ハイスクールD×D〜HSSを持つ転生者〜 第48話 |
第48話〜ゲーム開始と冥界猫〜
決戦前夜。俺達はアザゼルの部屋に集まって、ミーティングしていた。
「イッセー。禁手(バランス・ブレイカー)の状態はどうだ?」
「なれますけど…ただし、条件もついてきます」
一誠は皆にその条件を話し始めた。
まず、禁手化(バランス・ブレイク)するには、二分の間逃げ続ければならない。
しかも、その二分間は神器(セイグリット・ギア)も使用不可。
一日一度だけ禁手化(バランス・ブレイク)でき、それが解除されると
神器としての力はなくなるらしい。
「その二分間ってのが、一誠の一番の弱点だな」
とアザゼルは言った。
まぁ、二分間に一誠を屠れる奴はこの世界にたくさんいるからなぁ。
一誠の禁手は力の使用込みで30分、力を使いながらだと10分ぐらいだと思う。
部長が言うには、会長に情報は割れているらしく、ほぼ皆の情報を知っている。
ギャスパーの神器や小猫の素性など。
こっちはある程度知っているが、判明していない能力を持っている人もいる。
生徒会眷属は八名、俺達は9名。人数的には勝っているが、何が起こるか
わからないから、有利というわけじゃない。
「リアスと朱乃はウィザードタイプ。イッセー、ゼノヴィア、小猫はパワータイプ。
木場はテクニックで、アーシア、ギャスパーはサポート。クリスは…パワー、
テクニック、ウィザード、サポートもいける万能タイプだな」
万能ねぇ…。俺は状況に応じて判断を出すまでだ
もちろん、カウンターもあるわけだし。
「俺は長く生きてきた。様々な戦闘を見て、経験してきた。――絶対勝てるとは
思うな。だが、絶対に勝ちたいと思え。これがお前達に伝える最後のアドバイスだ」
いい事言うなぁ、アザゼルは
他の皆も、心に刻んでいるようだ。
その後、俺達は明日に向けて戦術について話し合った。
◇
ゲーム当日。俺達は魔方陣に集まり、移動に備えていた。
アーシアと俺、ゼノヴィア以外は駒王学園の夏服。アーシアはお馴染みの
シスター服。ゼノヴィアは初めて会ったときにつけていた戦闘服。
俺はキンジの武装で待機していた。
「リアス、一度負けているのだ。勝ちなさい」
「次期当主として恥じぬ戦いをしなさい。眷族の皆様もですよ?」
「リアス姉さま、がんばって!」
「今回は、教える事は教えた。気張れや」
部長のご両親にミリキャス様、アザゼルが魔方陣の外で声をかけてくれた。
緊張感が漂う中、魔方陣が光り出した。
――ゲームの開始だ!
◇
到着したのは――テーブルだらけの場所だった。
周りを見渡すと、見慣れた場所ばかりだった。
記憶にある建物と完全に一致して、嘆息した。
「…たまに悪魔の高度の技術は暇つぶしに造られたんじゃないかと思うときが
あるよ。しかもここは、駒王学園近くのデパートだし」
ゲームの舞台は、皆がよく来るデパートだった。ここはいい思い出もあるが、
悪い思い出もある。特に部長と朱乃さんの水着を買いにいったときは
恐ろしかった!
「…大丈夫ですか? クリス先輩」
心配そうな表情で小猫が言った。
「だ、大丈夫だ。ちょっと悪い事を思い出しただけだ」
そう言うと、下がってくれた。小猫には心配をかけたくない。
そのとき、店内アナウンスが聞こえた。
『皆様、このたび、グレモリー家とシトリー家の「レーティングゲーム」の審判役(アピーター)
を担う事となりました、ルシファー眷属『女王(クイーン)』のグレイフィアで
ございます』
この場所はやっぱり、駒王学園近隣のデパートの基に作られたらしい。
どっちもこの場所を知っているからな
特別なルールがあり、デパートを破壊し尽くさないことだとか。これで、
ど派手な戦闘はできない。俺達には不利になった。
『ゲーム開始時間は30分後に予定しています。それでは、作戦時間です』
俺達は集まって作戦会議を始めた。
ギャスパーの眼も使えない、大質量の攻撃も無理。
俺の場合は、小説のキャラの武装になれば問題ないが、一誠や部長、朱乃さんは
辛いだろう。一誠は特にな。
作戦会議が終わり、俺はデパートの中を歩き始めた。
けっこう来ているが、念の為見てまわったほうがいいだろう。
「…これは一誠の『服装破壊(セクハラ)』も通用しないかもしれないな」
「……そうですね。洋服屋さんもありますし。やられてもそこから服を借りればいい
だけですから」
と声がした方向へ視線を向けると、そこには小猫がいた。
「…いつからいたんだ? 全然気づかなかったぞ」
「クリス先輩が『一誠の…』と言ったときからです」
さっきからか。
不意に小猫が俺の手を握ってきた。…小猫?
「…クリス先輩。私に勇気をください」
そうだったな。小猫は猫又の力を使おうとしているんだよな。
怖いんだな。猫又の力が自分を呑み込むかもしれないことが。
「俺のでよかったら、いくらでもくれてやる」
小猫の手を握り返す。俺の勇気で猫又の力を乗り越えられるなら安いものだ。
「…クリス先輩は私が、猫又が怖くないんですか?」
「? 何言っているんだ、小猫。怖くないに決まっているだろう」
何で俺が小猫を怖がる必要がある。猫又の小猫は逆に可愛かったぞ
俺の言葉に小猫は顔を赤くしていた。…まさか
「もしかして声に出ていた?」
小猫は無言で頷いた。
「―――っ!!」
俺の顔も熱をもってくる。くそ、俺も真っ赤だぞ…
小猫はいっそう強く手を握って言った。
「……姉さまのように力に溺れるのは嫌です。けど、姉さまが私を守ってくれた
この力を私は乗り越えたいんです」
決意の眼差しだった。この子は自分で自分を超えようとしているんだ。
「小猫。猫又の力を乗り越え、ヘルキャットになるんだ」
「……ヘルキャット?」
「ああ。冥界猫(めいかいねこ)と書いて、冥界猫(ヘルキャット)と読むんだ」
小猫が宣言してくれたんだ。俺も宣言しようか。
「もし…小猫が暴走しても、俺が必ず止めてやる。この創造の力も仲間や好きな
人を守るために使うって決めているんだ」
「仲間思いですね、先輩は」
小猫の言葉に苦笑しながら言った。
「いやいや。けっこう、小猫や一誠からうつったかもしれないぞ?」
俺の言葉に微笑みながら言った。
「…私は、クリス先輩の事が好きです」
小猫の突然の告白に動揺しつつも、答えた。
「…俺も、小猫の事が好きだ」
あの時はベルセの勢いを借りて告白したが、今はきちんとできたな。
ノルマーレならここでキスとかするかもしれないが、残念ながら今の俺は
通常状態だ。今の俺に出来る事、今はこれだけだ。
俺は小猫の体を抱きとめる。
「今は…これで我慢してくれ」
小猫は俺の背中に手をまわして頷いた。
「さて、気持ちを切り替えようぜ。そろそろゲーム開始の時間だ」
「…そうですね」
俺と小猫は部長達の所へ向かった。
途中で一誠と朱乃さんが本屋でイチャついていたのは、後で部長に報告しよう。
また一誠の部屋が修羅場になるな。面白いからいいけど
説明 | ||
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。 |
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