夜天の主とともに 20.白い魔導師への襲撃 |
夜天の主とともに 20.白魔道士への襲撃
時空管理局艦船アースラのある一室、そこで4人と1匹の使い魔が話していた。
「これで裁判は終了、晴れて無罪だ。3人ともお疲れ様」
「ふぅ〜やっと終わった」
「何事もなくてよかったよ」
「クロノ、ありがと」
上からアルフ、ユーノ、そしてフェイトがそれぞれが今まで裁判を手伝ってくれたクロノ・ハラオウンに言う。
「いや当然のことをしたまでだ。元々情状酌量の余地はあったのだし、そこのフェレットもどきも頑張ってくれたことだしな」
「いや僕はそこまでのことは‥‥ってだれがフェレットもどきだ!!前にも言ったけど僕にはユーノ・スクライアって名前があるって言っただろ!!」
うがー!、といきり立って言うユーノだったが、対するクロノはどこ吹く風。
「なに、無事裁判を終えたことに対する祝いジョークだ。気にするな」
「ぐぬぬぬぬぬ‥。」
「ユーノはまた遊ばれてるねェ」
「あ、あはは……クロノあんまりいじめたりしたらかわいそうだよ」
クロノは飄々とした感じで冗談と言いそれに対してユーノは歯ぎしり、アルフとフェイトが慰めるといった何とも微笑ましい風景が出来上がっていた。
その光景を眺めていたナリンは大きく欠伸をすると立ち上がった。
「とりあえず一件落着したみたいやし、ワイちょっと部屋戻ってひと眠りするわ」
「ナリンって初めて出会った時からホントにいつも眠そうだね」
そのナリンを呆れ顔でフェイトは言った。
「しゃーないやん、眠たいんやし。それにこの後母さんにしこたま絞られると思うと‥‥はぁ憂鬱やわ。んじゃ」
そう言って今度こそナリンはその部屋から出て行った。
「……眠たいなら仕方ないよね。(戦闘中はしっかりしててかっこいいのに‥‥。)」
「ん?フェイト何か言った?」
「えっ?い、いやなな何も言ってないよユーノ!」
顔を少し赤らめて手をわたわたさせながら否定するフェイトにユーノは少し疑問に思ったがまぁいいかと思った。
しかし、フェイトの使い魔であるアルフは感情リンクがある程度あるため今フェイトがどんな気持ちだったのかというのが分かっている。
(いいねぇ〜、青春っていうのは。相手があの鈍感だといつ気づくのかねぇ)
そこからは嘱託魔道士試験は難しかったとか、今度また訓練してほしいなどと他愛のない話で盛り上がっていた。
何十分かしたころ、クロノが思い出したかのように口を開いた。
「それはそうとなのはに連絡しなくてもいいのかい、フェイト?今日伝えるって言ったんだろう?連絡するといい」
「うん、今からしてみる」
すぐにフェイトは地球にいるなのはへ電話を掛ける。その表情は嬉しさであふれている。あの事件から手紙やビデオで交流はしていたが実際に会うことは叶わなかったのだからそれも仕方ない。
自分たちがいると邪魔者かなと思ったクロノたちは部屋を出ようとした。しかし、次にフェイトが言った言葉でその足は止まった。
「‥‥‥‥‥‥あれ、つながらない」
「そんなはずはない。管理局用の回線だから圏外とかはないはずだ。いまエイミィに調べさせるよ。‥‥‥エイミィいま大丈夫か?」
『はいは〜い。今エイミィさんは絶賛暇タイムで〜す』
「それは執務官補佐、通信士主任としてどうなんだ」
『私だってやるべきことはちゃんとやってますよーだ』
「まぁ今はそれはいい、なのはと連絡が取れない。調べてくれるか?」
『オッケー、お任せあれ!』
この時クロノたちはある種の不安を覚えていた。ついこの間事件があったことからその不安が沸き起こるのかはわからなかったが何かが起こっている、そのように思えてならなかった。
(こういう時の僕の予想はなぜかよく当たるが今回ばかりはそうでないでくれ)
しかし、クロノの願いも空しくその予想は的中してしまった。
『‥‥‥‥これは‥‥結界!?クロノ君、海鳴市の方に封鎖結界が!!その中になのはちゃんの魔力反応と未確認魔力反応は2つ!!』
「「「「!?」」」」
全員が驚愕した。まさかそこまでの緊急事態だとは思いもしなかったからだ。しかし、そこは管理局執務官というべきかその衝撃からいち早く立ち戻り次の行動に移るべくエイミィに指示を出した。
「エイミィ、僕は一度そっちに戻る。あとすぐにフェイトたちを送るための地球への転送ポートを!」
『了解!!』
「クロノ」
「ああわかってる。いまから海鳴への直通の転送ポートを用意させる。そこから君たちは行ってくれ。後このことをナリンにも」
「確か終わってすぐに部屋に寝に行ったからからたぶん今頃熟睡してるだろうねぇ」
「ナリンの寝好きは筋金入りだもんね。初めて会った時からそうだったし」
さも当然のように言うアルフと苦笑いしながら言うフェイトの言葉にに軽くめまい覚えたクロノだったがそう言っていられない事態なためスルーすることとした。
「はぁあいつののんきっぷりはどうにかならないものか。‥‥仕方ない今から叩き起こして遅れてそっちにやるから先行してくれ」
「うん、行くよアルフ、ユーノ」
「わかったよフェイト!!」
「うん!!」
(なのは‥‥今度は私が助ける番だ!)
なのはside
海鳴市、市街地結界内、とあるビルの屋上
突然の結界と明らかに私を狙って接近してきている魔力反応を確かめるためこちらからも近づいた。辺りを見回したけど今のところ見えないみたい。
「レイジングハート、どう?」
〈対象なお接近中。‥‥‥来ます!!〉
その声とともに前方上空から何かが近づいてきてた。目を凝らしてみているとそれは人じゃなくて誘導弾だった。
私が防御シールドを展開したと同時にそれは衝突した。
「くぅ!!(一発だけなのにすごく重いの!!)」
〈マスター!!逆方向から本命が来ます!!〉
その言葉を聞くよりも早く何かの気配を感じた私が振り向くと赤い服を着た女の子がハンマーのようなものを振りかぶって接近していた。
「テートリヒシュラーク!!」
ハンマーが迫るのと私がシールドを展開するのは同時だった。ドゴンッという鈍い音とともに誘導弾とは比べ物にならない衝撃が私を襲いそれに耐え切れず私はビルから吹き飛ばされた。
「レイジングハートお願い!」
〈Stand by ready〉
痛む甲を押さえながらもセットアップした私はその場で態勢を整え襲いかかってきた女の子を見た。すでに次の攻撃態勢に入っててさっきの鉄球を飛ばしてきたから弾き飛ばした。
「襲われるような理由はないんだけど!!」
「‥‥‥‥‥」
話しかけてるのに無視されてまた攻撃して来ようとするのを見てぷちっときた。お話しないと何にも分からないのに!!………これはOHANASIだね☆
「教えてくれなきゃ、わからないってば!!」
ひそかに待機させていたシューターを後ろから女の子に向けて放った。さすがにそれには気づいていなかったみたいで驚いた顔をしながらも防御しようとした。けどそれはされなかった。
なぜなら突然現れた男の子がそのシューターを蹴り飛ばしたからだ。
(うそ、シューターを蹴り飛ばした!?そんなに威力は低くないはずなのに!?いやそれよりも不規則に動くシューターを捉えてた)
「ヴィータ先行しすぎだ。見失うかと思ったぞ」
「嘘つけ。お前が本気出したら一瞬だろ。まぁ助けてくれたことはありがと」
会話からしてどうやら仲間のみたい。パッと見だと私と同じくらいの男の子だと思う。顔は下半分が隠れていてよくわかんない。
「……あなたたちは誰?(あれ?でもこの子どこかであった気がするの)」
問いかけた私の言葉に反応して私の方を向いた。そしたら、少しだけど絶対にビクッってなってた。ついでに表情も強張ってるみたいに見える。
少しの間だけ私と男の子は目が合ってた。すると何か違和感を覚えた。
(あれ?でもこの子どこかであった気がするの)
だけど、すぐに視線が外れて最初から話しかけられてなかったとでもいうかのように私をそっちのけで話し始めた。
「それでヴィータ行けるよな?」
「当たり前だ。お前はそこで待ってろ。もう邪魔すんじゃねーぞ。対人戦のお手本ってやつをみせてやるよ」
「はいはい、了解」
私の質問を完全に無視した会話にさすがの私もムッときた。
「話を‥」
〈Divine‥‥〉
「聞いてってば!!」
〈buster〉
私の得意な桃色の砲撃が女の子たちに向かった。相手は完全に私の射程距離内だし、直線状。
男の子の方はいつの間にか違う場所に立っていたけど女の子の方には少し掠り赤いベレー帽がぼろぼろになりながら落ちていった。それを少し離れたところで見ていた男の子は呆れた顔をしていた。
「あ〜あ、やっちゃった」
「えっ?」
「君たぶんやばいよ」
なにが、と言おうとしたところで強烈な視線を感じそちらを向くと女の子がすごい睨んでいた。どう見ても怒ってる。持ってるハンマーが怒りで震えるぐらい怒ってる。
「……てに作ってもらった帽子。…この野郎ォォォ!!」
(もしかして私やっちゃった?)
ちょっと場違いも知れないけどそんなのんきなことを思ってたらハンマーを突き付けて上段に振りかぶる。そして見たことのない紅い三角の魔方陣を出してきた。
「グラーフアイゼン!!カートリッジロード!!」
〈Esplosion!〉
ハンマーのデバイスが何かを取り込んだ瞬間に一気に魔力が膨れ上がった。
〈Raketen form〉
そしてさらにハンマーだったところが尖って反対側がロケットに変形していた。明らかになんかヤバそうな形に変形した。そして私がそれに驚いている暇もなかった。
「ラケーテン……」
変形したハンマーが飛行機のジェットのように噴きだしながら女の子と一緒にぐるぐる勢いよく回り始めたと思ったらその勢いのままこっちに突っ込んできた。避けようとするけど、
(は、早い!?これじゃ避けきれない!)
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
そのシールドは一瞬拮抗したかと思うとあっけなく破られた。そしてとっさにレイジングハートで防いだけどそれも一瞬で砕かれた。
「ハンマー!!!」
「きゃああああ!?」
その凶暴な威力にビルの中まで勢いよく吹っ飛ばされた。ビルの窓ガラスを突き破り激しい音を立てながら転がり壁にぶつかってやっと止まることができた。私にはダメージはなかったけど代わりに守ってくれたレイジングハートが見るも無残にボロボロだ。
「けほけほ‥‥はっ!?」
咳き込んでいると壊れた窓の向こうから追撃してくるのが見えた。
〈Protection〉
私にぶつかる寸前でレイジングハートが渾身の防御を張ってくれた。今度は破られる様子がないので踏ん張りながらもほっとしていた。が、その希望を打ち砕くかのように少女の声が響いた。
「ぶっ潰せー!!」
〈jawol!!〉
ジェットが一際大きくなり威力がさらに上がった。そしてついに均衡が傾きシールドが破られ私のバリアジャケットの最終防御機能を壊して吹っ飛ばした。
「くはっ!!」
壁に打ち付けられた衝撃で思わず声を漏らす。女の子はハァハァ息を切らしながらも私にとどめを刺すべく近づいてくる。最後の抵抗をとレイジングハートを向けるが力が入らなくて照準が定まらない。
(こんなので‥‥私終わりなの?そんなの‥‥やだよ。ユーノ君‥‥ナリン君‥‥クロノ君‥‥‥フェイトちゃん。)
振りかぶられるハンマーを見て私は目をつぶり‥‥‥‥‥‥‥‥攻撃はやってこなかった。不思議に思い目を開けるとそこにはあのやさしくてきれいな瞳を持ったフェイトちゃんがそこにはいた。
「私の友達に…何をする!!」
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