お試し2
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『名前を聞かせて?』

 

 とりあえず、腰に差していたワルサーを引き抜き、少女に向ける。

 びっくりしたような表情を見せるが、構わない。

 

 躊躇も猶予も容赦もなく、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは無法地帯。隙を見せたほうは何をされても文句は言えない。それが唯一のルールと言ってもいい。そんな場所で『名前を聞かせて?』と言われてもな。

 

 

ウギャァァァァぁぁぁ・・・・・・・・

 

 

 アサルトライフルで狙われてる状況で悠長に会話なんてできないだろ?

 

「ちょっと待ってて」

 

 そう言い残して弾薬の確保に向かう。

 このご時勢、銃は必需品でかなり入手が楽になった。しかしそれは銃に限ったものであって、弾に関しては恐ろしく値が張り、手に入りにくい。

 そういえば親が言っていた。

「銃を持つのは結構簡単なんだ。その代わり実弾はすごく手に入りづらい。だから覚えておけよ?見せびらかしてるような奴は大概空砲だ。希に実弾を撃ってくるが一発が限度だろうな。逆になかなか出さなかったり、咄嗟に出されたときは死んだと思え。」

 得意げに話す銀行マンは去年あの世へ召されました。そんな知識いつ使うんだよとか考えてたらこの有様。苦笑いしかできないよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ」

 

 収穫は◎。アサルトライフルの弾がまだマガジン三個分あったのは大きかったし、スコープがついていた。狙撃用の銃の弾薬がかなり少なかったので、これはありがたい。

 食料や武器、弾薬に関しては殺して奪うのが基本。それを闇市に持って行って換金、交換することでこの国の人は生きている。なので出来るだけ危険を犯さずに殺すのならば狙撃はかなり有用だが、そこは闇市も承知している。狙撃が絡むものはレートが違うかの如く高い。二週間飲まず食わずで装備は刃物のみでS&w44マグナム百個集めることが出来れば話は別だが不可能だ。威力が高いだけで素人が扱えば肩がもげるものを誰が持とうとする?究極的な利用法は貨幣の代わりにしかならない。オーバーキルしても意味ないしな。

 

『別に待ってない』

 

「とりあえず名前だったよな。|片霧 桐乃《カタギリ キリノ》だ。」

 

『……かたぎり?』

 

 コテン、と首をかしげるのはなかなか可愛い。 だけど動くたびに刃物が擦れる金属音が気になって仕方ない。

 

「そう、カタギリ。これでいい?」

 

『じゃぁ、ぬわって名前、聞いたことある?』

 

「……どんな漢字を書くの?」

 

『怒ると和むって覚えなさいって言われた』

 

「怒ると平和の和で怒和か…………。父が言ってたホウエイケンの人かな?」

 

 故人となった父曰く、外国によく行く人で医者と研究者の中間な人らしい。何をしているのかは全く知らないけど、数年に一回は来てくれていた。初めはアン○ンマンのクッションをくれたのでアン○ンマンのおじちゃんと呼んでいた。

 

『その人の娘です』

 

「へぇ〜---」

 

『行き場がないので、私を守ってもらえませんか?』

 

「---……えっ!?」

 

説明
前回の続きらしきもの
蛇足と言って差し支えないと思うのだけど、書きたくなった
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戦争 孤児 

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