俺妹 和菓2 |
和菓
Episode2
何の不運かカレー部に入ることになってしまった俺。
麻奈実も赤城も加わったことで抜け出せない状態になってしまった。
とはいえ、カレー部自体は俺達3人しか部員がおらず、普段から熱心にカレーを作っている訳でもない。
放課後に静かに勉強できるプライベートなスペースが出来た。そういう感じで俺は捉えている。
そして今日、俺は放課後の教室で居残りをしていた。
「昨日の放課後のことだ。1年生の女子が特別棟の4階に行った。その時音楽室からリズミカルな聞いたことがない楽しい旋律が聞こえて来た」
赤城は俺の反応を無視して話をしている。
一方の俺はと言えば、手を止めることが許されない状況。話に聞き入るなど断じて許されない。
「校舎を染める真っ赤な夕日。その心躍る麗しい音色は……」
「異議あり」
話を黙って聞いていられなくてつい口を挟んでしまう。
「昨日は雨で夕日は見えなかった」
「そう……じっとりと降り続く雨」
赤城は何事もなかったかのように仕切り直した。コイツ…強いな。
「そして迫る夕闇。肌に絡みつく不快感とノイズの様な雨音」
「いい加減すぎるだろ」
つまりなんだ。外の景色はこの話の中核とは関係がないということか。
「音色に誘われ音楽室に入ると途端に音は鳴り止んだ。タンバリンは置きっ放しなのに奏者はいない。カーテンは締め切られて部屋は暗い。そして彼女は見たっ!」
赤城が小さく机を叩いた。
「長い乱れ髪で顔を隠し、全身はぐったりとして力なく、目は爛々と血走った女生徒が傍らからジッと彼女を見つめているのをっ!!」
赤城の鼻息がやたらと荒い。
「この高校にはかつて全国大会を目前にしながら不運の事故死を遂げたタンバリン奏者がっ!!」
赤城は大きく両手を広げた。
「いたのか?」
俺は冷静にツッコミを入れて返した。
「さあ?」
赤城は外国人風に分かりませ〜んと手を広げながら目を閉じた。
「いたかも知れないけれど…俺は知らないな」
何とも投げやりな回答。
「だと思った」
手を動かし続けながらゲンナリ答える。
「それにしても意外だな。高坂が宿題を忘れて居残りだなんて」
ムッとしながら赤城を見る。
「書いたさ、昨日。…持って来るのを忘れたんだ。おかげでこうして同じ作文を書きながら与太話を聞かされている」
宿題はオリジナル小説を書いてこいという無茶なもの。アイディアがないんで、理想の妹様との生活を描いた『俺の妹がこんなに可愛いのは当たり前』という作品を書いた。
兄に優しく、兄の言うことを何でも聞いて、兄を敬い、兄の為にいつも一生懸命に動き、兄のことが大好きな妹と、省エネで生きる兄の物語だ。
昨日書いた時より妹が更に良い子になっているのは俺のストレスの大きさを反映してのものだろう。癒されてえっての。
「なるほどな」
ようやく3分の2地点まで来た。ていうか、学校の宿題で原稿用紙30枚以上っておかしいだろう。書くのにどれだけ時間掛かるってんだよ。
「ちなみに乱れ髪のお化けは本当にいたそうだぞ」
赤城が要らない情報を付け足してくる。
「今日の昼休みに1年生の間では話題になっていたみたいだし」
赤城の言いたいことが読めてしまいムカつく。
「後はこの噂がどう広がっていくのか。それが重要なんだよ」
ああっ、やっぱり。赤城が最終的に言いたいことが分かってしまう。
「この高校にもあった七不思議。その2だな」
赤城はニヤッと笑った。
「差し当たっては3年生の教室にまで到達するのに何日掛かるか、だ」
赤城の言いたいことは飲み込めた。
麻奈実だ。アイツがこの件を知れば首を突っ込みたがるに決まっている。
そうなれば俺の省エネ生活と安寧は崩れ去ってしまいかねない。
赤城はそれを理解した上で俺がどう行動に出るのか反応を楽しんでいるのだ。
本気で意地が悪い。
だが、1つ気になることがある。
「ちょっと待て。お前はさっきの話をいつどこで誰から地球が何べん回った時に聞いたんだ?」
「さっき。部室で。田村さんから」
赤城はニヤッと最大級に得意気に笑ってみせた。
チッ! 嵌められたっ!
麻奈実に情報が回らないように頭の片隅で作戦を練っていたのに、その張本人が事件のソースだったとは。
まんまと諮られた。
息を整えながら話題をずらしに掛かる。
コイツ相手に醜態を晒したままには出来ない。
「七不思議その2ってことは、その1もあるんだよな? 聞かせてくれないか?」
突破口は七不思議。
赤城は驚きの顔を見せた。
いや、これもアイツの思惑通りの展開な気はするんだが。
そして俺は赤城からこの学校の七不思議その1を聞き出した。
「きょうちゃ〜ん、赤城く〜ん」
外では小雨が降りしきる教室に麻奈実が入って来た。
この度めでたくカレー部の部長に就任した麻奈実は部の再出発に関して色々と手続きに奔走している。
「ごめんな〜田村さん。部の面倒ごとを押し付けちゃって」
「別に良いんだよ〜。だってわたし部長さんだもん」
麻奈実は楽しそうに笑っている。
本来なら俺が部長を引き受けるべきだったのだろうと思うとちょっと、いやだいぶ心苦しい。
そして、これから訪れる展開を考えると手をこまねいて見ている訳にはいかなかった。
実際、麻奈実は俺を見ながらとてもうずうずしている。手なんか上下に揺らして好奇心爆発の予兆だった。
なら、俺から手を打たない訳にはいかなかった。
この場を出来る限りの低カロリーで切り抜ける為に。
「きょうちゃんっ」
「いい所に来たな」
麻奈実の話を遮って話の主導権を握る。
「へっ?」
「今赤城から妙な噂を聞いたんだ」
麻奈実がパッと顔を輝かせた。本当に分かり易い奴だ。
「そのことなんだよ〜。昼休みに……」
「秘密クラブの勧誘メモの話なんだが、知ってたのか?」
麻奈実はほえっと口を開いて驚きの表情を見せた。
「秘密クラブ?」
首を捻る。麻奈実はこちらの話題は知らないようだった。よし、第一段階成功。
「赤城、話してやってくれ」
「あっ、ああ」
赤城は首を縦に頷いてみせた。
「じゃあ、聞いてもらおうかな。秘密クラブにまつわる話を」
赤城がもったいぶりながら喋り出す。
「うん」
麻奈実も顔を赤城へと向け直した。
「サッカー部で聞いた話なんだけど。この学校には部活が多い。強いのはほとんどないけどな。でも、部活の数は多いので当然勧誘ポスターの数も多い。学校中の掲示板がポスターで埋め尽くされる」
数ヶ月前のことを思い出す。
俺は今年3年生になって初めて部活の勧誘というものを体験した。勿論瑠璃の部活決めの為だった。
あの時に瑠璃と共に入ったゲーム研究会を通じて俺達は……いや、済んだことを蒸し返しても仕方ない。
とにかく1年の頃は部活に全然興味がなくてスルーしっ放しで気が付かなかったけれど、あれは確かに激しい勧誘合戦だった。ある種文化祭より盛り上がっていた。どの部も次世代の部員確保に必死だったから。
2学期に入り、大半の運動部は新入部員の募集を中止している。けれど弱小部や文科系サークルは年がら年中部員を募集している。そんな部活のポスターが今も掲示板に貼られている訳なのだが、それだけでも相当な量になっているのだ。
「風紀委員会は無許可なメモやポスターを見つけ次第剥がしているんだ。ところが!」
赤城は指を立てて強調のサインを出した。
「毎年たった1枚、どこの部活かも分からない勧誘メモが出るらしい。去年はノートの切れ端みたいな紙に集合場所と日時が書いてあったそうなんだ」
麻奈実は感心しながら赤城を見ている。こいつの話術の上手さには舌を巻く。
「どうやら風紀委員会も生徒会も把握していない秘密クラブがあって、ひっそりと募集を掛けているらしいんだ」
麻奈実の反応を見ながら宿題を進める。
物語はいよいよクライマックス。俺の考えた理想の妹が大好きなお兄ちゃんの為に不器用な手つきで必死にカレーを作る場面だ。……何書いてんだ、俺?
「活動目的も部員も不明だけど、奴らは実在する。その名前とは……っ」
「その名前とは?」
麻奈実が鸚鵡返しに聞き返す。
赤城が目を閉じて貯めに入った。
コイツ、本当に詐欺師になれる話術を持っていやがるな。
そして赤城はもったいぶって最大限に効果を高めた上でその部活の正体を打ち明けた。
「リアルホモゲ部の会」
聞いた瞬間に頭が痛くなるサークル名。
「りあるほもげ部の会……」
麻奈実は赤城の話に夢中になっている。
「生徒会は回収したメモを頼りにリアルホモゲ部の会に接触しようとしたらしい。だけど上手くいかなかった。結局名前だけの悪戯メモだって結論したらしい」
赤城は軽く域を吐き出した。
「ところが……」
「ところが?」
麻奈実はすっかり話に夢中。
そして俺は小説のラストを執筆に掛かる。一生懸命作った妹のカレーは美味しくはなかった。けれどそれを美味しいと言って笑顔を見せながら食べる兄に妹が『お兄ちゃん大好〜き』と言いながら抱きつく。そして兄は『俺の妹がこんなに可愛いのは当たり前さ』と爽やかに返してみせる感動のラストだ。……いや、だから、何書いてんだ、俺は?
「卒業式の日、ある先輩が生徒会長に言ったんだ。私がリアルホモゲ部の会長だったんですって。次期会長にもよろしく言ってください。もしその人がそいつを見つけ出せたらの話ですがって」
「ああ……っ」
麻奈実は小さく息を呑んだ。メガネがピカピカ光り始めている。
そして俺の小説執筆はちょうど終わりを告げた。
そろそろか。
「今年もきっとまだどこかに募集が出ているんじゃないかな? 今の所発見には至ってないらしいけれど」
書き上げた小説をクリップで留めて一まとめにする。
準備は、整った。
「1枚だけのメモ……リアルホモゲ部の会」
麻奈実のメガネがもうやったらピカピカと光り輝き始めている。
麻奈実が俺の方を向いた。
「わたし……………気になるんだよっ!」
ピッカピッカに光り輝くメガネが俺を見ていた。
それを見て俺は机の下でガッツポーズを取った。
心の中で『よしっ!』と唱える。
「そう言うと思ってたぜ。だから良い所に来たと言ったんだ」
机に手をついて椅子から立ち上がる。
「それってどういうこと?」
「勿論探すんだよ、そのメモを」
俺の言葉を聞いて麻奈実はメガネを煌めかせた。
「うんっ」
麻奈実はとても嬉しそうな表情で応えた。
そんな麻奈実の表情を見て俺は微かに良心の呵責に悩まされたのだった。
麻奈実と赤城を伴って荷物を持って教室から出ていく。
「掲示板は全部で30箇所あるぞ。他にも各クラスの掲示板を含めると無数にあるな」
「そんなに……全部探すの?」
赤城が振った話題に麻奈美が反応して俺へと話を振り返してくる。
「まさか。一番ありそうな場所を考えた方が早いって」
かったるい声を出しながら階段を降りていく。目指すは3階だ。
「どういう条件の場所だと思うか?」
「もしわたしだったら……出来るだけ目立たない校舎の隅の掲示板に張るんじゃないかなあ?」
麻奈美が首を捻りながら答える。
「それは違うな」
「違うの?」
「もし勧誘メモが貼られているとするなら、それは……1年生の教室の掲示板だ」
「えっ? でも、教室の中じゃみんなに目立っちゃうんじゃないのかなあ?」
麻奈実は驚きの声を上げた。
まあ、そう思うのは普通だろう。
「まあまあ田村さん。高坂には何か考えがあるらしいよ」
赤城が取りなしてくれたのでそれ以上は何も言わずに1年生の瑠璃の教室へと足を踏み入れる。
鍵が掛かっていないのか、それとも瑠璃が邪気眼を掛けて開きっ放しにしているのかは知らないが鍵は掛かっていなかった。
扉を開けて中に入る。
幸いにして中には誰もいない。急に3年生が訪ねてきたら後輩もビックリするだろうから丁度良かった。
「いや〜9月になってもまだこれだけの勧誘ポスターがあるんだからすげぇよなあ、この高校は」
赤城がビッシリとポスターで埋まった掲示板を見ながら驚きの声を上げている。
確かにこのポスターのほぼ全てが新入部員募集の紙であることを考えると凄いもんだ。そして多くの部活が部員不足に四苦八苦していることが読み取れてちょっと悲しくなる。
そしてそしてそんな苦難の中で部活を続け、未来へと存続させようと更に頑張っているのだから……本当に大したカロリーを消費しているものだ。
今の俺にはとてもそんな労力を何かに費やすつもりにはなれない。
「きょうちゃん、どうしたの?」
麻奈美が振り返りながら尋ねてきた。
「いや……溢れ出る活力に圧倒されてな……」
「はっはっはっは。省エネの高坂には理解不能な世界だろうな」
「数か月前の俺なら理解していたさ……」
俺は情熱が理解できないのではない。情熱を捨てたのだ。
「それにここは1年生の教室。新入生40名のほとんどが目を通してくれる。激戦区だな」
「激戦区。……ああ、なるほど」
麻奈美がパッと顔を輝かせた。
「これだけ沢山の掲示物があるのなら、無許可のポスターがあっても分からないよね」
「確かにそれもある」
麻奈実の言葉を繋ぐ。
「別の理由があるの?」
「まあな。とにかく探してみよう」
麻奈実から目を逸らしながら提案する。
「うんっ」
麻奈実は1枚1枚勧誘ポスターの内容を確かめていっている。
「ゆるゆり研究会、ガチゆり研究会、娯楽部、元茶道部……」
指を差しながら確認しているがなかなか正解には至らない。
「りあるほもげ部の会のぽすたーはないみたいなんだよ」
「見ただけで分かるようになっているかは分からないね」
赤城は上手く話を繋いでくれている。本当にコイツは人を話に引き込むのが上手い。
「えっ? どういうこと?」
麻奈美が食い付いた。
「生徒会の目を盗むには何か工夫があるんじゃないかと思ってね」
赤城が話を更に繋いでくれた。
これで、話の下準備は全て整った。
後はリアルホモゲ部の会のメモを見つけるのみ。
俺は1枚のポスターに目を付けた。
『 メガネ真面目読書会
代表1‐×組 赤城瀬菜 』
真っ白い紙にプリンターで印刷された無機質な文字が2行書かれているだけのごく簡単なポスター。
具体的な活動内容も説明されていない不親切設計。
けれど、このポスターこそが俺が探し求めていたものだった。
「あったぞ……」
2人に向かって声を掛ける。
麻奈実はパッと俺に顔を向けた。
「えっ?」
凄く驚いた表情を見せている。
俺は先ほど見つけた瀬菜が代表を務めるポスターの下を止めていた画鋲を外して紙をめくり、その下に貼られていたもう1枚の勧誘ポスターを見せた。
『 リアルホモゲ部 部員募集 ホモをこよなく愛する人なら誰でも入部O.K.
世界の全ての男がホモにしか見えない人はここに入るしか生きる道はない
代表 1‐×組 赤城・タンビスキー・瀬菜 』
やたらと熱さを感じさせる手描きの小さなメモだった。
「ほぇえええええええぇ。本当にあったんだよ〜〜〜」
麻奈実はメモを覗き込みながら目を丸くしている。
「もっと人気のない場所に隠すかと思ったのに〜〜」
麻奈実は何故ここにこれがあるのかまだ分かっていないようだった。
「リアルホモゲ部なんて部活動がもし本当に存在するのなら……それはどんな人間が活動しているのか考えれば答えはすぐに出る」
メモの内容をジッと見る。
「このメモに書いてある通りに世界の全ての男がホモにしか見えない女しか活動しないだろう。そして俺が知る女の中でただ1人だけその条件にピッタリ過ぎる奴がいた」
説明を切って代わりに溜め息を吐く。
「瀬菜ちゃんは、男女交際には興味がなくてお兄ちゃんとしてはホッとしてるよ」
安堵の息を漏らす赤城。
そう。リアルホモゲ部なんてものがあるのなら、コイツの妹、赤城瀬菜が絡んでいない筈がなかった。
これはただ、それだけのこと。
「さて、俺は教員室に作文を提出して帰ることにするぜ」
謎は解いたのでさっさと退散することにする。
「そうだな。瀬菜ちゃんの直筆を見て俺の心も和んだし帰るとするかな」
「分かったよ。じゃあここでさようならだね〜。瀬菜ちゃんはこの世の男の人みんながほも〜に見えるなんて素敵な色メガネだよね〜」
「その意見には全力で反対させてもらう」
こうして事件は解決した。
麻奈実に少し悪いことをしたかなと思いながら。
教員室に宿題を提出してから赤城と2人並んで帰る。
外はまた昨日に引き続いて雨が降っていた。
「不思議をもって不思議を制すの計。お見事だったぜ」
信号を渡りながら赤城が喋ってきた。こっちを見ないまま。
「世話になったな」
俺もアイツを見ないまま返す。
「何だかアイツが来そうな予感がしたんだ」
「それで俺が種明かしした話をさも自分が謎を解いた様に振舞ったと。まっ、結果はドンピシャだったね」
赤城の言う通りだった。
メモの場所は俺が推理して解いたのではない。
瀬菜の兄貴であるコイツが教えてくれたのだ。
種明かしをするとこうなる。
俺は麻奈実の興味を逸らす為にこの学校の七不思議のその1を聞き出した。
その話はどう聞いても赤城瀬菜が絡んでいそうな話だった。
で、それを確かめてみたら兄であるコイツはその事実をあっさりと認めた。
『瀬菜ちゃんが可愛いから遂に怪談にまでなって全校生徒にその威光が広まっちゃっているぜ〜〜♪』
兄バカは放っておいて、俺はこの事件が麻奈実の興味を逸らすのに使えないか考えた。
で、妹の半ストーカーである気持ち悪い兄であるコイツにメモの場を知らないか尋ねてみた。すると、真性のストーカーであるコイツはあっさりと答えてみせた。
『瀬菜ちゃんったら、奥ゆかしいから入学早々部長を任されたリアルホモゲ部の勧誘メモを、自分の教室の掲示板の偽装したもう1つの部活のポスターの下に密かに貼ってるんだぜ。ほんと、可愛過ぎて今すぐ抱き締めたいぜ〜』
妹を抱き締めたいと言った赤城は本当にキモい顔をしていた。
という訳で最初から俺は真相を知っていたのである。
「でも、あそこまで手の込んだ真似をして音楽室の謎から話を逸らしたかったのは何故だ?」
そう。俺は麻奈実の関心を音楽室の怪談から逸らしたかった。
その理由は──
「まさかそっちには歯が立たないから。なんてことはないよな?」
「音楽室が遠いからだ」
俺は麻奈実の関心を逸らした真の理由を述べた。
「それだけか?」
「それだけだ。音楽室は別の建物だぞ。行き来にどれだけカロリーを消費すると思っている?」
「なるほど。分かった」
赤城は半分呆れるように息を吐き出した。
「ほんと、高坂だな」
「やらなければならないことは手短に、だ」
俺は信念を述べて頭の中に突如湧き出たキラキラメガネの麻奈実を打ち消した。
「それは良くないぜ、高坂」
赤城が立ち止まった。
「モットーを披露するならもっと胸を張って堂々と言うべきだ。今の高坂は単に言い訳をしたようにしか聞こえない」
赤城の言葉が痛くて無言のまま歩き出す。
赤城は走って追い付いてきた。
「不思議を不思議で迎え撃つ。うん、俺好みだな」
うるさいとは思うが赤城は構わずに喋り続ける。
「でもそれは高坂の好みじゃないだろう」
赤城に目だけ向ける。何を言っているのだろうか、コイツは……。
「田村さんが来た時に、どうして単に知らんと言わなかったんだ?」
今のコイツは本当に痛い所を突いて来る。俺にもよく分からない心の理不尽さを。
「そこが今日の高坂の根本的な間違いなんだよ。新学期に入ってからのお前はずっと無気力主義だったのにさ」
「そうかもな……」
そう。先程の俺の行動は今の俺らしくはなかった。
「お前はまだ、田村さんのキラキラに慣れていない。だからあんな回りくどいことをしてしまうんだよ」
何でコイツはこんなに俺の感情をかき乱す言葉を次から次へと並べる?
カレー部に入ってからの俺は麻奈実のあのキラキラした瞳に凄く戸惑っている。
何故だろうか?
何で10年以上も一緒にいる麻奈実に今更戸惑うことなんてあるんだ?
「高坂は今日、田村さんを拒絶したつもりかも知れない。だがな……」
「拒絶したんじゃないっ!」
気付けば大声を出していた。
「勿論そうだろうな」
あっさりと同意してみせる赤城。まったくコイツは……。
「あれは現状に対するただの保留だろうな」
「………………保留?」
赤城の言葉はよく分からない。けれど俺の胸に確かに引っ掛かった。
「そうか。保留か」
何故かは分からない。でも、今判断を下さないということが公にされたみたいで何となくホッとした。何に対する判断かも分からない現状で。
本当に今日の俺は自分が自分でよく分からない。
「ところで音楽室の件は一体どういうことなんだと思うんだ?」
再び歩き出した所で赤城がまた尋ねてきた。
少し気分も軽くなったので、俺なりの回答を示してみることにする。
「そのお化けとやらは髪が乱れて血走っていたんだろ? 寝起きの瑠璃が邪気眼を発したように……」
「あっ、そうか」
赤城は俺の顔を見ながら頷いてみせた。
「瑠璃は1人でオタソングを聴きながらタンバリンを叩いてはっちゃけていた。でも、眠くなったのでカーテンを閉めて寝た。そして、完全下校時刻になる前に目が覚めるようにプレーヤーにオタソングをアラームにしてタイマーをセットしていた。聞いたことがない曲だったのは音楽室を訪れたのが一般人だったから。そんな所だろ」
「なるほどな。確かに音楽室に行けば確かめられる。プレーヤー設定が残っているだろうしな」
「音楽室は遠いからな。それに……」
空を見上げる。
「瑠璃は寝相が悪くて寝起きも酷いんだよ。すぐに蹴っ飛ばして来るし布団ははぐし、寝起きに邪気眼発動されたら何をさせられてしまうか分からない」
瑠璃が寝ているかも知れない音楽室に行くのは勘弁だ。いろんな意味で行きたくはない。
「あれれ〜? 何で高坂が五更さんの寝相を知っているのかな〜?」
「そっ、それはだなあ……」
答えに詰まる。……思い切り余計なことを喋ってしまった。
「高坂が無気力省エネ主義になった原因、今の田村さんを見て凄く焦る原因が何となく分かったかもな」
「うっ、うるせ〜〜〜〜っ!」
大声で怒鳴り散らす。高坂京介一生の不覚だ。
「まあ、今の俺が言えることは……音楽室に行っていた方がゆくゆくは省エネに繋がっていたかも知れないぞ」
赤城の言葉に上手く反論できない。
俺自身、今日の決断が正しかったのか自信はない。
「今日の屈託は意外と高く付くかもしれないぜ」
赤城は横断歩道へと振り返る。青い信号が点滅していた。
「おっと、急がねえと」
赤城は1人横断歩道を渡って遠ざかっていく。
そして渡りきった所で奴は振り返っていった。
「高坂。俺は今日のことを貸しにする気はないぜ。じゃあな」
一方的に言いたいことだけを述べてくれると赤城は背中を見せて去っていった。
「保留……か」
雨は激しく降り続いていた。
そんな灰色のキャンバスに思い浮かんだ2人の少女の顔を打ち消しながら俺は帰宅の途へとついたのだった。
了
説明 | ||
氷菓って最初は1話で2つぐらいの事件を解いていく凄くテンポの速い作品なのかと思っていました。 とある科学の超電磁砲 エージェント佐天さん とある少女の恋煩い連続黒コゲ事件 http://www.tinami.com/view/433258 その1 http://www.tinami.com/view/436505 その2 http://www.tinami.com/view/442666 その3 http://www.tinami.com/view/446990 その4 http://www.tinami.com/view/454921 その5 http://www.tinami.com/view/459454 その6(完結編) 水着回 http://www.tinami.com/view/463613 美琴「ていうか、一山超えたら水着回とか安くない?」 http://www.tinami.com/view/470293 美琴「ていうか、一山超えたら水着回とか安くない?」♪♪ Fate/Zero http://www.tinami.com/view/317912 イスカンダル先生とウェイバーくん http://www.tinami.com/view/331833 あの日見た僕(サーヴァント)の名前を俺達はまだ知らない。 http://www.tinami.com/view/343631 イスカンダル先生とウェイバーくん つぅ http://www.tinami.com/view/347371 遠坂時臣は“常に余裕をもって優雅たれ”を心掛けている http://www.tinami.com/view/350208 間桐雁夜は余裕が少ない http://www.tinami.com/view/353938 間桐雁夜はCOOLが少ない http://www.tinami.com/view/362030 間桐雁夜は友達が少ない http://www.tinami.com/view/379015 バレンタインデーにおじさんは桜ちゃんを連れて逃げました http://www.tinami.com/view/384628 桜ちゃんはバレンタインデー前日に薄い腐った本を拾いました前編 http://www.tinami.com/view/387998 桜ちゃんはバレンタインデー前日に薄い腐った本を拾いました後編 http://www.tinami.com/view/391243 おじさんは桜ちゃんの誕生日をどう祝おうか悩んでいます http://www.tinami.com/view/399000 おじさんは恋の修羅場に巻き込まれました 前編 http://www.tinami.com/view/402484 遠坂時臣のエイプリルフール http://www.tinami.com/view/416971 桜ちゃんと凛ちゃんは仲良し姉妹 http://www.tinami.com/view/420408 遠坂時臣とこどもの日 愛娘の為に http://www.tinami.com/view/426751 おじさんは恋の修羅場に巻き込まれました 中編 http://www.tinami.com/view/423609 おじさんは恋の修羅場に巻き込まれました 後編 http://www.tinami.com/view/426754 おじさんは恋の修羅場に巻き込まれました 完結編 http://www.tinami.com/view/439494 Fate/ZERO 優雅パーティー討伐令 これはゾンビですか? http://www.tinami.com/view/203056 (これはゾンビですか? いえ、パンツ伯爵です) http://www.tinami.com/view/209886 (これはゾンビですか? いや、根暗マンサーの無駄あがきだろ) http://www.tinami.com/view/406395 これはゾンビですか? あの、気付いて欲しいクラスメイトです 2012お正月特集 http://www.tinami.com/view/357447 そらおと 新春スペシャル 智樹のお年玉 http://www.tinami.com/view/357450 はがない 年末年始は非リア充がうるさい 年末編 2011クリスマス特集 http://www.tinami.com/view/351574 ほむほむとクリスマス http://www.tinami.com/view/351580 バカとテストと召喚獣 康太と愛子とクリスマス http://www.tinami.com/view/351607 はがない クリスマスはリア充も非リア充がうるさい http://www.tinami.com/view/351612 五更家三姉妹のクリスマス http://www.tinami.com/view/352988 あやせたんクリスマスる http://www.tinami.com/view/353922 そらのわすれもの http://www.tinami.com/view/362026 そらのわすれもの2 http://www.tinami.com/view/364844 そらのわすれもの3 http://www.tinami.com/view/368193 そらのわすれもの 外伝 そらのわすれものZero http://www.tinami.com/view/371224 そらのわすれもの4 http://www.tinami.com/view/375048 そらのわすれもの 外伝2 それでも付き従うということ http://www.tinami.com/view/378997 そらのわすれもの5 僕は友達が少ない http://www.tinami.com/view/336533 肉はロリ分が少ない 起 http://www.tinami.com/view/341367 夜空のバカがあたしの高尚な趣味にイチャモンを付けてきた http://www.tinami.com/view/347375 喫茶店、それはリア充たちの礼儀作法(バトル) http://www.tinami.com/view/350217 はがない 肉はロリ分が少ない 承 http://www.tinami.com/view/379008 はがない 僕は混浴が少ない http://www.tinami.com/view/454928 はがない 小鷹と幸村は男同士が危ない http://www.tinami.com/view/470301 はがない とある残念美少女の友達づくり あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 http://www.tinami.com/view/224484 (安城鳴子の憂鬱 超平和バスターズの日々) http://www.tinami.com/view/227101 その2 魔法少女まどか☆マギカ http://www.tinami.com/view/219944 (魔法少女まどか☆マギカ ほむほむとまどパン) http://www.tinami.com/view/276013 (魔法少女まどか☆マギカ マスク・ド・ほむほむとメガネ) http://www.tinami.com/view/295968 (アタシの心をかき乱しやがる美樹さやか 前編) ひぐらしのなく頃に http://www.tinami.com/view/222763 名探偵レナレナ 出題編 http://www.tinami.com/view/230795 名探偵レナレナ 解編 http://www.tinami.com/view/312180 トミー・タケジロウの挑戦 ひぐらしのなく頃に煌 妖戦し編 ―努― 俺の妹がこんなに可愛いわけがない http://www.tinami.com/view/215127 (私の義妹がこんなに可愛いわけがない とある嫁と小姑のいつもの会話) http://www.tinami.com/view/215633 (私の義妹がこんなに可愛いわけがない とある嫁の誕生日) http://www.tinami.com/view/218838 (私の義妹がこんなに可愛いわけがない そして聖戦へ) http://www.tinami.com/view/221410 (私の義妹の親友がこんなに可愛いわけがない ガールズトーク(前編)) http://www.tinami.com/view/222757 (私の義妹の親友がこんなに可愛いわけがない ガールズトーク(後編)) http://www.tinami.com/view/224087 (私の義妹たちがこんなに可愛いわけがない 黒猫ハーレム) http://www.tinami.com/view/225323 (俺の妹がこれで最終回なわけがない Another Good End) http://www.tinami.com/view/226685 (わたしのお兄さんがこんなに紳士なわけがない あやせたん奮戦記前編) http://www.tinami.com/view/227712 わたしのお兄さんがこんなに紳士なわけがない カナカナ道場 http://www.tinami.com/view/228979 あやせたん奮戦記後編 http://www.tinami.com/view/256292 京介全裸待機 http://www.tinami.com/view/268371 魔法少女日向 http://www.tinami.com/view/286858 京介紳士(全裸)スタイル http://www.tinami.com/view/291075 黒猫さん海へ http://www.tinami.com/view/310657 田村家再び ベルフェゴール復活 http://www.tinami.com/view/317903 あやせたん文学る http://www.tinami.com/view/332676 あやせたんハロウィンる http://www.tinami.com/view/335267 来栖加奈子の非日常 前編 http://www.tinami.com/view/338246 来栖加奈子の非日常 後編 http://www.tinami.com/view/342135 ごこうけ http://www.tinami.com/view/344284 来栖加奈子の日常 http://www.tinami.com/view/362034 あやせたん冬コミへ行く http://www.tinami.com/view/364852 あやせたん初心に返る (前編) http://www.tinami.com/view/364856 あやせたん初心に返る (後編) http://www.tinami.com/view/364860 あやせたん初心に返る (完結編) http://www.tinami.com/view/368025 あやせたんハロウィンる http://www.tinami.com/view/388005 あやせたん桐乃たんと決着つける http://www.tinami.com/view/388010 かなかなちゃんとあやせさま きゃっきゃうふふ恋愛相談 http://www.tinami.com/view/391256 あやせたん結婚る http://www.tinami.com/view/395499 俺妹 俺はお前を愛人にした覚えはない http://www.tinami.com/view/399011 あやせたんの野望温泉編 あやせたんside http://www.tinami.com/view/402486 あやせたんの野望温泉編 京介side http://www.tinami.com/view/406402 あやせたんの野望温泉編 加奈子side http://www.tinami.com/view/410425 あやせたんの野望温泉編 黒猫side(完結編) http://www.tinami.com/view/411558 私の妹達がこんなに可愛いわけがない とある嫁の誕生日 http://www.tinami.com/view/411564 俺妹 最速黒猫さんルート http://www.tinami.com/view/413710 俺妹 あやせたん ア□パンる http://www.tinami.com/view/416976 1週間遅れの呼び出し http://www.tinami.com/view/420416 勝手に俺のベッドで寝そべりながらエロ本を読んでいた加奈子 http://www.tinami.com/view/429963 あやせたん 通い妻る 前編 http://www.tinami.com/view/433252 あやせたん通い妻る 後編 http://www.tinami.com/view/436490 あやせたん エイプリルフーる 前編 http://www.tinami.com/view/439487 あやせたん エイプリルフーる 後編 http://www.tinami.com/view/454941 田村家再び 完結編 サヨナラのメガネ http://www.tinami.com/view/473658 和菓 あたしのルリ姉がこんなに可愛いわけがない http://www.tinami.com/view/308776 その1 http://www.tinami.com/view/312904 その2 http://www.tinami.com/view/316882 その3 http://www.tinami.com/view/320539 その4 http://www.tinami.com/view/324016 その5 彼女を水着に着替えさせたら http://www.tinami.com/view/463620 桐乃編 http://www.tinami.com/view/466933 あやせ編 そらのおとしもの二次創作作品 http://www.tinami.com/view/189954 (ヤンデレ・クイーン降臨) http://www.tinami.com/view/190843 (逆襲のアストレア 前編) http://www.tinami.com/view/191418 (逆襲のアストレア 中編) http://www.tinami.com/view/191618 (エンジェロイドの誕生日 クリスマス・イヴ編) http://www.tinami.com/view/192101 (エンジェロイドの誕生日 クリスマス編) http://www.tinami.com/view/193075 (アストレアさんの抱負 ニンフさんの悩みごと イカロスさんとスイカ) http://www.tinami.com/view/193923 (桜井智樹(モテないキング)はモテ男が嫌い) http://www.tinami.com/view/195711 (ニンフの野望(ノーモアおふろイベント)全国版 前編) http://www.tinami.com/view/195860 (ニンフの野望(ノーモアおふろイベント)全国版 後編) http://www.tinami.com/view/196927 (私のちょっと変わったお友達(スイカ・マニア) 前編) http://www.tinami.com/view/199637 (私のちょっと変わったお友達(スイカ・マニア) 後編) http://www.tinami.com/view/201745 桜井智樹(モテないマイスター)バレンタイン聖戦(前編) http://www.tinami.com/view/202033 桜井智樹(モテないマイスター)バレンタイン聖戦(中編) http://www.tinami.com/view/203765 桜井智樹(モテないマイスター)バレンタイン聖戦(後編) http://www.tinami.com/view/226675 (そらのおとしものOO劇場版 Pandora's lament in Synapse 前編) ショートストーリー1 http://www.tinami.com/view/207348 (ショートストーリー 今の私) http://www.tinami.com/view/208857 (ショートストーリー 愛の結晶) http://www.tinami.com/view/210215 (ショートストーリー 勝負です) http://www.tinami.com/view/211443 (ショートストーリー ラブストーリー) http://www.tinami.com/view/212519 (ショートストーリー 三角関係) http://www.tinami.com/view/213647 (ショートストーリー 脱衣(トランザム)) http://www.tinami.com/view/216142 (ショートストーリー 男の戦い) ショートストーリー2nd http://www.tinami.com/view/217325 (四角関係) http://www.tinami.com/view/218590 (アストレアのお料理頑張るぞ) http://www.tinami.com/view/219933 (笑わない珍獣) http://www.tinami.com/view/221414 (雨) http://www.tinami.com/view/222760 (最悪な組み合わせ) http://www.tinami.com/view/224089 (愛を教えて) http://www.tinami.com/view/225328 戦って勝ち取れ http://www.tinami.com/view/227709 首輪 http://www.tinami.com/view/228981 メガネキャプターアストレア http://www.tinami.com/view/256260 北風と太陽 http://www.tinami.com/view/268360 人妻モード http://www.tinami.com/view/276001 お医者さんごっこ http://www.tinami.com/view/283869 海 http://www.tinami.com/view/289291 (海 Another Route) http://www.tinami.com/view/294812 キャラ立て http://www.tinami.com/view/299717 紳士 ショートストーリー3rd http://www.tinami.com/view/304475 妄想ダイブゲーム http://www.tinami.com/view/308760 夜明けのモーニングコーヒ http://www.tinami.com/view/312879 寝取る http://www.tinami.com/view/316878 小学生 http://www.tinami.com/view/320530 アッカリン http://www.tinami.com/view/324007 侵略 http://www.tinami.com/view/328150 アイス http://www.tinami.com/view/331827 追憶 http://www.tinami.com/view/335265 ロマンス http://www.tinami.com/view/338244 リアリティー http://www.tinami.com/view/341362 ハングリー http://www.tinami.com/view/344275 プレッシャー http://www.tinami.com/view/347364 ハーレム王誕生 http://www.tinami.com/view/350202 学園そらおと ショートストーリー4th http://www.tinami.com/view/382033 殺るべきはただ1人 http://www.tinami.com/view/384625 強いられているんですっ! http://www.tinami.com/view/387991 強いられているんですっ!U http://www.tinami.com/view/391233 ホワイトデー http://www.tinami.com/view/395485 生きるのって難しいね…… http://www.tinami.com/view/398988 生きるのって難しいね……U http://www.tinami.com/view/402471 エイプリルフール http://www.tinami.com/view/406382 お前なんかが…触れていい人じゃない!! http://www.tinami.com/view/410424 望むままにならぬ現実 http://www.tinami.com/view/413698 お前が一番動物園のお姉さんを邪魔に思っていたのではないかい http://www.tinami.com/view/416965 第八の契約 Unlimited Brief Works http://www.tinami.com/view/420395 その1 http://www.tinami.com/view/423606 その2 http://www.tinami.com/view/426739 その3 http://www.tinami.com/view/429958 その4 http://www.tinami.com/view/433237 その5 http://www.tinami.com/view/436480 その6 http://www.tinami.com/view/439482 その7 http://www.tinami.com/view/442654 その8 http://www.tinami.com/view/446984 その9 http://www.tinami.com/view/453736 その10(完結編) ショートストーリー5th http://www.tinami.com/view/459443 あの子と海1 金髪っ子 http://www.tinami.com/view/463601 あの子と海2 金髪っ子2 http://www.tinami.com/view/466926 あの子と海3 金髪っ子3 http://www.tinami.com/view/466928 あの子と海4 無口無表情っ子 http://www.tinami.com/view/470290 あの子と海5 無口無表情っ子2 http://www.tinami.com/view/473643 あの子と海6 この世全ての悪っ子 http://www.tinami.com/view/473652 あの子と海7 きゃる〜んっ子 http://www.tinami.com/view/476855 あの子と海8 巨乳ポニーテールっ子 バカとテストと召喚獣 僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 http://www.tinami.com/view/197002 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その1) http://www.tinami.com/view/198276 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その2) http://www.tinami.com/view/199405 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その3) http://www.tinami.com/view/200529 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その4) http://www.tinami.com/view/203460 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その5) http://www.tinami.com/view/204507 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その6) http://www.tinami.com/view/205926 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その7) http://www.tinami.com/view/207887 (僕と木下姉弟とベストフレンド決定戦 その8(最終話)) 優子VSラスボスシリーズ http://www.tinami.com/view/201514 (アタシと吉井くんとバレンタインの特製ショコラチョコレート) http://www.tinami.com/view/204977 (アタシと吉井くんと姉弟入れ替わり登校) http://www.tinami.com/view/206860 (アタシと尾行と男の子同士の熱い夜) http://www.tinami.com/view/209189 (アタシとエイプリルフールと最強の敵封じ込め作戦) 康太×愛子シリーズ http://www.tinami.com/view/212257 (康太と愛子とアルバイト募集の張り紙) http://www.tinami.com/view/213650 (康太と愛子と喫茶店アルバイト) http://www.tinami.com/view/225977 (康太と愛子と動物園デート) 康太と愛子と決戦バレンタイン温泉旅行 http://www.tinami.com/view/384640 その1 にっ 裏話 http://www.tinami.com/view/227893 アタシとみんなと海水浴っ! http://www.tinami.com/view/229775 アタシと浴衣とお祭り騒ぎっ! http://www.tinami.com/view/230792 ……私とあの娘とぬいぐるみっ! http://www.tinami.com/view/257011 僕と本音と吉井くんの尊厳っ! http://www.tinami.com/view/271951 葉月とのぞきと強化合宿 http://www.tinami.com/view/283879 アタシとのぞきと男の友情っ! http://www.tinami.com/view/289296 アタシとのぞきと理想郷 http://www.tinami.com/view/294790 葉月と日本と知らない言葉 http://www.tinami.com/view/301149 葉月と恋路と交渉術っ! http://www.tinami.com/view/305737 ……私と恋路と恋愛術っ! 短編 http://www.tinami.com/view/286850 瑞希と妄想と明久の1日 http://www.tinami.com/view/299704 瑞希と妄想と遊園地デート http://www.tinami.com/view/301154 僕とカロリー欠如とお弁当獲得大作戦 http://www.tinami.com/view/304502 僕と進路調査と主婦と主夫 http://www.tinami.com/view/305756 僕と美波と本当の気持ちと行動 http://www.tinami.com/view/310061 僕と美波とウェディング喫茶『人生の墓場』 http://www.tinami.com/view/314128 僕と姫路さんと身体測定 http://www.tinami.com/view/328157 伝説の木の下で貴様を待つ http://www.tinami.com/view/332654 瑞希と妄想とラストバトル http://www.tinami.com/view/371233 ウチとアキと3人でお出掛け http://www.tinami.com/view/395488 ホワイトデー或いはツッコミが足りない会話 http://www.tinami.com/view/402477 僕と死亡フラグとエイプリルフール http://www.tinami.com/view/476864 僕とプールと真夏の女神 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
3040 | 2940 | 1 |
タグ | ||
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 氷菓 | ||
枡久野恭(ますくのきょー)さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |