ぬこの魔法生活 第27話
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 ◆ 第27話 日常への帰還 ◆

 

 

 どうも、あわや猫鍋の具材になるところだったみぃです。

 鍋の中に猫達がもぐりこんでるなんて可愛らしいものではなく言葉の通りです。

 切り刻まれて、じっくりコトコト煮込まれるところでした。

 苦し紛れにぬこは煮ても焼いても食えないよ! って言ったら「それもそうだね」って放り出されました。

 助かったけどなんか釈然としないです。

 

 それはともかく、次元震の影響が収まってようやくぬこたちは海鳴に帰れることになりました。

 ちなみにユーノが帰る方向はまだ安定してないそうで、引き続き高町家に居候するそうな。

 あわよくばご主人と……とか考えてるんじゃないだろうな、こやつ。ま、断固阻止するがな!

 

 それはそれとして、フェイト嬢とはあれから会う事ができなかったのが心残りです。

 まあ、リンディさん達が進展が会ったらご主人に連絡を入れてくれるそうな……携帯に。

 携帯って次元の外からでも電波を受信できるんですね、初めて知りました。

 日本のIT技術ぱねぇ。

 

 「またね、クロノ君、エイミィさん、リンディさん」

 (お世話に成りました。セラスさんたちにもよろしくお伝えくださいな)

 

 そういう訳で公園まで転送してもらう。

 この転送というのも別れるにしては味気ないよね。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 そんなこんなで日常に帰還しました! ぬこが海鳴にインしたお!

 高町家に帰るのもかなり久しぶりです。

 

 「そういえば、みぃ君はあのとき一緒に帰れなかったもんね」

 (そうなんです。ぬこの事ってどういう風に説明したんですか?)

 「あっ、えっと……その、ね?」

 (……え、何? どんな説明したの?)

 「わ、私は説明してないよ! リ、リンディさんが!」

 

 嫌な予感が倍プッシュだ!

 やばい、急に帰りたくなくなってきました。

 

 (ご、ご主人! ぬこ用事を思い出しました! ちょっと出かけてきます!)

 

 探さないでください! そう言って逃げそうとしたら、回り込まれた。

 

 「ダメだよ、一緒に帰ろ?」

 (ふふ、知らなかったのか? ご主人からは逃げられない……)

 

 そのまま抱き上げられて、抵抗することもできず帰宅するぬこであった。

 

 

 

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 「ただいま〜」

 「おかえり、なのは!」

 

 結局、何の心の準備もできないまま到着してしまいました。

 

 「フフ、ようやく帰ってきたか……みぃ」

 

 あはは、こうなりますよね。

 ぬこが預かり知らぬところで一体なんて説明したんですか? リンディさん。 

 恭也さんがめっさニコニコしてるんですけど……眼だけ捕食者の眼です。

 アレか、笑うという行為は本来、獣が獲物に牙をむく行為であるとか言うやつですか。

 

 「まさかお前がなのはの風呂を覗くとはな……同士だと思っていたがここまでだな!!」

 

 ひぃぃーーっ?! よりによってなんて説明を!

 というか、それで何で帰宅しない理由になってるんだよ! 気付けよ!

 ホントにこの人はご主人の事になると頭がポンコツになるな! このシスコン!

 

 「フハハ! 今から神速からの薙旋だ!!」

 (ぐぬぬ、しかし魔法を覚えたぬこに死角はない! 何度でも防いでやんよ!)

 (あ、みぃ君。皆魔法の事知らないから魔法は使っちゃダメだよ)

 (そんなバカな!?)

 

 何だこの残機ゼロでルナティックな状況は。ぬこ相手にオーバーキルすぎるだろ。

 しかし、ぬこだって成長してるのさ!かかって来ませい。

 

 「あっ、待てッ!」

 

 三十六計逃げるに如かず。昔の人はいい事言ったね!

 

 「私、お腹空いちゃった!お母さん、今日の朝ごはんって何ー?」

 「ふふ、今日はね―――」

 

 ご主人! ぬこの事は放置ですか?

 せめてこの人だけでも何とかしてから行ってください!

 

 「逃がさんっ」

 

 うおわぁッ! かすった?!

 誰か、銃刀法違反です! 通報してやってください!!

 

 このまま恭也さんが学校に行く時間になるまで追い回されたぬこでした。

 洒落にならねぇ。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 無駄に体力を使ったぬこでしたが、久しぶりに翠屋で看板ぬこやってます。

 まぁ、いつも通りダレてるだけなんですけどね。

 

 「ん? おぉ! みぃ君やん!」

 (むむ、その声ははやて嬢)

 「久しぶりやな。ここんとこずっとおらんかったな。どしたん?」

 

 (ぬこは魔法の力を使って世界征服を企む悪の組織との抗争に巻き込まれ、仲間とともに世界を救うために旅に出る。そして何度も傷つきながら、仲間とともに立ち上がり、ついに悪の組織を裏で操る魔王ルシファーと最後の戦いを挑む…! そしてぬこは、魔王の究極奥義にやられて死んでしまう……だがその時! 仲間達の涙が奇跡を生む! 仲間の祈りが届いたのか、ぬこは再生を果たす! 死力を尽くし魔王に最後の一撃を放ち、世界に平和が戻ったのであった……)

 

 「厨二病乙。私初めて厨二病の患者見たわー」

 (うぐっ、冗談です。マジレスは勘弁してください)

 

 事情を話すわけにもいかないので適当にホラを吹いた結果がこれだよ。

 というか、最近の小学生は厨二病を知ってるのか……世も末だな。

 

 「ふぅん、まあなんかよー分からんけど、なんか大変やったんやな。ご苦労様」

 (いや、だからその微妙に哀れんだ目をやめてください)

 「あはは、ごめんごめん。ま、言いたくないんならいいわ」

 (申し訳ないですね。今日もシュークリームですか?)

 「うん。あ、そうや。もうすぐ私の誕生日なんよ。そのときのケーキも予約しとこうかな」

 (おぉ、そうなんですか。ぬこも何かプレゼント用意した方がいいですか?)

 「えっ? 別にええよ。気にしなくても」

 (せっかくのお友達の誕生日に何もしないのはちょっとね……)

 「お友達……ふふ、そうやなぁ。そんなら、魔法見せてくれん? まだちゃんとしたの見たことないし」

 (それは言外にぬこの念話は魔法っぽくないと……)

 「それはどうかなー」

 

 むむ、はぐらかされました。

 今に見ておれ、度肝抜かしちゃる!

 

 (まぁ、いいですよ。でも、ぬこ結界とか張れないんで夜でもいいですか?)

 「ええよ。私、本読んどって夜更かししとるからな。慣れとるよ!」 

 (胸張って威張るとこじゃないです。子供は早寝早起きしなさい)

 「夜行性の猫さんに言われても説得力ないもーん」

 (バカにしないでよね。これでもぬこはいつも11時に寝てるんだからね!)

 (昼の11時ですね、分かります)

 (……なぜバレたし)

 「やっぱし。それじゃ、来月の3日にお願いな」

 

 本当は4日らしいけど、3日に簡易誕生日会をするそうな。

 となると、ぬこの魔法がメインイベントなわけですな! やってやりますよ!

 

 そんな話をしてから、はやて嬢はケーキの予約とシュークリームを買って行った。

 「楽しみにしてるからなー」だそうだ。今更だけどぬこが使える魔法ってそんなに多くないのよね。

 うーむ、手持ちの魔法でどうしましょうかね。

 そんな事を考えながら今日のお仕事を終えたぬこであった。

 

 

 

 

 

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 ―――数日後―――

 

 

 ご主人の携帯のアラームで目を覚ます。

 しかし、二度寝癖の付いてるご主人は少々寝足りなかった様で再び布団に丸まる。

 

 (ごしゅじーん。朝、朝ですよー)

 「むぅ〜あと5分〜」

 (そんなテンプレみたいなことを……)

 

 まぁ、可哀想なので寝かしておこうかなと思ったところで再び携帯が鳴りだす。

 どうやら、電話みたいですな。

 

 (ご主人。電話みたいですよー)

 「ふえっ!!」

 

 慌てて携帯に出るご主人。

 かわいいなぁ、もう。

 

 「えっ?! ホントに!! うんっ、すぐに行く!!」

 (どしたのご主人?)

 「ふぇ、フェイトちゃんにねっ! 本局に移る前にちょっとだけ会わせてくれるんだって!

 フェイトちゃんも、私に会いたいって!」

 (よかったじゃないですか、ご主人! んで、どこに行けばいいんです?)

 「あっ……も、もう一回電話する!」

 

 よほどフェイト嬢に会えるのが嬉しかったみたいですねぇ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 「フェイトちゃーん!」

 

 指定された場所に行くとすでにフェイト嬢たちがいた。

 呼びかけられたフェイト嬢の嬉しそうな顔といったらないね。

 

 

 「あんまり時間はないんだが、二人でゆっくり話すといい。僕たちは向こうにいるから」

 (ごゆっくりー)

 

 よく訓練されて空気が読めるぬこたちは近くの休憩スペースでデバガメする事に。

 

 「デバガメとは失敬な奴だ」

 (事実じゃないか、聞き耳立てながらご主人たちの様子を見てるんだから)

 「自分で言ってて悲しくならないか?」

 (それを言っちゃあ御終いと言うものですよ)

 

 ゆっくりだけど、ぽつぽつと話し始める二人。

 なんというか、初々しいなぁ。

 

 「……言い忘れたけど、ありがとね。フェイトのためにあの手記を探してくれてたんだろ」

 (ありゃ、ぬこが見つけたこととか言っちゃったんですか、リンディさん)

 「そうだよ。なんだい、口止めしてたのかい?」

 (まぁね、あれは自分自身で決めることだと思ったからね。ぬこが見て欲しいとか言ってたら多少なり誘導したみたいじゃないですか)

 「そうかい。でも、ちゃんとフェイトは自分で決めたよ」

 (ん、安心しました)

 

 あ、ご主人がフェイト嬢に抱きついた。

 ようやく友達になれたみたいだね。よかったね、ご主人。

 

 「あんたんとこのご主人様は、なのはは、いい娘だねぇ……フェイトがあんなに笑ってるよ」

 (フェイト嬢もとってもいい娘だと思いますよ。ご主人は人前じゃあ絶対に泣かないから……)

 

 二人は本当にいい友達になる。

 行き過ぎて百合百合な関係にならなきゃいいけど……

 ま、ぬこは自分が対象にならない限りに置いて同性愛には寛容ですよ。

 ただし、美少女に限るがな!

 

 「そろそろ時間だ」

 

 はっ、いつの間にあいつはあんなところに!? 空気読め!

 しょうがないので、アルフさんと一緒にご主人のところに行く。

 

 「思い出にできるのこんなのしかないんだけど……」

 「ん、じゃあ、私も……」

 

 そう言ってリボンを解いて互いに交換するご主人とフェイト嬢。

 なんかいいね、こういうの。やばい、ぬこ泣きそう……

 

 「ありがとう、なのは。きっとまた……」

 「フェイトちゃん……うん、きっとまた」

 「みぃもありがとう。君のおかげで私は母さんの娘だって胸を張って言えるよ」

 (ぬこは何も。それはフェイト嬢ががんばったから。それだけでいいんです)

 「うん。それでも、だよ。ありがとう」

 (……どういたしまして)

 

 どうやら本当にお別れのようです。

 

 「またね、クロノ君、アルフさん、フェイトちゃん」

 (今度会える日を心待ちにしてますね)

 

 別れるのは少し寂しいけど、今度会うときは時間なんて気にせずに、思いっきり話せることになるだろう。

 二人はお友達で。それはこれからもずっと変わらないことだから。

 

 その会えるときが、少しでも早く来たらいい。

 ぬこはそんなことを思いながら、ご主人と一緒に笑顔でフェイト嬢を見送るのでした。 

 

 

 

 

 

 

 ◆ あとがき ◆

 読了感謝です。

 というわけで、無印編の終わりでした。

 最後の推敲して気付いたけど、ユーノ空気過ぎワロタ。許せ、わざとじゃないんだ。

 A's編へはもう1話ほど挿んでから入ります。

 

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