外史を行く喧嘩師 十六幕 |
狼鬼拠点
「さぁ〜て。凪の説得に行くか。」
シ水関で捕虜にした楽進こと、凪を軟禁(部屋から出なければ殆ど自由)してる部屋に向かう。
正直俺は凪に仲間になってもらいたい。やっぱし凪は唯一拳で語り合える仲だし、
弟子と戦場でまた戦うのはもう懲り懲りだ。
けど、凪が嫌なら無理強いはしない。無償とは言わねえけど、曹操軍にはちゃんと返すつもりだ。
「まぁあいつは硬い奴だからな〜。正直確率は半分もねぇだろうけど・・・」
なんつうかアイツは生粋の武人って感じだし。
「この首、刎ねるなら刎ねよっ! 我が忠誠は揺るがぬっ!」
とか言われたらどうしよ・・・
俺って栄光ある死より楽しい事が有るかもしれない明日を取る方なんだが。
いや、まぁなんとかなるだろ。
そんな事を思ってる内に部屋の前に到着。
コンコンッ
「凪〜入るぞ〜」
ガチャッ
「師匠・・・」
完全武装解除している凪が、本を読んだ状態から読んでいた本を机の上に置き立ち上がる。
「よっ!お久。」
「お久しぶりです。私の処分は?」
「おう。取り敢えず仲間になってくれよ。」
「・・・えっと。それは処分ではなく師匠個人の考えでは?」
「問題無い。この件に関しては全権を委任されている。つまるところ凪の処分は俺次第。
で、凪とは戦場で戦いたくねぇし、拳使う仲だし、仲間になってくれねぇかな〜と。」
本当に任されてるんだぜ。帰すもよし。首取るのもよし、取んねぇけどよ。
「・・・今直ぐに、お答えする事は出来ません。」
「・・・・・・えっ?!」
「えってどういう意味ですか?」
「いや、凪の性格からして、降りませんの即答かと思ってたもんだからよ。」
だって、なぁ?
「以前の私なら、そう答えていました。ですが、今は華琳様のやり方に疑問を持っています。
私は今回の連合が本当に義の為の物だと思っていました。ですが、実際は各々が自らの躍進の為に集まったものでした。
華琳様も・・・」
「まぁそれは仕方のねぇ事よ。今のこのご時世、隙を見せれば食われだけだ。例えそれが、悪だろうが正義だろうがな。」
実際に食ったのは俺等だけどな。
「私は華琳様のやり方は正しいと思ってました。力で相手をねじ伏せ、自らの覇によって大陸を統べる事は・・・
ですが、董卓殿の様な方をもねじ伏せる必要があるのだろうかと、ここ数日考えました。」
「んで、なんか分かったか?」
「いいえ。考えれば考える程分からなくなります。」
凪は難しく考えすぎなんだよな〜けど俺みたいに軽い奴でもないし。
「・・・いいか凪。これだけは教えといてやる。どんなに立派な人間が掲げた理想でも、実際にやってることは
人殺しだ。大陸の平和の為、とか言っても人の最大の禁忌である人殺しなんだよ。だからな、理想の為に戦うんなら、
今すぐ武人をやめろ。人殺しの為に死ぬ覚悟なんていらねぇからな。」
劉備のヤローも、こいつをしっかり理解してれば強くなれるんだがな。
「なら、私は何の為に戦えばいいのでしょうか?」
「そうだな〜例えば、大切な奴を守る為にとか、愛する者とずっと一緒にいる為にとかか?
そういや凪にそういう奴いんのか?」
この世界の主な武将って得てして男作んねぇんだよな。
俺が知ってる中で結婚してんのは飛翠だけだし。自分より弱い奴とは付き合わないとか?
・・・俺結婚できねぇかも・・・
「自分に、ですか・・・」
一瞬考えた後、何故か俺の方を向いて顔を真っ赤にする凪。
「ん?顔赤いぞ。熱でもあんじゃねぇか?」
そう言っておでこに手を付ける。
「うわああっっ!///」
手を付けた瞬間どんどん体温が上がっていく。
「おいおい、大丈夫か?結構熱いぜ。」
「大丈夫ですから!///」
「そうか。」
そう言って手を引くと、凪は落ち着いた感じになった。
「まぁ今すぐ返事しなくてもいいぜ。曹操軍もこの洛陽に後四日は居るし。それまでに返事出してくれや。」
そう言ってその日は部屋を出た。
<凪サイド>
額に手を当てると師匠の手の暖かさが感じられた。
「師匠・・・///」
自分は武人。恋愛などしないと思っていたが、どうもそうでもないらしい。
こんな気持ちで戦っていたら、シ水関で負けてしまうのも当然か・・・
「自分は、どうすればいいのでしょうか・・・」
華琳様の理想の為にこれからも戦い続けるか、或いは・・・
<狼鬼サイド>
凪と話してから二日経った。
そろそろ腹決めてくれねぇとな。
「入るぞ〜凪。」
「どうぞ。」
二日ぶりの凪の顔には迷いが無くなってた。
「どうするか決まったか?」
「・・・はい。董卓殿に会わせて頂けませんか?」
「・・・理由は?」
まぁ大体見当はつくけどな。
「自分は・・・師匠と共に行きたいです。師匠は自分の憧れですから。
ですが、一度大陸の平和を目指した以上、自分はその為に戦います。たとえ、何人この手で倒しても。
ですから、董卓殿が華琳様より仕えるに値する人物かを、この目で確かめたいのです。」
俺と一緒に行きたい、か。何とも男冥利に尽きる事。
師弟関係っつうもんはすげえな。
「・・・分かった。」
所変わって謁見の間・・・
「初めまして。董仲穎申します。」
いつもの服を着た月が簡単に挨拶をする。
「私の様な一介の降将の為にお時間を割いて頂き感謝しています。我が名は楽進と申します。
此度は董卓殿に幾つかお聞きしたい事があり、謁見の機会は作って頂きました。よろしいでしょうか?」
相っ変わらず律儀だね〜
そういう所がいいんだけど。もうちょっとくだいた感じでも。
「私の答えられる事なら、何でも聞いてください。」
「では。董卓殿は何を目指しますか?」
「私は大陸の皆さんが、普通に暮らせる世を作り上げたいと思っています。
大陸の皆さんは今、黄巾党という恐怖から開放されましたが、まだ賊に困り、圧政により虐げられている人たちも居ます。
ですから私はそんな人達を助けたいんです。大陸の全員を助けられるとは思っていません。
そんな事が出来るのは神様だけですから。でも、せめて自分の手の届く人達を救いたいと思っています。」
「・・・分かりました。ではもしも自らと同じ志を持った者が攻め入ってきたら?」
「その時は戦います。どんな世の中にも争いは存在します。
例えその人が民を蔑ろにしないと分かったとしても、自分の事を支えてくれる人達を守る為に。
降り掛かる火の粉も払えない様な人には、国を守る力も、資格もないと思っています。」
「・・・次が最後です。もし自分以外の人間と共にこの大陸を治める事になったらどういたしますか?」
「もしもその人が、民を蔑ろにする人なら私は力を持って倒します。ですが民を本当に大切にする人なら、
私は共に歩んでいきます。」
ここが月と曹操の違いってやつか・・・
曹操は一つの勢力によって治めるのが一番だと考え、月は本当の為政者となら手を繋げる事が出来る。
さて、凪はどちらを選ぶんだか・・・
「・・・分かりました。董卓様、貴方の理想に感服いたしました。
この楽進を戦端に加えては貰えませんか?」
「こちらこそお願いします。私は武も智もありません。
こんな私を支えては貰えませんか?」
「勿論です。我が名は楽進。真名は凪と申します。よろしくお願いいたします。」
「私の事は月と呼んでください。こちらこそよろしくお願いします。では狼鬼さん。凪さんの事よろしくお願いします。」
「りょ〜かい。」
そう言って月は謁見の間を出ていった。
「なにが決め手だった?」
「やはり、共に歩む、ですかね。華琳様では考えられない考えですから。
月様なら、もしかすると華琳様の隣を歩ける様な気がして。」
「そうか。まぁこれからよろしく頼むぜ!」
「はいっ!師匠!」
こうして、楽進こと凪が董卓軍の一員となった。
華雄拠点
「華雄ーーー!!待てやゴラッ!!」
「後生だ狼鬼!見逃せっ!」
只今絶賛華雄と鬼ごっこ中だ。
何故かって?それはな。
「いい加減勉強すっぞゴラッ!テメェ筆持った時点で逃げ出すとはどういう了見だ!」
「そういうのは詠やねね、お前に任せる!というか私に勉強させるなら恋にもさせろ!」
「恋には無駄って事はテメェも理解してんだろ!あいつはねねが常に一緒にいるから問題無い!
だがテメェの傍に俺か詠がいられる保証なんてねぇんだよ。
面倒だ。狼破ッッ!!」
思いっきり気弾を華雄にぶつける。
「うわああ!!」
まぁ華雄だから大丈夫だろ。
「つ〜か〜ま〜え〜た〜!」
「た、頼む!勉強だけは。あ、明日からやる。だから!」
「ガキみてえな事いってんじゃねぇ!ほら行くぞ。」
「うわあああああ。」
暴れる華雄を尻目に、襟元を掴んで引きずって自分の部屋へ向かった。
所変わって狼鬼の私室・・・
「戦術面で覚えておく事はこれくらいか・・・復習したら休憩とるから頑張れよ。」
そう頭から煙を出している華雄につぶやくと。
「まだやるのか〜?」
机に突っ伏したまま今にも死にそうな声で言ってきた。
「・・・分かったよ。この復習の問題解けたら今日は終わろう。
あんまし根を詰めすぎても良くないしな。」
「本当か!?」
「解けたらな。」
生気が戻った華雄。さてとどんな問題出すかな〜
「問題だ。華雄は500名から成る歩兵中隊を率いる指揮官であり、
この部隊の兵は、重歩兵150。軽歩兵100、弓兵100、槍兵100、輜重隊50だ。
華雄に与えられた任務は派遣された地域に架かっている橋を敵の攻撃・占領から防御してこれを保持することだ。
これは後に後続する大部隊が到着するまでの時間的な猶予を獲得するためである。」
「ふむふむ・・・500名か。」
「周辺の地形としては都市部から離れ、森林が点在する平地である。
作戦地域の中央部に約5歩程度(約5メートル位)の河川が南北に走っており周辺に障害物はなく、約1町先(一キロ)まで見通すことが出来る。
敵については、細作部隊から伝えられた情報、東方より進攻すると考えられる。」
自分で出しといてなんだが、かなり難くね?
俺は説明しながら、竹簡に絵を書いていく。
「さて、華雄。お前ならこの状況。どうやって部隊を動かす?」
まぁ答えを言う前に終わる可能性もあるが・・・
「・・・狼鬼。敵の数は判明していないのか?」
(ノ゚ο゚)ノ オオォォォ-
「第一関門突破だな。指揮官足る者、敵の数も分からないまま指揮するなんて愚の骨頂だ。
偉いぞ、華雄。敵の数はおよそ1500。因みに防衛時間は一刻だ。」
「お、おう。偉い、か//」
「さて、敵は自軍の三倍。どうするよ?」
「・・・まず敵部隊の攻撃を防御するために周辺地域の地形を考えて、河川を上手く使い橋の上に防御陣を作る。」
「それで?」
「まずは、部隊を分ける。警戒部隊と待機部隊に分けて、さらにその中でも起きている部隊と、休息を取る部隊に分ける。
警戒部隊は二つに分けて、橋の正面と、東西南北警戒する部隊にな。敵との交戦については、その場で判断するとしか言えん。
敵の兵種によって対応も変わる。
こんな感じか?」
・・・なかなか勉強のかいがあったようだぜ。
ここまで答えられるとは・・・
「なら、もしも橋を占拠されそうになったら?」
「破壊だな・・・敵に補給路として使われないように。」
「うん。80点って所か。合格だ。」
「本当か!?」
「ああ。まずは警戒部隊と待機部隊に分けたのは大当たりだ。詠でも恐らくそうしただろう。
偉い偉い。」
俺はかなり華雄の成長が嬉しく、頭を撫でてやった。
「ぅぁぁぁ///」
華雄の顔がみるみる赤くなっていくが、多分恥ずかしいんだろう。
「んじゃ、終わりますか。華雄、この後暇か?」
「・・・///ん、ああ。調練はもう終わったぞ。」
「なら一緒に飯でもどうだ?」
「私なんかより霞や恋を誘ったらどうだ?あいつ等の方が可愛いしな。」
何言ってんだこいつは。
「霞や恋が可愛いのは認めるが、それと同じぐらい華雄も可愛いぜ。俺が保証してやるよ。
それに俺は華雄と一緒に食いてぇから誘ってんだぜ。」
「なっ!か、可愛い//」
「いや別にいいけどよ。」
「いや行く!私も行く!」
「お、おうそうか。なら、行くか。」
そう言って歩き出すと後ろから。
「狼鬼。あの、その。ありがとな。お前の教え方は上手かった。
それに、その・・・可愛いって//」
「ん?最後の方が良く聞こえなかったぜ?」
「な、なんでもない!とにかく!勉強教えてくれて感謝している///」
「気にすんな。」
そうして二人で飯を食いに行った。
あとがき
こんにちは荒紅です。
今回の拠点は狼鬼さん、と言うより凪の拠点と、華雄さんの拠点でした。
凪の董卓軍入りしました。
アンケートの結果ですが、だんとつで董卓軍入りでしたね。
次回も拠点です。
以外にもオリキャラの二組みが人気でした。
という訳で次回は、暗と小恋拠点と、馬騰と韓遂さん拠点をお送りします。
それではご感想などコメしてもらえるとありがたいです。
んじゃ
説明 | ||
拠点です。 凪の拠点と華雄の拠点です。 ONEPIECE一気見してたら投稿遅れた・・・ |
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コメント | ||
ラーズグリーズ1様:今の時点では二人の仲間入りはないですよ。(荒紅) 他の二人はどうなるんですか?魏のままですか?(ラーズグリーズ1) デーモン赤ペン様:貴方とは美味い酒が飲めそうです。これからもよろしくです^^(荒紅) 凪が来た・・・!コレで勝t(略 取り乱してしまった。申し訳ない。でも凪ワンコが来たなら、われらは後3年はたたk(ry すみません。でも希望が通ってよかった。これからも更新、楽しみに待ってます^^(デーモン赤ペン) アルヤ様:正直駄目家の御陰でこの辺りはネタが尽きないんで、ある意味感謝です。(荒紅) 拠点後は・・・・・・原作通りだと北の駄名家が動くか。さてはてどうなるやら。(アルヤ) karasuma326様:ご期待に添えるよう頑張ります。(荒紅) 凪が仲間になりましたか。魏軍との戦いの時どうなるか期待です。(karasuma326) |
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