緋弾のアリア〜一般校の転校生〜
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13弾

 

 

 

あの後キンジを探したが、結局見つからず、寮に帰ることにした。

 

「これでキンジが部屋にいたら無駄な努力だよな……あれ?これってフラグ?」

 

ガチャ

 

「なんだキンジここにいたんだ」

 

やっぱりあれって、フラグだったなぁ。

 

「言いたくないなら言わなくてもいいけど、キンジが武偵をやめたい理由って何?」

 

「悪いあまり言いたくない」

 

やっぱりか、まぁ別にいいんだけどね。

 

「うん、分かったそれでもいいよ。でもそれなら、アリアに大したことないって言われて怒るのはさ、アリアと同じなんじゃない?キンジも自分の中で、自分の事情のほうが重要だと思ってる。違う?」

 

「……」

 

「違ってても、あってても、アリアのこと許してやれ。あいつ反省してたぞ」

 

「……あぁ」

 

まだ少し納得できてないか、でもやっぱり、あとは二人の問題かな。

 

 

 

あれからキンジは、アリアのもとに……行かなかった。

本当は、あの後何か考えていたみたいなので、放っておいたのだが、次の日のすごく落ちつかず、無意味にうろうろしたり、テレビをどんどん変えていったりと、ものすっっっっっごくうっとおしかった。

 

「キンジ!うっとおしいから外行ってろ!掃除が進まない」

 

ヘカートを向けながら言う。

だって仕方ないだろ、雑巾かけようとすれば絞らず水浸しにするし、洗濯させれば洗剤をあふれさせる。

 

「あぁ」

 

ほら、返事もどこか上の空。そんなに気になるなら会いに行けばいいのに。

 

 

キンジが出て行ったあと、あっさりと掃除・洗濯が終わり、暇になったので外に出ることにした。

 

「何でこんなにキンジの犯罪現場に遭うんだろう?ねぇキンジ、さすがにストーカーはやめなよ。やられた人は、かなり精神的に辛いんだよ」

 

なぜか俺もやられて、結構真面目に悩んだ。

 

「人聞きの悪いことを言うな!前にアリアから質問せず、武偵なら自分で調べろって」

 

どんだけ理由並べても結局ストーカーはストーカーだよな。

うん、気付いてないようだから言わないでおいてあげよう。

 

「俺も気になるから一緒に行くよ……キンジがストーカーしてるって言うなら止めておくけど」

 

「違うっていってんだろ!」

 

うるさいなー。尾行がばれるだろ。

 

「キンジしー。うるさい」

 

なんかキンジがいらついた顔してるが、無視!

 

 

そして結局アリアが行こうとしてた場所は、警察署だった。

 

「下手な尾行ね。尻尾が見えてるわよ」

 

ありゃりゃばれてたのか。それにしてもキンジ、やましい気持ちがなかったのなら堂々としてればいいのに。

 

「その…お前、前に言ってたろ武偵なら質問せず自分で調べろって。ていうか気付いてならなんで今になって言うんだよ」

 

「残念、気付かれてたのか」

 

「瑞樹!あんたもいたの!?キンジだけだと思ってたわ」

 

……素人に気配を消すスキルで負けるキンジ……変態だし、いろいろ残念すぎる。

 

「まぁいいわ。瑞樹も来なさい、どうせ追い払ってもついてくるでしょ」

 

 

 

そうして面会室に連れてこられた。待っているうちに二人の管理官に見張られながら女性が出てきた。

 

「まぁ……アリア。こちら彼氏さん?」

 

「ちっ違うわよ!」

 

「じゃあここにつれてくるってことは、大事なお友達?アリアもボーイフレンドを作る年頃になったのね。しかも女の子の友達もなんて」

 

今信じられない事を聞いた気がする。女?ここにはアリア以外女はいないはずなのに。

またいつものあれかぁなんでこんなに間違えられるのかなぁ。

 

「違うわ、そういうのじゃない。こいつは遠山キンジ。武偵校の生徒で、武偵殺しの被害者。こっちは波谷瑞樹(なみやみずき )、ママは勘違いしてるけど、男よ。一昨日のバスジャックの時、勝手についてきて少しだけ助けられた」

 

「あらそうなの?ごめんなさい」

 

「いえ、いつものことなので。もう諦めることにしました」

 

もう諦めよう、そのほうが傷は少なくなるはずだ……なんかすごいダメージ受けてる気がする

 

「ごめんさいね。私アリアの母で、神崎かなえと申します娘がお世話になってるみたいですね」

 

「ママ。面会時間が少ないから手短に話すわ。さっきも言った通り、こいつは武偵殺しの被害者で、一昨日にもバスジャックがあったわ。やつの活動は急激に活発になってる。たぶんそろそろ尻尾を出すはず、やつの事件だけでも証明できれば一気に864年の懲役が742年まで縮められるわ。最高裁までに他も絶対に何とかするから」

 

一瞬俺は、自分の耳を疑った。864年!?なんだよその長さは、アリアの話から想像すると、他にもいろいろ濡れ衣をかけられてるな。

今は一体どこまで裁判は進んでいるんだ?1審ぐらいならなんとかなるかもしれないが、2審になるとさすがにまずい。

 

「やだ!あたしは今すぐにでもママを助けたいの!」

 

考え事をしていたら、いつのまにか時間になっていたらしい。

 

「私の最高裁は弁護士先生が引き延ばしてくれてるわ。あなたは落ち着いてまずパートナーを探しなさい。もうあなたは一人じゃ対応しきれないほど大きな危険に踏み込んでいるわ」

 

もう最高裁にまでいってるのか。引き延ばしてくれてるといってもいつまで引き延ばせるか。

 

「時間だ!」

 

管理官が、かなえさんを羽交い絞めにするような形で引っ張った。

 

「やめろ!ママに乱暴するな!」

 

アリアが激昂してアクリル板に飛びかかるが、アクリル板はアリアを受け付けない。かなえさんは二人がかりで引きずられるように運ばれていく。

そして、面会室の奥の扉が無情な重い金属音を響かせて……閉ざされた。

 

 

 

「訴えてやる。あんな扱いしていいわけない。絶対に訴えてやる」

 

と独り言をしながら駅に向かって行くアリアに。

 

「アリア。俺はお前のパートナーにはなれない、お前ほど一生懸命になれない、でもかなえさんを俺は助けたいって思った。だから俺も手伝う。俺の力は小さいけど、手伝うよ」

 

俺はそう声をかけていた。

俺が自分に誓ったことだから。

助けを求める人には、力を貸す。アリアには求められていないけど、必要だと思ったから。

本当は俺じゃなくて、キンジに力を貸してほしかったのかもしれないけど、

それでも必要だと思ったから。

 

説明
〜武偵殺し編〜
一般校から武偵校に転校してきた瑞樹。
初心者なのにSランクになったり、事件に巻き込まれてしまう。
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