ぬこの魔法生活 第24話
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 時の庭園に転送されたぬこと他三人。

 

 現在、プレシア女史の私室へと向かっております。それはいいんだけど、なにこの機械兵の数……邪魔すぎる。

 ぬこビーム(笑)では少々威力が足りないし、消費魔力もバカにならないのでやっぱり盾としての役割をになっているのです。

 

 「あ〜〜もうっ! うざったいよ! 進めないじゃん!!」

 「愚痴ってないで手を動かしてください!」

 「………(めんどい、帰ってもいい?)」

 『ダメ!』

 

 進めないとか何とか騒いでますが、次々に殲滅してる件について。

 

 (てか、めんどいなら、脚部だけ破壊してさっさと先に行けばいいと思うのはぬこだけですか?)

 「……その発想はなかったです」

 「おぉ、猫さん頭いいね!」

 「………(早く言いなさいよ、この駄猫)」

 (ひでぇ)

 

 ということで、次から次へと脚部を破壊していく。

 向こうもまだ攻撃してくるけどそこはぬこの出番ということで、防ぎまくっております。

 ふはは、無駄無駄無駄ァ!

 そんなへなちょこな攻撃でぬこのバリアを抜こうなんぞ100億光年早いわ! ……はっ、光年は時間じゃない、距離だった!(笑)

 

 最近、ぬこバリアの紙っぷりの所為で活躍できなかったため、いつもよりハイテンションでお送りしております。

 

 「この調子でどんどん行くよ〜」

 「あっ、コラ! 勝手に先行しないで!」

 「………(だるい)」

 

 この分ならすぐに着きそうだな……って、ちょっと! そっちじゃないですよ!

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 ようやく着きました。あれから無駄に戦闘回数が増えました。

 勝手に先行して行ったのに、ぬこが責められるという理不尽。

 

 「うぅ、申し訳ないです。いつもこの娘、人の話を全然聞いてくれなくて……」

 (大変ですねー隊長さんは)

 「そんな他人事みたいにぃ……」

 (だって、他人事ですもの)

 

 現在、証拠資料になりそうなものを片っ端から回収しているところです。悪く言えば空き巣である。

 前に来たときも思ったけど、紙媒体多すぎじゃね?

 聞くところによると科学がめっちゃ進んでるんだから電子媒体で保存しててもいいじゃない。

 持ち運びとか整理とか面倒くさそうだなぁ……がんばれアースラ。負けるな、アースラ。

 

 ちなみにこの幸薄気な隊長殿はヘレーナさん。通称レナさん。このチームのまとめ役なのだが、他二人に振り回されてる苦労人である。

 

 「よしっ、大体まとまりましたね。リア、そっちはどうですか?」

 「見て見て! こんなに大きいの見つけたよ! うわぁ〜レナのより大きいよ、コレ。しかも、エロい」

 

 そう言って、一枚の布切れを掲げるリアことアメリアさん。

 すでにお分かりだろう。布切れ=ブラジャーである。

 

 「な、なな、何をやってるんですか! 貴女は!!」

 「え〜だってぇ〜普通に探したんじゃつまらないじゃない。

 ねね、アズはどう思う? 絶対レナのより大きいよね?」

 「………(胸太りどもはみんな爆発しろ)」

 

 ずっと筆談……というか、デバイスを使ってウインドウを表示させて会話しているのはアズことアズマリアさん。

 表示される言葉の暴力が凄まじいです。

 

 「うぅ〜私のは普通ですっ! それより!回収が終わったならすぐに帰還しますよっ」

 「了解、了解っと」

 「………(早く帰って寝たい)」

 

 うむ、実にグダグダです。

 たぶん、ご主人達のところとの温度差がひどいんだろうなぁ。

 こちらはギャグパートですね、分かります。

 なんて思ってると、エイミィさんからの通信が飛んできた。

 

 (―――ナ聞こえる!?)

 「大丈夫。聞こえてますよ、エイミィ」

 (他の武装局員はプレシア・テスタロッサの攻撃により沈黙!

 彼女はジュエルシードを使って次元震を発生させようとしてるの!

 クロノ君たちが突入したから、そっちも急いで脱出して!)

 「うん、証拠資料も回収したから大丈夫! みんな、帰還するよ!」

 

 どうやら最終局面を迎えたようですね……クロノたちってことはご主人も十中八九一緒だろうね。

 となると、ぬこがやることはひとつだな。

 

 (じゃあ、ここで一旦お別れですな)

 「えっ? 猫さん一緒に帰らないの?」

 「何言ってるんですか、ここは危険なんです! バカなこと言ってないで帰りますよ!」

 

 心配してくれるのは嬉しいんですが、それはできませんね。

 

 (馬鹿なことなんてないんですよ。ご主人が来てるんですもの、使い魔たるぬこが行かなくてどうします)

 「でもっ!」

 「………(レナ無駄よ。この駄猫は決めちゃってるんですもの)」

 (駄猫……否定できないのがつらい)

 

 いい子にしててご主人とこにいけないなら、別にぬこは駄猫で良いですよっと。

 

 「……分かりました。ですがっ! ちゃんと無事に帰ってくることっ」

 (アイサー隊長殿)

 「よろしい。じゃあ、行きますよ? 二人とも」

 「うん。それじゃ、また後でね、猫さん」

 「………精々がんばりなさい」

 (もちろん、がんばらせていただきま……す?)

 

 おお、生声です。

 喋れるんなら、喋りましょうよ。

 

 『アズが自分からしゃべった!?』

 

 そんな言葉とともに三人娘はアースラへと帰還して行った。

 ……最後までコントを見てるようだったと思ったのは、ぬこの心の中だけに留めて置くことにする。

 

 さて、ご主人たちのところに向かいますかねッ!

 

 勢いよく部屋を飛び出して見たところで、前方に機械兵がずるずるとこっちに向かってくるのが見えた。

 ……やっぱり、下手なこと言わずに殲滅してもらっておけばよかったなぁ。

 

 

 

 

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 クロノ君と別れて駆動炉へユーノ君とアルフさんと向かっていると、ようやく拓けた場所に出た。

 この上に駆動炉があるみたい。でも……

 

 「くっ、ここはまた数が多いねぇ。まったく面倒だねっと!」

 「愚痴っててもしょうがないよ! やるよ、なのは!」

 「うんっ」

 

 ここに来るまではほとんどクロノ君がやっつけてくれていたから魔力に余裕はあるけど……この数はちょっときついかな?

 でも、やるしかないよね!

 

 「ディバインシューター!」

 

 うぅ、全然数が減らない。

 でも、数を減らすにもディバインバスターを撃つには、あっちの攻撃を避けなきゃだし……ユーノ君もアルフさんも手一杯だし。

 

 いつもはみぃ君がバリアを張ってくれてたから、余裕を持って撃ててたんだなぁ。

 改めてみぃ君に頼ってたんだって分かる。

 

 でも、こんなときに限ってみぃ君はいないし……リンディさんが言うには他の女の人と別の任務をしてるらしいの。

 むぅ、私がこんなに大変なことになってるのに、みぃ君はいちゃいちゃしてるんだね!(してません)

 なんだかムカムカしてきたの。

 

 「も〜みぃ君のバカぁーー!」

 

 そんな事を言いながら、魔法を放っていたら。

 

 (うぅ、せっかくご主人が心配で急いできたのにこの仕打ち……。ぬこなんか悪いことしたのかなぁ、アルフさん)

 「さぁ? 自分の胸に聞いて見たらどうだい?」

 「二人とも! バカなこと言ってないで手伝ってよ! ほらっ、なのはも!」

 

 後ろの方でそんな声が聞こえてきた。

 ……あれ?

 

 「へっ? みぃ君?」

 (どうも、ご主人にバカとか言われたみぃですよー。あはは、もうだめだ、ご主人に嫌われたー)

 「あっ、ち、違うよ! 私、みぃ君のことは大好きだよっ!」

 

 いつの間にかみぃ君がこっちに来ていた。

 うわぁ、目の前でバカとか言っちゃった……。

 そして、分かりやすいぐらいにいじけてるみぃ君。

 

 「ごめんね? あのね、本気で言ったわけじゃないんだよっ? ホントだよっ!」

 (うんうん、分かってますよ。

 それより、さっさとここを片付けちゃいましょう。いつも通りご主人はぬこが守りますから)

 「えっ? あ、うん。お願いね?」

 

 後でちゃんと謝ろう……

 でも、みぃ君が言うように今は――――

 

 「レイジングハート!」

 『Shooting mode』

 

 ふふ、みぃくんが来たから安心してやれるもんね!

 

 「ディバインバスターー!!」

 

 ユーノ君が捕らえていたのと、みぃ君がうまく誘導した機械兵をまとめてやっつける。

 

 「やった! これでだいぶ楽になるね!」

 (――ッ! ご主人! 後ろ!!)

 

 

 一気に敵をやっつけて気が抜けてた私は後ろから接近していた敵に気が付けなかった。

 みぃ君の声に反応して、振り向いたときにはもう相手は斧を振り下ろそうとしているところだった。

 

 

 衝撃に備えて目を瞑る私に届いたのは、澄んだあの娘の声だった。

 

 「サンダーレイジ!」

 

 

 

 

 

 

 

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 あわやご主人に敵の攻撃があたると思われたときに、間一髪でフェイト嬢が間に合ったようです。

 ぬこの不注意のせいでご主人を危険にさらしてしまった……慌ててご主人のそばに駆け寄る。

 

 (あわわ、ご主人大丈夫ですか!? 申し訳わけないです……ぬこがもっとしっかりしてれば)

 「うん、大丈夫だよ。フェイトちゃんが守ってくれたし。それに、みぃ君のせいじゃないよ。私も油断してたから……」

 

 うぐぅ、その優しさが辛いです。

 などと、落ち込んでるとフェイト嬢がやってきた。

 

 「大丈夫だった?」

 「あっ、フェイトちゃん! ありがとね、助けてくれて!」

 (ぬこからも感謝を)

 「あっ、うん。どういたしまして……」

 

 どことなくぎこちないけど笑ってくれたフェイト嬢。

 ……目元に涙の後が残ってる。どうやら本当の事を知っちゃったみたいですね……

 

 「なのは! そっちに行ったよ!」

 

 ユーノの声がした方を見ると、いままでで一番デカイ奴が向かってきていた。

 とりあえず牽制程度にぬこビームを放ってみることに。

 

 (ぬこビームであります!)

 

 そのまま直撃するかと思いきや、他のと違って割と強いバリアを張れるみたいである。

 機械兵の癖に生意気な!

 

 「堅いね……」

 「そうだね……。でも、二人ならやれるよ」

 「え、フェイトちゃん? ……うん、そうだね! できるよ、私たちなら!」

 

 あ〜、あの機械兵もご愁傷様である。

 この二人の魔砲を喰らったら跡形もないだろ。南無〜

 

 

 で、結果は本当に跡形もなく消え去ってしまった。

 やだ、なにこの娘たち。容赦ない。

 

 あらかた殲滅し終わるとぬこやご主人は駆動炉へ、フェイト嬢たちはプレシア女史のところに行くことに。

 お互いの無事を祈りつつ先に進むことに。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 「……ここみたいだね」

 (そのようで。露払いはぬこたちがやるんで、ご主人はいつも通りにどうぞ)

 「そうだね、こいつらは僕たちが引き受けたよ」

 

 ぞろぞろと団体さんが到着したようですしね。

 まるでキッチンに現れるGみたいです。

 GならGらしく、新聞紙を丸めたものでつぶれるぐらいの耐久値で設定してください。

 

 「うん、ありがとう。みぃ君やユーノ君がいたから、私は安心して戦えるよ」

 (それじゃ、ちゃっちゃと済ませてフェイト嬢たちのところに向かいますか!)

 「うん! やるよ、レイジングハート!」

 『Yes,my master!』

 

 ご主人が封印に集中できるように機械兵どもの相手をする。

 ふはは、その程度でやられるぬこではないわ!

 

 (ユーノ! 奴らをまとめて!)

 「了……解!」

 

 前回のクロノとの模擬戦から改良を加えたコレで! 一気にケリを付けますよっと!

 

 (本邦初公開! ぬこの必殺技シリーズ第2弾!)

 

 ギュインギュインとバリアを円錐形にして回転させる。

 そう! これぞまさに!

 

 (ギガぁ! ドリルぅ! ブレイクゥーーーッ!!)

 

 粉砕! 玉砕! 大・喝・采!!

 ふはは、目の前の機械兵はバラバラである。今ぬこはロマンを体現したのである!

 しかも、ぬこビーム見たく放出する形じゃないため運用コストも経済的。

 やったよ! 兄貴! などと、悦に浸ってるうちにご主人の封印も終わったようである。

 

 「ふぅ、それじゃあフェイトちゃんたちのところに行こう!」

 

 そういって床に向かってレイジングハートを構えるご主人。

 どうやら、床をぶち抜いてフェイト嬢のところへ向かうつもりらしい。

 

 (ご主人、ストップです。それはぬこがやりますよ)

 「えっ? でも……」

 (大丈夫! ぬこだってやるときはやるんですよ!)

 

 無理を通して道理を蹴っ飛ばす!

 

 (ぬこのドリルは! 天を貫くドリルだぁああ!!)

 「掘るのは下にだけどね……」

 

 ……ユーノのせいで台無しになった件。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 (だっしゃぁああーーーッ!!)

 

 我がドリルに貫けぬものなしッ!!

 という感じに床をブチ抜いてやってきました。目の前にはプレシア女史を含め皆集まっている。

 ……なんか、ぬこ空気読めてない感じになってる?

 

 「まったく、君という奴は……空気読め」

 (面目次第もない……)

 

 では、気持ちを切り替えて行きますか。

 

 「フフ、アハハハ! 私は全てを取り戻すわ!

 アリシアを! 小さな幸福も! 失われし都アルハザードで!もう、誰にも邪魔させない!」

 「母さん!」 

 「……その顔で、その声で! 私を呼ぶなぁーーッ!!」

 「フェイトちゃんッ!」

 『Round Shield』

 

 逆上したプレシア女史がそこら中に魔法を放ち始める。

 もはやほとんど狙いがついていないようである。でも、ちょっと無差別的に放ちすぎだろッ! ここ壊れるぞ!

 

 (ぬこバリア! 多重展開!)

 

 ご主人達を守りつつ、部屋への致命的な攻撃も防ぐ。

 ぐぬぬ、さすがにここまで広範囲に放たれるとカバーし切れないですな!

 

 (ここって後どれぐらい持つの!?)

 「分からん! でも、ほとんど持たないと見たほうがよさそうなのは間違いないな!」

 

 フェイト嬢がプレシア女史と話す時間を少しでも稼ぐために、ぬこを含めた男どもは魔法の被害を少しでも軽減させて、ご主人とアルフさんはフェイト嬢のサポート。

 でも、さすがにこれまでの魔力の消費が激しいんで、かなり厳しい。

 

 (皆! 早く撤退して! 次元断層は防げたけど、もうそこは崩れちゃう!)

 「くっ、了解! 皆急いで、撤退するぞ!」

 

 エイミィさんからの通信。

 状況はかなりまずいらしい。

 

 「でもっ! 母さんが!」

  

 そうフェイト嬢が叫ぶ。

 しかし、同時にプレシア女史の足場が崩れていく。

 

 「母さんッ!!」

 

 フェイト嬢は必死にプレシア女史に手を伸ばすも、彼女はどこか満足そうな顔をしてそのまま瓦礫とともに落ちていった。

 呆然と見送るフェイト嬢に瓦礫が落ちてくるが、やらせない!

 

 落ちてくる瓦礫をぬこビームで吹き飛ばす。

 すかさずご主人がフェイト嬢のところへ飛んでいく。

 

 「フェイトちゃん! 飛んで!」

 

 

 フェイト嬢はプレシア女史が落ちていった方を一瞥し、ご主人が伸ばした手を掴んだのであった――――

 

 

 

 

 

 

 ◆ あとがき ◆

 読了感謝です。

 とりあえず、PT事件は終了。ぬこも螺旋の系譜に組み込まれた気がするけど、そんなことはないんだぜ。

 では、誤字脱字などありましたら、ご報告をお願いします。

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