IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode49 学園祭
そうして時間は過ぎていって学園祭当日・・・・・
一般開放はまだであるが、それでも盛り上がりを見せていた。
「意外と盛況だな」
隼人は店の準備を手伝っていた。
ちなみに服装はシャルロットが提案した燕尾服であり、長い髪をゴム紐で根元を結んだポニーテールにしており、前髪も退かして眼帯を見せている状態だ。
しかもこの格好が女子達のツボに入ったのか、えらくテンションが上がっていた。
しかしよく見ると髪の長さが以前と異なり、膝まであった髪は今では腰の位置までになっていた。つい最近あまりにも長すぎたために切ったらしい。
「あぁ。やっぱりこういうのって定番なんだな」
と、隣でも手伝いをしている燕尾服姿の一夏がいた。
ちなみに一組の催しものである『ご奉仕喫茶』での役割としては俺と一夏を含む接客班と調理班、雑務班の三つに分かれる。
「いらっしゃいませ♪こちらにどうぞ、お嬢様」
と、上機嫌のメイド服姿のシャルロットが接客する。
(俺が似合っていると言ったそれからずっとこの調子だよな・・・。まぁ、嬉しいんだろうな)
そんなことを考えながら辺りを見回す。
実質上専用機持ち全員接客班であって、以外にも箒がメイド服姿で、ティアは少し戸惑いを見せており、そしてなぜかエリーナのだけミニスカ・・・・なんだが、当の本人はノリノリなので問題はなさそう・・・
(まぁラウラは発案者だから着るのは当然なんだが・・・よく箒が折れたなぁ)
ちなみに一夏から聞いた話しによるとラウラがこの催しものの発案者であると千冬に言ったところ爆笑していたらしく、一度様子見にやってきており、その時にラウラの姿を見て吹き出した。
(まぁ、分からんでもないな)
そんな事を考えてるが、少しばかり気になることがあった。
「・・・・・・」
隼人はメイド服を着る一同を見ると、何とも言えない高揚感を覚える。
(そういや弾のやつ言っていたな・・・『メイド服にスク水、そしてブルマ!これに反応しない男はいない!』とかな・・・。まぁ、分からんでもない・・・かな?)
「うーん」と静かに唸る。
そして廊下の方を見ると、窓から見えるだけでも物凄い長蛇の列ができており、恐らくまだ続いているのだろう。
「それにしても・・・」
と、仏頂面の箒が隼人に近づく。
「なぜ私と同じポニーテールなんだ」
「別に好きでやっているわけじゃない。これ以外に無いだけだ」
「他にあっただろう」
「いや無い」
「くっ・・・」
即答されて箒は言葉を詰まらせる。
「そんなことより、客が待っているぞ」
「わ、分かっている!だったら手伝え!」
「はいはい」
しばらく混み合った状態が続いた・・・・・・
「・・・・・・・・」
その頃、IS学園の正門前には二人の女性がいた。
一人は黒のロングヘアーの女性で、もう一人は紫のショートヘアーをしており、隣の女性より頭一つ分高い。それぞれスーツ姿であった。
「ちょっと待ってください」
そして正門にいた虚さんに二人は止められた。
「二人はどちらから?」
「あ、はい。私は『みつるぎ』企業より来ました巻紙礼子です。こちらはみつるぎ企業の事務員で、私と一緒に視察に」
「どうも」
と、巻紙礼子と呼ばれる女性は名刺を渡す。
「・・確認しました。ようこそ、IS学園に」
「どうも」
そうして二人の女性はIS学園に入っていく。
(ったく・・・私のキャラに合わない喋り方はどうも疲れるな)
と、内心で巻紙礼子はさっきとは違う喋り方をしていた。
(お前の勝手だろう)
と、長身の女性がISのプライベートチャンネルとも思われる通信で話していた。
(・・で、なんでおめぇまで付いて来たんだよ)
(ドクターからの命令だ。お前だけでは派手にやれないだろうとのことだ)
(けっ・・・あの野郎・・・)
(それに、私の試験運用を兼ねてのことだ)
(おめぇの試験運用ねぇ・・・。『ナンバーズ』No03・・・ジアスだったか)
(あぁ)
(・・・だったら、私は予定通りターゲットに接触する。おめぇはおめぇの役割を果たせ。あいつから何か言われてんだろ)
(あぁ)
(一応時間になればおめぇの妹達が来るんだろ)
(一応な。後No02もやって来るそうだ)
(あいつもか・・・気にいらねぇ)
(・・・・・・)
(・・・で、その後にあいつも迎えに行かねぇといけねぇんだろ。面倒くせぇな)
(だが、スコールから言われているのだろう。スパイの回収を最重要にしろと)
(・・・分かってるよ)
そうして二人は二手に分かれた・・・・・
「・・・・・?」
そしてティアは何かに気づいた。
「どないしたんや?」
その様子にエリーナは気づいた。
「あっ・・。い、いや、なんでもない」
「・・そ、そうか?」
(・・・そろそろ・・時間、か)
「ねぇ織斑君、神風君、一旦休憩したらどう?」
それから一夏と隼人は引っ張りだこになって働き、しばらくして開放されてイスに座ったところで一組の中ではしっかり者の鷹月静寝から声を掛けられた。
「え?」
「いいんですか?」
と、隼人、一夏の順で言う。
「うん。お店を整えるのは時間が掛かるし、一時間ちょっとなら大丈夫だよ。その間に女の子と学園を回ってみたら」
「そうですか。なら、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」
そうして二人はイスから立ち上がると・・・・
「そ、それでは・・一夏」
「お、おう?」
すると箒が頬を少し赤らめながら一夏に言う。
「わ、私と一緒に行かないか?」
「あぁいいぜ」
それからして二人は教室を出ると・・・・・
「そんじゃぁティア。うちらも行こうか」
「え?あ、うん」
そしてエリーナの誘いにティアは少し戸惑うも、二人は教室を出た・・・・・
「では隼人さん!私と一緒に参りましょう!」
と、セシリアが隼人の前に出ると誘う。
「だ、だめだよ!隼人は僕と一緒に行くんだから!」
と、シャルロットがセシリアに反論する。
「何を言うか!師匠と弟子が先だろう!」
と、ラウラが言う。
「あのなぁ・・・・。ここは公平にジャンケンだろ」
「わたくしはそれで構いませんわ」
「まぁ、隼人が言うのなら」
「師匠に従います」
そして三人はにらみ合うと、拳を握り締める。
「最初はグー!ジャンケンポン!!」
そしてパーが二つ、チョキが一つと出た。
「えへへへ♪」
と、シャルロットがにへーとしてチョキのままピースをする・・・・
「そういえば・・・」
と、シャルロットは隼人と一緒に歩いている時に言い出した。
「こうして二人で話すのって久しぶりだよね」
「そういえばそうだな・・・・。あれ以来二人だけで話してないな」
あれ以来・・・それはシャルロットが学園に残ると決意した時であった・・・・・混浴したことでも印象深いあの時・・・
「正直に言えばびっくりしたな」
「何を?」
「そりゃ、お前が俺の義妹になったことだよ。前にも言ったかもしれないが」
「あぁ。やっぱりそうだよね・・・。迷惑だった?」
「いや、そうじゃない。むしろ、嬉しかったさ」
「そうなの?」
「あぁ」
「・・そっか」
と、シャルロットは嬉しそうにする。
「おっ!隼人!」
するとどこかで聞いたような声がして、隼人は片方の眉毛をピクッと上げる。
そして後ろを見ると、見覚えのある顔が来ていた。
「あっ・・・綾瀬さん」
それは日本代表にして千冬の後輩・・・でもって隼人の腹違いの姉である綾瀬であった。
「いやぁ賑わっているね。おっ。ポニーテールも似合っているね隼人」
「・・・てっきり忙しくて行けないかと思っていたんだがな」
と、以前とは違って皮肉さがあるものも、ちゃんと話していた。
「そこは色々とお偉いさんを言い包めたんだよ・・・。何だって隼人が学園祭のチケットをくれたんだからね」
「え?」
そしてシャルロットが隼人を見る。
「ぐっ・・・!余計なことを」
すると隼人は苦虫を噛んだかのように顔を歪ませる。
「あれ?やっぱりそういうことか」
「ムフフ」と何やら確信を得たかのように綾瀬はいたずらな笑みを浮かべる。
「どういうこと?」
「あ、い、いや・・・そのだな・・・・あっ!そろそろ交代だ!シャルロットまたな!」
そして隼人は近くにあった時計台を見ると、脱兎の如く走り去った。
「あ・・・」
シャルロットは呼び止めようとしたが、既に隼人の姿は無かった。
「素直じゃないんだから」
「・・どういうことなんですか?」
「実はね、一週間前に隼人から学園祭の招待チケットを貰ったのよ」
「え?隼人が?」
シャルロットは信じられなかった。
「まぁ、顔パスで普通に通れるんだけど・・・・そこはせっかく貰ったんだから、有効的に使わないとね」
「いや・・そうじゃなくて・・・隼人は―――」
「毛嫌いをしていた・・・でしょ?」
「・・・なのに・・なんで?」
「・・夏休みの間に色々とあったのよ」
「え?」
「ちょうど二ヶ月半ぐらいかな・・・。七月の終わりぐらいに、合同演習があったのよ」
「合同演習?」
「千冬先輩を誘っての演習なのよ。で、先輩は隼人も一緒に連れて来たのよ」
「・・・・・・」
「そりゃあの時も全然だったけどね。でも、千冬先輩が私と隼人による模擬戦を発案したの」
「模擬戦を?」
「最初は隼人は反対していたけどね、千冬先輩の押しで隼人は渋々私と戦ったのよ」
「・・・・・」
「戦いの最中に・・・お互い色々とぶちまけたのよ」
「何を?」
「・・・本当の気持ちをね」
「本当の・・・気持ち?」
「そう。それでね・・・隼人が私を毛嫌いしていた理由も分かった」
「・・・・・」
「・・・私があの時いなかった事だったのよ」
「あの時?」
「・・お父さんとお母さんの葬式」
「あ・・・」
シャルロットは気まずくなる。
「あの時から私は千冬先輩に代わって代表に任命されたのよ・・・。その関係で葬式に行く時間すらなかった」
「・・・・・・」
「その日以来・・・隼人は私と全く口を聞かなくなってしまったの」
「・・・・・・」
「代表になってから家に帰る暇も無くなって、それが更に拍車を掛けてしまったようなのよ・・・。それで、あの時の状態を生み出した」
「綾瀬さん」
「そういう理由だったことを聞いたときは・・・私は自分を悔やんだわ。自分の親の葬式にすらいけなかったくらいにね」
「・・・・・」
「それで、互いの思いをぶつけ合って、最終的に勝負は引き分けに終わった」
「・・・・・・」
「私は隼人に謝ったわ・・・・。許されるとは思ってないけど・・・それでも、自分の一生を賭けて・・謝った」
「・・・・・・」
「隼人も何とか納得してくれたわ・・・。でも、完全に許してくれたわけじゃないんだけどね」
と、綾瀬は苦笑いする。
「でも、大きな進歩ですよね」
「えぇ。何とか話してくれるだけでも全然違うのよ」
「そういえば、綾瀬さんを見た時の隼人・・・なんだかいつもと違っていたような気がする」
「そう・・・。でも、素直じゃないんだよね・・・所謂ツンデレってやつ」
「あぁ。確かにそうですよね」
「やっぱり分かる?」
「えぇ・・・。義妹ですから」
「そうだよねぇ・・・って、義妹」
「はい。そうですよ・・義姉さま」
「あ、は、はい・・・。ど、どうなってんだろう・・・?」
綾瀬は状況が把握しきれないのか、ギクシャクとしていた。
「・・・ま、まぁ、色々と話してくれるかな?できれば分かりやすく」
「はい」
「ヘックションッ!!」
と、隼人は大きなくしゃみをする。
「大丈夫ですか?」
と、隣にいたラウラが心配そうに言う。
「誰かが噂でもしているのか」
「さ、さぁ」
「・・とにかく、色々と回るか」
「そうですね」
そして二人は色んな場所に寄っていく・・・・・
「いやぁ・・・色々とあっておもろいな」
「・・そ、そうだね」
と、ティアとエリーナはそれぞれの出し物を見て行っていたが、ティアはどこか暗かった。
「・・・なぁ、ティア」
「な、なに?」
「今日のティアなんかおかしいで?」
「そ、そう?」
「だって何か暗いし、いつもと比べて元気も無い」
「・・・・」
「何か悩み事でもあるんか?」
「・・・無いよ」
「・・・・・」
「だから、心配しなくて良いよ」
「・・なら、いいんやけど」
エリーナは深く聞こうとはしなかった・・・・
「・・・・・・・」
「――――と、言うわけです」
「なるほどね・・・」
そしてシャルロットから説明を受けた綾瀬は納得したようである。
場所は敷地内の広場のベンチに座っていた。
「まぁ私と違う状況だから普通に受け入れたんだろうね」
「・・・・・」
「でも意外だね。隼人が自分からそう言ったなんて」
「そうですね。僕も正直最初は驚きました」
「本当に変わったわね・・・・」
と、綾瀬は首に提げている青と白の大剣を模して小さく表面に蛇を模したペイントが施されたペンダントをいじる。
「あれ?それって・・」
シャルロットはそれを見て疑問に思う。なぜなら以前は自身のISである武蔵・改の待機状態であったペンダントがあったが、今はそれがあった。
「あぁこれ?ちょっとばかり事情があってね」
「事情?」
「実はね、隼人と模擬戦を交えてちょっとした時に所属不明機と戦闘に入ったのよ。何とか撃退は成功したけど、武蔵・改は大破してしまったのよ。とか言ってもすぐに私に合う代用のISはないのよ。普通の訓練機じゃ私の反応速度に追いつけずに回路がショートしちゃうのよ」
「は、はぁ・・」
「でね、そんな時に千冬先輩からこれを貰ったってわけ」
「織斑先生から?」
「そういや千冬先輩も首に何か提げていた様な気が・・・・確か赤い日本刀を模したネックレスだったような・・」
「・・・でも、そんなネックレスしていたかな・・?」
「たぶんスーツ姿のときは服の下に入れていると思うよ」
「そうでしょうが・・・でも、なんで?」
「先輩が言うにはとある人物から受け取ったISらしいよ。全部で四つ」
「四つも?」
「残り二つはどうしたかは聞いてないけど、少なくとも先輩が持っているよ」
「・・でも、織斑先生がなんで?」
「さぁね、。でも、これって凄いんだよね」
「そうなんですか?」
「うん。なんだって武蔵よりも反応速度が速くて武装のすべてが私好み。それに色も私のパーソナルカラーだからね」
「でも、武蔵・改の時は」
「あぁあれは試作機だから色はそのままにしていたんだ。以前のISにはパーソナルカラーの青と白を施していたんだよ」
「へぇ・・・」
「あっ、ちなみにこれがその時の写真」
と、綾瀬はポケットより携帯を取り出すと、フォルダーよりその時のISを見せた。
「リヴァイブが以前のISだったんですか?」
「えぇ。それに打鉄をミキシングしたカスタマイズ機」
「へぇ・・・。うまくまとまったカスタマイズですね。僕のリヴァイブよりも良いできですね」
「そう・・・でも、最終的に私の反応速度に追いつけなくなってしまったのよね。搭乗機が武蔵・改になって以降は解体されたのよ」
「そうなんですか・・・」
「それじゃぁ、私はもう行くわね」
と、綾瀬は立ち上がる。
「もう帰るんですか?」
「ううん。千冬先輩を探しに」
「あぁ」
「さてと、どこにいるのかな」
と、綾瀬は少しテンション高めで千冬を探しに行った・・・・・・
「・・僕も戻ろうかな」
そしてシャルロットはベンチから立ち上がると、一組の教室に戻っていった・・・・
「中々賑わっているじゃねぇか」
と、輝春は敷地内の見回りをしていた。
「しかし千冬のやつはどこに行ったんだ・・・。一組を一回見てからどこかに行きやがって」
見回りと同時に千冬を探しているようである。
「・・・・・・」
しばらく辺りを見ながら歩いていると・・・・・・
「・・・・・」
輝春は後ろについてくる人物の気配を感じ取る。
(そういうことか・・・)
それからして輝春は怪しまれないように見回りをしながら後ろからついてくる人物の様子を窺う・・・・・
「色々とありましたわね」
「そうだな」
そうして隼人は最後にセシリアと共に敷地内を徘徊して、それからしばらくして教室に戻ると・・・
「おかえり、隼人君」
と、そこにはメイド服姿の楯無がいた。
「な、何しているですか」
「ん?メイド服姿で休憩」
「そのまんま!?」
「まぁ、それはさておき、隼人くん・・・あれをやるわよ」
「・・やっぱりやるんですか?」
「もちろん。一夏君にも手伝ってもらうわよ」
「お、俺もですか!?」
「えぇ。それじゃぁ付いてきて」
「・・・・・・」
「覚悟を決めろ」
と、隼人から左肩を軽く叩かれて、一夏はため息を付いてその後についていった・・・・・
後書き
次回波乱な予感が・・・・。そしてある意味オリ主無双?
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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裏切りっていうのは前提としてあるものだから案外相手視点だと帰るだけって見えちゃう俺って変?(鎖紅十字) | ||
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