夜天の主とともに 19.襲撃者 |
夜天の主とともに 19.襲撃者
日はすっかりと暮れて真っ暗な世界と化し、市街地はビルや車などの様々なライトで明るく照らしている。夜空もいつものように星々が地上に向けてきれいな光を放っている。
そんな夜空の中、3つの姿があった。
1人はゴスロリのような赤い服とベレー帽を被り手にはハンマーと一冊の本を持った少女。もう一人は鼻まで覆ったインナーシャツとチャイナ服のようなものを着て左右逆の袖に両手を通した少年。
そして四肢にガントレットのような装甲を装着した蒼い狼の2人と1匹がさも当然のように空中に|立っていた(・・・・・)。
少年と蒼い狼は小さな子供が持つにはあまりにも物騒なハンマーのようなものを持ったまま目を閉じている赤い少女を黙って見ている。そして狼が口を開く。
「どうだヴィータ、見つかりそうか?」
「いるような‥‥いないような。」
「それはわかりにくいぐらいの魔力か?それとも出てきたりいなくなったりしているということか?」
「‥‥‥‥‥。」
赤い少女、ヴィータのはっきりしない返答に狼は二択を示す。少年そのまま会話に参加せず無言。
「たぶん後者の方だと思う。こないだっから妙に馬鹿でかい魔力がこのへんで定期的な間隔をおいて出てきてんだ。」
「ふむ。」
ここで黙り切っていた少年が口を開き少女に尋ねた。
「‥‥つまりその人の馬鹿でかい魔力を蒐集することができればかなりのページが埋まるということでいいのか?」
「たぶんあたしの見立てでは20ページはいくんじゃねーかと思う。」
「‥‥そっか。」
一言そうつぶやくと少年、時野健一は俯き再び無言になった。俯くその姿には不安が見て取れ、心なしかわずかに震えているようにも見える。
(おそらく不安なのだろうな。今までは魔力生命体が相手だったが今度は自分と同じ人間だ。不安になっても仕方あるまい。)
それを見た狼、ザフィーラはヴィータに目配せした。
(しゃーねーな‥‥。)
「ま、でかい魔力つってもあたしにかかりゃなんてことねーなこのぐらい。なんなら全部このヴィータおねえさんに任せてもいいんだぞ。」
「‥‥‥ヴィータ、その発言は頼りになるにはなるがお前のその姿でおねえさんというのはいささか無理があると思うのだが。」
「なっ!?ザフィーラ、あたしの気にしてることをよくもまぁ自然に言いやがってこの犬っころ!!」
「‥‥前々から言っているが私は犬ではなく狼だ!!」
バチバチと火花を散らすかのように二人がにらみ合っているとそれを見ていた健一が堪えきれなくなったのかプッと吹き出しそして笑った。それにつられるようにヴィータとザフィーラも笑った。
「二人ともありがと。俺を安心させるためだったんだろ?おかげで幾分か落ち着いたよ。」
「そうか。」
「でも本当に大丈夫なのか健一?無理してんじゃねーだろうな?」
「ああもう大丈夫。不安は完全にはやっぱりなくならないけどそんな壁で踏みとどまってる時間はないんだ。そんな壁はぶち壊す。」
静かだが意志がはっきりとした強い言葉で言うその姿を見てヴィータとザフィーラは大丈夫だと確信した。それを境に3人は顔を引き締め気持ちを完全に切り替えた。
「じゃあそろそろ行くか。どう探す?」
「分かれて探そう。健一はヴィータと行け。ストッパー頼むぞ。」
「了解。」
拳と拳をお互いに軽く打ち合わせてニッと笑う。
「ストッパーってどう意味だよザフィーラ!!」
「そのままの意味だ。闇の書は預ける。」
「ったくまぁいいや。ザフィーラ、あんたもしっかり探してよ。」
「心得ている。」
そう言い残しザフィーラは消えた。
「じゃあたしらも探すとするか。健一、あんた結界使えたっけ?」
「いや、簡易的なやつならできるけど封鎖系はまだ無理だ。そっちで頼む。」
「わかった。」
ヴィータは一言そう返すとハンマー、グラーフアイゼンを前にかざし赤いベルカ式魔方陣を足元に展開した。
「封鎖領域展開。」
〈jawol.〉
次の瞬間魔力を持っている者以外を全てその領域から弾き飛ばす結界、封鎖領域がヴィータを中心に広がっていく。
健一はそれをしばらく後ろから静かに見守り続けた。そしてヴィータの肩が大きく動いた。
「見つかったか?」
「魔力反応、大物見っけ!!」
「さっき言っていた人か?」
「ああたぶん間違いねー!行くぞ健一!!」
「了解!」
ヴィータと健一はすぐさま魔力反応があった地点へ向かった。
物語は始まったばかりだった。
説明 | ||
いよいよA's突入っす あと健一の魔力光について少し修正したのでよろしくっす |
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