IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第23話 |
臨海学校初日。
天候は快晴に恵まれ、一夏達は三日間世話になる旅館に来ていた。
「ここがお世話になる花月荘だ、全員、従業員の仕事を増やさないよう注意しろ」
『よろしくおねがいしまーす』
「はい、こちらこそ、今年の一年生も元気があってよろしいですね」
千冬の後に続いて生徒全員が女将に挨拶をする。
因みにこの旅館は毎年臨海学校で世話になっている。
「あら、こちらが噂の?」
女将は一夏、キラ、シンに目があい、千冬に尋ねる。
「ええ、まあ、今年は三人だけの男の為に浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」
「いえいえそんな、それにいい男の子じゃありませんか、しっかりしてそうな感じを受けますよ」
「シン・アスカです」
「キラ・ヤマトです、お世話になります」
「織斑一夏です、よろしくお願いします」
挨拶をして三人は頭を下げる。
女将も丁寧にお辞儀をする。
「それじゃあ皆さんお部屋の方にどうぞ、海へ行かれる方は別館の方で着替えられるようになってますから、そちらをご利用なさってくださいな」
因みに一夏とキラ、シンの部屋は、シンはルナマリアと同室、キラと一夏が一緒の部屋である。
さらにキラと一夏の隣の部屋には千冬の部屋である。
就寝時間を無視した女子が押しかけようとしても隣の部屋に千冬が居るとなると迂闊には来ないであろう。
自由時間になり一夏達は海水浴を楽しんでいた。
だが、一夏はある危機に瀕していた。
それはビーチパラソルの下のシートにうつ伏せで横になっているセシリアが原因だった。
「さあ、一夏さん、サンオイル、塗って頂けますわよね? バスで約束しましたもの」
「そ、そうだけど……」
一夏は腕とかその辺に塗るものだろうとは予想していたのだが、まさか身体全体に塗るとは思ってもいなかった。
そして、一夏の後ろには明らかに不機嫌な鈴が居た。
「一夏……早く終わらせなさいよ……」
今にでも襲い掛かってきそうな殺気に怯える一夏は早く終わらせるためサンオイルの瓶を取り背中を塗り始めた。
「ひゃん!?」
「うゎ!?」
「い、一夏さん。少し手で温めてから塗ってくださいな」
「悪い、こういう事をするのは初めてなんで」
「初めてなんですの……それでは、仕方ありませんわねぇ」
その後、無事に塗り終わった一夏は鈴によって拉致され海を何度も泳がされるのであった。
「つ、疲れた……」
鈴から解放された一夏は精神的、肉体的に疲れていた。
浜辺で休憩をしてると、シャルロットとラウラが一夏に近づいてきたのだが。
「あ、一夏、此処に居たんだ!」
「い!?」
シャルロットの隣に居るバスタオル包まれたラウラに一夏は驚いていた。
「な、何だ、そのバスタオルお化け……」
「ほらラウラ、恥かしがってないで一夏に見せたら良いのに」
「し、しかし……」
ラウラは一夏に水着姿を見せるのが恥かしいので、全身をバスタオルで覆っていた。
「もう、なら僕が一夏と一緒に、ラウラ抜きで遊んじゃうんだけど……いいのかなぁ?」
「そ、それは!…っ、ああもう!! えい!!!」
ラウラはシャルロットの言葉で意を決したのかバスタオルを剥ぎ取る。紺色のフリル付きビキニだった。
「ど、どうだ?」
「え、あ、うん、可愛いぞラウラ」
「か、かわいい……そ、そうか、私は、可愛いのか」
途端に顔を真っ赤にしたラウラを微笑ましく見守るシャルロットだった。
何故だか恥かしがりやの妹を見守る姉か、もしくは娘を見守る母親のような母性溢れる笑みを浮かべていた。
「あ、あの一夏?」
声がした方に振り向くとそこにはライトグリーンで腰の辺に南国の花のシルエットが描かれているワンピースを着た簪が居た。
「どうしたんだ、簪?」
「あ、あのキラさんは見なかった?」
「いや、見なかったけど、多分、職員会議まだ続いてるんだと思うぜ」
「そ、そう……」
簪はキラが選んでくれた水着を早く見せたかったのにキラが居なくて落ち込んでいた。
その事を知らない一夏は首を傾げるのであった。
するとシャルロットが何かに気付き簪に近づいた。
「簪、あれ!」
簪はシャルロットが指差す先を見るとそこにはキラ達の姿が居た。
「キラさん!」
簪は嬉しそうに声を上げると真っ先にキラの元に向かっていた。
「キラさん!」
「簪、君も来ていたのかい?」
「はい!」
「そのワンピース似合っているね」
「あ、ありがとう……ございます……キラさん」
簪は嬉しさのあまり顔を真っ赤にして俯いてしまった。
その後、キラ達は一夏の誘いでビーチバレーをやる事になった。
一夏、シャルロット、ラウラのチームにはルナマリアが、箒、鈴、セシリアのチームにシンが入り試合が始まった。
「あ、ビーチバレーですかぁ、面白そうですね〜」
その時、見回りをしていた真耶がやってきて、ビーチバレーに参加したそうな目を向けていた。
「先生も一緒にやらない?」
「いいですね〜、織斑先生もご一緒に如何ですか?」
真耶の後ろには千冬が居た。
スタイル抜群の身体で、黒いビキニを着た千冬の姿は女子生徒だろうと一夏、キラ、シンだろうと見惚れていた。
「では」
「はい! 負けませんよ?」
千冬はシンのチームに入り、真耶は一夏のチームに入った。
この二人の参入で試合は激戦となった。
シンのチームは千冬が強力なアタッカーとなり、強烈なスパイクが何度も炸裂した、一方、一夏のチームは真耶の高い反射神経が鉄壁のブロッカーとなって一進一退の試合を繰り広げるのだった。
「皆、楽しそうだな」
キラはそう呟くのだった。
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第23話です。 プロローグ http://www.tinami.com/view/463196 設定集(ネタバレあり) http://www.tinami.com/view/502954 |
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キラは運動できるけどインドア派だから観戦なのね(鎖紅十字) | ||
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