IS<インフィニット・ストラトス>with LN<リリカルなのは>第二十一話 |
第二十一話久しぶりの共同戦線
「久しぶりね、一夏くん」
目の前の美少女、更識楯無はそう言った。
「なんでここにいるんだよ!?」
楯無は家の仕事で多忙の筈、ここにいるなんておかしい。
「あら?クロノくんから聞いてなかったの?私も調度こっちで仕事してたからあとで来るかもよって」
クロノ、あとで潰す。
「 まあ、それに一夏くんがピンチなら仕事なんか捨てて来るから別に来ることには代わりないわよ」
楯無は笑顔でそう言った。
楯無、仕事を選べ、仕事を。
「アリサちゃん気絶しちゃってるわね」
楯無が言ったのを聞き俺は腕の中を見る。
アリサさんは確かに気絶していた。
恐らく先程の爆発だろう。
「楯無、アリサさんを転移させたいんだが結界が張られている上に魔力が足りない。どうにかしてくれないか?」
俺がそう言うと楯無は
「当たり前じゃない、一夏くんの頼みを聞かないわけないじゃない」
楯無は更に続けて
「それに、手はもう打ってあるから」
楯無がそう言うと張られていた結界に異変が起きる。
張られていた結界を更に覆うように結界が表れる。
結界に別の結界を上乗せして張るとその上乗せらたれた結界を除去するだけではなく、その上乗せられた結界の魔力を使い、使用する魔力の量を減らす事ができる。
しかし、その分かなりの技術が必要になる。
俺でもちょっと難しいくらいだ。
今の状態じゃまず無理だ。
そしてこんなことをできる人はあの人しかいない。
「すいません、少々手こずりました」
そう言って現れたのは、
「お疲れさま、虚」
「お嬢様こそ間に合ってよかったですね」
眼鏡に三つ編み、いかにも優等生のような見た目で、薄紫色のバリアジャケットを着ている人物、布仏虚さんだった。
「う、虚さん?」
「久しぶりですね、一夏くん」
虚さんは相変わらずの敬語口調だった。
「あーッ!一夏くん虚に敬語で私にタメ口ってどういうことなの!」
横では楯無がゴチャゴチャうるさいが。
「違いますよ、お嬢様。タメ口だからこそ気を許しているということの証なんですよ」
「ふむふむ、つまり一夏くんは私の事が好きってこと?」
「はい、少なからずその可能性はあるかと」
なんて会話を始めた。
楯無が顔をだらしなくしてフニャーッとした顔をしているが気にしない。
てか!
「まず今の状況をどうにかしないと!」
俺がそう言うと楯無と虚さんはそうだった見たいな顔をする。
「虚さん、アリサさんを頼めますか?」
「任せておいて下さい、安全な所へ連れていきます」
そう言うと虚さんはアリサさんを抱き抱え転移した。
その際虚さんに肩を触られた。
「うん?」
魔力が回復している?
[マスター、虚さんから魔力を少々分けてもらいました]
「マジか、あとでお礼言っとかないとな」
そう言うと俺は楯無と共に眼前の敵を見据える。
未だに残り十九本の刀剣はゴーレム九体と戦っている。
そして一体の有人機IS。
その手には紫色の魔力刃を光らせる巨大な鎌を持っていた。
「さて、楯無との共同戦線も久しぶりだな」
「えぇ、そうね。私と一夏くんってなかなか仕事が被らないから」
そんな会話をする。
楯無が背中にいるとこうも安心する。
いや、仲間と共に戦うだけでこんなにも安心してしまう。
やはり、俺には仲間が必要なのだと。
そう感じた。
「楯無、ゴーレム達の足止めをしてくれないか?」
「分かったわ、任せなさい」
楯無がそう言うと俺はスノウの武装形態『浮游刀剣』を解除する。
そしてその瞬間、俺と楯無は同時に魔法を発動する。
「スノウ、武装形態『斧剣』に移行する」
「ミストラル、『水精の庭園』<<アクアカーテン>>よ」
その瞬間、俺の右手には巨大な斧のような刃が付いた白い日本刀が握られていた。
楯無は両腕を広げると、そこから水のオーロラのようなベールが出現する。
[武装形態『斧剣』に移行完了。魔力、先程の魔力供給で安定。出力、眼前の敵を撃破するのには充分です。]
[『水精の庭園』<<アクアカーテン>>発動。空気中の水分とマスターの魔力の合成を完了。何時でも行けます]
スノウとミストラルから完了の合図が出る。
そして俺と楯無は眼前の敵に笑みを浮かべながら、
「さあ、覚悟はいいか?今からの俺をさっきまでの俺と思うなよ」
「一夏くんに手を出した罪、今ここで償ってもらうわよ」
そう言うと俺と楯無は眼前の敵に己の武器を持ち、向かっていった。
「まずはいくわよ!」
楯無は目の前のゴーレム九体にベールから大量の水の魔力弾を発射する。
しかし、ゴーレムはその魔力弾をものともせず楯無の攻撃を防ぐ。
そして九体いる内の三体が胸中央を緑色に光らせる。
間違いなく収束砲だった。
それは間違いなく公園程度軽く二つや三つ消し飛ばせる破壊力を持っていた。
無論楯無だって直撃すればただじゃすまない。
しかし、それは直撃すればの話しである。
「させないわ」
楯無がそう言うと水のベールが広がりゴーレム達を包み込む形になる。
「派生技、アクアバインド」
ゴーレム達の周りを囲んでいたベールがゴーレム達を縛るように小さくなる。
『ゴオォォォォォォ!』
ゴーレム達は苦しむように音声をあげる。
「この『水精の庭園』<<アクアカーテン>>の射程圏内にいるうちはこの場を私に掌握されていることと同じだと思えばいいわ」
楯無は言う。
「そして、こんなこともできるわ」
そう言うとゴーレム達を縛っていたバインドから何かが滲み出る。
ビリビリッ!
するとゴーレム達の動きが鈍くなってくる。
その中には煙を出しているものもいた。
「今、バインドから滲み出たのはね、水よ」
そう言うと楯無は更に続ける。
「普通に機械は水に弱い。それは常識でしょ。それはISにだって同じで内部に水が侵入すれば動かなくなる。下手すれば機能停止どころか、ISを壊すことさえ可能なのよ。まあ、侵入させたのは水じゃなくて、水素原子と酸素原子で、内部に入ったと同時に水に化合させたんだけどね」
楯無はベールを更に広げた。
「そしてこれが『水精の庭園』<<アクアカーテン>>の真骨頂」
バインドで拘束されているゴーレム達の周り、全方位に大量の水の球体が出現する。
一つの大きさは三〇センチ程。
しかしそれが大量に集まっているので全体的には五十メートル程の水の球体の群れとなしている。
「私の『水精の庭園』<<アクアカーテン>>は空気中の水分を周りから吸収する、そしてその水分は私の魔力として還元できる。言わばほぼ無制限の魔力を持っていると思ってくれていいわ」
楯無は更に説明する。
「これはね、空気中の水分と私の魔力を合成して作った魔力弾よ。でもさっきの魔力弾と一緒にされると困るわ」
そう言うと楯無は大量の魔力弾の内、一つを地面に放つ。
すると地面は球状に穴が開いていた。
「この魔力弾は言わば球状の魔力刃だと思ってくれていいわ」
楯無は更に続ける。
「水は扱いようによってはダイヤモンドだって切断可能なの。これはそれの応用。当たればどうなるか分かるわよね?」
まあ、今までの説明をISに説明しても意味は無いんだけどね、そう付け足した。
そして楯無は右手を天高く上にあげる。
「それじゃあ、一夏くんに手を出した罪、しっかり償ってね♪」
笑顔で右手を降り下ろした。
「『水精の水遊び』<<アクアタイムズ>>」
その瞬間。
ゴーレム達は一気に全身をズタズタに貫かれた。
ちなみに更識楯無は一夏ラヴァーズの内の一人である。
逆鱗に触れたものの末路はこんな感じである。
「はぁぁぁ!!」
俺はスノウの武装形態『斧剣』を構え有人機ISに突撃する。
「.........」
有人機ISは大鎌を構え対抗しようとする。
そのまま俺の『斧剣』と有人機ISの大鎌が衝突する。
が、
バキィィィィン!
「............!?」
有人機ISも声は出さなかったが反応した。
当たり前だろう。
目の前で大鎌を紫色の魔力刃ごと粉々に粉砕されたのだから。
有人機ISは粉砕されたときの衝撃でかなり後ろに後退する。
「..........」
有人機ISは体勢を整え、すぐに紫色の魔力ライフルを呼び出す。
そして、ライフルを俺に向かって放とうとする。
しかし、
バキィィィィン!
ライフルはまた、粉々に粉砕される。
「おいおい、これでも『斧剣』は一番遅いんだぞ」
俺はその巨大な『斧剣』を肩に担ぎながら有人機ISを見下ろす。
「何で、魔力コーティングされた大鎌やライフルが簡単に粉砕されたと思う?」
「..........」
有人機ISはただ黙っている。
「『斧剣』はな、簡単に言えば魔力を破壊する能力だ」
魔力を切断する『刀』と魔力を破壊する『斧剣』とでは違ってくる。
『刀』は自身の魔力を対価に敵の魔力を切断する。
しかし『斧剣』は魔力を破壊する。
正確には魔力に反応してその魔力の反応したところごとそれを破壊する能力。
別に『刀』の形態でも出来るんじゃないかと言われるが、『刀』は『斧剣』と違って切断に特化している。
そのため武器の一部か残る事がある。
もし、その武器が切断されても能力を発揮できる武器なら厄介なことになる可能性になる事がある。
未知の敵だ、何があるか分からない。
それに対し『斧剣』は跡形もなく粉々に破壊する。
何一つ残さず。
そして俺は『斧剣』を構え有人機ISに向かう。
「..........!」
有人機ISは新たな武装をコールする。
これまた、紫色をしたツインダガーのような武器。
それをクロスに構え、『斧剣』を受けようとする。
「だから、魔力を帯びた武装を破壊するにはもってこいだってな!」
俺はそのまま『斧剣』を降り下ろす。
バキィィィィン!
ツインダガーが粉砕に粉砕される。
有人機ISはギリギリでバックステップして直撃を回避する。
「..........!」
しかし、その際顔に着けていたバイザーも『斧剣』の衝撃で砕け散る。
「なっ!?」
「..........」
俺は驚愕していた。
有人機ISの操縦者は俺よりも年下の女の子だった。
しかもあの時河川敷で俺にぶつかってきた女の子。
そして、それよりも驚くべき事。
それは
「エミル・レイルトン.......?」
その少女の顔には見覚えがあった。
クロノが弾に見せた書類に記されてあった少女。
弾の護衛対象のはずなのに、何故ここにいる?
俺は珍しく呆然としていた。
「..........っ!」
有人機ISは歯を食いしばるようにすると、足元に魔方陣が出現する。
「転移魔法!?」
まずい、俺は呆然としていた意識を叩き、急いで少女に接近する。
シュンッ
少女は展開された魔方陣と一緒に消えてしまった。
しかし俺は少女を取り逃がしてしまったことより別の事が頭の中を支配していた。
『ごめんなさい』
あの少女は転移する寸前に俺に悲しそうな顔でそう言っていた。
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もし、一夏が管理局最強魔導師と呼ばれていたらのifの物語。 | ||
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