魂 〜蒼い魔剣士が護りたかったモノ〜
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幼女に犬

 

なら、お次は?

 

何? 頼み事?

 

 

魂 〜蒼い魔剣士が護りたかったモノ〜

 

File [3] 頼み事

 

Are you ready!?

 

 

 

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File [3] 頼み事

 

 

 

 

 「なぁ、兄ちゃん」

 

 

見た目はまだ幼く9歳くらいだろうか、右隣の銀髪の少年が声を掛けてくる

勉強机のペアの椅子にもたれ掛り足をブラブラさせて暇そうに、鉛筆を鼻と上唇の間に挟みながら

 

 

 「・・・(カリカリカリ)なんだ?」

 

 

そして兄と呼ばれ落ち着いた声でしぶしぶ応えた左隣りの少年もまた銀髪

右と違いカリカリと音を立てている。宿題をしているのだろう

真面目な性格なのか

 

 

その二人を((見れば|・・・))誰でもこう答える

 

 

 

―――――双子

 

 

 

そう、この二人はよく似た、とてもよく似た((双子|きょうだい))なのだ

ここまで似るものなのかと思う。それほど似ているのだ

 

 

 

 「金髪美女と黒髪美女、どっちが好み?」

 

 「興味ない」

 

 

 

外見だけだが・・・・

でも確かに、外見はどれだけ同じだろうが中身までまるで同じという事は絶対にない

一人一人に個性や性格があり個々として存在している

 

 

 

 「おいおい興味ないって、これっぽっちも?」

 

 「ああ(カリカリカリ)・・・・・・・」

 

 「嘘つけ〜。そう言う奴は大概、人一倍異性に興味があるって証拠だぜぇ♪」

 

 「(カリカリカリ)・・・・・・・」

 

 「無視ときたか・・・ますます怪しいな〜♪」

 

 

 

構ってほしくて未だにちょっかいを掛け続ける弟

そしてそのちょっかいを涼しげな顔で無視し続ける兄。見事なまでの華麗なるスルーっぷりだ

過去に何度も同じ経験をしていたのだろう

 

 

 

 「なぁ兄ちゃ〜ん、どうなんだよぉ〜♪」

 

 「(カリカリカリ)・・・・・・・」

 

 

無視

 

 

 「兄ちゃんってばぁ」

 

 「(カリカリカリ)・・・・・・・」

 

 

更に無視

 

 

 「お〜い・・・・」

 

 「(カリカリカリ)・・・・・・・」

 

 

言うまでもない

 

 

 「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパアァァァァァァン!!

 

 

 

 「ッ!?」

 

 「やっぱりこれだな。いい音♪」

 

 

 

弟の手には典型的なスリッパ

 

 

当然、反応する

 

 

 

 「・・・・・おい」

 

 「お? どうかしたか兄ちゃん?」

 

 「どうかした・・・だと? HaHaa...!」

 

 

 

今ので何かスイッチが入ったのか、突然高らかに笑い出す兄

いつもふざけて兄をからかう弟もこの兄を見て少し引いた

 

兄は滅多に笑わない

 

笑うとしたら小馬鹿にしたように鼻で笑うか声に出さない程度で少し微笑むくらい。だが、今目の前に居る鬼ぃちゃんはどうだ?

口元は異様なほどに歪み、眉間に皺、青筋が浮かんで・・・・キレておらっしゃるご様子

 

 

 

 「え〜と・・・・兄、ちゃん? 手に持ってる分厚〜い百科事典は何? 偽りの笑顔でそんな物持たないでほしいな〜?」

 

 

 

全然笑ってない。めっさ怖い。子供にこんなにも恐ろしい顔が出来るものなのか?

・・・まあ誰であれ頭を叩かれれば怒るのは当たり前だろうが

 

 

 

 「Ha Ha Ha Ha Ha....安心しろ。少しばかり((説教|ころ))してやるだけだ」

 

 

 

怒る? そんなレベル? 怒気より殺気が感じるけども?

えっ? 殺す気なのか?

 

 

非常によろしくない空気。さすがにこれは・・・・何かヤバい

 

後ずさる弟、迫る((鬼|あに))

 

やがて何かに後退を妨げられる――――壁だ。ヤベっ、追い詰められた!

 

 

 

 「ま、まあ落ち着けよ。いつものちょっとしたスキンシップじゃねぇか」

 

 「奇遇だな・・・俺もそんなところだ」

 

 

 

百科事典を振りかぶる。((笑顔|こわいかお))で

当たる! そう思った瞬間――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――コンコン

 

 「二人とも、夕ご飯よって・・・・何やってるの?」

 

 

 

母さんが入ってきた

 

――――『お兄ちゃん』

――――『起きて、お兄ちゃん』

 

ふと、目が覚める。此処に来て丸一日、眠ってしまったようだ

 

 

 

 

呼ばれた気がした

 

なら誰に?

 

そもそも俺を呼んだのか?

 

 

 

 『おはよう! お兄ちゃん!!』

 

 「!?」

 

 

 

辺りを見回す

 

 

 

 

誰も居ない――――

 

 

 

 

――――はずだ

 

 

 

なら今の声は何だ? 姿形は見えないのに視られているような―――

 

気配はするが位置が特定できない・・・気分が悪い

 

自分が不利な状況に置かれるのは堪ったものではない

 

 

試しに目の前にぽわぽわと浮かんでいる黄色に近いぼやけた光みたいなモノを斬ってみた

虚空を斬っただけ・・・・まあそうだろう

普通は何も起きないし、ただ自分のした行為に虚しくなるだけ。何の意味も無い

 

 

 

――――――でも違った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『もぉ〜! いきなり何するの! 危ないでしょっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が喋った・・・・Ha?

これはユメ? 寝ぼけているのか? 俺は

 

意識を完全に覚醒させるために頭を勢いよく振る

 

これで完全に覚めたはずだ

 

 

 

 『朝だから起こしてあげたのに挨拶じゃなくて斬るなんて酷いよ! どういう教育受けたの!? お兄ちゃんっ!!』

 

 

 

・・・・意味が解らない

 

 

 

 『普通は[おはよう]、だよ! ほら! [お・は・よ・う]!!』

 

 

 

光が説教してくる・・・馬鹿な話だ

ただの光だぞ? 魔力も微塵に感じないただの光

幻聴か・・・俺も、末期だな・・・

 

 

 

 『ねぇ、聞いてるの!? お兄ちゃん!!』

 

 

 

五月蠅い・・・黙らせたい

でもそれをしてしまったら何かが終わってしまう気がしてしかたない

しようにもできない。応えてしまったら本当に終わる・・・この声は気のせいだ・・・そう、気のせい

だから無視を押し通し((去る|にげる))ことにした

 

 

 

 『あ!? こらっ! おはようの挨拶しなきゃダメだよ!!』

 

無視

 

 『待てぇ〜!!』

 

無視

 

 『待てぇ〜!!』

 

無視

 

 『疲れた』

 

 「早っ! ッ!?」

 

 

思わずらしくもないツッコミをしてしまった・・・ぼやけた光に

 

 

 

 

終わった・・・・

 

 

 

 『ぜぇ、ぜぇ・・・ほ”ら”、お”は”yッゴッホゴホ!』

 

 

 

・・・光が咳き込んで苦しそうだ。意味が解らん

ほんの少し心配になったのは心の隅に隠しておくとし・・・

反応してしまったのだ、仕方あるまい

まずはコイツは何なのか、そしてどうするか、聞くか

 

 

 

 『ケホ、ケホ・・・・』

 

 「・・・・落ち着いたか?」

 

 

 

表情を読むにも顔が・・いやそれ以前に身体自体が無いから解らないが一応そう聞いてみた

 

 

 

 『う、ん・・・平気、じゃぁなくて!』

 

 「?」

 

 『おはよう!』

 

 

 

・・・それで? どうかしたのか?

悩める俺に何かを求めているかのような不自然な間

 

 

 

 『お・は・よ・うッ!!』

 

 「・・・・?」

 

 

 

何なんだ? さっきからこればっかりだ

そんなに大声で叫ぶとまた堪えるぞ?

 

 

 

 『お・は・よ!?ゴハッ!』

 

 

 

言わんこっちゃない

 

とりあえずまた落ち着くまで待つことにした

 

 

 

 『ケホッケッホ・・・あ”ぁ”〜、喉が痛い』

 

 「そんなに喚くからだ」

 

 『お兄ちゃんが返さないからでしょ!』

 

 「何をだ?」

 

 『おはようの挨拶!!』

 

 

 

なんだ? ただそれだけのために向きになってたのか? ますます意味が解らん

 

 

 

 「なら、返せばいいのか?」

 

 『うん!』

 

 

 

まるで子供だな。気の変わりようが早い

こういうのは上げてやれば直ぐ機嫌が取れる

 

 

 

 『おはよう! お兄ちゃん!!』

 

 「・・・おはよう」

 

 『えへへ〜♪』

 

 

 

すごく嬉しそうだ。そして―――

 

 

 

 「起こしてくれて・・・礼を言う」

 

 『ッ! うん!!』

 

 

 

こう言ってやる。ならどうなるか

 

 

 

 『えへへ〜♪♪』

 

 

 

当然だな、扱いやすい

だがそんな事より――――

 

 

 「少し聞きたい事があるんだが」

 

 『〜♪ 何ィ♪?』

 

 「お前は・・・・何だ?」

 

 

そう、さっきからずっと疑問に思っていた事だ

コイツは一体何なのか? 気になっていた

 

 

 

 『[お前]じゃないよ。後、相手のことを知りたかったらまず自分から名乗れって言われなかった?』

 

 「・・・・そうだな、失礼した」

 

 

 

多分子供(?)に尤もな事を言われた・・・いい気がしない

この流れだと名前を答えるだろう。仕方ないな、答えてやるか・・・聞きたいのは名前じゃなく存在そのもの≠ネんだが

 

 

 

 「バージルだ」

 

 『バージルお兄ちゃんか! よろしくね!』

 

 「ああ、よろしく」―――

 

 

 

―――するつもりはないが

 

 

 

 

 『教えてくれたから私も教えるね! 私はアリシア!』

 

 「そうか・・・」

 

 

 

 

覚えるつもりもなし、興味もない。直ぐに別れるつもりだ

聞きたかったのは名前じゃない。お前が何なのかだ

 

 

 

 「それで、お前はなn『ア〜リ〜シ〜アァ!』・・・アリシアは何なんだ?」

 

 『ん? 何って・・・何が?』

 

 「聞き方が悪かったな。アリシア・・・・人間か?」

 

 

 

さて、どう答えるか―――

 

 

 

 『ああ、そういう事ね。う〜ん・・・人間っていえば人間だけど、こう・・・体はあるんだけど今はそれから離れてる、状態?』

 

 

 

―――そういう事か

 

 

 

 「精神だけの存在、思念体・・・ということか」

 

 『それそれ! お兄ちゃん頭良いね! アリシアがなでなでしてあげる〜♪って、今の私じゃできない!』

 

 「・・・・・・・」

 

 

 

よかった・・・ツッコマずに済んで

 

・・・・もう一つ、聞きたい事があった

うー☆うー☆言ってるとこには悪いが今の状況でとても重要な事だ

 

 

 

 

 「もう一つ、いいか?」

 

 『うん・・・ドウゾ・・・・』

 

 「・・・此処はどこだ?」

 

 『私のお家の庭・・・』

 

 「そういう事ではない。この世界は地球か?」

 

 『ちきゅう? 何それ美味しいの? そういえばお兄ちゃんどうやって此処に来たの? お母さんのお友達?』

 

 

 

地球じゃない世界。なら、魔界・・・でもないな此処は

魔界ならムンドゥス≠ェ真っ先に熱烈な歓迎をしてくれるだろう

俺がスパーダ≠フ血を引く一人だからな。当然か

 

思い耽って4、5分。痺れを切らしたのか、アリシアと名乗る思念体が話しかけてきた

 

 

 

 

 『えと、今更だけどお兄ちゃんは魔導師なの? それともやっぱり剣士さん?』

 

 「魔導師?」

 

 『うん。魔導師はね、魔法が使えるんだよ〜! すごいでしょ!?』

 

 

 

 

魔法があるのかこの世界は・・・異世界ということか

だが、それ以前にこの状況で最も重要な事がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻る事だ

此処へ来れたのだ。帰る手段もあるはずだ

ならこの世界の住人に聞けば話しは早い

 

 

 

 「おm『お兄ぃーちゃん』・・・アリシアは、この世界の住人なんだな?」

 

 『うん、此処に住んでるよ〜』

 

 「なら、アリシアの親に会わせてくれないか? 帰りたいのだが道が解らない。どうも俺は迷子になってしまったらしい」

 

 『うんいいよ。というかお兄ちゃん、迷子さんだったの? (ぷっ)』

 

 「・・・・・・・」

 

 

 

無言の圧力+鋭い射抜くような眼

 

 

 

 『ゴ、ゴメンナサイ』

 

 「では頼むぞ」

 

 

 

こういう手合いには慣れているバージル

昔の経験からだ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自然豊かな庭を導かれるままに悠然と歩く蒼い男

 

やはり此処と馴染めていない不釣り合いな格好だ

 

格好は似合っていないわけではない。むしろ似合い過ぎているくらいだ

 

ただこの場所とは無縁そうな雰囲気がある

 

決めつけるのはよくないが正直有っていない

 

 

 

 

 

 『あ、お兄ちゃん。頼み事があるんだけど聞いてくれる?』

 

 「さっきから気になっていたが、その[お兄ちゃん]と呼ぶのは止せ。気に入らん」

 

 『お兄ちゃんじゃないと出来ないことなの』

 

 「おい、聞いているのか?」

 

 『お願い、お兄ちゃん』

 

 「おい」

 

 『お願い』

 

 「それは俺に何らかのメリットがあるのか?」

 

 『早く帰れるよ』

 

 「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

だが、蒼い男は歩く。己の逝くべき場所に帰るためだけに

 

 

 

 

 『お兄ちゃん』

 

 「・・・・・・・・帰るためだ・・・。いいだろう、早く連れて行け」

 

 『うん! それでね、お願いっていうのは』

 

 

 

 

ただ、只管に蒼は――――――歩き続ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『私の大切な人達を助けて! お兄ちゃん!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己の求めた((闇|ちから))に向かって――――――

 

 

 

 

 

 

File [3] 頼み事 End.

説明
遅くなってしまった・・・ごめんなちゃ←(ダァーイ)

ルビなってる?

駄文です。ドゾ!
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コメント
続きを!(覇王)
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