超次元ゲイムネプテューヌ『女神と英雄のシンフォニー』チャプターT最終話『旅立ちの光、陰謀の影』
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「うわっ! ここが協会!? おっきーし、綺麗なトコだね!!」

 

 プラネテューヌの中心市街から離れた郊外。大陸の端の近くに建つ一軒の建築物。プラネテューヌの協会をケイトとネプテューヌは珍しげに見上げている

 

「しかし、思っていたより人が少なくないか?」

 

 このゲイムギョウ界では女神は大陸にとって重要な存在だ。それと密接に係る場所であればそれなりに参拝客とかで賑わっていそうだが、目の前の建造物からはそんな気配が感じられない

 

「モンスターのせいよ、人をよく襲うから。でもプラネテューヌは、そこらへん顕著よね……他の大陸より疲弊が激しいって言うか」

 

「つまり、協会に行こうにもモンスターのせいで行きたくても行けないってこと?」

 

「まぁ、それだけじゃないんだけど……。それより、協会の人に渡島目的を話すの。そうすれば協会が接岸場にも話を通しておいてくれるわ」

 

「分った! じゃ、ちょっと行ってくる!!」

 

「私とこんぱは外で待ってるから。ついでに協会のコトとか、分らないコトも聞いておくといいわ。ケイト、アンタも行ってきなさい。これも社会勉強よ」

 

「了解」

 

 アイエフに軽く背中を押され、ケイトもネプテューヌの跡に続き、協会に入る。協会の中は装飾こそ凝っているものの内装は殆どケイトのよく知る協会と違いが無かった。ホールは中央が大きく開けており、左右に長椅子が列になって置いてある。そしてその奥の方に祭壇が建っている。その脇にドアが見えるが看板が掛かっている。雰囲気的にあの先は関係者以外立ち入り禁止って奴なのだろう

 

「すいません! 他の大陸に渡ったりしたいんだけど! オッケーですか?」

 

 ケイトが協会の内部を見渡しているとネプテューヌは真っ先に協会の一角にある受付窓口に直行し、担当の者に声を掛けていたのでケイトもそちらの方に向かう

 

「はいはい、大陸移動の手続きに凝られた方ですよね。他の大陸に移る目的とその期間を教えていただけますか?」

 

「期間は、よく分んない。目的は……あ、モンスター退治! 世界中を回ってモンスターと戦うの!!」

 

「大雑把すぎだろそれじゃ……。えっと、期間に関しては未定。渡島目的はさっき彼女が言ったとおり、モンスター退治です。移動手続きは初めてなのですが、この場合はやはり傭兵家業……ってことになりますか?」

 

「でしたら、こちらの方で書類を書いておきますね。渡島期間は長期。モンスター被害に関する被災地支援が目的、と。しかし……まだ若いのに、見上げた根性ですねぇ。では、最後にこちらに渡島する方のお名前を記入してください」

 

 そう言って差し出された書類にケイトが自分達の名前を記入して、ふと気づいた

 

(あれ、そういえば此処って素で日本語が使われている……)

 

 異世界系小説の定番と言えば言語の違いが出てくる。よくあるケースとしては異世界に渡った際に何らかの力が働いて自然と解るようになる。と言うのが定番だが、ここでは聞こえてくる言葉も書かれている文字も全て日本語だ

 

「どうかなさいましたか?」

 

「ケイト?」

 

「あ、いえ……何でもないです。えと、これでいいですか?」

 

「……はい。これで終了です、お疲れ様でした」

 

 記入した書類を提出すると係りの人はそれをもって奥に引っ込もうとするがそれをネプテューヌが呼び止める

 

「待って待って! 私達、協会って初めてなの! ココってどんなトコ?」

 

「なるほど、協会初心者の方ですか……。分りました、われわれの起源や成り立ちについて少しお教えしましょう。……そもそも協会とは、遥か昔に女神様がご自身でお作りになられた唯一の組織です。大陸の管理の一切を任されています」

 

 受付の人がホールに出てくると、最奥の裁断を見上げながら説明を始めた

 

「一方で、信仰者を増やす為にに広報活動なども行っているわけです。大まかですが、分りましたか?」

 

「んー……目新しい情報はないかも。でもダメかと思ってたけどわりとフツーに働いている人達なんだね?」

 

「おい……」

 

 幾らなんでもダメは言い過ぎだ。そりゃ地球での宗教関係の団体と言えば世界がどうとか、救いがどうとか訳の判らない演説を延々繰り返し流しながら車に乗ってその辺をウロウロしたり、もしくは直接声を掛けて勧誘を行っているだけで、働いている雰囲気は無い。それぞれに職を持っているのか、もしくはホイホイと釣られた信者連中から色々言って巻き上げているかのどっちかだが

 

「んー……大陸によって、やはりモノは違いますから中にはダメな協会もあるかもしれませんねぇ。今はあまり悪口も言えませんが……」

 

「まぁ、上司とかに聞かれようものなら首が飛びかねんからな」

 

「そっか……ダメな所もあるのか。人間と一緒だね!!」

 

「哲学的な返しですね、でも嫌いじゃないですよ? さて、そろそろお友達の元へ戻られては。待たせたままなんでしょう?」

 

「分かった、ありがと!!」

 

「お手数とらせてスイマセンでした。では」

 

 ネプテューヌが大きく手を振り、ケイトが軽くお辞儀をしてから二人は協会を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおーっ!? なんか大地が割れてるよっ!!?? こんぱ、まさかこれが!! 神々の争いの傷跡ってヤツなんだね!? きっと遥か昔に、ここで世界の派遣を巡って光と闇の壮絶な争いがあったんだーっ!!」

 

 大陸の接岸場。巨大なゲートが聳え立ち、その向こうには跳ね橋が上がった状態で取り付けられている。そして、更に遠くを見れば、薄っすらとだがもう一つの大陸の姿が見える。

 

「……何いってんのあの子?」

 

「すみませんです、ねぷねぷは少し記憶が抜け落ちちゃってるですから、根気強く付き合って欲しいです」

 

「そういえばそんな仕様してたわね。看護学校生のこんぱが言うと説得力あるわ。そういえば三人は何時からの知り合いなの?」

 

「ほんの、数日前です。玄関前で傷だらけで倒れていたのを看病したのがきっかけです」

 

「なるほどね、ケイトの方は?」

 

 と、普通にケイトにも話を降ってみたが次のケイトからの話を聞き、アイエフは少し唖然とすることになった

 

「時期はほぼ同じだ。地球からこっちに飛ばされて、目覚めた所に空から降ってきたネプテューヌが直撃して、一緒にコンパに保護されたって所だな」

 

「降ってきた!? 直撃したっ!!? 倒れていたのを見つけたとか、何かが空から降ってきて、様子を見に行ったとかじゃなくて!?」

 

「ああ、俺の真上に隕石の如く……ズドーン、ってな」

 

 空からヒロインが降ってくる、物語の導入や主人公とヒロインの出会いとしてはよくあるケースだ。しかし、それとて落ちてきて倒れていたのを見つけた、とか。真上に降ってくるにしても木の上からだったり、何らかの石の力で降りてくる速度がものすごくゆっくりだったり、もしくはヒロインには意識があって自ら落下位置を調整できる場合が多い。少なくても空の上から落下先の人物をノックアウト出来るほどの勢いで降ってくるヒロインなんて聞いた事が無い。そして、この広い世界で実際にピンポイントで人の真上に降ってくるなんてものすごい確立だ

 

「そこまで来ると運命的を通り過ぎてあんた達には何か奇妙が縁がある様に思えるわ……てか、ネプ子が空から降ってきたって信じていいの?」

 

「信じていいです。アイエフ、さん」

 

「ん? あー……そういえばずっと「さん」付けよね。いいわよ、ちゃん付けでも。コンパは特別」

 

 別にコンパにあいちゃんと呼ばれても不思議と悪い感じはしない。それにコンパ自身も同年代の女の子をさん付けで呼ぶのに少し不慣れらしい無理してるように感じる。ただ――

 

「あいちゃん、こんぱ、ケイトー! 早く来てよー!! 大陸の端っこいい眺めだよー? もしかして怖いー? 怖いんだー!!」

 

「あの子にちゃん付けで呼ばれるのは同列に見られてるみたいで……なんかイヤだわ」

 

 いつの間にか落下避けのフェンスに手を掛け、風景を眺めていたネプテューヌの傍に移動する。

 

「えーと、ねぷねぷ! この辺りは接岸場といって、大陸と大陸の陸地が時々くっつく場所なんです。別に一つの大陸が割れてるわけじゃないですよ」

 

「へーそうなんだ。でもコレってどうやって渡るの?やっぱジャンプ?? イッヤフー! とか言った方がいいかな!?」

 

「つなぎに赤い帽子でもかぶれば。ネプ子なら渡れるかもね? でもそうじゃなくて跳ね橋があるの。ソレを渡るのに協会からの許可が必要だったわけ。話が通っていれば、今後は自由に通れるはずよ」

 

 そう言ってアイエフが指差した先にはゆっくりと下りていく跳ね橋。そこには新たな大陸へと渡る人がちらほらと見える。やがて、近づいてきた大陸の跳ね橋とこちら側の跳ね橋がドッキングされ人々が行き来し始める

 

「さ、私達も行きましょ」

 

「いよいよ壮大な冒険の始まりなんだね!!」

 

「はいです! 世界中で鍵の欠片を集めてイースンさんを助け出して、世界を救うです」

 

「と、俺の親友とネプテューヌの記憶探しもな」

 

 そして、ケイト達も行きかう人々に混ざり、跳ね橋を渡り始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネプテューヌ、ですか。中々いい名前ですね」

 

 接岸場の方に書類を提出し戻ってきた協会の職員。彼は受付窓口の中に戻り

 

「あなたも、そう思うでしょう?」

 

 そう言って目の前の何かに話しかける。そこには下着姿でロープでぐるぐる巻きにされ、口には布で猿轡を噛まされた男性の姿。ものすごい形相で何かを言おうとしているが猿轡のせいで何を言っているか分らない

 

「ふふ。あ、お借りした服は返しておきますね」

 

 すると、男は着ていた協会職員の制服を脱ぎ、帽子を外す。その下にはビジネススーツを着込んでおり、背広の内ポケットから眼鏡を取り出し掛ける

 

「さて、この事をあのお方にご報告しなくては」

 

 そう言って男はビジネスバッグを手に持ち、その場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物語は革新する紫の大地から重厚なる黒の大地へとその舞台を移す。その地で繰り広げられる再会と出会い。そして水面下で進行する陰謀。果たしてケイトたち四人を待ち受けるものとは――

 

 

 

超次元ゲイムネプテューヌ女神と英雄のシンフォニー〜チャプター1『WelcomeToゲイムギョウ界』end

説明
洞窟で謎の女性の襲撃を受けたケイト達。ネプテューヌの記憶、そしてケイトの使う棒術について何かを知っていた様だが己の不利を悟り、早々に姿を消す。何者なのか気になりつつもアイエフが正式に仲間となり、4人で新たなる大陸を目指すのだった
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