おばあさんの昔話。
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ある田舎の、結構大きなお家には、

とても皺のよったおばあさんとまだ小さな女の子がおりました。

おばあさんは、笑うとそれはそれは優しそうに目を細めるので

女の子はそうやって目を細めるおばあさんが大好きでした。

 

ある日の夜の事です。

おばあさんは、あんまり女の子が眠れないでいたものだから、ひとつお話を聞かせる事にしました。

 

「おばあさんがまだちいさかったころ、海が近い場所にすんでいてね」

 

おばあさんは目を瞑って、遥か遠いところに手を伸ばすように話し始めました。

女の子はおばあさんが何かの折に聞かせてくれるいくつものおとぎ話をとても気に入っていたので、

ぱっちりとした目をなおのこと大きくして、それはそれは楽しそうに聞き入っておりました。

 

そうしてお話を初めて暫くが経ち、物語も佳境の頃、

眠れなかった女の子がうつらうつらとし始めたところに、おばあさんはそっと言いました。

 

「このお話はね、うそかもしれないし、うそじゃないかもしれない

 だけどね、海もお月様もとても優しいことを、きっと忘れないでいてちょうだいね」

 

女の子はまゆとまゆの間に深くしわを作って、不思議そうにおばあさんを見ました。

おばあさんは、目を細めて愛しげに微笑み返しておりました。

 

窓辺には、ガラスで作った三日月の形をした風鈴が、

風に煽られて心地よく鳴り響いて、夏の夜を彩りました。

 

長いこと考えると女の子は吹っ切れたように言いました。

「あしたも、おはなしきかせてね」

それからいくらもしないうちに、すやすやと眠ってしまいました。

 

おばあさんは漸く寝かしつけた女の子のそばを静かに離れると、ぱたりと窓を閉めました。

 

 

説明
おばあさんから女の子へ、ママから男の子へ、寝る前の昔話はどこかで聞いた懐かしいお話でした。 一応シリーズなので同一タグを付けていこうと思います。宜しければお付き合下さい♪
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タグ
月と少女シリーズ 昔話 ほんわか 童話 

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