ガンダム学園で僕と握手 007 ユニコーンの日後編<UC・W> |
「新入生の諸君、事は全てエレガントに運びたまえ」
バナージ・リンクスは少し困惑していた。
この生徒会長、頭がおかしいのではないのだろうか?
あまりにも分かりにくい言葉回しだ。
「ねえバナージ、あの人何言ってるの?」
「分からない…分からないよ…」
ミコットも同じことを思っているらしい。
「え、お前ら分からないのか?」
「タクヤ?」
タクヤはバナージを見る。
「タクヤは分かるのか?」
「あぁ。つまりはエレガントに学園生活を過ごせってことだろ?」
「…」
そのまま過ぎる。
「礼節を失った戦争は、悲しみしか生まない…常にエレガントに…」
演説はまだ続く。この後ギレン校長の演説もあると言うのに。
そのとき、バナージは講堂の外から何かの気配を感じ取った。
「…これは」
バナージはキョロキョロと辺りを見回した。
「…よし。すいません」
「ん?」
バナージは近くにいたジンネマンを呼んだ。
「トイレに行きたいんですが」
「ああ。そこの扉から出て…」
「ありがとうございます!」
バナージは最後まで言葉を聞かずに、講堂を出ていった。
何かに突き動かされるように。
「外の方か?」
バナージは外へ駆けだした。
「危ない!」
「え?」
同時に上から声が聞こえてきたので、上を見る。
「あ」
バナージの頭上から女の子が落ちてきた。
「わぁっ!」
バナージは咄嗟のことで反応できず、そのまま彼女の下敷きになった。
「うっ!」
「ごめんなさい…大丈夫かしら?」
「あ、はい…」
バナージは顔を上げて少女の顔を見る。
「き、君は…!」
「…あなた、私を知ってるの?」
女の子はバナージを疑うような眼で見る。
「い、いや…今朝見かけただけ…」
バナージは目を逸らす。
「…そう」
「ところで君は何で上から?」
「…ごめんなさい。追われているの」
「え」
彼女はそう言ってそこから立ち去ろうとする。
「待って。俺、バナージ・リンクス。俺も手伝っていいかな?」
「…オードリー・バーンよ」
「何か聞いたことありそうな名前だなぁ」
「…気のせいよ」
オードリーはバナージを置いて先へと急いだ。
「待って! 何で追われてるの?」
「貴方には関係ないわ」
オードリーはバナージを置いてやっぱり先に行く。
「…ダメだ。そっちは行き止まりだよ」
「え?」
「一人じゃ無理だ。俺も行く」
「姫様」
「!?」
そのとき、バナージ達の背後から声が聞こえた。
「マリーダ…」
「姫様、お戻りください。妙に長いお手洗いだと思ったら…まさか抜け出していたとは」
「いやです。私は戻らないわ」
「しかし…」
バナージは即座に理解。オードリーを追っているのはマリーダというこの女性。
「もう嫌なのです。どこへ行くにも絶対誰かが付いてくるという生活は!!」
「え?」
バナージはオードリーを見る。
「買い物、食事、お風呂、果てはお手洗いまで…」
「オ、オードリーとお風呂…」
「そこの少年、貴様今破廉恥なこと考えていただろう」
「わわっ!」
マリーダに見抜かれてバナージはあたふたする。
「お、俺は別に…」
バナージはそう言いながらハロを操作した。
「…オードリー、走れ!」
ハロをマリーダの目の前に転がし、オードリーに指示を出すバナージ。
そしてそれを瞬時に理解したオードリーはバナージにしたがって走りだした。
「ま、待ってくだ…」
対して、マリーダは目の前のハロに躓いてしまう。
バナージはそのままハロを持ち、オードリーを追った。
だが…
「待って下さい…姫様!!!!」
マリーダは常人では考えられないスピードでバナージを追いかけた。
「ええ!?」
バナージはおろか、それよりも足の遅いオードリーは簡単に追いつかれそうになる。
「こ、このままじゃオードリーが…」
バナージはそこで一つの考えを思いついた。
「オードリー! 男子トイレに駆け込むんだ! さすがの追っ手も撒けるはず…」
だが、バナージの思惑通りにはいかず、二人の女性はバナージを無言で睨む。
「え? ど、どういうこと…?」
「貴方は必要ない、帰って」
「死にたいらしいな」
マリーダは間髪いれずにバナージに腹パンをした。
「うぐぅっ!」
「帰りましょう姫様」
「え、ええ…この人といるよりは安全ね」
「ま、待って…」
薄れゆく意識の中、バナージはオードリーに完全に惚れていった…
「よう」
「え?」
保健室のベッドで眼が覚めたバナージに話しかけてきたのは、金髪の女…ではなく男だった。
「あ、あなたは?」
「俺は保健委員のリディ・マーセナス。お前が女子トイレ前で倒れていたのを発見したのさ」
「ええっ!? そんなところで倒れていたの!?」
「あと一歩で変態だな」
「うわあああああ!! というか俺完全に嫌われたあああああああ!!」
「?」
バナージはリディの胸の中で泣いた…
「…ホモホモしい」
リディは複雑な表情をしていた。
説明 | ||
宇宙暦0093.シャアはアクシズの光に包まれ意識を失った。だが、気がつくとシャアは見知らぬ世界にいた!その世界は、歴代のガンダムのキャラクターたちが学園を中心に生活している世界だったのだ!シリアス成分は少な目で、ほぼギャグのバカコメディ。キャラ崩壊なんて日常茶飯事!作品は1stなどの宇宙世紀作品を始め、平成4作品とSEEDや00などオールです。<>内に主な登場作品を記載しています。 | ||
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