夜天の主とともに  23.拳士VS狙撃手 その@
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夜天の主とともに  23.拳士VS狙撃手 その@

 

 

はやてside

 

プルルルル…プルルルル…プルル、ガチャ。

 

「はい、もしもし八神ですけど。」

 

『あの〜シャマルです。』

 

「あ〜シャマル、どしたん?」

 

『はい、あのオリーブオイルが探していたのがなかったので少し離れたところまで行ってきますので少し遅くなりますね。』

 

その言葉に思わずふふっと笑ってしまう。シャマルはホントに真面目やからなぁ。

 

「そこまでせんでもええんよ。」

 

『いえ、そのついでにみんなも拾って帰るので。あとさっき健一君と会って今日はそっちに行ってもいいかって聞いてましたよ。』

 

「ホンマか!いまそばにおるん?」

 

『いえ今はシグナムたちの用事を手伝ってます。早く終わらせてご厄介になるとのことですよ。』

 

「うん、了解や。じゃあまた後で。」

 

ガチャ。

 

「そっかぁケン君久しぶりに来るんか。ほな腕が鳴るで。やから…」

 

 

はよこんかなぁ。

 

はやてside

 

 

 

 

ビルの瓦礫の中からのっそりと体だけを健一は起き上がらせた。騎士服についたほこりや粉じんを手で払う。

 

〈マスター大丈夫ですか?〉

 

「ああ一応戦闘には支障はない。まともに食らったぶんダメージはあるがな。」

 

〈すみません。私がもっと早くに気づき防げていたらマスターならあれぐらいの攻撃でダメージは受けません。〉

 

「いやジェナは悪くない。むしろ攻撃が真正面からしか来ないと油断していた俺が悪い。あの状況でよくやってくれたよ。それよりさっきの真逆からの攻撃お前はどう思う?」

 

〈おそらく長距離狙撃の上での遠隔操作による攻撃だと思われます。〉

 

「さすがの解析だな。まずは攻撃してきた相手を無力化する。できれば蒐集も。攻撃の方は全神経を集中させてなんとかさばく。その時はサポート頼む。」

 

〈もちろんです。〉

 

「ただ相手もバカじゃない。たぶん狙撃場所も変えてるし場所がわからないように狙撃してくる。」

 

〈こちらから場所を特定させない程離れていて尚且つ的確にあらゆる角度から撃てるということになりますからなかなか。マスターの残り時間も考えると持久戦になるのはあまり好ましくありませんがどうされますか?〉

 

「ん〜まぁなんとかなるんじゃないか?」

 

健一がいる場所から遠く離れたビルの屋上、狙撃手ナリン・ノーグルは愛機のヴィトルのスコープを覗きながらそこにいた。

 

「オッケーやでヴィトル。やっこさんの狙った場所にしっかり当たっとる。今日もお前さんの長距離狙撃の精密度も抜群やな。」

 

〈マスターの長距離遠隔操作もいつも通りのようでこちらも安心。ただ一つ問題があるとするならば……〉

 

「そやな、今の不意打ちで倒せへんかったちゅうことよな。込めた魔力も全力じゃないとはいえまともに食らえば仮に倒せないにしてもかなりダメージが与えられるはずなんよな。はずなんやけど…。」

 

もう一度スコープを覗きこみ健一を見る。健一は何もなかったかのように砂埃などを払いながら立ち上がっていた。

 

〈あまりダメージがない模様。〉

 

「それも複数同時に当てたのにもかかわらずってのが気にくわへんのぅ。まぁでも全くダメージがないわけやないしこっちも威力は全開あらへんしなんとかなるんやない?」

 

〈私に聞かない。マスター、こんなときまでほんとのんき。〉

 

「いつも通りにするって大切なんやで、覚えときぃヴィトルも。まぁこれでも真面目に考えとるから安心しぃ。」

 

〈了解。…目標ビルから出た。マスター、指示を。〉

 

ヴィトルの報告にスコープを覗いてみると確かに出てきていた。

 

「とりあえずなのはから離れてもらうとしますかいな。」

 

〈All right.Sniping shoot.〉

 

銃口に紅の魔力弾が形成され同じものがナリンの周囲にもおおよそ10個ほどが展開された。そしてビルから出て周囲の様子を窺っている健一に向かって第一射が放たれた。

 

放たれた魔力弾は全て寸分違わず健一へと向かった。今度は全方向に警戒していたからかその全てを避け、防御し、拳で粉砕した。

 

(さすがに当らへんか。これも想定内。)

 

さらに魔力弾を複製し発射する。その数は先刻よりもさらに数を増やしていた。健一はそれも同じように防いでいたがそこでふと気が付いた。

 

(これは……誘導されている?)

 

実際のところ健一はナリンによって元いた場所、つまりなのはから距離を取らされていた。ナリンの目的はまずは負傷しているなのはから相手に気付かれぬように違う場所へと誘導することだったのだ。

 

〈どうされますか?〉

 

「おそらくこの先にこれをやってるやつがいるんだろう。だったら望むところだ。」

 

健一は迫りくる魔力弾を防がずそのまま加速し前進した。魔力弾が時折体を掠めその度にバリアジャケットがわずかに焦げるが減速するどころがさらに加速した。

 

その甲斐あってかついに健一の視界にビルの屋上からこちらを狙っているナリンが映った。

 

「スナイピングシュート!!」

 

ナリンは高速接近してくる健一に4発放った。今度は魔力弾からレーザーのようなものへ切り替えている。健一は両腕をクロスさせてさらに障壁を張り正面突破を試みた。

 

「(かかった!)ホールディング!!」

 

「!?」

 

レーザーは向ってくる健一を避けるような動きをしたかと思うとそのままがんじがらめにバインドしたのだ。健一はすぐさまバインドを外そうとした。

 

「ワイはフェイトみたいに甘ぁないからトドメ刺させてもらうで。ヴィトル、バレル展開後チャージ開始。」

 

〈Charge start.……………Full charge.〉

 

「フレアレイ!!」

 

バレルを展開しチャージし終えたヴィトルの銃口から確かな熱を持った高熱レーザーが複数一斉に発射された。身動きが取れない健一は障壁を張ることしかできずそして直撃した。直撃音とともに煙が上がる。

 

「よっしゃ直撃や!!障壁張ったようやけど貫通性もそなえとるから無駄やったろぉけどな。」

 

〈マスター油断禁物。〉

 

「わかっとるって。まずは確認w!?ヴィトル後ろ障壁!!!」

 

障壁がナリンの背後に張られた瞬間障壁ごとナリンは吹き飛ばされた。

 

「いてて……あれでやられへんとかお宅堅すぎやろ。」

 

振り返ったその先には拳を振り切った状態の健一がいた。

 

決着はまだまだつきそうにないのだった。

 

 

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