IS~音撃の織斑 二十一の巻:襲来と秀才 |
一夏は直ぐにディスクアニマルを起動し、呪術で巨大化させ、飛び去った。
「一夏!待って!」
(まずい。非常にマズい・・・・!まさかこんな所で大ポカをやらかすとは・・・・!)
一夏は適当な建物の屋上に止まり、直ぐにポケットから携帯を取り出して市に電話をかけた。
『どうした、イバラキ?』
「師匠・・・・生徒の一人に・・・正体・・・・見られました。本当にすいません!」
『やっぱりか・・・いずれはバレるとは分かっていたが・・・・どこの誰だ?人数は?名前は?』
「名前は更識簪。俺と同じ一年です。日本の代表候補生で・・・・」
『待て、お前今更識っつったな?』
市は一夏を遮って確認を取った。
『間違い無く百パーセント更識なんだな?』
「はい。それが何か?」
『だったら心配ない。』
「ええっ?!」
一夏は思わず間抜けの様な声を上げた。
「何でですか?」
『更識の人間は猛にある程度資金を出してくれてる、大事なパトロンだ。ついでに言うと、小暮さんは先代楯無の師匠だ。』
「はあああああ?!え、ちょ、ええええ・・・・?!」
一夏は面食らい過ぎて何をどう言えば良いか忘れてしまう。とりあえず深呼吸を何度か繰り返して平常心を取り戻す。
「俺は一応学園では((正体不明|アンノウン))で、敵でも味方でもなく、のレッテルが張られてるんですけど。これがもし学園中にバレたら・・・・・」
『大丈夫だ。行った所で簡単に信じる奴がいるとは思えない。簪・・・・確か・・・先代の次女か・・・・アイツなら問題無い。心配はするな。それより、二段変身の方、どうなってる?』
「とりあえず、数日の鍛錬の結果両腕だけでした。姫と童子は倒せたんですが、肝心の魔化魍は・・・・」
『まあ、お前なら大丈夫だろう。そいつら町中に現れたんだったな?』
「はい。恐らくオオナマズじゃないかと思ったんですが、念の為という事もあるので、太鼓で倒しました。」
『夏が近付いている、からか?』
「はい。」
『兎に角、更識の事に関しては心配するな。何も起こらない。俺が保証する。』
「・・・・分かりました。師匠が、そう言うなら・・・・」
一夏は電話を切ると、学園に戻った。何の問題も無かった・・・・入り口で簪が待っている事以外では。
(やべ?・・・)
「・・・・説明、ちゃんとして貰うからね・・・?」
「分かった。ラウラ連れて来るから、ちょっと待ってろ。」
ラウラは丁度ルームメイトのシャルロットと一緒にいたので、直ぐにやって来た。
「まず、何から聞きたい?」
「一夏のあの姿は、何?」
「俺は、鬼だ。鬼としての名は荊鬼だ。」
「鬼?」
「お前が考えている様な鬼じゃないぞ?猛と言う組織、聞いた事はあるな?」
「うん・・・((更識家|ウチ))が資金援助をしている組織の一つだって事しか・・・」
「俺はそこで鬼として活動している。鬼とは、日本中に存在する化け物、魔化魍と戦う存在だ。」
「魔化魍・・?」
不可解な単語を聞いて簪は首を傾げた。
「日本で言う、大型の妖怪の類いだな。奴らは最初は小さいが、姫と童子と言う人間の姿を持つ化け物に育てられる。育てる為には、捕食対象、餌を与えなければならない。」
「餌・・・・!それってまさか・・・!」
簪の顔が真っ青になった。
「ああ。そうだ。奴らは人間を餌にする。丸ごと食っちまう。」
「そしてその魔化魍を倒すには、清めの音と言う特殊な波動を使わなければならないのだ。」
ラウラが付け加える。
「清めの、音・・・・」
「そう。猛の支部は、ここだけじゃなく、日本列島全体に点在する。魔化魍の詳しい出所は不明だが、奴らは出て来る。」
「そうなんだ・・・・」
「お前の父親、先代楯無は小暮耕之助と言う男の名を口にした事は?」
「うん、あるよ!ウチに遊びに来た事もある!」
どうやら良い思い出が幾つかあったのか、顔を綻ばせた。
「あの人は元鬼で、今じゃ鬼の武器を作る、開発局長だ。」
「ええええええ?!」
「だが、この事は私達の三人以外誰も知らない。もしこれがバレれば、私や兄様だけではなく、猛全体が危機に陥ってしまう。だから、何があっても、この事は話さないで欲しい。」
「・・・・・分かった・・・・」
「ラウラ、三人じゃ無い。四人だ。」
「え?」
一夏はベッドの下にある刀を引っ張り出して抜刀、ドアを真っ二つに切り裂いた。切っ先は何かに弾かれたが直ぐに構え直す。
「てめえ・・・・何モンだ?盗み聞きとは感心出来ない趣味だな。何故ここにいる?事と次第によっちゃ、俺も一線を越える事になるぞ?」
「あら、怖い。五十嵐一夏君。いえ、イバラキ君だったわね。」
一夏の気迫にも押されず、人を食った余裕の態度を見せる声。それも右手には扇子を持っている。恐らくそれで一夏の刀を弾き返したのだろう。扇子を開くと、達筆で『威風堂々』と書かれていた。
「更識楯無か。こんな所で何の用だ?生徒会長。」
「あら、いけない?」
「・・・・出てって・・・良いから出て行って!!」
「簪ちゃん・・・・・」
簪は叫んだ。楯無は悲しそうな顔をしたが、直ぐに出て行った。
「おい、待て!ラウラ、簪の事、頼めるか?」
「はい。」
一夏は刀を置くと、直ぐに楯無の後を追った。意外にも直ぐに追い付いたが。
「何故、妹との蟠りを解こうとしない?俺だって言えた義理じゃないが、関係ってのは壊したままだと後々響く。簪は、お前にコンプレックスを抱いているんだ。お前は文武両道の学園最強。そして簪はその妹。兄弟が比べられるのは世の常だ、そしてその都度あいつは苦しみ、傷つく。」
「私はね、いつもそう見られていた。」
「え?」
「私は私じゃなく、生徒会長、更識家当主、学園最強、そのタイトルでしか呼ばれない。それは私だけど、私の一部でしかない。私を私として見てくれる人は、片手で数えられる位しかいないから。本当の私は、只の高校生位の女の子なの。」
話している間、楯無はずっと後ろを向いたままだったが、一夏は泣いているのに気付いた。
「そうか・・・・あいつはな、簪は、お前みたいになりたかったんだ。専用機も一人で組み上げようとして、全て一人で積み上げようとした。歩み寄らなきゃ、理解出来る物も理解出来ないだろう?だから、もうやめろ。」
その時、警報が鳴った。
『警告、島に正体不明の生命体が出現。生徒達は全員部屋で待機、教師と代表候補生は、迎撃準備!』
「魔化魍か・・・・行くぞ。」
一夏は忌々し気に呟いた。
「ええ。」
二人は直ぐに校庭に走り出した。そのすぐ後ろにラウラと簪も付いて来る。
「兄様!」
「ああ。相手は魔化魍だ。」
「大勢の前で変身は・・・!」
「分かってる。惑を使う。」
説明 | ||
楯無、初登場です。恐らく起こる原作ブレイクに注意して下さい。 | ||
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