ハーリング大統領救出作戦 |
ハーリング大統領救出作戦
『ケストレルブリーフィングルーム』
とうとうこの日が来た。ウォー・ドック隊の救出から一夜明けて、俺たちは空母ケストレルのブリーフィングルームに集まった。今日、集まった理由はウォー・ドックメンバー紹介とハーリング大統領の救出作戦の作戦内容の説明である。
「全員、集まったようだね」
アンダーセンがそう言ってブリーフィングルームに入って来た。それに、続いていつも通りの数人が入って来た。だが、今日はさらに男性3人と女性が一人入って来た。男性の3人の内一人はアンダーセンと同じ年くらいな人である。
「紹介しよう、ウォー・ドック隊の4番機、ハンス・グリムさんと、2番機のケイ・ナガセさん。そして、隊長のクラウチ・ヒレンべランドさんとウォー・ドック隊機体整備長のピータ・N・ピーグルさんだ」
「ハンス・グリムです。コールサインはアーチャーです。よろしくお願いします」
「ケイ・ナガセです。コールサインはエッジです、よろしくお願いします」
「クラウチ・ヒレンべランドだ。コールサインはブレイズ、よろしくお願いします」
「ピータ・N・ビーグルだ、よろしく頼む」
4人は自己紹介し敬礼した。
「では、座りたまえ」
ナガセ、グリム、クラウチは前の席に座る。そういえば、ヒレンべランドってどっかで聞いたような気があるような。まっ、いいか。
「ああ、そうだ、ビーグルさんには航空作戦の指揮を取らせてもらう」
「えっ、整備長じゃないですか?」
一人の艦長が疑問そうに言った。確かにそうだ。なぜ、整備長のビーグルが航空作戦の指揮をするんだ。
「ビーグルさんは、ベルカ戦争時は戦闘機のパイロットでね、そのために航空作戦の指揮を任せたんだ」
「そういうことですか」
質問した艦長は納得したようだ。
「それでは、異存がなければ航空作戦の指揮は私が取らせていただこう」
ビーグルがそう言うと、モニターに世界地図が映し出された。
「アンドロメダがベルカ語の暗号通信を傍受した。この暗号通信を解析した結果、ハーリング大統領がベルカによって監禁されていることがわかった。場所はノースオーシアとベルカの国境地帯南端に位置する古城に監禁されている」
モニターに映っている世界地図が今、俺たちがいる海域にズームされ、そこから一本の矢印がノースオーシアとベルカの国境地帯南端に位置する。古城がある場所があるとことまで伸びて、その矢印が着いたところがズームされ、その一帯の地図が出る。その地図には古城と湖がある。いや、湖ではない。あの湖はベルカ戦争の傷跡で、7つの核の起爆できた一つのクレーターである。
「古城周辺には対空兵器が設置されている。まずは、これら対空兵器をウォー・ドック隊が無力化する。対空兵器無力化後、シーコブリン隊が古城へ突入し、ハーリング大統領を救出する。その間、ウォー・ドック隊はシーコブリン隊のヘリの護衛と突入したシーコブリン隊の援護をしてもらいたい。私からは以上だ。何か質問はないかね」
するとシーコブリン隊の隊長、ジョシュア・アマジーグが手を上げた。ちなみにアマジーグも昔は、第32大隊に所属しており俺とも仲がよかった。
「艦長、実は若い奴が2人ほどが風邪でダウンしてしまって。戦力が少し足りないですよ。あと1人いればどうにかなりますが」
まさか海兵が風邪をひくとは。まったく最近の若い奴は自分の体調管理もできないか。しかし、あと一人足りないのか。しかたない。まっ、隊長の顔も久しぶりに見たいし、やるか。俺はそう思い手を上げた。
「俺が行きます。大統領救出作戦に」
アマジーグ以外の全員が驚いた。救出作戦とはいえ、古城にはベルカがいる。そのため戦闘は避けられない。俺が救出作戦に出ることは、戦闘に参加することになる。
「ガレ艦長、艦はそうするのかね?」
「大丈夫ですよ。アンダーセン艦長、私の艦には優秀なクルーたちがいますよ」
「わかった。では、許可しよう」
「ありがとうございます。アンダーセン艦長」
俺はアンダーセンに敬礼する。
「アマジーグ!」
「何ですか、ガレ艦長」
「俺が陸軍を出る時にお前に渡したアサルトライフル、まだあるか」
「あります、ガレ艦長」
「わかった。それを使う」
「了解!」
アマジーグは俺に敬礼した。俺もアマズジーグに敬礼する
「決まったようだね。では、大統領救出作戦は明日の1500時に行う。では、各自持ち場に戻りたまえ」
「「「「「「了解」」」」」
翌日
俺は今、昔使っていた愛銃SUGを手にもってシーコブリン隊のヘリにいる。ちなみに艦の指揮はすべてホークスに任せてきた。俺はヘリの窓から外を見た。ちょうどヘリは湖の真上にいる。いや、湖ではない。この湖こそベルカ戦争の傷跡。一瞬にして12000人以上のベルカ国民の命を蒸発させた7つの核の一つの起爆地点である。これと一緒のような者が6つもある。その場所は15年経った今も放射能が強く人がいまだ住めない状況である。
≪こちら、ブレイズ。これより対空火器を排除する≫
ウォー・ドック隊の3機とスノー機が古城周辺の対空火器の無力化に入った。
「ガレ艦長、本当にいいんですか」
アマジーグは心配そうに聞いて来た。
「何を言う。俺の腕はお前がよく知ってるくせにアマジーグ。それと、俺のコールサインはオルフェウスでいいか?」
「わかりました、オルフェウス。じゃ、久しぶりに我らの第32大隊の隊長に会いに行きますか」
「おう!」
そうなことを話しているうちにウォ・ドック隊とスノー機が対空火器の無力化が終わり、ヘリは古城の上空に行き、古城の中庭にゆっくりと降下していく。
「シーコブリン3と5、お前らは先に降りて周辺を警戒しろ」
「「了解!」」
そして、ヘリは中庭に着陸。ヘリのスライドドアを開け、シーコブリン3、5がヘリから降りて、周辺を警戒し周りを見渡す。
≪こちら、シーコブリン3。周辺に敵兵なし≫
「了解、シーコブリン3.全員行くぞ!」
「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
シーコブリン隊と俺はヘリから降り、全員を降ろしたことを確認した後と、ヘリは再び上空へと上昇していく。そして、シーコブリン隊と俺は城内に入る扉の前まで進んだ。
「よし、城内に入るぞ。ゴー!ゴー!ゴー!」
アマジーグの掛け声と同時に扉をけり破り突入する。すると、それを待ち構えていたベルカ軍の兵が一斉にアサルトライフルやらマシンガンやら撃ってきた。俺は急いで近くにあった柱の陰に隠れる。
「こちら、オルフェウス。畜生、機甲部隊がいやがる。どうする、シーコブリン1(アマジーグのコールサイン)」
「このままではらちがあかん。銃撃が弱くなった時、手榴弾を一斉に投げるぞ!」
「了解、シーコブリン1」
そして銃撃が少し弱くなった。その隙を逃さず手榴弾を手に取り、口で安全ピンを抜き敵兵に向かって投げた。それに、続いてシーコブリン隊も次々手榴弾を投げる。
「手榴弾!伏せろー!」
敵兵が叫ぶが時遅し。手榴弾は敵兵が集まっている所に落ちて爆発し敵兵は吹き飛ぶ。
「よし、クリア」
シーコブリン隊と俺は先へと急ぐ。扉を次々けり破り進んでいくと天窓がある広い所に出た。すると、突然天窓が割れ、上からガラスが降り注ぐ。
「上だ。上から攻撃されてるぞ!」
急いで上を見ると10人くらい敵兵がいる。その内1人がRPG7を撃とうとしている。俺は急いで愛銃のSUGをRPG7を構えている敵兵に向けて発砲。撃った弾は胸に命中しその反動でRPG7のトリガを引き発射されたが、ロケット弾は俺たちじゃなく、俺たちの正面にある巨大な扉の方へと向かっていく。その時、巨大な扉が開き敵兵が出てきた。
「正面の扉から敵増援部t…あ」
正面の扉から敵兵が出てきて僅か数秒後にロケット弾が弾着。増援部隊はあっけなく全滅した。
「あるいみ奇跡だな。残りの敵を掃討するぞ!」
アマジーグがそう言うと俺とシーコブリン隊は残りの敵を殲滅を開始。増援部隊が呆気なく全滅したせいで残りの敵兵はパニックになっているため、殲滅はそう時間は掛からなかった。
「よし、クリア。前に進むぞ」
俺とアマジーグを先頭に巨大な扉の先に行く。巨大な扉の先には真っ直ぐに続く通路がある。先に進もうとした時、通信コールが鳴り響く。アマジーグは素早く無線機をとる。
≪こちらシーコブリン0(ヘリのパイロットのコールサイン)。緊急事態が発生した≫
「どうした、シーコブリン0」
≪ベルカの奴ら戦闘機まで持ち出して来た≫
「戦闘機だと!」
その言葉を聞いて俺は混乱した。いったい奴らは何処から戦闘機を作る金を用意したのか。だが、すぐにあることに気付く。今、ベルカの本部はグランダ―・I.G社。かつては南ベルカ兵器産業省と言われ、性能を落とさず2機の予算で3機も作れた。だとするとグランダ―・I.G社も2機の予算で3機も作ることも可能である。それを利用し、オーシアが2機の戦闘機を発注し、2機の予算をグランダ―・I.G社に渡す。だが、グランダー・I.G社は2機の予算で3機作ることが可能である。そして、3機作り、2機は発注したオーシアに、残りの1機は自分たちの物にすれば、タダで1機の戦闘機が使えるのだ。そうだとすれば、奴らの戦闘機はオーシアの金で作られたことなる。
≪ああ戦闘機だ。さらに、敵地上増援部隊も来てる。今の所はウォー・ドック隊がどうにかしてくれてるが、このままだとまずい。早く大統領を救出してくれ≫
「了解した。シーコブリン0」
アマジーグは無線を切り眼を閉じる。しばらくたって再び眼を開ける。その眼は昔第32大隊いたころの眼つきだった。
「シーコブリン1から全員へ、突っ込むぞ!」
「し、しかし、慎重に言った方が」
「そんなこと知るか!行くぞ!オラオラオラオラオラオラオラォㇻ………」
アマジーグは大声を出しながら突っ込んで行った。その姿を見た俺も第32大隊のいた頃の血が目覚めた。
「隊長が壊れた!オルフェウス。どうしますか!」
「ふっふふふふはははは。全員突っ込むぞシーコブリン1に続け!おらおらおらおらおら―」
俺も大声を出し、アマジーグの後を追う。
「オルフェウスまで壊れた!ええ、ヤケクソダだ!全員、シーコブリン1とオルフェウスに続け!」
「「「「「「「了解!」」」」」」
そして、他のメンバーも突撃を開始する。俺はすでにアマジーグに追いついていた。
「オルフェウス、昔の血が目覚めたようだな!」
「お陰様でな。こっからが本気だ行くぞシーコブリン1!」
「わかってるよ。行くぞ!」
「これ以上の侵入を許すな!撃て!撃て!」
目の前に敵兵4人が姿を出し、こちらに向かって撃ってきた。
「「当たるか!」」
俺とアマジーグは銃弾を回避しつつ、敵兵に向かって発砲、敵兵2人に命中し、倒れる。もう2人はアマジーグが倒していた。ちょうどその時にようやく他のメンバーが追いついた」
「隊長!」
「遅いぞ貴様ら!一体何をしていた帰ったら甲板100周だ!」
「「「「「「サーイエッサー!」」」」」
アマジーグの怒鳴り声でシーコブリン隊のメンバーは少し怯えている。だが、そんなことに構わずに俺とアマジーグは突っ込んで行く。たまに俺たちの前に敵兵が現れるが俺とアマジーグが速攻で排除する。そして、次の扉が見えてきた。だが、扉の前にはバリゲートと設置機銃があった。もちろんの事敵兵は設置機銃をこちらに向けている。
「シーコブリン1。扉の前にバリゲートに機銃です!どうしますか!」
「そんな物で俺たちが止まると思ったか!シーコブリン7、RPG7を撃て!」
「え、しかし」
「いいから、撃て!」
「りょ、了解!」
シーコブリン7は戸惑いながらRPG7を発射。設置機銃を構えていた敵兵はRPG7に気付き慌てて逃げるが間に合わずそのままバリゲートに命中。バリゲートは勿論、敵兵、設置機銃。扉もろとも吹き飛ぶ。
「よし、よくやった!あの扉に突っ込むぞ!ゴー!ゴー!ゴー!」
俺たちは扉の中へ突っ込む。扉の先に長いテーブルがあった。その、テーブルの向こうにある扉が開き。中から敵兵が大量に出て来た。出って来た敵兵はテーブルに身を隠しながらこちらに向けて銃を撃ってきた。俺たちもテーブルに身を隠しながら応戦を開始する。
「くそ、テーブルを挟んで敵と撃ちあいだ」
「なんだよ、晩餐の用意はしてないのかよ」
アマジーグが軽口を言っているが、状況はこちらが劣性である。だが、この程度の劣性は第32大隊のいた頃に比べるはまだ軽い。
「シーコブリン1!」
「なんだ、オルフェウス!」
「突っ込むぞ!他のメンバーには援護を頼んでくれ!」
「お前なら言ってくれるとおもっていいたぜ!よし、俺とオルフェウスが3、2、1で突撃する。他は援護だ!」
「えっ、隊長!危険です!」
1人が反対したが、アマジーグはまったく聞いてない。
「オルフェウス、行くぞ!」
「了解!」
「よし。3、2、1、ゴー!」
アマジーグのゴーと同時に俺とアマジーグは身を乗り出しテーブルの上に立ち、目の前にいたアサルトライフルを構えていた敵兵の頭部に命中し敵兵は倒れる。俺はそのまま敵側にジャンプし着地。突然突っ込んできた俺に、動揺している敵兵にSUGを撃ち、蜂の巣にし、そして後ろにいる敵兵に回し蹴りで蹴り飛ばし、倒れた敵兵にすぐに撃ち、殺す。
「まず3人!」
次に横にいる敵兵にナイフを投げ、敵兵の喉を切り裂き、首から血が吹き上げる。
「く、くそ――!」
敵兵の1人が叫びながらこちらにRK-47を撃ってきた。すぐに右へと転がり回避し、撃ってきた敵兵にSUGを向けてトリガを引いた。しかし、
「弾切れか!]
先程、撃って来た敵兵は俺が弾切れになったことに気付き、こちらに突っ込んできた。俺はSUGから空になったマガジンを外しそれをこちらに突っ込んでくる敵兵に投げ、顔面にクーリンヒットし敵兵は余りの痛さに手で顔を抑えてその場に止まる。その隙に俺は左腕にナイフを持ち敵兵へと走って接近する。敵兵は手で顔を抑えているためこちらに気付いていない。
「なっ!」
ようやく敵兵は、俺に気付きRK-47を構えるが時遅し。俺はそのまま敵兵の心臓に目掛けて刺し、そして、抜く。刺した敵兵は力なく倒れる。俺はナイフをしまい。新しいマガジンを取り出しSUGにリロードし、後ろからナイフを構えて突っ込んでくる敵兵に気付き素早く振り向きSUGを撃つ。放たれた弾丸は敵兵の頭部に命中し、敵兵は戦死する。
「これで6!シーコブリン1は!」
「こっちも6!」
俺はアマジーグの方を見るとちょうどリロードしているところであった。周りには血を流して倒れている敵兵が6人いる。
「たっ、たった2人でこうもあっさりと」
「く、くそ!あの2人は化け物か!」
「おい、あの2人の戦い方『地獄の犬』と一緒の戦い方じゃないか」
「『地獄の犬』って、あの地獄の犬なのか」
敵兵は恐怖に怯えている。今なら突破は容易くできる。俺はアマジーグにアイコンタクトをするとアマジーグは頷いた。
「全員今だ!突っ込め!ゴー!ゴー!ゴー!」
「「「「「「「了解」」」」」」」
シーコブリン隊が一斉に突撃を開始する。その結果、敵兵はパニックになり、総崩れになった。敵兵は入って来た扉へと撤退していく。
「よし、いくぞ!」
俺たちも敵兵が撤退した扉に入る。その先にはとても古城じゃありえない設備があった。監視カメラの映像モニターや通信機材、さらにディスプレイ―などがあり、その設備は軍の基地の司令部に匹敵するほどである。どうやらここが指揮所であるようだ
「指揮所に突入した!敵の中枢だ!」
「指揮所の後ろの扉にバリゲートと設置機銃!」
指揮所後ろを見ると扉の前にバリゲートと設置機銃されていた。そのバリゲートに身を隠しながらこちらに発砲している敵兵が10人を確認した。俺は銃弾を避けながら近くのディスプレイーに身を隠し敵兵の装備を確認。設置機銃で発砲している敵兵が4人。アサルトライフルで攻撃しているのが4人。設置機銃に弾薬を補充する敵兵が2人いる。しかも、設置機銃が4つもあるため今まで以上に攻撃が激しい。
「くそ!大統領は無事なのか」
「わからん。だが、あの扉の中に大統領がいるだろう。そうじゃなければ敵があんなにも必死じゃない」
「シーコブリン2、6.しゃべってる暇があったら撃て!」
「「サー・イエッサ!」」
アマジーグは無駄口を言っているシーコブリン2、6に怒鳴っているが、シーコブリン6が言った通り、大統領はあの扉の中にいるだろう。だが、どうやって突破する。設置機銃が4つもあるため弾幕が濃く近付くこともできない。俺はなんとか突破する方法がないのか、今の装備を確認する。手榴弾とスタングレネードが共に1つ。SUGのマガジンが4つある。それを確認し再びバリゲートの方を見る。敵兵はバリゲートに全員集まっている。そのため、手榴弾で一網打尽にできるが、扉の中にいる大統領を巻き込むかもしれん。だとすると、スタングレネードで目を潰すのが一番か。
「シーコブリン1」
「どうした、オルフェウス!」
「このままじゃラチがあかん俺がスタングレネードを投げる。スタングレネードが炸裂したら同時に突っ込む!これで行くか!」
「わかった、それで行くぞ!」
「了解!シーコブリン1。全員!目と耳を塞げ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
シーコブリン隊は俺が言った通りに目と耳塞いだ。それを確認した俺は右手でスタングレネードを取り出し、口で安全ピンを抜きバリゲートの方へと投げて、急いで目と耳を塞ぐ。その直後にスタングレネードが炸裂し眩しい光と高い音が指揮所を覆い尽くす。
「よし、今だ!てっ、あれ」
眩しい光と高い音が収まり突撃しようと目と耳を開けると敵兵は全員気絶していた。
「ふっ、スタングレネード一発で気絶とは、だらしないな。行くぞ!」
俺とシーコブリン隊は扉の前へ行き、気絶している敵兵をロープで縛る。
「よし、大統領とご対面だ、身だしなみ整えろよ」
いつのまにかアマジーグは元に戻っていた。俺も元に戻るため深呼吸をし、心を落ち着かせる。
「よし、開けるぞ!」
そして、ドアを開け中へと入る。中にはスーツを着た男が2人とオーシア空軍の軍服を着た男が1人いた。スーツを着た男の内の1人はハーリング大統領であった。
「大統領!」
「アマジーグとガレ。どうして君たちがここに」
「話は後で。今はここから脱出しましょう・ところでその2人は?」
「ああ、私の秘書のトニーと空軍の輸送機の副機長のアンバニだ」
「わかりました。トニーさん、アンバニさん立ってますか?」
「ええ、なんとか」
「私も大丈夫です。くっ」
トニーとアンバニはふらつきながら立ったが、アンバニはすぐに倒れてしまった。それを見たシーコブリン3が急いでアンバニの元に行き容体を調べる。
「かなり衰弱しています。急いで手当しないと」
「わかった。全員、急いで脱出するぞ。シーコブリン2、3はアンバニさんを頼む」
「「了解」」
シーコブリン2はすぐにアンバニのもとに行き肩を貸す。
「すまない」
「いいんです。行きますよ」
アンバニはシーコブリン2、3の肩を貸り、なんとか立ち上がり指揮所から出ようと入って来た扉へと向かおうとした時だった。
「くそ!敵増援部隊」
入って来た扉から敵増援部隊が次々と入って来た。シーコブリン隊と俺は急いでバリゲートに身を隠す。その直後に、敵部隊が撃って来た。
「どわ!」
「くそ!なんて数だ!」
指揮所に入って来た敵兵はざっと30人以上はいる。さらに出口は俺たちが入って来た扉しかなく、完全に袋のネズミだ。
「くそ!何処かに出口はないのか」
俺は周りを見渡すと大統領が閉じ込められた部屋に鉄格子がハマった窓を見つける。俺は大勢を低くして、窓がある所に行き、その窓から外を見ると、ヘリが1機が着陸できるスーペスはある。ならば、この壁を破壊しその破壊した壁から外へ出ってヘリで脱出するしかない。
「シーコブリン1」
「シーコブリン1から全員へ!」
「アマジーグ、少しいいか」
「「「え?」」」
俺はアマジーグにこの案を伝えようとアマジーグを呼んだが、それと同時にハーリング大統領もアマジーグを呼び、アマジーグは全員呼んだ。
「先にアマジーグが言ってくれたまえ。それでいいかねガレ」
「はい、それでいいです」
「わかった。いいかよく聞け、あの壁を爆薬で破壊し穴を開ける。その穴から外に出たら、脱出する。幸い、あの壁の向こうはヘリ1機が着陸できるスーペスはある」
アマジーグは俺が考えていた案とまったく同じことをいった
「で、大統領とオルフェウスは」
「私か、アマジーグと一緒の内容だよ」
「大統領もですか」
「その様子だと、ガレも一緒の内容のようだね」
「その通りです」
まさか、大統領まで一緒の内容を考えていたとは。そういえば、第32大隊にいったころはよく、考える内容が一緒だったな。俺たち3人。
「よし、じゃ行くぞ、シーコブリン2、7は壁に爆薬をセットしろ」
「「了解!」」
「他の者は爆薬のセットが終わるまで時間稼ぎだ。行くぞ!」
「「「「「了解!」」」」
シーコブリン2、7は壁に爆薬をセットし始める。俺たちは爆薬をセットするまで時間稼ぎをするため、バリゲートを中心に応戦する。俺は敵が使っていた設置機銃を使って応戦する。残りの3つの設置機銃はアマジーグ、シーコブリン4、シーコブリン9が使っている。ちなみに、大統領はバリゲートに身を隠し、先程ロープで縛った敵兵が使っていたRK-48を使い応戦している。シーコブリン5が大統領に「大統領!危険ですから、下がってください!」と、言っているが、大統領はそれを無視している。まっ、あの人なら大丈夫だろ。元は第32大隊の隊長だ、そう簡単にはやられないことは俺とアマジーグがよくわかっている。それにしてもまだか壁の破壊は。
「だめだ!この壁は手持ちの爆薬じゃ破壊できない!」
「なんだと!」
くそ、あの壁を破壊しなければ俺たちは完全に退路が断たれる。どうにかしてあの壁を破壊する方法はないのか。このままだと…
「隊長!」
そんな時だった。シーコブリン7がアマジーグに話しかけて来た。
「なんだ、シーコブリン7。こんな時に!」
「あの壁を破壊する方法は1つあります!」
「なに!手元の爆薬じゃ破壊できないとさっき言ってただろう!」
「確かに手持ちの爆薬ではあの壁は破壊できません。しかし、戦闘機のミサイルなら破壊できます!」
「それって、つまり」
「一か八かですが、これしかありません!」
シーコブリン7が言ったこの案は下手すれは俺たちが崩落した瓦礫に生き埋めになるまさに一か八かだ。
「本当に一か八かだな。だが、今はそれしかないな。よし、ウォー・ドック隊にこのことを知らせろ!」
「了解!ウォー・ドック隊、聞こえるか!こちらは―――」
シーコブリン2はウォー・ドック隊にこのことを知らせる。
≪了解、シーコブリン2。すぐにやる。位置は?≫
「いま、データを送った、もうじきHUDに表示されるはずだ」
≪今、HUDに出た40秒後にミサイルを発射する。壁から離れてくれ≫
「了解!ブレイズ頼むぞ!」
シーコブリン2、7は壁から離れ、俺たちと一緒にバリゲートを中心に応戦を開始する。しばらくして、戦闘機らしきジェット音が近づいて来た。そして…
≪ブレイズ、FOX2!≫
ズドーン
「うお!」
爆音と同時に壁が吹き飛び大穴が開き、土煙と黒煙が舞い上がる。
「危なく下敷きになる所だったぜ!」
「脱出するぞ。彼らが作ってくれた道で!」
「「「「「「了解!」」」」」」
俺たちは壁に開いた大穴から外へと出る。俺は外に出る前に敵兵に最後の手榴弾を投げ、外へと出た。その直後、手榴弾が爆発した。これで、ちょとは時間稼ぎになる。
「シーコブリン1からシーコブリン0へ、ことらが確認できるか!」
≪こちらシーコブリン0、確認した。これより着陸する≫
ヘリはゆっくりと降下し着陸する。そしてスライド式のドアが開き急いでヘリに乗る。
「積み残しはないか」
「OKだ全員いる。急いで上がってくれ!」
「了解!上がるぞ!」
ヘリは再び大空へと舞い戻り、フルスロットルで古城から離れる。俺は窓を見ると、外には多数の白いカラーリングした戦闘機が飛んでいる。どの戦闘機もヘリを撃ち落とそうとこちらに向かって来るが。だが、ヘリを攻撃しようとする戦闘機はウォー・ドック隊がすべて撃ち落としている。その光景は大統領も見ていた。
「アマジーグ、あの4機の戦闘機は?」
「彼らはウォー・ドック隊です。ベルカによってスパイ容疑を掛けられた所をアンダーセン艦長の指示で偽装撃墜し救出しました」
「ふむ、アンダーセンも舞台裏に気付いたようだね」
「はい」
ハーリング大統領は目を閉じ、何かを考え始めた。おそらく今後どう動くか考えているだろう。俺は再び窓を見ると白いカラーリングの戦闘機が撤退していくのが見えた。どうやら追撃を諦めたらしい。
≪シーコブリンへ、敵機は撤退していきます。もう大丈夫です。≫
「うっ、この声は」
ハーリング大統領はウォー・ドック隊2番機ケイ・ナガセの声を聞き少し驚いた顔をした。
「どうしましたか、大統領?」
「ああ、すまないが無線機を貸してくれないか彼らと話がしたいだが」
「わかりました」
アマジーグはハーリング大統領に無線機を渡し、ハーリング大統領はその無線機でウォー・ドック隊と会話を始めた。俺はまた窓の外を見る。すでに、白いカラーリングした戦闘機はもう姿なく、ウォー・ドック隊のF-14がヘリの周りにいるだけであり、俺たちはケストレルに帰って行くのであった。
その後、俺たちは無事にケストレルに帰還した。帰還してすぐにハーリング大統領、トニー、アンバニは検査のために医務室に運ばれたが、ハーリング大統領とトニーは多少の衰弱はしていたものの、健康状態には問題なかった。一番、衰弱していたアンバニも命に別状はなかった。こうして、ハーリング大統領救出作戦は成功に終わった。
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