IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者?
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episode56 二つの同じ存在

 

 

 

 

 

そうして数日後・・・・・

 

 

 

 

 

第四アリーナ・・・・・・

 

 

 

 

「すまんな、簪。テストに付き合ってくれてな」

 

「いいの・・・・。いつも隼人に手伝ってくれたから・・・そのお返しかな」

 

と、隼人はISを纏い、簪はそのISの状態を投影型モニターに表示されていたデータを見る。

 

 

 

 

隼人はバンシィに代わって新たなISを身に纏っていた。

 

 

 

全身装甲のISで頭にはヘッドギアのような形状のアーマーがあってその上にV型アンテナを持ち緑のツインアイを持っていた。胸部の出っ張りには緑色に『A』と浮かんでいた。両肩には上下にくの字に展開したバインダーを装備しており両腕にはアーマーを装着していた。背中には飛行機の機首のような形状のセンサーがありその下にはブースターが搭載されていた。そしてリアアーマーには巨大で砲身の長いキャノンをマウントしていた。カラーリングは白をメインに青、黄色、赤のトリコロールカラーであった。

 

 

 

「隼人・・このISって名前あるの?」

 

「あぁ。名称は『ガンダムAGE-3』・・・一応第三世代」

 

「ガンダムAGE-3・・・・。あれ?織斑戦術教官のISの名前と同じ?」

 

「あぁ。一応系列に入っているかもしれんな」

 

「・・・それだったら・・・二号機もいるの?」

 

「・・たぶんな」

 

「そうなんだ・・・。でも隼人・・・このISってどこから?」

 

「あぁ・・・・そのだな・・・」

 

隼人はどう答えようか悩む。

 

 

 

「・・・?」

 

「・・・・企業秘密」

 

「・・・・・・」

 

「そんな目で見るなよ。別に怪しい方法で手に入れたってわけじゃないんだぞ」

 

「・・でも・・」

 

 

 

「・・・・はぁ・・・一応言っておくが、コアは貰い物だが外装は俺の自作品」

 

「え?隼人の?」

 

「あぁ。まぁ他の人の助力もあって完成させたんだがな」

 

「そう・・なんだ」

 

 

 

 

そして隼人はAGE-3を解除して地面に降り立つと、AGE-3は待機状態である腕時計に戻った。

 

 

「・・・・・・」

 

「じゃぁ俺は部屋に戻るな」

 

と、隼人がその場を後にしようとした時・・・・

 

 

 

「・・・・・ねぇ隼人」

 

「なんだ?」

 

 

 

「・・・・ううん。なんでもない」

 

「・・・そうか?」

 

そして隼人はその場を後にした・・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

簪は「はぁ」とため息を付く。

 

(・・・一歩が踏み出せない・・・お姉ちゃんならすぐに言えるはずなのに・・・)

 

そして少し頬が赤らむ。

 

(・・隼人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

隼人は自室のドアを開けて中に入る。

 

 

 

「あれ?リインのやつ居ないのか?」

 

そして隼人はリインフォースがいないことに気づいた。

 

 

 

「・・・・・・・」

 

 

 

(隼人)

 

(リイン?お前今どこに居るんだ?)

 

(シャルロットさんとラウラさんの部屋に居ます)

 

(あの二人の?ということは隣か・・。ってか、なんで?)

 

(少し話をしようと言われたので)

 

(そうか・・)

 

(結構よくしてもらっています。話も結構進みます)

 

(そりゃ良かったな・・・)

 

(話が終わったら部屋に戻ります)

 

(分かった)

 

 

 

 

 

 

そして隼人はため息を付くと机に入れているイスを取り出して座る。

 

 

 

(・・・非情さが必要といっても・・なんかいつも通りになっているような気がする・・・)

 

隼人は今日のことを思い出していた。

 

「・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「・・なぁバンシィ」

 

《What will it be?(なんでしょうか)》

 

そして隼人は修復中で机の上に置かれているバンシィに聞く。

 

 

「・・・俺は非情にならないといけないんだろうか」

 

《・・・・・・》

 

 

「・・・正直に答えてくれ・・」

 

 

《... that it is up to a master(それはマスター次第です・・・)》

 

「・・・・・・」

 

《But let me say only this(ですがこれだけは言わせてください)》

 

「・・・?」

 

 

 

《Is it what you really expect?(それはあなたが本当に望んでいることなんですか)》

 

「・・・・・・・・」

 

《Until if a master expects it, ... I obey it(マスターがそれを望んでいるのであれば・・・私はそれに従うまでです)》

 

 

「・・・・・」

 

《But will other all of you expect ..., the master whom they became if cold-hearted?(ですが・・・・非情となったマスターを他の皆さんは望んでいるのでしょうか)》

 

「・・・・・」

 

 

 

 

 

(本当に望んでいる、か・・・・)

 

 

 

 

 

(どうしたらいいんだ・・・。俺はどっちを取ればいいんだ・・・)

 

 

 

 

隼人は頭を下げて悩んだ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

そしてその直後隼人の脳裏に何かが走った。

 

(この感覚・・・・・あの時の!)

 

その感覚は以前シャーリーとの模擬戦で逆転の一手となったものだった。

 

 

 

「・・・・・・」

 

そしてそれが連続で一定間隔で続いた。

 

「・・・呼んでいる・・?」

 

 

 

そして隼人はイスから立ち上がって部屋を出た・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

そして隼人はその声に導かれるようにIS学園を出てIS学園がある島の海岸線にやってきた。

 

 

 

(近いな・・・)

 

隼人が歩みを進めていくごとにその感覚は強くなっていく。

 

 

 

 

(・・・呼んでいるというより・・・・これって助けを求めているのか・・・?)

 

 

 

 

そしてしばらく海岸線を沿って走っていくと、浜辺に誰かが打ち上げられていた。

 

「っ!」

 

隼人はとっさにその人の元に走り寄った。

 

「おい!大丈夫か!?」

 

そして隼人はその人を起こした・・・・

 

 

「っ!?」

 

隼人はその人の顔を驚愕した。

 

 

 

 

「・・・な、なぜだ・・・」

 

驚くのも無理もない・・・。その人の顔というのが・・・・まるで鏡に映した自分の顔のように瓜二つであったからだ。

 

そしてその格好も変わっており、頭以外を覆う全身スーツを着用してそのためか身体のラインがくっきりと現れており、女性であることが分かる。その胸元には『U』と刻まれたプレートが付けられており、両腕と両足には鎖と錠が付けられていた。

 

 

 

「・・・って、驚いている場合じゃない」

 

隼人はハッとして首を振るうと、とっさに女の子の首元に手を当てる。

 

「・・脈はあるな・・・。息もしている・・・が、弱いな」

 

隼人はその状態から表情を険しくする。

 

「・・・だが抱えたまま走っていくとこの子の身体に悪い・・・。とか言ってゆっくり行くのも良くない・・・。そもそも結構遠い・・」

 

 

 

隼人は必死に考えて・・・・

 

 

 

「・・・・仕方が無い」

 

 

そして隼人は右腕につけているAGE-3の待機状態である腕時計を顔に近づけて側面のボタンを押すと画面に電話番号が出てきて、側面のスイッチを押して上から三段目の番号に止めると反対側のスイッチを押す。

 

 

 

 

「あーもしもし・・織斑先生」

 

『神風か・・?』

 

すると千冬が返答した。

 

ちなみになんで隼人が知っているのかというと、生徒会長助手ということもあり、様々な報告をしなければならないのだが、もし千冬が不在の場合を想定してのことである。

 

『わざわざISの通信機を使ってまで私に報告か?』

 

「事情は後で説明します。それより俺にISの使用許可を」

 

『なに?』

 

「急を要する事態です!それと救急班の手配もお願いします!」

 

『そういうことか。いいだろう。IS学園の正門前まで来い』

 

「了解・・・。それと隅々まで検査も用意してください」

 

『なぜだ?』

 

「・・見たら納得します」

 

『・・・・・』

 

「では正門にて」

 

 

 

そして隼人は通信を切ってそのままAGE-3を展開した。

 

 

 

「この子に負担が無いように飛ぶか」

 

隼人は女の子を優しく抱き抱えると後ろ腰にあるスラスターを上下に動かして調整してエネルギーを溜めるとPICを起動して少し宙に浮いてスラスターを噴射して飛び出した・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

千冬は正門前で待っていた。

 

「・・・・・」

 

そして音に気づいて見上げると上空よりAGE-3が下りて来た。

 

 

 

 

「織斑先生」

 

そして千冬の前に着陸してAGE-3を解除した。

 

「一応お前の言うとおりに手配はしているが・・・一体なぜだ」

 

 

 

「・・・見てください」

 

「・・・・・」

 

そして千冬は隼人に近づいてその子を見る。

 

「・・・・・」

 

千冬はその子の顔を見るとピクッと片方の眉毛を上げて隼人と見比べる。

 

 

 

「・・・確かにお前が言うほどはあるな」

 

「・・・・」

 

そして隼人は女の子を担架に寝かせると、そのまま運ばれていって、隼人もその後についていく。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

 

そして千冬も後に付いて行こうとした時に、携帯のバイブルがする。

 

「・・・?」

 

千冬はポケットから携帯を取り出すと連絡者を確認する。

 

(綾瀬からだと?)

 

千冬は疑問に思いながらも電話に出る。

 

 

『お久しぶりです先輩!!』

 

 

 

ブチッ!

 

 

と、千冬は一旦電話を切る。

 

 

 

ブ〜〜〜〜!

 

 

 

千冬は再度電話に出る。

 

『って、ひどいですよ!いきなり切るなんて!』

 

「うるさいやつが居たから切った」

 

『雨が降ったから傘を差したって言うような言い方しないでくださいよ!』

 

 

「・・はぁ・・・で、何の用だ」

 

『あぁですね・・・少し先輩に見てもらいたいものがありまして』

 

「なに?」

 

『時間ありますか?通信で済ませるような内容ではないので』

 

「お前時間が分かって言っているんだろうな」

 

『うっ!』

 

「・・全く。今はそんな暇じゃない。だが夜遅くなら時間はある」

 

『そうですか。では今日の十一時半に。あとテレビカメラ付きのパソコンってありますか?』

 

「なぜだ」

 

『いやぁ先輩にわざわざ足を運んでもらうのってなんか悪いじゃないですか。ですからデータだけを見せようと』

 

「そうか・・。分かった。その時間前でには用意しておく」

 

『・・無いんですね・・・』

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

隼人は医務室前のイスに座って待っていた。

 

 

 

 

「師匠!」

 

するとラウラとシャルロットの二人がやってきた。

 

「ラウラ、シャルロット・・・。なんでここに?」

 

「リインフォースさんが師匠の場所を教えてくれたので」

 

「リインが?・・で、そのリインはどこに?」

 

「隼人の部屋に戻っています」

 

「そうか」

 

 

 

 

「でも、どうしてここに?」

 

「ちょっとばかりな・・」

 

「・・・?」

 

 

「・・・漂流者だよ」

 

「漂流者?」

 

シャルロットは一瞬理解できなくて首を傾げる。

 

「今処置を受けているんだけど・・・色々と問題があるんだよな」

 

「と、言うと?」

 

 

 

「まぁみりゃ分かるよ」

 

 

 

 

それからしばらくして千冬も隼人たちと合流したときに、扉が開いて山田先生が出てきた。

 

 

「山田先生・・」

 

 

「特に目立った外傷はなかったので問題はありませんでした。まぁ検査に時間が掛かりましたけど」

 

「そうですか」

 

 

 

「では、こちらに・・」

 

そして山田先生は隼人たちと千冬を案内した・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 

そしてシャルロットとラウラは固まっていた。

 

目の前には怪我の処置を受けてベッドに寝かされている女の子が居た・・・・が、問題はそこではなく隼人と瓜二つの顔にあった。

 

そして二人は隼人と女の子の顔を見比べる。

 

 

 

「・・・それで、どうだったのだ?」

 

と、千冬は山田先生に聞く。

 

「はい」

 

すると山田先生の表情には少し動揺の色が浮かんでいた。

 

「・・・この子の精密検査を行った結果・・・信じ難いのですが性別と細かな箇所意外は神風君と遺伝子の配列パターンから血液型とその細かなパターン・・・つまりはほとんどが全く同じなんです」

 

「・・・・・・」

 

「なんだって・・・?」

 

シャルロットは驚きを隠せなかったが、ラウラは表情を険しくしていた。

 

「・・・・大体は予想していたが・・・まさかここまで・・・」

 

「・・つまりは・・お前のクローンってところか」

 

「クローン・・・」

 

「・・今の遺伝子工学技術なら人間のクローンを作る事など科学者がやろうと思えばできる」

 

と、ラウラが渋々という。

 

「で、でも・・・人間のクローンを作ることは禁止にされているはずじゃ・・」

 

「確かにそうだ。恐らく普通じゃない連中がやったのだろう」

 

「・・だとしても・・・どうして隼人のクローンなんか・・・・」

 

「恐らくどこかで師匠の優秀だったという情報が漏れて、それからどこかで遺伝子情報を盗んでから遺伝子を改変して女性にしたのだろう」

 

「でも、わざわざ女性にする必要って・・・」

 

「決まっている・・・。ISの使用を前提にしているのだろう」

 

「あ・・」

 

「俺も同意見だ。そうじゃないと説明がつかないからな」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

(織斑先生)

 

(ん?)

 

すると隼人たちが話していると山田先生が織斑先生をひそっと呼ぶ。

 

(少しお話しが)

 

(分かった)

 

そして二人は医務室を出た。

 

 

 

 

 

「それで、話しとは」

 

「実は・・あの子達が居たので言えなかったのですが・・神風君のクローンである以上に衝撃の事実が発覚して」

 

「・・・・・」

 

 

 

「・・あの子・・・サイボーグです」

 

「・・なんだと・・?」

 

「血管と脈もあったので普通の女の子かと思っていたんですが、レントゲンを撮ったらサイボーグであることが分かって・・」

 

「・・・・」

 

「しかも信じられないことに機械部品がほとんどを占めているのですが、まるで生身の人間のように働いているんです」

 

「つまり・・・サイボーグでありながらも生身の人間とほぼ大差が無いと?」

 

「そうなります。限りなく生身の人間に近いです」

 

「・・・・・・・・」

 

「しかも調べてみるといくつか破損した箇所が見つかって、恐らくどこかで損傷を受けているのだと思うのですが・・・」

 

「何かあるのか?」

 

「その破損箇所がナノマシンで修復されているんです・・・。まるで怪我をした箇所を治しているように」

 

 

 

「・・・・・」

 

「どうしますか?」

 

 

 

 

「・・・この事実はお前とその場に居たものにしか知られてないな」

 

「え?は、はい。そうですが・・・?」

 

 

 

「・・山田先生・・・・この事は口外するな。上層部にもだ」

 

「えぇ?!い、一体なぜですか?」

 

「この事実を上層部に報告すれば確実にあの子を回収するだろう・・・。そして何をするか分からん」

 

「・・・・・・」

 

「無論・・・あいつらにも喋るな」

 

「・・・わ、分かりました・・・。ですが、いいのですか?」

 

「あぁ」

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

そしてラウラは隼人と瓜二つの女の子を見ていた。

 

(師匠のクローン・・・・となると私のように遺伝子を強化されているのか・・)

 

その表情は険しかった。

 

(・・あの忌まわしい計画が残滓として今もどこかで続かれているのか・・・)

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

「隼人・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

すると女の子の目がゆっくりと開いた。

 

「っ!」

 

「気がついた!」

 

隼人が先に気づいて同時にシャルロットとラウラが気づく。

 

 

 

「・・・・・」

 

女の子は左右に首を動かして辺りを見る。

 

 

 

「・・ここ・・どこ・・?」

 

 

「あぁ。ここはIS学園だ」

 

と、隼人が女の子に言う。

 

「・・I・・S・・学園?」

 

「そうだ。できれば名前を教えてくれるか?」

 

 

 

 

 

 

「・・・・名前・・・何だっけ・・」

 

「え・・?」

 

「・・・・」

 

 

 

 

「・・・まさか・・何も覚えてないのか?」

 

「・・・分からない・・・。私が誰なのか・・・名前も・・・・何も・・思い出せない・・・」

 

「・・・・・」

 

 

 

「記憶喪失・・だよね?」

 

「そう・・だな」

 

「・・・・・・」

 

「・・厄介なことになったな・・・」

 

隼人は「はぁ」とゆっくりと息を吐く・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・全く・・あいつも面倒なことを言ってくれるな」

 

千冬は愚痴りながらもパソコンをセットしてカメラを起動させた。

 

 

 

 

 

 

『あぁマイクのテスト中・・・マイクのテスト中・・・・聞こえますか?』

 

そしてパソコンの画面に綾瀬が映し出されてスピーカーより声が出る。

 

「あぁ聞こえる。そっちはどうだ」

 

『こっちもいいですよ。先輩の顔も映っていますし』

 

「そうか・・・。それで、本題だ」

 

『いきなりっすね・・・。まぁ私が言うのもなんですが・・』

 

「・・・・・」

 

 

 

『・・・実は二日前に所属不明のIS二機が二本の領海に現れたんです』

 

「所属不明のISか・・・。それだけで呼んだのか?」

 

『・・いくらなんでもこれだけで先輩を呼び出したりしませんよ・・・。その二機がちょっと妙なんですよね』

 

「妙だと?」

 

『今から「ブルーフレームセカンドリバイ」が記録した戦闘データを表示します』

 

そして綾瀬は千冬のパソコンの画面に画像を表示した。

 

「・・・これは」

 

そして千冬はその画像を見て表情を険しくする。

 

 

 

そこに写っていたのは黒と白の二体のISだった。

 

 

黒い方のISは・・・・その姿はまるでバンシィとほぼ同じ全身装甲でカラーリングも黒をほとんどに金色が施されており特徴的な角もあった。しかしよく見ると両腕にはギアのようなパーツが二段重ねになって装備されて腕の側面には何らかのユニットが取り付けられておりそれによってビームトンファーはオミットされていた。そして背中のバックパックにはフィン状のパーツを重ねたものを計六基を搭載したユニットを搭載しており、広がり具合からまるで翼のように見えた。

 

 

白い方のISは従来のISとほぼ同じ構成なのだが・・・その形状はまるで白式・雪光に酷似しており身体のほとんどに装甲が施されて背中には中型ウイングスラスターを搭載していた。カラーリングも白をメインにグレーや紺色などの三色で構成されていた。そして右手には雪片に酷似した武器を装備していたが雪片と異なって刀身に反りが無く幅も若干広く片刃の刀というより剣となっていた。しかし薄暗いせいもあってパイロットの顔は見えなかった。

 

 

 

『どちらとも見覚えのあるISですよね。黒い方はまんまバンシィだし、白い方は一夏君の白式に似ていますよね?』

 

「・・・確かに。それで、交戦はしたのか」

 

『えぇ。白い方とやりまして・・・』

 

 

「何かあったのか?」

 

 

 

『それが・・・なんていうか従来のISと比べるとかなり動きが違うんですよね』

 

「動きが違うだと?」

 

『はい。しかも白い方のISにはまだ篠ノ之博士しか開発していない展開装甲を装備していたんですよね』

 

そして綾瀬はその白いISが展開装甲を使用した画像を表示させた。

 

「・・・・・」

 

『しかも箒さんの紅椿の展開装甲より性能が高く見えたんです。まぁ詳細データは見てないのであくまで憶測なんですが・・・』

 

「・・・・」

 

『それでもあの時見た紅椿の展開装甲とは何か違っていたんですよ・・・それが何かまでは分からないんですが』

 

「・・・あいつのとは違う、か」

 

『それと雪片に似た武器なんですけど・・・形状が刀というより剣ですよね・・・。しかも切れ味が物凄くてセカンドリバイのアーマーシュナイダーが切り裂かれたんですよね』

 

「・・・・・」

 

『それに隼人のバンシィが使っている大剣に搭載されている機構も持っています。確か隼人はカートリッジシステムとか言っていたっけ』

 

「カートリッジシステムか」

 

『でもって、先輩に一番に見てもらいたいのが・・・これです』

 

そして綾瀬はとある戦闘画像を千冬のパソコンに表示した。

 

 

「・・・これは」

 

千冬はそれを見て表情を険しくする。

 

画像には白いISが両肩のアーマーと両膝のアーマーを展開してそこから機体周囲に何やら粒子らしきものを散布してリング状に形成し機体の周りに展開していたものであった。

 

『全く見たことが無い機構なんですよね。セカンドリバイのビームガトリングで攻撃すればビームが弾かれると言うよりは吸収されているんですよね、そのリングに』

 

「・・・・」

 

『しかもリング自体にも切れ味があって攻撃が通りにくくなっているんですよね。それで一太刀受けてしまって』

 

「お前がそうなるとはな」

 

『その後に黒いISが白い方を連れて行ったんですよね。もちろん追跡をしたんですが・・・黒いISが旋回して向かってきて・・』

 

「それで?」

 

『黒いISは右腕のギアのようなパーツを回転させると拳で殴り掛かってきて、私はいきなりだったのでかわしきれずに直撃を受けて吹き飛ばされたんですよね・・・。しかも拳でなのに物凄い威力があって私自身にも被害がありましたよ』

 

「・・・・・」

 

『憶測なんですがたぶん衝撃か何かだと思うんですよね・・・。まぁなんだかんだ言ったって結局逃げられたんですがね』

 

「そうか・・。お前としては失態だな」

 

『まぁそうなんですが・・。今回はそうとは行かない事態なので』

 

「そうだな」

 

 

 

『あ、それともう一つ』

 

「まだあるのか」

 

『実はあの二人の話し声を聞いたんですよね』

 

「・・・・・・」

 

『黒い方は女の子の声で、白い方は男の子の声だったんですよ』

 

「・・・・・」

 

『その男の子・・・なんか私のことを知っているかのような感じでしたね』

 

「代表ならば知られる存在だろ」

 

『そうじゃなくて・・・まるで私と戦い慣れているって感じだったんですよ。敗北の要因はそこにあるんです』

 

「お前と戦い慣れているだと?」

 

『えぇ。私の癖まですべて分かっているような戦いでした』

 

「・・・・」

 

 

 

 

『・・・まぁこんなところです』

 

「この事はお前のいる基地では知られているのか」

 

『いいえ。私と一部の人にしか知られていません。貴重な情報ですからね』

 

「そうか・・・・。そのデータをまとめてこっちに送れるか?」

 

『もちろん。と、言いたいんですが・・・今送るとたぶんバレてしまうかもしれないので、後日直接渡します』

 

「分かった」

 

『と、言うより・・・先輩分かるんですか?』

 

 

「私を誰だと思っている」

 

 

 

『そうでした・・・・。ISの生みの親と幼馴染でした』

 

「・・・ふん」

 

 

『で、では、私はこれで』

 

そうして綾瀬は通信を切った・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

後書き

よくコメントにAGEの機体の事についてのものが多いですが・・・・実際のところ自分も脚本と作画は全然駄目と思いますし、キャラクターの性格も一部を除けば好きではない(種死並はそれ以上)。ですがメカのデザインは結構いいと思う(一部を除けば・・・)。敵陣営にヴェイガンのMSを使っているのは敵らしく異色なデザインだから丁度いいと思ったからです(他にも色々と案はあったのですが構造的にISサイズには不向きかなというデザインが多いので見送りにさせてもらった)。

ちなみに最後あたりに出てきた二体ですが・・・詳細は近々お知らせします(それと発表もあり)

 

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!


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バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS 

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