IS~ 音撃の織斑 十七の巻:再戦とけじめ
[全1ページ]

Side 三人称

 

一夏は空に舞い上がり、再び福音の元へ急いだ。

 

「速い・・・・あの時よりも、断然速い!」

 

右手に新しく進化した草薙を手に、再び福音に切り掛かった。福音もシルバーベルの集中砲火で対抗するが、新たに左腕に搭載された雪羅のシールドモードにより、エネルギー系の攻撃は零落白夜によって無効化された。

 

「LAAAAAAAALAAAAAAAAA!!」

 

まるで何が起こっているのか分からないかの様な声を上げ、福音は更に攻撃を続ける。

 

「ちっ・・・・零落白夜もやっぱり使うのか・・・・?」

 

刀での攻撃はやはり簡単に避けられてしまう。

 

「ああ、もう!いい加減当たれ!」

 

業を煮やした一夏は草薙を鬼哭に変形させ、零落白夜のエネルギー弾を放った。福音もシルバーベルで対抗するが、零落白夜で全て相殺され、シールドエネルギーが大幅に削られた。そして怯んだ所で零落白夜を纏った草薙を叩き付け、両方の翼を根元から叩き斬った。

 

「よし・・・・」

 

荒い息を吐きながら草薙を肩に担いだ。だが、突如福音が堕ちた所から眩い光が放たれる。

 

「何・・・・?!まさか・・・・・((二次移行|セカンドシフト))か?!(こっちのエネルギーももうギリギリだ。これは恐らく勝てねえな。)」

 

「「「「「一夏!!(さん)」」」」」

 

「兄様!」

 

後ろから幾つも声が聞こえて来た。

 

「お前ら・・・・」

 

「無茶、し過ぎ。」

 

「全く一人で無茶してどう言うつもりよ!」

 

「お強いのは分かりますが、軍用ISを単機で落とそうとするなんて愚の骨頂ですわよ?」

 

「皆で倒そうよ!エネルギーも少ないんだし!」

 

「そうだぞ、何故お前は一人で全てをやろうとする?!」

 

「兄様、私達も戦います!」

 

順に簪、鈴音、セシリア、シャルロット、箒、そしてラウラが現れた。

 

「俺達全員反省レポートと懲罰トレーニング確定だな。分かった。行くぜ。」

 

エネルギーの翼を新たに生やした福音を取り囲み、全員で福音を落としに掛かった。遠距離からはパンツァー・カノニーアを使うラウラとストライクガンナーをインストールしたセシリアのブルーピアス、そして簪の山嵐と荷電粒子砲が牽制、援護を行い、シャルロットと鈴音は状況に応じて中距離からの迎撃、隙を作る為の接近、一夏と箒はどうにか一撃を入れようと接近を繰り返した。

 

「クッソ・・・・!」

 

「何と言う機動力だ・・・・」

 

だがやはり数はあれども通常のISでは軍用ISの性能について行ける筈も無く、増援が来た所で戦況は一向に芳しくなる兆しすら見せない。一夏もエネルギーが後僅かになっている。箒もそれに気付き、歯噛みした。

 

(力が欲しい・・・・一夏の背中を守り、共に戦う力が・・・!!)

 

すると、赤椿は突如光に包まれた。箒の目の前には、こう表示されていた。

 

『ワンオフアビリティー:絢爛舞踏、発動』

 

「一夏、受け取れ!」

 

箒は手を伸ばし、一夏もまたそれを反射的に掴んだ。

 

「何・・・?!エネルギーが、完全に回復した・・・!!ワンオフアビリティーか・・・まあ、良い。これで戦える!!」

 

「一夏!急いで!こっちはもう持たないよ?!」

 

シャルロットはガーデンカーテンで負傷した鈴音を抱えてどうにか彼女をカバーしていたが、実体シールドがひび割れ、傷ついていた。既にシールドエネルギーも残り僅かになっている。

 

『LAAAAAAAAAAALAAAAAAA!!』

 

福音はエネルギー弾を次々に放って来るが、零落白夜のシールドと右手で回転させている涅槃の防御で全て防ぎ切り、最後にカノンモードの雪羅と全力の零落白夜を草薙で叩き込んだ。絶対防御が貫通し、シールドエネルギーがゼロになると、一夏は落ちて行く福音の操縦者をキャッチした。

 

「やはりセカンドシフトしてからエネルギーの減りがまた増えたな。」

 

一夏はそう独りごちると、先に一人で戻った。花月荘の前に着地すると、そこには千冬と真耶が立っていた。ISを解除した一夏は何も言わずに通り過ぎようとしたが、彼女達の後ろに立っている人物を見て思わず福音の操縦者を落としそうになった。

 

「し、師匠・・・・?!何でここに・・・?!」

 

そう、そこに立っているのは、一夏の師匠、五十嵐市だった。

 

「弾と蘭の様子見を兼ねて、お前と織斑千冬の戦いの場を設ける為だ。そいつは俺が運んでおく。遠慮無くぶつかれ。」

 

地面に投げ出されたのは、一夏に贈られた刀四本だった。一夏は背中に忍者刀を差し、直刀を引っ掴んだ。

 

「嫌だって言ってもやらせるんでしょうから、分かりました。」

 

「ちょ、ちょっと織斑先生?!」

 

真耶は明らかに混乱していた。千冬も残った刀を持って構えたから当然だろう。その目は何時に無く険しい。

 

「お前ら、下がっていろ。巻き添えを食らっても、俺は知らねえぞ。」

 

低くドスの聞いた声で警告を発すると、代表候補生達は急いで市の後ろに隠れた。そして固唾を飲んで睨み合う一夏と千冬を見比べる。

 

「本当にこうするしか、無いのか・・・・一夏?」

 

「俺の名を、気安く呼んでんじゃねえぞ・・・・!!」

 

砂を蹴って一夏は素早く懐に飛び込み抜刀するが、千冬も同じ様に居合いで対抗する。二人の戦いを見て市以外の全員が唖然としていた。

 

「何と言う速さだ・・・!これがお前の本当の強さなのか・・・」

 

「何よ、これ・・・・こんな事ってあるの・・・?!」

 

「これが兄様の本気・・・・!」

 

「見えませんわ・・・・動きが全く・・・」

 

それぞれが思い思いの言葉を吐露した。

 

「ああああああああ!!」

 

二つの刃がぶつかり合い、火花が散る。どちらも一太刀入れず、入れられずにいる。まだ数分しか経っていないと言うのに、どちらも滝の様に汗をかき、荒い息を制御しようとゆっくり呼吸している。

 

(重い・・・・そして速い・・・・お前は、本当に強くなったな一夏。)

 

(流石は元世界最強・・・・そう簡単には行かねえか。)

 

一夏は直刀を納めると地面に突き刺し、背中の忍者刀を引き抜いた。そしてあろう事か、地面に突き刺した直刀を千冬に向かって蹴り飛ばしたのだ!

 

「なっ?!(刀を蹴り飛ばした!?)」

 

虚を突かれた千冬は一瞬判断が鈍り、あっという間に後ろに回り込まれた。

 

「戦鬼流:心頭滅脚!」

 

右足での上段回し蹴りに続き、左足を首に引っかけて状態を地面に叩き付けた。

 

「どうした・・・・!お前はそんな物じゃねえだろう?!立てよ!」

 

「もう良い。私は償い切れない罪を犯した。許せとは言わない。許しを乞うつもりも無い。私が負った傷等お前の心に比べれば・・・・・比べた所で釣り合わん。私を殺したければ好きにすれば良い。お前の手に掛かるなら、私は構わない。だが、生きてくれ。私の分まで・・・・」

 

両方の忍者刀を喉に突き付けられた状態でも、千冬は静かにそう言い、目を閉じた。何時死んでも良いとでも言いた気に。

 

(何だよ・・・・何なんだよ・・・・・!)

 

一夏は歯を食い縛って混乱している頭の中を整理しようとしたが、余計に訳が分からなくなって行く。喉笛に突き付けた刃も小刻みに震えている。

 

「うあああああああーーーー!!」

 

「兄様!」

 

「黙って見ていろ。」

 

刀を振り上げるのを見てラウラは止めようとしたが、猫の様に首根っこを市に掴まれた。

 

遂に忍者刀を振り下ろしたが、それは千冬の体ではなく、砂の中に深々と突き刺されていた。

 

「いち、か・・・?」

 

「それで良い。もしお前が本当にそいつを殺すつもりだったら既に止めている。お前は強いが、優しい。どちらも鬼に無くてはならない物だ。織斑千冬、これで分かっただろう?どれだけコイツが苦しい思いをして、それをどれだけ必死に押し殺して耐え忍んで来たか。姉弟喧嘩はこれで終わりだ。良いな?」

 

一夏は不満そうに顔を背けた。

 

「私からも頼む。私は、お前の言う通りお前の事は何も分かっていなかった。理解しようとしなかった。本当に済まない。」

 

「一夏、ごめん・・・・・何も分からないで、何もしてあげられなくて・・・・でも、千冬さんだけは許してよ!」

 

「一夏さん、私からもお願いしますわ。織斑先生を許してあげて下さいまし。」

 

「兄様・・・!」

 

「一夏、許してあげて・・・・」

 

皆も口々に千冬を許す様に促した。すると、

 

「ブオオオオオォオォォォオオオオオオ!!」

 

「あの音・・・」

 

「一夏、行くぞ。」

 

「はい!」

 

二人は並んで走り出した。

 

説明
福音 vs 代表候補生達+一夏です。お待たせしました。
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コメント
てかウザくない説教ってなんかあったけ?(神薙)
↓別に良いじゃんか。説教がウザイのは世の中の常だよ。(西湘カモメ)
1話から読んだがワンサマーのSEKKYOUがウザイ(yasu)
 誤字 私が折った傷等(yasu)
更新キターー!!(ゆっけ)
うーん、一発ぶん殴ってからの方が良かったんじゃ?(西湘カモメ)
待ってました。更新お疲れ様です。(デーモン赤ペン)
タグ
インフィニット・ストラトス 仮面ライダー響鬼 

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