魔法少女リリカルなのはmemories 第四章 覚醒する末裔の記憶(メモリー) 第四十六話
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「なのはは……まだ見つからないの?」

 

 なのはを含むツュッヒティゲンのメンバーと対立してから三日後、特務六課であるはやてたちは何事も起らずに唯時間が過ぎていくだけだった。

 フェイトはつい先ほど意識を回復させ、ベッドの上に座りながら、近くの椅子に座っているはやてに聞くのだった。

 

「今の所、妙な動きをしている情報は入ってないんや。彼らが何を目的として動いているのかが分かれば、こちらも動けるんやけどな」

「一体、なのは達は何のために動いているんだろう?」

 

 いや、フェイトもはやても何のために彼らが動いていることは知っている。管理局の崩壊、それが彼らの目的だと。

 フェイトが言っているのは今彼らは何をしているのだろうかという事である。管理局の崩壊のために行動しているのだろうとは分かっているが、その情報が全く分かっていないのだ。

 だからはやてたちは向こうの動きがなければ動けないというのが現状だった。居場所を特定できておらず、その間何もできないことがじれったく感じていた。

 

「とりあえず今は私たちも動けることはないんやし、フェイトちゃんももう少し休んだ方がええ。私たちだってこの三日間は暇で仕方なかったからな」

「分かった。もう少し休ませてもらうよ」

 

 はやてはそう言って部屋から出ていき、部屋の中はフェイト一人となるのだった。

 そしてフェイトは一人になると、三日前に戦ったアリシアと名乗った人物の事を考えるのだった。

 

「……私と全く顔が同じでアリシアって名乗ってたあの子、嘘をついているような感じはなかった」

 

 最初彼女を見たときにプロジェクトF・A・T・Eで生まれたような雰囲気は全く感じられなかった。

 無理にフェイトと呼んでいるわけでもなかったし、フェイトの姉のような感じで話していた。

 本当にアリシア・テスタロッサのようにフェイトは思えたのである。

 

「でも、本当にアリシアだったら、どうやって生き返ったの?」

 

 しかしそれだと疑問に残ることがある。

 フェイトは自分の母親であるプレシアとアリシアの遺体が虚数空間に落ちていくのを目の前にで見ていたし、たとえどこかの世界に落ちたとしても、アリシアを生き返す事なんて難しいはずだ。

 本物のアリシアだとしたら、一体どうやって生き返ったのか。それだけが疑問に残ってしまうのだ。

 

「……やっぱり、本人に聞くしかないのかな?」

 

 フェイトは今度会った時に聞くしかないと思い、真実を知りたいと思うのだった。

 そしてその直後、フェイトたちが乗るヴォルフラムの艦船内で突如アラームが鳴り響きはじめる。

 

『第45管理外世界にて、高町なのは、デュナ・シルフィア、リィナ・シルフィアと思われる三名を発見。全員、直ちに準備をせよ。繰り返す――』

 

 そのアラームを聞いたフェイトはすぐさま立ち上がり、管制室へと直ちに向かうのだった。

 管制室に向かうと、ほとんどの乗員が管制室に集まっており、その中央にはやてがいるのだった。

 

「はやて、状況はどうなの!?」

「管理外世界だというのもあるが、のんびりと歩いてどこかに向かっている感じやな」

「それで、アリシアと名乗ったあの子は?」

「今のところ、姿を見せてへん。どこかで待機させているかもしれへんし、拠点で待機している可能性もある。とりあえず注意せんとな」

 

 はやてはフェイトちゃんにそう伝え、そして全員に向けて命令をする。

 

「今回はスバル・ナカジマ三等陸尉、シグナム三等空佐の二人でまずは出動してくれ。なるべく向こうにばれないようにな。それ以外は全員待機な」

『了解!!』

 

 スバルとシグナムの二人ははやての命令通りにすぐに移動する。

 

「それから、フェイト・T・ハラオウン二等空佐は今回は出動させへんから安静にしてくれ」

「はやて!? それはどういうこと!!」

 

 はやての命令にフェイトは異議を申し立てるが、はやてはすぐにフェイトちゃんに近づいて、フェイトの肩を力を少し強くして触るのだった。

 

「っ!?」

「その怪我で出たところで足手まといになるだけや。それにそんな状態で出させるわけにもいかへん」

「それでも私は!!」

「部隊長命令や。私の命令に従わないのなら強制的に閉じ込めてもええんやぞ」

「くっ」

 

 フェイトはその言葉に苛立ち、管制室から出ていくのだった。

 フェイト自身無理していることは理解している。だけどなのはの事やアリシアの事で気になって仕方ないのであった。

 だからはやてが言う理由も分かっていた。そして自分が悪いという事も。

 

「さて、今のフェイトちゃんにはこうも言っておかないと諦めてくれへんからな」

「は、はやて部隊長、少しどうしようも事態が……」

「どうしたんや? 私がハラオウン執務官と話している間に何かあったんか?」

「それが……標的の三人が岩みたいな扉に入って姿が見えなくなり、しかもその扉は閉まってしまったんですが……」

「……嘘やろ?」

 

 はやてはフェイトと話している間にどうしようもない事態になっているとは思いもせず、唖然としてしまうのだった。

 

「……とりあえず三人が出てくるまでスバル・ナカジマ三等陸尉、シグナム三等空佐も含めていつでも待機しておいてくれと報告しておいてくれ」

 

 とりあえずはやては先ほど出動させたスバルとシグナムにそう報告するように言うのだった――

 

 

----

 

 

 時間は少し遡り、管理局に気づかれているなのはとシルフィア姉妹であるが、気づかれている事に気づかずに歩いていた。

 あれからシルフィア姉妹の母親であるアリスと家で別れ、翌日はのんびり休憩した後、さらに翌日の今日に第45管理外世界へと向かい、今歩いている所であった。

 シルフィア姉妹の後になのはがついて行くような感じで歩き、目的地へと向かっていった。

 

「あと、どのぐらいで着くの?」

「もう少しで着くと思うわ。何処にあるかは私のデータにも入っているから」

 

 そう言ってデュナは画面を開き、目的地を確認すると画面を閉じて進んで行った。

 それからさらに少し歩くと、一つの岩の扉みたいな遺跡のような建物が見えてくるのだった。

 

「ここね。家の時と同じようにシルヴェルンの末裔とオリヴィエの末裔の魔力を同時注ぎ込めば開くらしい」

「じゃあ、一昨日のようにやればいいのね」

「そうね。じゃあ私がやるからリィナは念のため見張ってて」

「分かった」

 

 なのはとデュナは岩の扉らしきところへと近づき、右手を岩に触れながら魔力を注ぎこむのだった。

 すると、開きそうになかった扉は突然と開き始めるのだった。

 

「それじゃあ、中に入ろうか」

 

 なのはに言葉に二人は頷き、シルフィア姉妹と一緒に洞窟の扉の中に入り、三人が入ると岩の扉が閉まるのでした。

 そして先に進み、シルフィアの家と同様に広い場所にたどり着くのだった。

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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