第7話 不幸という単語は本当に不幸者が使うべきセリフ
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「まったく最近はろくな番組がやってないの〜……」

 

おんぼろアパートのとある一室。そこにせんべいを食べてテレビを見ながら横たわってるおばちゃんがいた。

 

「まったく……ってそうえば今日は007室の部屋の荷物期限今日だったな〜」

 

そういいながら重い腰を上げる。

 

「それにしてもあれほど言ったのに来ないとは……あの若造もバカなのかの?

ま、私にはどうでもいいけど」

 

そのままおばちゃんはドアノブをそのまま開けようとする。

 

ピーンポーン……。

 

「ん?誰かね?お客さん?こんなときにったく……。

はいはい、今でますよ」

 

めんどくさそうにドアノブに手を当てて、ドアを開ける。

すると視界いっぱいに、黒服の男たちが出てきた。

 

「な、なんじゃーーーこれは!どこぞのマフィアかーーー!!」

 

あまりにも怖かったのでそのままおばちゃんは後ろに倒れてしまった。

 

「あの……すみません、あなたがここのアパートの大家さんですか?」

 

「へっ……」

 

すると突然透き通るような声が聞こえた。女は下に向いていた顔を上に向けるとそこには顔立ちが綺麗なメイドさんがいた。

というかマリアです。

 

「はあ、そうだけど……」

 

「あの、以前ここに御剣桂馬君という青年が住んでいませんでしたか?」

 

「そ、その青年なら確かにうちのアパートに住んでたけど……今はいないよ?それに今ちょうどその彼の荷物片付けるところだったんだけど……」

 

「ならちょうどよかったです……あのその荷物……うちに引き取ってもよろしいでしょうか?」

 

「別に良いけど……でもなんでそんなことするんだい?もしかして彼の知り合いか何かかい?」

 

「まあ、そんなところです……では荷物の件はこちらで。SP部隊の皆さん〜、お願いしますね〜」

 

「「「うっす!!」」」

 

マリアが少し大きな声で言うとSP集団はまるで祭りにでえる男たちのように気合を入れて答えた。

 

(なんなんじゃまったく……でもまぁ、やっかいごとが消えてよかったの。

ってせめてどこのものか聞いておかないと……)

 

「あのさ〜、あんたたちは何者なんだい?」

 

「私たちですか?私はマリアといいます。三千院家でメイドをしています。

そしてあちらの少し暑苦しい人達は三千院家のSPさん達です」

 

「へっ……三千院って……」

 

「あ、どうやらもう終わったようですね……ではこれで」

 

呆けているおばちゃんを置いてマリア達は帰ってしまった。

 

「……そ、そうえばこれからドラマの再放送の時間じゃったの。

見よう、見ようっと……」

 

現実逃避するかのようにおばちゃんは部屋に戻っていった。

そんな朝の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

―――三千院家、外―――

 

「う〜ん、今日もいい天気だな〜」

 

箒(ほうき)を掃きながら呟いているのは、御剣桂馬。三千院家の新しい執事である。

 

「……それにしても荷物のことは助かりましたね……」

 

荷物のこととはあのときあのオンボロアパートに置いていってしまった桂馬の大切なものたちである。三日以内に消去されるということで昨日の執事試験の後、ナギに相談したら、任せろ、と言われた。後のことは冒頭を確認してね♪

 

「しかしこれで何とか小説のことも何とかなるな〜」

 

「小説?」

 

「えぇ、あともう少しで期限が……ってハヤテ君!?」

 

振り向くとそこには顔には貧乏と書いている少年綾崎ハヤテがいた。

 

「その紹介やめてくれませんか?」

 

「あの、もしかして今の聞いていました?」

 

「えぇ、小説がどうこうですよね?」

 

「そうです……ま、いいかな。話しちゃっても」

 

そう言うと桂馬はハヤテに自分が小説を書いてることを話した。

 

「そうなんですか。へぇ〜……ってえぇーーー!?小説家!?」

 

「そ、そうですよ……」

 

「しかもイチハラカズトって今大人気の小説家じゃないですか。たまにニュースでも紹介されてる」

 

「ただのラノベなんですけどね……それにそんな有名ではないですよ。他の人と比べたら……」

 

他の人が見てもわかるような落ち込みかたをする桂馬。彼の周りにはなんだか暗いオーラが出始めていた。

 

「な、なんかすみません……このことはお嬢様やマリアさんは?」

 

「マリアさんには話しましたけど、お嬢様はまだ……」

 

「お嬢様は確かこの小説、一巻からのファンと言ってましたからね。

多分話したら嬉しがると思いますよ?」

 

「そうなんですか?原作者としては嬉しいんですけど……あんまり人には話していけないことになっているので……」

 

「そうですか……」

 

しかしこれがひょんなことでばれちゃったりして〜。

 

「とてつもないフラグを立てないでくださいよ……」

 

「桂馬君ー」

 

とハヤテと話していると、玄関の方からマリアがやってきた。

 

「桂馬君、少し頼みたいことがあるんですが……」

 

「えぇ、いいですけど、頼みごととは?」

 

「それが今日はお客様が来るんですけど……ちょうど紅茶の葉っぱを切らしていて、それで買ってきてもらいたいんですけど……」

 

「いいですよ」

 

「ではコレを……」

 

マリアは手に持っていた茶色いコートを手渡した。

 

「これって、あの高級のカシミアの……」

 

「あら、よくわかりましたね」

 

「まあ、手触りで大体は……ってハヤテ君?どうしたんですか、そんなに青ざめて……」

 

「いえ、そのコートを見るとあの日のことを思い出して……」

 

「あの日?」

 

ちなみにあの日とはハヤテが始めて伊澄とであった日のことである。

 

「いえ、気にしないでください……」

 

「はぁ……そうですか」

 

ハヤテがそう言うので深くは追求しなかった。

 

「ところでいいんですか……こんな高い服を僕なんかに……」

 

「えぇ、全然大丈夫ですよ。だって服がボロボロになるわけじゃないんですし……」

 

「紅茶を買うのに、そんなことになるわけがないじゃないですか」

 

一名それよりももっとひどいことになった奴がいます。

 

「それって僕のことですか……」

 

「でも注意してくださいね?桂馬君からはハヤテ君と同じ雰囲気がします」

 

「大丈夫ですよ。最近はなんだかいいことが続いていますし」

 

「でも注意したほうが身のためですよ?」

 

「わかりました。では行ってきますね」

 

そう言うと桂馬は門のほうに向かって走っていった。

 

「……ハヤテ君、不安ですね」

 

「えぇ、とてつもなく不安です……」

 

残された二人はそんなことを口走りながら、自分の仕事に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「なんであそこまであの二人は心配しているんでしょうね、まあでも用心に越したことはないから、注意しておきましょう」

 

あれから桂馬はマリアからもらったメモ帳を頼りに店へと向かっていた。

 

「でも、最近作品タイトル名が忘れ去られているように不幸がおきていないからなぁ〜」

 

そんなことを呟いたときだった。

 

「やべぇ!カシミアについたら絶対に落ちないといわれているものが含まれているペンキがーーー!」

 

桂馬の目の前にいきなりペンキが現れた。

 

(なんかドラクエ風ですね……ってそれよりも避けないと!?)

 

なんとか全部をかわす。

 

「大丈夫か?あんちゃん?」

 

「え、えぇ、大丈夫ですよ」

 

(や、やばい……早速何かが起こる予兆ですね、これは)

 

それからどんどんと歩いていくごとにエスカレートしていった。

 

 

 

「や、やばい!?カシミアについたら絶対に落ちないタイプのラーメンの汁が!」

 

「うわっ!?」

 

 

 

「うわー、危ないー!(棒)そんなところにいたらカシミアについたら絶対に落ちないタイプの墨を吐くイカちゃんが乗っている白いトラックがーーー(棒)」

 

「危な!?っていうかイカちゃんって絶対あなたイ○娘見てましたよね!?それとなんで棒読み!?」

 

 

 

 

「おい青年!そんなところにいたらカシミアについたら絶対に爆発するわがサークルが作ったプラスチック爆弾がーーー!」

 

「なんでもの作ってるんですか!しかもなんでカシミアオンリーなんですか!?何かカシミアの物に恨みでもあるんですか!?」

 

 

 

 

 

「うわー危険すぎる(笑)カシミアについたらなんだかんだで存在そのものが消えてしまう悪役ドクターとかが持ってそうな三角フラスコから緑の煙が出ている液体がー(笑)」

 

「(笑)じゃないですよ!もはや笑いどころでは済まされませんよ!?しかもなんだかんだって絶対にめんどくさくなっただけですよね!しかも説明長いし!」

 

(やばい……これ以上歩道歩いていたら、いろんな意味で生きていけない……)

 

これ以上は無理だとわかった桂馬は、ちょうど近くにあった人気の少ない公園から店に行くことにした。

 

 

 

 

 

「ふぅ、さすがにここは大丈夫でしょう」

 

辺りを見回して危険がないかどうか見渡す。

 

(久しぶりの不幸っぷりですね……最近来てなかった分がきたのでしょうか?)

 

少し疲れたのか、どってり感を出す。

 

(それにしてものどが渇いたな……お金なら400円持ってるし、飲み物でも買おうかな?ちょうどあそこにちょうど自動販売機があるし……)

 

そう思って、自販機を見るとそこの前には和服をきている少女がいた。

 

 

(綺麗な髪だな……)

 

と人知れず見とれている。よく見てみるとどうやら何かで悩んでいる様子だった。

 

(何か困りごとでしょうか?だったら見過ごせないな)

 

「あの、何を悩んでいるんですか?」

 

「え?私ですか?」

 

「というか今ここにはあなたしかいませんが……」

 

「そうですね〜。周りを見ていませんでしたから」

 

「そうですか、じゃあ周りが気にならないほど悩むこととは?よければ教えてください。

力になれるかもしれません」

 

「えっとですね……その」

 

「はい」

 

「この機械壊れてるんです」

 

「へっ?」

 

「この前この機械には御札は駄目と言われたのでコレを入れたのですが……」

 

そう言ってその少女が取り出したのは、なんとクレジットカードだった。

 

「この機械はこのカードをかたくなに拒むんです……どうしたらいいんでしょうか?」

 

(僕も予想外のことで色々とどうしたらいいのか……。とりあえずは言いたいことを言おう)

 

「あの、クレジットカードでは入らないので、そこはお札を入れるんですよ」

 

「お札ですか?そうですか。ありがとうございます……あっ」

 

(?どうしたのかな?)

 

いきなり少女が手を口に当てたので、桂馬は少し気になった。

 

「大変です……知らない人と会話してはいけないのと友人に言われたのに、会話をしています」

 

「そ、それは、すみません……」

 

(最初に言ってくださいよ〜)

 

心のなかで呟く桂馬。

 

「でも大丈夫。きっとその友人は優しいのできっと許してくれます……」

 

「それはよかったです……」

 

ゆっくりと話した少女に少しほっとした桂馬であった。

 

「あの少し聞きたいことがあるのですが……」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「私はどこにいくのでしょう〜?」

 

「それは……なかなか難しい質問ですね」

 

「すみません、では少し簡単にしますね。……では友人の家はどこでしょう?」

 

(あの、さっきとハードルが変わってないんですが……)

 

でもそれでも放っておくことは桂馬は出来なかった。

 

「ではその友人の家を一緒に探しまょう。家の特徴とかは大体わかりますか?」

 

「えぇ、大体は……」

 

桂馬の質問に少女はこくんと頷きながら言った。

 

「では行きましょうか、えっと……」

 

「伊澄です。鷺ノ宮伊澄と言います」

 

「伊澄さんですね。僕の名前は御剣桂馬といいます。好きに呼んでもらってかまいません」

 

「ではよろしくお願いしますね、桂馬さん」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

そう言って彼らは自己紹介を済ませたあと、公園を後にした。

 

これが御剣桂馬と鷺ノ宮伊澄の出会いだった。

説明
お久しぶりです。
少し時間を空けてました。というかもっと早くできたのですが少し都合が悪くなり……。
結局まだ映画見れてないっす。

まあそんなことより第七話ですどうぞ。

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