天の迷い子 第九話
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Side 静護

 

あの夢を見てから、俺の中で何かが変わった。

吹っ切れたのとは違う。

何と言うか、覚悟が決まったと言うのだろうか。

唯一、向こうの世界に残してきたじいちゃんが笑っていた、許してくれた、お前はお前の道を行けと言ってくれた。

だから、もう憂いは無い。

 

この世界の現実と人の命を絶った重圧、そして戦というものへの恐怖はまだ俺の中に重く残っている。

今でもあの男や、戦で命を奪った人達の悪夢で目が覚めることがある。

きっとこれからも変わらないんだろう。

けれど、この重荷は仲頴達がずっと背負ってきたものだろうから、俺も覚悟を決める。

逃げず、負けず、誤魔化さず、正面からしっかりと受け止め、背負う、その覚悟を。

 

初陣に出る少し前から、俺は遼姉に指揮・用兵術の、文和に戦術・軍略の、それぞれの指南を頼んだ。

どちらにも何故かを問われたので、

 

「皆に護られるだけじゃなく、護れるようになる為に力をつけたい。」

 

と答えた。

 

遼姉は、「よう言うた!」と笑い、文和は、「僕に教えを請うなら物にしなきゃ承知しないわよ。」と目を光らせた。

もちろん、日々の鍛錬も欠かさず、更なる強さを求めてより厳しさを増している。

 

「ちゃう!そこは部隊を左に展開するんや!正面から行っても包囲されるだけや!」

 

そして、

 

「ここで孫子が説いているのは、はじめは防備を固めるなり、弱いふりをするなりして敵を誘い、隙が出来たら自軍の最速を持って攻め立てるべきだって事よ。」

 

時間は、

 

「甘いぞ、流騎!そんなことでは戦場であっさり殺されてしまうぞ!」

 

ゆっくりと、

 

「…だめ。もっとお腹に力を籠める。でないと力が入らない。………お腹減った。」

 

しかし確実に、

 

「は〜っはっはですぞ!ねねの圧勝なのです!一昨日きやがれなのです!」

 

流れていく。

 

 

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「うーっす、流騎!相変わらずへばってんな〜。」

「…お前も一緒にしごかれてみるか?鍛錬仲間は大歓迎だぞ?」

 

のそりと顔を上げ誘ってみるが、

 

「やなこった。そういう疲れることはお前と公明にまかせる。」

 

そう言ってべっと舌を出す高順。

 

「こらこら高順、君はもっと真剣に鍛錬すべきだと思うぞ。そんなことじゃあすぐに流騎に抜かれる羽目になるからな。」

 

その隣には公明。

なんだかんだでこの二人は気が合うようだ。

 

この二人と付き合っていて解るのは、二人とも天賦の才を持っているということだ。

高順はへらへらとふざけながらも、武に関しては全てにおいて平均以上の成績を収めているし、公明に至っては、あらゆる物事で一流と呼べる結果をたたき出す、いわゆる天才という奴でもある。

しかもその上並々ならぬ努力家でもあるから嫉妬とかそんなものを通り越してただただ尊敬するだけだ。

 

「そうだぞー。お前はやれば出来る子なんだからな〜。」

 

息を整え、立ち上がりながら言う。

そう、俺は高順が本気で鍛錬をすれば、公明や遼姉たちと同じ領域まですぐに上り詰めると思っている。

ただ、やる気が無いだけなのだ。

 

「お前は俺の母親かっつーの。」

「ああ、確かに流騎は時々おかん化するな。」

「いや、おかんて。」

 

二人とそんなどうでもいい話をしながら何とはなしに昼飯を食いに行こうということになった。

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「あっ、流騎、高順さん、公明さん!こんにちは!」

 

どこで食べるかと通りを歩いていると、干鋼に声をかけられた。

 

「よお干鋼、飯行こうぜ。」

「どこかにお出かけ…って、えっ!!?」

「いきなり過ぎだって。急すぎて固まってるだろ。」

「はぁ、すまないな、干鋼君。私たちはこれから昼食なんだが良かったら一緒に食べないか?」

 

何の脈絡も無く話を振る高順、驚く干鋼、突っ込む俺、説明する公明。

なんというかいつも通りだな。

 

「ああ、はい、丁度僕もそのつもりで出てきたのでご一緒させて頂けるのなら。」

「う〜っし、決まりだな。んじゃこないだ出来たって言う拉麺屋がすげえ上手いらしいからそこ行こうぜ。」

「また君は人の意見も聞かずに…。」

「んだよ、じゃあ他に行きたいとこでもあんのかよ。」

「「「無い(です)。」」」

「無いんじゃねえか!ったく、とっとと行くぞ。」

 

そんなこんなで拉麺屋。

ひと段落着いたところだったのか、すんなりと座れた。

 

「そういえば流騎、君はこの間百人将に任命されたんだろう?」

「うっそ!俺そんな話聞いてねぇぞ!」

「報告はあったはずだが…また右から左だったんだろう?仕方のない奴だ。」

「すごいね、流騎!でもよく立った一戦で百人将にまでなれたね?色々段階飛ばしてるんじゃ…。」

「まあ、元々将軍たちは仕官候補として軍に入れたようなふしも在ったからな。それに、普段の激しい鍛錬や、勉強をしていることを知っている者たちからすれば、努力を認めこそすれ反対意見なんか無かっただろうしな。」

「そりゃあ毎回ぶっ倒れたり、吐いたりしてんのを見てりゃあ反対なんか出来ねぇだろうよ。」

「毎回って…どんな鍛錬してるのさ?」

「どんなって、えっとまずは四半刻ほど準備運動して、一刻ほど筋力鍛錬、そんで城壁の上を三週ほどしてそれから…………………。」

 

「≪ふるふる≫お願いだから死なないでね…。」

「………俺って話しただけで命の心配されるほど無茶してるか?」

「「何を今更。」」

「うっそ!二人同時に即答されるほどかよ!」

「しかも普段は政務もこなして勉強もしてるいるんだろう?過労には気をつけろよ。」

 

程なくして拉麺が運ばれてきた。

噂どおりの上手さで四人とも大満足し、ほっこりとした表情で、それぞれ仕事に戻っていった。(高順だけは公明に引きずられていったが)

さて、俺は今日は非番だしこれからどうしようかな。

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街を歩いていると何かの店の前でうんうん唸っている文和を発見した。

何をしてるのか気になったので近づいてみる。

 

「うーん、これがいいかしら?でもこっちも月によく似合うと思うのよね。うーん……。」

 

かなり近づいたんだけど、全然こっちに気付いてない。

ならとこっそり背後に回って…

 

「何やってんだ?」

 

ぽんっと肩を叩きながら声をかけた。

 

「うひゃい!!ななな何!?何!?」

「うははははは!なんだよ“うひゃい”って!ビビり過ぎだろ!ははは≪がごっ!!≫はぐぃっ!!」

「足音を忍ばして僕を驚かそうとするなんていい度胸じゃない?その脛、蹴りぬいてあげるわ!!」

「≪がっ!がっ!がっ!≫痛っ!あがっ!うがっ!ちょっ!待って待って、ごめん謝るこの通り!!!」

 

速攻で土下座。

 

「ったく、つまんない事するんじゃないわよ。で、何の用?」

「いや、何かうんうん唸ってたから何してんのかと思って。仲頴の名前が出てたけど。」

「あんたなんかに教える筋合い無いでしょ。わかったらどっか行きなさい。」

 

しっしっと虫でも追い払うように手を払う。

 

「え〜〜!?別に教えてくれてもいいじゃんよ〜。な〜、な〜、頼むよ〜、く〜ちゃ〜ん。」

「あ〜もう!鬱陶しいわね!わかったわよ、もう。三日後に月の誕生日があるの。だからその為の贈り物を考えてるのよ。あとく〜ちゃん言うな!」

「うえっ!?そんなん初耳だぞ!?危うく用意し損ねるところだった!で、誕生日会の段取りは?」

「あんた何言ってんのよ。そんな催しをする予算なんて…。」

「あ〜、なんでそっちに持っていくかな、この軍師様は。そんな予算使うような大きな物じゃなくて、仲間内で色々持ち寄って騒ぐくらいなら全く問題ないだろう?誕生日なら賑やかに楽しまないとな!」

「……そうね。あんたの意見にしては的を射てるわ。」

「おっし!そうと決まれば俺、皆に声かけてくるな!そうだ、高順や公明も誘ってこよう!じゃあな!」

 

善は急げ。皆を呼んで、場所の確保と料理の段取り、プレゼントも選ばないと!

俺は踵を返すと、一も二も無く走り出した。

 

「楽しい事見つけると周りを見ずに走って行っちゃうのよね。ほんと、子供なんだから。ふふ。」

 

 

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「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。」

 

悩んでいた、とっても悩んでいた。

文和に仲頴の誕生日があると聴いてから二日。

明日は仲頴の誕生日。

場所、料理などもろもろの段取りは大方済ませたのだが…。

プレゼントを買い忘れていた。

そういうわけで俺は今露天商の前で唸っていたりする。

 

「ねえ、流騎。もうさっきの首飾りでいいんじゃないの?」

 

隣には干鋼。

昼食に行ったついでに付き合ってもらった。

 

「う〜ん、あれも良いんだけどなんかしっくりこないんだよな〜。」

「そっかぁ、それにしても僕まで行っても良かったの?仲頴様の誕生会?」

「ん?ああ、構わないだろ。たこ焼きの時にも気が合ってたみたいだし。それに大勢のほうが楽しいし、仲頴も喜ぶ。」

 

完全にサプライズ企画だから、あいつびっくりするだろうな。

んで、「へうぅぅ」とか言いながら、顔真っ赤にしてはにかんだりとか。

最後には慌てながらも嬉しそうに笑うんだろうな、へへへっ。

 

「…流騎、顔がにやけてるよ。」

「うえ!にやけてたか。はは、人の喜ぶとこ考えるとついな。」

「あはは、気持ちはわかるけどね。早く決めちゃわないと。時間無いよ。」

 

そうなんだよな〜、どうしようかな〜。

きょろきょろと店を見て回っているとなんとなく気になる店が。

特に変わっているわけではないけど気になる、そんな店。

ちょっと寄ってみよう。

 

「わあ、なんか色々珍しい物があるね。これ面白い、倒しても倒しても起き上がってくるよ。」

 

干鋼が遊んでいるのは起き上がり小法師。

何でこんな物がこの時代にあるんだろ?

そもそもこれって日本の物だし、しかももっと後になってからの物だったような。

 

「………まあいいか、日本式のラーメンがあったり、文和が眼鏡かけてる時点で元の世界の歴史とは全然違う技術力なんだしな。」

 

深くは考えないでおこう、あるものはあるでいいや。

品物に眼を移すと、きらりと光る装飾品を発見。

 

「あっ、これって…。おっちゃんこれ包んでもらってもいい?」

「はい、毎度。…大切な方に贈り物ですかな?」

 

にっこりと笑いながら店主は尋ねる。

 

「うん、友達で、仲間で、恩人の女の子に。そんなにわかりやすかったかな?」

「ふふ、先ほど唸って悩んだかと思えば一転、にやにやと顔を綻ばせている少年がいたという報告が来ましたので。」

「うわぁ、報告が来るほど気味が悪かったのか。なんか申し訳ない。」

「いえいえ、まあ警戒したのは確かですが、顔を見てわかりましたよ。誰かの喜ぶ顔を思い浮かべているのだとね。そんな人に悪い人間はいません。…はい、出来ましたよ。」

「どうもありがとう。これ御代です。」

「毎度。喜んで貰えれば良いですな。」

「うん。それじゃあ。」

 

礼を言って干鋼を探す。

 

「あっ、流騎!ほらこれ見て!大家族!」

「…買ったのか、しかも十個も。」

 

本人がそれでいいならいいんだけどさ。

 

 

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Side 月

 

誰もいない。

今日は朝から誰とも会っていない。

珍しく今日の案件は量が少なくて、久しぶりに皆でお茶でも飲もうかと思って屋敷内を捜し歩いているんだけど、誰とも会うことがない。

これだけ人に会わないと、世界に自分ひとり取り残されたんじゃないかって不安になってくる。

そんなわけは無いんだけど。

 

「あら、お嬢様。」

「あっ、フォンさん、こんにちは。あの詠ちゃんや流騎さん知りませんか?今朝から見当たら無いんです。」

「そうですか、私は見ておりませんが、もしお見かけしたらお嬢様が探していたと伝えておきますね。」

「ごめんなさい、お願いします。」

「いえいえ、それでは失礼いたします。≪ぼそっ≫楽しみになさっていて下さいね。」

 

フォンさんは立ち去る間際ぼそりと何かを呟いた。

 

「えっ?」

 

振り向いたときにはすでにその背中は小さくなっていた。

 

仕方なく私は休憩をしようと東屋に向かった。

椅子に腰掛けようとしたとき、机の上に竹簡が置かれていて、そこにはこう書かれていた。

 

“董仲頴に告ぐ。すぐに大広間に来い。さもなくば一生涯後悔することになるだろう。”

 

脅迫文!!?

後悔するって、もしかして詠ちゃんや流騎さんに何かあったんじゃ。

私は大急ぎで大広間へ向かった。

 

(詠ちゃん!流騎さん!)

 

ばんっ!!と広間の扉を開ける、すると。

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『誕生日おめでとう〜〜〜〜!!!!』

 

「………………へ?」

 

そこには詠ちゃんや流騎さんだけじゃなく、霞さん、華雄さん、恋さん、ねねちゃん、干鋼君、あとあれは確か、高順さんと徐晃さん、それにフォンさんをはじめ使用人の皆さんがいて、盛大な拍手で迎えてくれた。

 

「ふふ、驚いた?月。今日は月の誕生日でしょ?だから、皆で料理や飾りなんかを持ち寄って、誕生日会を開くことにしたのよ。」

「えっ、そんなフォンさんたちまで?」

「うふふ、だって使用人全員、お嬢様のことが大好きですもの。そのお祝いであれば参加したいと思うのは当然でございますよ。」

 

優しく微笑みながら、フォンさんはそう言い、ほかの人達もいっせいに頷いた。

 

「へうぅ、ううぅ、ふぇえええええん!」

 

とてもとても嬉しくて、涙があふれて止まらなかった。

 

「もう、月、泣かないの。せっかくの誕生日なんだから笑って。」

 

詠ちゃんが涙を拭ってくれる。

 

「ぐすっ、うん。ありがと、詠ちゃん。」

「それで、はい。これ、僕からの贈り物。」

 

そう言って手渡された包みを大事に抱える。

 

「へぅ、ありがとう、開けてみても良い?」

「当然じゃない。」

 

中に入っていたのは綺麗な髪飾りだった。

 

「悩んだんだけど、一番月に似合うのはそれだと思って。」

「うん、すごく素敵だよ。本当にありがとう、詠ちゃん。」

 

ぎゅっと詠ちゃんを抱きしめる。

ありがとうの気持ちを込めて。

いつも私の事を一番に心配してくれて、そのおかげで私はいつも安心をもらってるね。

 

「ほんなら次はうちやな。こないだ湯飲みが割れたって流騎が言うてたからうちからはこの湯飲みや。」

「うむ、私からはこの茶葉だ。中々良い物のはずだ。」

「せやな〜。ええもん考えつかへんかったから、流騎に泣きついとったもんな〜。」

「う、うるさいぞ!霞!」

 

じゃれあう霞さんと華雄さん。

ふふ、いつも賑やかで周りを明るくしてくれる。

強くて楽しいお二人に私はずっと憧れているんですよ。

 

「ねねと恋殿からはこれなのです。」

「…セキトと張々。」

「わあ、可愛い。これ、恋さんとねねちゃんが作ったんですか?」

「その通りなのです!まいったですか!!」

 

ねねちゃんがふふんと胸を張る。

ねねちゃんの事、可愛い妹みたいに思ってるんだよって言ったら、ねねちゃんは怒るかな?

 

「……≪こくり≫でも二人じゃない、三人。」

「三人?」

「…流騎に教えてもらった。」

「れ、恋殿!?」

「嘘はダメ。正直に話す。」

 

人形を作りたかったけどやり方がわからなくて困っていたら流騎さんが来て作り方を教えてくれたらしい。

 

「手伝ったのは最初だけで後は二人が頑張ったんだ。」

「嬉しいです。恋さん、ねねちゃん、ありがとう。」

 

本当に少しだけだけど恋さんの口元が綻ぶ。

あまり話したりはしないけど、とっても優しくて可愛い恋さん。

大好きです。

 

「どうぞ。なんかねねちゃんたちとかぶっちゃったみたいですけど。」

「これは…。」

「馬の鉄細工です。董卓様は涼州出身だと聞いたので、それなら馬がいいかと思って。」

「すごいですね。まるで今にも動き出しそう。」

「はは、そう言って貰えて何よりです。」

 

「ふふふ、私はこれです!おはぎ!!!」

「おはぎ…ですか?」

「ええ、前に流騎に食べさせてもらってものすっっっっっっっごく美味しかったので作ってみました!こっちはあんこでこっちはきな粉という物です!炒った大豆をすり潰して砂糖と少量の塩を混ぜた物です!同じ豆という材料でありながらこれほどに違う色や味を出せる事の他にも優れた点が≪ぺしぃっ!≫…何をする。」

「長いんだよ!みんなぽかんとしてんじゃねえか!次は俺の番だっての!」

「むう、話し足りない。」

「うっせ。んじゃ、俺からはこれッス。」

「綺麗な反物ですね。高かったんじゃないですか?」

「そうでも無いッスよ。それに元々俺あんま金使わないんで。」

「ありがとうございます。大事に使わせてもらいますね。」

「しかし君にしては普通だな。」

「…誰がこんなとこでボケんだよ。」

 

最近流騎さんに紹介してもらってお友達になった干鋼君、高順さん、徐晃さん。

まだ知り合って間もないですけど、もっともっと仲良くなりたいです。

 

「どうぞ、使用人一同からです。」

「うわぁ!綺麗な花束!!」

「うふふ、喜んでもらえて何よりですわ。」

 

いつも私の身の回りのことを請け負ってくださっている皆さん。

皆さんのお陰で毎日の生活が出来ているんですね。

本当に感謝してもしきれません。

いつか何かの形でお返しをしたいです。

 

「えっ?俺がトリ?何か緊張するな。えっと、じゃあこれ。誕生日おめでとう、仲頴。」

「ありがとうございます。開けてみても?」

「ああ、どうぞ。」

「…あ。……綺麗。」

「月長石の首飾りだ。真名になぞらえた物を送るのがいいのかどうか気になったから、干鋼に聞いたら大丈夫だって言うからそれにしてみた。」

「…すごく嬉しいです。見ていると心が落ち着く感じがします。…あの、えっと、着けてもらって、いいですか?」

「おう、いいぞ。それじゃ借りるな。」

 

ゆっくり流騎さんの手が私の首に回され、さらりと髪を持ち上げる。

ぱちりと後ろで金具のかかる音がして、手櫛で髪を整えてくれた。

 

「ありがとうございます。大事に、します。」

「ああ≪ごつっ!!≫ったぁ!!!」

「何でれでれしてるのよ!それにさっきさりげなく月の髪に触ってたでしょ!月の綺麗な髪が穢れたらどうするのよ!」

「そんなわけあるか!」

「大体あんたは…!」

「それを言うなら…!」

「おー!やれやれー!」

 

楽しくて、賑やかな宴の時間が続いていく。

こんなに楽しい誕生日はもしかしたら始めてかも知れない。

流騎さん。

貴方が私たちの前に現れて、たくさんの笑顔を貰いました。

 

私は流騎さんに着けてもらった首飾りをそっと撫で、こんな時間がずっと続くことを願った。

 

 

説明
ちわっす、へたれど素人です。
今回あまり話に関係のない話になりました。(そのくせ今までで一番長いとはどういうことだ)
駄文ではございますが、読んでいただければ幸いです。
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コメント
きたさん   コメントありがとうございます。そうですね〜。月ちゃんたちが頑張ったからこそ、数少ない楽しい場所が出来たんですよね。(杯に注ぐ清酒と浮かぶ月)
この時代では、こんな楽しいところはそう無いんでしょうね。(きたさん)
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