した。

 

「じゃあ、先に行くぞ」

「うん」

『カタパルトオンライン、進路クリアー、白式、発進どうぞ!』

 

管制室にいる真耶の声を聞き、一夏は両足に力を入れ、発進する。

 

「織斑 一夏、白式! 行くぜ!!」

 

発進した一夏に続き、シャルルもカタパルトに接続すると、先ほどの一夏が発進するときに言っていた事を思い出した。

 

「僕も、言ってみようかな……」

『続いて、発進どうぞ!』

「シャルル・デュノア、リヴァイブ! 行きます!!」

 

カタパルトから出た一夏とシャルルはアリーナのフィールドに降り立つ。

そこには既にラウラと箒が待っていた

今正に、一夏とラウラの因縁の対決が、始まろうとしていた。

 

「一戦目で当たるとはな、待つ手間が省けたというものだ」

「そりゃあ何よりだ、こっちも同じ気持ちだぜ」

 

一戦目の相手はラウラと箒の組だった。

箒は前に一夏にペアを申し込んできたのだがその時は既に一夏はシャルルと組んでいたので断っていた。

その結果、抽選でラウラとペアになってしまった。

 

『試合を開始します』

 

合図と共に一夏は((瞬時加速|イグニッションブースト))を使い雪片弐型でラウラに切り掛かるが、ラウラは右手を一夏に向け、AICを発動させ一夏の動きを停止させた。

 

「開幕直後の先制攻撃か。分かりやすいな」

「……そりゃどうも、以心伝心で何よりだ」

「ならば私が次にどうするかも分かるだろう」

 

大型レールカノンを一夏に向けるが、一夏は慌てる様子は無かった。

 

「お前こそ、分かっているのか、今回はチーム戦なんだぜ」

「一夏!」

 

シャルルがアサルトカノンから放った弾によってレール砲の射線がずらされ砲撃は外れた。

そのままシャルルは((高速切替|ラピッド・スイッチ))によってアサルトライフルを展開しラウラに突撃するが打鉄を纏った箒がそれを阻んだ。

AICから解放された一夏は((瞬時加速|イグニッションブースト))でシャルルの背中に向かって突撃、シャルルが宙返りをして前後が入れ替わり一夏は箒と対峙し、箒の一撃を受け止め鍔迫り合った。

その間にシャルルは一夏の脇からレイン・オブ・サタディの二丁同時射撃を行うだが、シャルルが引き金を引いた瞬間、箒の姿が消えた。

ラウラはワイヤーブレードで箒の脚に絡みつかせ引き離すと地面に叩きつけた。

箒はラウラに怒号を浴びせるが我関せずと言わんばかりにラウラは突撃していく。

二刀の複数のワイヤーブレードでシャルルを牽制しながらプラズマ手刀で一夏に襲い掛かってきた。

 

『シャル、無事か?』

『うん、一夏、援護は』

『大丈夫だ、シャルは箒を頼む』

『わかったよ、一夏こそ無理しないでね』

『わかってる』

 

一夏とシャルルはプライベート・チャネルで短くやりとりをした後、シャルルは箒と一夏はラウラと対峙する。

 

 

シャルルは一夏がラウラとぶつかるのを横目で確認しながら目の前にいる箒に注意を向けた。

 

「相手が一夏じゃなくてゴメンね」

「なっ……! 馬鹿にするなっ!」

 

シャルルの挑発にのせられた箒の斬撃をシャルルは右手に展開したブラッディ・スライサーで受け止め左手のショットガンで反撃した。

 

「くっ……!」

 

シャルルの最大の武器は『器用さ』と『((高速切替|ラピッド・スイッチ))』である。

相手の武装と戦法に直ぐ様対処でき、また相手のリズムを崩す事を得意とする。

格闘戦に入れば近接射撃、間合いを離して射撃戦に入れば近接格闘、押しても引いても一定の距離と攻撃リズムを保ち、攻防ともに高いレベルが安定した戦闘方法である。

この戦闘方法を((砂漠の逃げ水|ミラージュ・デ・デザート))と呼ばれる。

 

「篠ノ之さんに恨みは無いけど、君にはここで倒れてもらうよ」

 

 

一夏はラウラの猛攻にかわしながら、反撃のチャンスを待っていた。

元々、格闘戦特化の白式はシュヴァルツェア・レーゲンの相性は最悪である。

シュヴァルツェア・レーゲンのAICは対象を任意に停止させることができるが、複数相手やエネルギー兵器には効果が薄い。

その為、一夏とシャルルはラウラのペアの子を先に倒し二人でラウラを倒すという作戦を立てていた。

だが、ラウラもそれに気付いており勝負に出た。

 

「……そろそろ終わらせる」

 

ラウラがプラズマ手刀を解除し両腕を交差する。

瞬間一夏の身体は停止し、ワイヤーブレードで捕獲され、床に叩きつけられた。

一夏はすぐに体勢を直そうとしたがワイヤーブレードによって四肢が絡み取られているので微動だに出来ずレール砲が再び向けられた。

対ISアーマー用特殊徹甲弾が砲口から撃ち出され、真っ直ぐに一夏を目指して突き進んでくる。

 

(やられる!)

 

その瞬間、シャルルが割り込み左腕のシールドによって砲弾は弾かれた。

 

「お待たせ!」

 

シャルルはワイヤーを切断して一夏の腕を引いて離脱した。

 

「助かったぜ……ありがとよ」

「どういたしまして」

「箒は?」

「お休み中」

 

一夏が視線を向けた先にはアリーナの隅で箒が悔しそうに膝をついていた。

 

「流石だな」

「その言葉は試合の後で、ここからが本番だね」

「ああ、見せてやるとしようぜ、俺達のコンビネーションをな」

 

 

一方、千冬達は管制室で一夏とシャルルの試合を観戦していた。

 

「すごいですねぇ、三週間ちょっとの訓練であそこまで連携が取れるなんて。やっぱり織斑君才能があるんですね」

「ふん、あれはデュノアが合わせているからであってあいつ自身は何の役にも立っていない」

 

管制室のモニターを観ながら呟く真耶の言葉に千冬は辛口の評価を下す。

 

「確かにそうですけど、他人がそこまで合わせてくれる一夏自身がすごいと思いますよ」

「そうですね、魅力の無い人間に誰も力を貸してくれないですからね」

「まあ……そうかもしれないな」

 

一夏褒められて内心嬉しくする千冬だが、真耶はそれが照れ隠しだと知っているので何も言わなかった。

 

「それにしても篠ノ乃さん、あっさり負けてしまいましたね」

「専用機無しだとこれが限界ですよ、それに箒はシャルルと相性が悪いですからね」

「それにしても強いですねぇ、ボーデヴィッヒさん」

「ふん……」

 

一対二でありながら互角に戦うラウラに真耶はしみじみと言うが対して千冬は心底つまらなさそうにしていた。

 

(変わらないな、強さを攻撃力と同一だと思っている、だがそれでは……一夏には勝てない)

 

 

一夏とシャルルは勝負に出る為、シャルルが牽制、一夏が"零落白夜"を発動して突きの姿勢で突撃した。

 

「無駄な事を!」

 

一夏に向けAICを発動させ動きを止めた。

 

「学習能力の無い奴だな、お前の動きを止められれば零落白夜を恐れる必要はない」

「……残念だが、それは外れだぜ! 俺達は二人で一組のチームなんだぜ?」

「!?」

 

一夏の言葉にラウラは気付いた。

ラウラの動きを止めるためにAICを発動させたのだと。

AICには致命的な弱点がある。

それは目標物に意識を集中させないと効果が維持出来ない事だ、つまりAICを発動させている間は動きが止まってしまうのだ。

一夏を停止させられている間にシャルルは零距離までラウラに接近しショットガン六連射でレール砲を破壊した。

 

「くっ……!」

「一夏!」

「おう!」

 

ラウラがシャルルに意識を向けた瞬間、AICは解除され、一夏は再び"雪片弐型"を構え((瞬時加速|イグニッションブースト))で接近する。

だが、ラウラは全てのワイヤーブレードを一夏に向け発射するが、シャルルのアサルトライフルの援護射撃で全て撃墜され一夏の接近を許してしまった。

ラウラはプラズマ刀で"雪片弐型"で受け止めるが徐々に一夏が押し始めてきた。

 

「何故だ……何故、貴様がこれほど!!」

「俺は……大切な人を守る為に、俺は強くなろうと努力してきた!!」

 

"雪片弐型"でプラズマ刀を弾くと一夏は回し蹴りでラウラを蹴り飛ばした。

 

「見せてやるよ、俺の力を!」

 

"零落白夜"を発動させた一夏は((瞬時加速|イグニッションブースト))で接近をする。

ラウラはAICで一夏の動きを止めようとするが、シャルルのアサルトライフルの援護射撃によって動きを封じられた。

その僅かな隙に一夏はラウラの目の前まで接近していた。

 

「っ!?」

「くらえ!!」

 

前のめりになっていた上体を起こしながら振り上げられた"雪片弐型"、上体移動の力も加わった強力な抜刀式斬撃が抑えようとしたラウラのプラズマ手刀を砕きながらシールドエネルギーを大きく削り、追撃の突きで壁際まで吹き飛ばした。

 

「ぐううっ……!」

 

絶対防御によってシールドエネルギーがごっそりと奪われ、壁に叩き付けられた衝撃がラウラを襲った。

ラウラの機体に紫電が走り、IS強制解除の兆候を見せ始める、だが次の瞬間、事態は急変した。

説明
第18話です。

プロローグ
http://www.tinami.com/view/463196

設定集(ネタバレあり)
http://www.tinami.com/view/502954
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タグ
インフィニット・ストラトス IS ガンダムSEEDDESTINY クロスオーバー 設定改変あり シン×ルナマリア 

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