交わる外史〜見果てぬ夢〜
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魔法円が妖しく輝く狭い部屋の中で、一人の少女が静かに呪文を紡ぐ。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師×××××」

 

 

――認めない。

――私は絶対に認めない。

 

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 

――この世界は間違っている。

――こんな世界にするために、偉大なるあのお方は戦ったのではない。

 

 

「((閉じよ|みたせ))。((閉じよ|みたせ))。((閉じよ|みたせ))。((閉じよ|みたせ))。((閉じよ|みたせ))」

 

 

――なんで?

――なんでみんなオカシイと思わないの?

――この世界はこんなにオカシイのに。

 

 

「繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」

 

 

――…………そうだ。

 

 

「告げる…………」

 

 

――そうだ!

――だから私は戦うと決心したんだ――!

 

 

「…………告げる! 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に! 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」

 

 

――聖杯よ。

――応えよ!

――偉大なる我が先祖よ。

――此の愚孫めにどうか慈悲を!

 

 

「誓いを此処に! 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者!」

 

 

――正義よ!

――悪よ!

――お前達の全てを私が飲み込む!

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

 

――来てください、ご先祖様!

――今度こそあなた様と盟友の方々の理想成就のために!

 

 

「――我に従え、ならばこの命運、汝が剣に預けよう――――!」

 

 

――呪文の完成した、その瞬間。

 

 

「きゃああ!?」

 

 

――ま、眩しい!?

――なに?

――今のすごい光……!

 

 

「うっ……」

 

 

――………成功、したの?

――うん。

――強い魔力の波動を感じる。

――人間なんかじゃ決して出せないような暴力的な魔力を。

――……でも。さっきの光のせいで、まだ目がよく見えない。

――いるの?

――私のサーヴァントは?

――私の、偉大なるご先祖様は?

 

 

「サーヴァント……」

「えっ……?」

 

 

――目の前から声が聞こえる。

――男性の――いや、少年、もしくは青年といえるような声が聞こえてきた。

――だんだん、視界がクリアになってくる。

 

 

 

 

 

「サーヴァント、セイヴァー。世界の招きに応じて参上した。……きみが、俺を呼んだ((マスター|ひと))かな?」

 

 

 

 

 

光を求めた少女と天の名を背負う少年。

((運命|フェイト))の定めた、二人の出会いの瞬間。

 

 

 

 

 

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少女は呆然と目の前の少年を見つめる。

 

 

――優しそうな微笑み。

――少年。

――白。

――光。

――刀。

――学生服。

――それが彼に対して抱いた最初の印象。

 

 

「あれ? もしかして違ったのかな」

「ふえ?」

「えーっと……。だから、きみが俺を召喚したマスターなのか聞いているんだけど……」

 

 

――いけない!

――心の準備をしていたはずなのに、動揺しちゃった!

 

 

「は、はい。私があなたを召喚したマスターでしゅ!」

「そっか」

「ご、ごめんなさい! 思わず、私、混乱しちゃって。すぐに返事、できなくて。それで、その……!」

「わかったからちょっと落ち着いて。大丈夫。別に俺は怒ってもいないし、なんとも思ってないから」

「ご、ごめんなさい……」

「はは。いいから、いいから」

 

 

――わー……。

――いきなり頭を撫でられちゃった。

 

 

「はぅ……」

 

 

――でも全然不快じゃない。

――むしろとても気持ちがいい……。

――そういえば、頭を撫でられるなんて本当に久しぶり…………。

――お父さんのこと思い出しそう……。

 

 

「はっ!?」

 

 

――って、そうじゃなくて!

 

 

「あ、あの。あなたが私のサーヴァントなんですよね?」

「そうだよ。きみと……この世界に呼ばれたサーヴァント。セイヴァーだ」

 

 

――セイヴァー? セイバーじゃなくって?

――……いや、クラス名なんてどうでもいい。

――私が聞きたいのは。

 

 

「セイヴァー。あなたの真名を教えてください」

「……俺のマスターなんだから、真名くらい知っているんじゃないのかい?」

「あなたの口から聞きたいんです」

「そっか…………。うん、わかった」

 

 

――世界が静寂に包まれる。

 

 

 

 

 

「俺の((真名|しんめい))は北郷一刀。性は北郷。名は一刀。字と((真名|まな))はない。今回の聖杯戦争では((救世主の英霊|セイヴァー))のクラスで現界した。……よろしくね。俺のマスター」

 

 

 

 

 

 

再び地に降り立った天の御使い。

救世の英霊は何を望むか。

 

 

 

 

 

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セイヴァーが部屋で休んでいると、興奮した少女が勢いよくやってきた。

 

 

「聞いてください、陛下! 聖杯戦争に進展がありました! さっそくサーヴァントが一体脱落したんです!」

「落ち着いて、((有昂|ありあ))。というか、その『陛下』って呼び方やめてくれないかな」

「なにをおっしゃられるんですか! 始祖様に対して陛下以外の呼び方など……!」

「……はぁー。しかたないな。呼び方はもうそれでいいよ」

「本当でございますか!?」

「でも敬語は禁止ね。有昂、うまく言えてないし」

「うっ……。そ、そうでしょうか?」

 

 

――やっぱり日本語の敬語は難しいよ……。

 

 

「それで、サーヴァントがやられたって?」

「はい!」

 

 

――私は使い魔から手に入れた情報をできるだけそのまま伝えようと努力する。

 

 

「なるほどね……。アーチャー陣営の拠点にアサシンが侵入。それを察知したアーチャーによってアサシンが倒された、か……」

「アサシンが消滅したのは間違ないかと思われます。使い魔を通して見た限りアーチャーの苛烈な攻撃から逃げられる程のサーヴァントには見えませんでしたし、消滅するさまもしっかりと確認しました」

 

 

――本当にあの光景は恐ろしいものだった。

――雨のように降りそそぐ剣の山。

――そして串刺しになるアサシンを冷徹に見据えるアーチャーの冷たい目。

――あれは、とても人間のするような目ではなかった。

 

 

「……どうだろうね。実際に見てないけど、話を聞く限りアサシンが脱落した可能性は低いと思うよ」

「な、なぜですか!?」

「これでも乱世を生き残った身だからね。策略、謀略に関してはある程度の経験があるんだ。…………戦闘能力の低い不意打ち専門のサーヴァント、((暗殺者の英霊|アサシン))。いくら気配遮断のスキルを持っているからって、そんなサーヴァントをわざわざ正面から突撃させるか?」

「しかし……アーチャーのマスターの拠点はまるで要塞です。回り込むことができないから、正面から行くしかなかったのではないですか?」

「そうだとしてもおかしな点がある。まだどこの陣営も様子見をしているこの時期。アーチャーのサーヴァントが屋敷を警戒している可能性があることは少し考えれば誰にだってすぐにわかる。屋敷への正面突破からの暗殺を決行するにしても、もう少し時間を置いてアーチャーが他のサーヴァントと戦いだすのを待てばいい。そうすれば屋敷はがら空きになるのも同然だし、仮にアーチャーのマスターが共に戦場に出たとしても、暗殺の成功する可能性はぐっと高くなるはずだからね」

 

 

――さすがは陛下だ。

――確かにそう言われればアサシンの消滅もおかしく思えてくる。

 

 

「もちろんアサシンのマスターがそこまで考えが及ばなかった可能性もあるし、なんらかの策を用意していたという考えも捨てきれないけどね」

「陛下は、本当にすごいんですね……」

「はは。ありがと。でも、俺なんてまだまだだよ。桂花や詠がさっきの話を聞いたとしても、たぶん及第点もくれないだろうし……」

 

 

――桂花、詠。

――たぶん、陛下と共に乱世を駆けた英雄の方々の、誰かの真名なんだろう。

――…………。

――陛下……。

――そんなさびしそうな顔をしないでください。

 

 

「そ、それではアサシン関してはまだ警戒を怠ってはいけない、ということですね」

「うん。そうなるね」

「はぁー……。マスター狙いのサーヴァントであるアサシンはできるだけ早く脱落してほしかったんですけど」

 

 

――いくら陛下が強くてもマスターである私は非力もいいところだ。

――私のような足手まといのせいで陛下の願いを破壊することだけは、絶対に避けないと……。

 

 

「大丈夫だよ、有昂。俺はあんまり強くないけど、きみの((命|み))だけは絶対に守るから。だから、安心して」

「っ……! ……あ、ああ。そうですよね。自分のマスターを守るのがサーヴァントの役割なんだから、陛下が私を守ろうとするのも当然のこと……」

「え? 別に俺はそういう意味で有昂を守るって言ったわけじゃないよ? マスターだから、マスターじゃないからだとか以前に有昂は女の子じゃないか。男が女の子を守ろうとするのは当然だろ? それに有昂はかわいいからね。こんな美少女に傷をつけさせるなんて、男としての矜持に係わるよ」

「ふぇっ……!」

 

 

――か、顔が熱い……!

――う、ううん!

――顔だけじゃなくて体全体が熱い…………!

 

 

「へ、陛下! あまりそのようなご冗談を言うのは…………!」

「え? 冗談じゃなくて本気なんだけど?」

「――っ!」

 

 

 

 

 

優しさに慣れぬ少女と底抜けに優しい少年。

戦いの序盤、温かいやり取り。

 

 

 

 

 

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冬木市の港湾区にあるコンテナターミナルでは、三人のサーヴァントが戦いを繰り広げていた。

 

 

「これがサーヴァント同士の戦い……」

 

 

――地面がえぐれ。

――風が切り裂かれ。

――大気が震える。

――まるで死神が舞っているかのようだ。

 

 

「すごい……」

 

 

――本当にすごい。

――私程度じゃ彼らの戦いを目で追うことすらできない。

 

 

「本当にすごいな……。まるで愛紗と春蘭の本気の((ケンカ|たたかい))を見ているみたいだ」

 

 

――さすがは陛下だ。

――まるで驚かれていない。

――やはり乱世の世を鎮めた御方は格が違う!

 

 

「とはいえ。これは勝負ありましたね」

「そうだね……」

「いくら((最優のサーヴァント|セイバー))のクラスで呼ばれた((騎士|アーサー))王といえども、バーサーカーとランサーの二人を同時に捌くことは不可能です。ましてやセイバーは片腕を負傷している。この状況でよく持ってはいますけど、これはもう遅いか早いかの違いしかないですね」

「…………うん」

 

 

――陛下の顔色が悪い。

 

 

「接近戦で無類の実力を誇るセイバー。ましてやその正体が彼のアーサー王だというのなら、その実力は相当なものです。パラメーターだけで比べたら陛下よりも強いですし」

「いや。それは別に驚くことでもないと思うけど…………」

「厄介な宝具を持つランサー。得体のしれないバーサーカーにアーチャー。消滅したかもわからないアサシン。…………はぅ。問題は山積みですけど、やっぱりここでセイバーが脱落してくれるのはありがたいですね」

「………………」

 

 

――陛下の顔色はよくならない。

――やっぱり、これは……。

 

 

「陛下、やっぱり気になるんですか?」

「…………ごめん。俺は今、サーヴァントとして最低のことを考えている」

 

 

――やっぱり……。

――でも。

 

 

「陛下。私のことは気にしないで、陛下の望むままに行動してください」

「え。でも……」

「いいんです。陛下は生前も自分の心に正直に生きた方だと聞いています。そして、そんな陛下がいたからこそ三国の乱世は収まったのだと。ですから……」

 

 

――どうか自分を偽らないで。

 

 

「……………ありがとう、マスター」

「そ、そんな。お礼を言われることなんて何もしていませんよ」

「それじゃ、行こうか」

「はい」

 

 

――私の体を抱え上げて、陛下は倉庫の屋根から飛び降りる。

――一瞬の飛翔感。

――そしてすぐに着地して私を降ろす。

 

 

「行ってくるよ」

「はい。行ってらっしゃいませ」

 

 

――陛下はニコっと微笑まれた後、腰に差してあった刀を抜き放ち戦場に割り込む。

――新たなサーヴァントの気配を感じたランサーは直ぐに離脱するが、気づいていないのか、それとも気にしていないのか、バーサーカーはそのままセイバーへ電柱を振り下ろす。

 

 

「うぐっ! ……やっぱり重いな。刀が砕けそうだ」

 

 

――でもその攻撃は陛下に阻まれ、セイバーに届くことはない。

 

 

「あ、あなたは?」

「ん? きみの味方だよ。今、この場に限ってだけどね」

「……なぜですか?」

「別に大した理由はないんだけどね。ただ、怪我したまま二人の戦士と戦っている女の子を見て見ぬ振りできなかっただけさ。……そう。これは俺のただの勝手な自己満足。きみが気にする必要はどこにもない」

 

 

――陛下……。

 

 

「お前もサーヴァントか」

「ああ、俺はセイヴァーのサーヴァントだ。……さあ、来いよ。悪いけど簡単にやられるつもりはないぞ?」

 

 

 

 

 

天の御使いは身を挺して己が敵を救う。

はたしてその選択は、吉か、凶か。

 

 

 

 

 

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地図の置かれたテーブルを挟んで少年と少女は会話をする。

 

 

「……以上の理由からキャスターの工房、もしくは拠点の一つがこの下水道にあると思われます。どうでしょうか、陛下」

「なるほどな。俺の集めてきたキャスターとそのマスターに拉致されたと思われる子供の情報に、有昂の見つけた魔術の痕跡。確かにこの場所だったら見事に二つの情報と合致しているな」

 

 

――どれだけ隠ぺい工作をしても『子供がいなくなった』という事実まで隠せるわけじゃない。

――だったら後は、失踪した子供の居住地、失踪推定時刻に、最終目撃情報などを合わせれば、キャスター達がどこを拠点にして活動しているのか大雑把な範囲は推定できる。

――さらに教会からの情報から彼らが魔術に関してまるで隠ぺい工作をしていないこともわかっていた。

――おかげで魔術の痕跡を調べて、さらに範囲を狭めることができた。

――魔術の方はともかく失踪した子供情報の方はどうしても、霊体化できる陛下に任せるしかなかったのだが…………。

――うう……。

――こんな雑用を陛下にやらせちゃうなんて……。

 

 

「それにしても有昂は頭の回転が速いな。俺だけだったらこんな上手くはいってなかっただろうし……。もしかして軍師の才能があるのかもしれないよ」

「そ、そんなこと……!」

「たったこれだけの情報からあっという間にキャスターの工房の位置を探り出したんだ。もっと自分を誇っていいよ。たくさんの名軍師を見てきたけど、有昂だったら彼女たちの域に到達することだって難しくないかもしれないね」

 

 

――うう……。

――あの偉大な諸葛亮様や荀ケ様たちと同じレベルにされてしまった…………。

 

 

「恥ずかしい……というより、いくらなんでも恐れ多すぎますよ。陛下」

「そうかな? ここに朱里……諸葛亮たちがいても、きっと俺と同じことを言うと思うけど」

 

 

――へ、陛下の私への評価が高すぎる……!

――その期待が重すぎる気がするような、しないような……。

――……うん。

――正直に言えば嬉しいよ?

――嬉しいけど、確かに嬉しいけど…………!

――あわー!

 

 

「よし。有昂、疲れは残ってる? 大丈夫ならさっそくキャスターの工房に殴りこもうと思うんだけど」

 

 

――いつもと少し違う陛下の静かな声を聞くと、混乱したままだった自分の心が落ち着いていくのがわかる。

――もしかしたら、これが本物の『王の威厳』というものなのかもしれない。

 

 

「はい。私も準備をしますからちょっと待ってください」

 

 

――陛下が珍しく好戦的……。

――ううん、それも当然か。

――あのサーヴァントは、決して陛下と相容れぬ存在だから…………。

 

 

 

 

 

穏やかな表情の中に静かな怒りを湛える少年と、全てを理解しながら何も言わぬ少女。

戦いの前、少し殺伐とした雰囲気。

 

 

 

 

 

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宴の幕を下ろすかのように投擲されたダークは少年の獲物により叩き落された。

 

 

「あ、アサシン!?」

「まさかこんなタイミングで出てくるとはな……。于吉、これはお前の仕業か……?」

「いいえ。残念ながら私の企みではありませんよ」

「……本当か?」

「もちろん」

 

 

――陛下に詰め寄られてもまるで動じないアーチャーを見ていると、胸がむかむかするのが自分でもわかる。

――自分でもなんでかわからないけど、このサーヴァントを見ていると恐怖と怒りの感情が湧きあがる気がする。

――ううん。

――今はそんなことより目の前のアサシンに集中しないと。

――キャスターの工房での戦闘からアサシンが複数体いることはわかっていた。

――でも、それにしたって――。

 

 

「いくらなんでもこの数は反則でしょう!?」

「左様。我らは群にして個のサーヴァント。されど個にして群の影」

 

 

――城の中庭を取り囲む無数のドクロの面。

――その数は工房で見た二体や三体どころではない。

――十体、二十体……いや、もしかしたらそれ以上いるのかもしれない。

――なんでこんなにアサシンのサーヴァントが……。

――いや。

――もうこの現象の仕掛けなんてどうでもいい。

――本来、闇討ちを生業とする暗殺者がこうして堂々と姿を現した。

――それが意味することは、つまり…………。

 

 

「奴ら、勝負に出る気ですか……!」

 

 

――セイバーの言うとおりだ。

――あのアサシンたち、ここで一か八かの大勝負に出る気だ……!

――どうする……?

――いくら陛下でもこんな数のアサシンから私を守ることは難しい。

――共闘しようにも、セイバーも自分のマスターを守るだけで手いっぱいだろうし、アーチャーはそもそも信頼できない。

 

 

「陛下……」

「大丈夫だよ、有昂。心配しないで」

 

 

――思わず弱気になってしまった私の頭を優しくなでてくださり、陛下は毅然とアサシンたちの前に出る。

――セイバーがいっしょに横に出ようとするも、それを手で制してそのまま一人話し出す。

 

 

「暗殺者の英霊よ。お前らはすでに二度も俺のマスターを狙った。だから、これが最後の忠告だ。――このまま退け」

 

 

――陛下の恩寵をあざ笑うかのように再びダークが投擲される。

――数多くの人の命を奪ってきた短刀は私まで届かずに、カランと乾いた音を立てて地に落ちる。

――抜刀したポーズのまま静かにたたずんでいた陛下の口が小さく動く。

 

 

「………………それがお前らの答えか。だったら――――もう、容赦はしないぞ?」

 

 

――私も含めたその場にいた全員が身をすくませる。

――今までの陛下とはまるで違う雰囲気に。

――そして天高く掲げられた陛下の左手から解き放たれた白い光に。

――その集まっていく膨大な魔力に。

 

 

「((外史|せかい))よ! 我が願いに応えよ! 開け! 新たなる((外史|せかい))よ!」

 

 

――集まっていく光はだんだんとその輝きを増していく。

――初めて出会ったその時のように、白い光が視界を覆い何も見えなくなる。

――全てが白に染まっていく。

 

 

「来てくれ、みんな!」

 

 

――瞬間、世界が改変される。

――人工的に作られた手狭な中庭は消え去り、代わりに広大な大地が目の前に現れる。

――豊かな森は、不毛な荒野に。

――暗き夜空は、明るい蒼空に。

――冷たい月や星は、暖かな太陽に。

――今まで見ていた光景は全部((嘘|ゆめ))だったのだとでも主張するかのように、世界のすべてが書き換えられた。

 

 

「固有結界――ですって!?」

 

 

――これこそが固有結界。

――術者の心象風景を具現し、世界の全てを改変する……禁断の大魔術。

――魔法に、奇跡に最も近い魔術師の到達点。

 

 

「そんな馬鹿な……心象風景の具現化だなんて……あなた、魔術師でもないのに!?」

「確かに今の俺は魔術師じゃない。それに、本来なら固有結界なんてとんでもないこと……とても俺一人なんかでできる芸当じゃない。……だけど」

 

 

――陛下は目をつぶったままじっと立っている。

――けれどその顔には微笑みが浮かべられている。

 

 

「……だけど、これは俺一人の心象風景じゃない。一緒に理想を追い求め、一緒に戦乱の世を駆け抜けた俺の大事な仲間達全員の心に刻まれている((風景|おもいで))だ」

 

 

――そのとき陛下の浮かべられた表情を、私は生涯忘れることはないだろう。

 

 

「来てくれて、ありがとう。みんな――」

 

 

――ようやく私は気が付いた。

――この固有結界にいるのが、あのとき中庭にいた私達だけじゃないということに。

 

 

「宝具とは英霊の象徴であり、その伝説の具現化」

 

 

――ポツリと呟かれた陛下の声に交じって、荒野を踏みしめる足音が聞こえる。

 

 

「天の御使いなんて言われてはいるが、生前の俺はなんの変哲もないただのガキだった」

 

 

――そこには兵がいた。

――陛下の理想のために戦った無名の、無辜の兵たちが。

 

 

「武に優れていたわけでもない。知に秀でていたわけでもない。特別な才能があったわけでもない。一般的な、本当に普通の人間だった」

 

 

――そこには軍師がいた。

――陛下の元で何十万の大軍を指揮した伝説の軍師が。

 

 

「だったら、どうしてそんな平凡な男が伝説に残る程の偉業を達成できたか? ――答えは簡単だ」

 

 

――そこには武将がいた。

――陛下と共に戦場を駆けた、一騎当千の伝説の武将が。

 

 

「支えてくれる人が、導いてくれる人が、付き従っている人たちがいたから……俺はここまで進み事ができた。決して一人ではたどり着けない処にだって、みんなといっしょだったからこそ行くことができた」

 

 

――そこには王がいた。

――陛下の横に並び立ち、そして陛下と共に理想を追った伝説の王が。

 

 

「だからこそ! 北郷一刀という個人の伝説なんて存在しない! 『天の御使い』の伝説とは俺の伝説であるのと同時に、彼ら、彼女たちの伝説でもあるのだから!」

 

 

――集結した兵の装備はバラバラだ。

――槍や剣を構える歩兵。

――立派な騎馬に乗った騎兵。

――豪華な鎧を身につけたあの兵はもしかしたら近衛兵だろうか?

――中にはまともな武具も身につけていない義勇兵のような者までいた。

――だけど旗だけは。

――天高く掲げられたあの白い旗だけは。

――みなが同じものを掲げていた。

 

 

「時を越え! ((外史|せかい))を越え! 未だ俺の元に集まってくれるみんなとの絆こそが、俺の持つ唯一にして絶対の宝!」

 

 

――英雄と謳われる彼女たちも兵とは別の意味で統一感がない。

――忠誠を誓った国。

――生まれた育った故郷。

――そして伝説を残した時代すら違う。

――そんな彼女たちの共通点は一つだけ。

――それは『天の御使い』と一緒に乱世を収め、太平の世を築いたということ。

 

 

 

 

 

「見よ! これこそが俺の誇る最高の宝具! 『天軍百花』!」

 

 

 

 

 

掲げられし北郷十字。

集いし英雄は美しき、百花繚乱の花々なり。

 

 

 

 

 

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ベッドに横になりながら、少女は傍らにいるはずの少年に話しかける。

 

 

「陛下」

『どうしたんだ、有昂?』

「ごめんなさい。私が未熟なせいでこんなことになってしまって……」

『有昂が謝ることじゃないさ。まさか二日連続で『天軍百花』を使うことになるなんて想像もしていなかったしね。そもそも、あの夜に ((天軍百花|おくのて))を勝手に使った俺が悪いんだから』

 

 

――陛下はこう言ってくださるが、やっぱり悔しい。

――もし私のマスターとしての格がもっと上だったら、陛下にこのような苦労をかけなかったというのに……。

 

 

『もともとサーヴァントの切り札である宝具はどんなものであれ、魔力消費がかなり高いからね。どんなマスターだってそう簡単に連発はできるようなものじゃない。だから有昂が自分を責める必要なんかないよ』

「……ありがとうございます」

 

 

――陛下は本当に優しい。

――私のようなモノであっても、なんの分け隔てなく接してくれる。

――でも……。

 

 

『よし。それじゃあ、有昂はゆっくり休んでいてくれ。外の見張りや警戒ぐらいだったら、霊体化した今の状態でも問題ないからね』

「陛下……。眠る前に一つだけお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

『? どうしたの?』

「陛下は……」

 

 

――落ち着け、私。

――落ち着くんだ。

 

 

「陛下は、なんのために聖杯戦争に参加したのですか? 何を聖杯に望むのですか?」

『…………答えていいのかい?』

「はい。ようやく、心の準備ができましたから」

 

 

――陛下を召喚したあの日。

――私は陛下が聖杯に託す願いを聞かなかった。

――いや、聞くことを拒否したと言っていい。

――私の偉大なる先祖であり、世界に最も影響を残した英雄でもある陛下のことを、私は尊敬していたし、不思議なことに信頼していた。

――今思えばおかしな話だと自分も思う。

――本当かどうかもわからない|伝説《いつわ》でしか聞いたことのない相手のことを、私は出会ったその時から信頼していたのだから。

――だから、私は陛下の願いを聞くことを拒否した。

――きっとあの時に『願い』を聞いていたら、私はそれが『世界を滅ぼす』なんて内容だったとしても受け入れていただろう。

――……そして同時に拒絶していただろう。

――矛盾しているが、それがそのときの私の心境だったのだ。

 

 

「私は陛下のことを試していたのかもしれません。表面上、私は陛下に従っているように見せていましたし、私自身もそれを本心からの行動だと疑っていませんでした。でも……今思えば、心のどこかで陛下のことを信じ切れず、私の本当の主にふさわしいか吟味していたのかもしれません」

『…………』

 

 

――陛下は黙って私の話を聞いてくださっている。

――ただそれだけの気遣いが、今の私にはとても嬉しい。

 

 

「そして、その答えはでました」

『答えって……俺が有昂の主君にふさわしい人間か、って疑問の?』

「はい」

『そっか。それで俺はきみのお眼鏡に適ったのかな?』

「もちろんです。陛下以上の人なんていません。あなた以外に私の主に相応しい人など、これまでも、そしてこれからも現れることはありません」

 

 

――数多くの英雄が陛下を慕った理由が、今ならはっきりとわかる。

 

 

『はは…………。そんなに褒めてもらったら気恥ずかしいな。でも…………それ以上に、嬉しい、かな。有昂にそこまで言ってもらえるなんて』

「……ふふ」

 

 

――気恥ずかしそうな陛下の声を聞いたら思わず笑ってしまった。

――霊体化しているから姿は見えないけど、十中八九の確率で今の陛下は顔を赤らめているに違いない。

――これくらいの言葉だったら、生前に言われ慣れているはずなのにね。

 

 

『わかった。だったら話すよ。俺が聖杯に託す願いを。……どうして俺がこの((殺し合い|せいはいせんそう))に参加したのか、その理由を。……まあ、俺は元々隠す気なんてなかったしね』

 

 

――照れ笑いのまま陛下は話を続ける。

――まるでこれから小粋なジョークでもするかのように。

――でも。

――今思えば、それは。

――陛下なりの緊張を隠す方法だったのかもしれない。

 

 

『俺の願いは――』

 

 

――そして。

――陛下は軽口のような口調のまま、その願いを口にした。

 

 

 

 

 

『――この世界の永続だよ』

 

 

 

 

 

終端を避けようと足掻く天の御使い。

その願いは誰のために。

 

 

 

 

 

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縦横無尽に繰り出される真紅の槍の猛攻をセイヴァーは紙一重で見切り、受け流していく。

 

 

「やるな、天の御使い。この俺の槍さばきにここまで着いてこれるとは」

「くっ……。これでも、昔はずいぶんと仲間に……しごかれたからね。おっと! ……あなたと比べても決して見劣りしない……素晴らしい槍使いにも……くっ……ね……!」

 

 

――陛下の息が荒い……!

――いくら数々の修羅場をくぐってきた陛下とはいえ、やっぱり三騎士の英霊の一人であるランサーと長時間の白兵戦をするのは厳しい……。

――ましてや相手はあの((騎士王|セイバー))とも互角以上に戦った英霊だ。

――宝具を使えない今、不利なのは圧倒的にこちらだ。

 

 

「ランサー! いくらマスターの命令だからって、こんなところで私たちと戦っていていいの!? 常識的に考えて、攫われたっていうあなたのマスターの恋人を探すのが先でしょ!」

「くっ……。有昂の言う通りだ。それにお前のマスターのさっきのあの様子……。明らかに普通じゃなかった。何者かに脅迫されている、もしくは操られている可能性だってある……!」

「……」

 

 

――端正なランサーの顔が僅かにゆがむ。

――先ほど見たランサーのマスターの感情のない虚ろな表情。

――あれは決して自身の今の状況への悲観からでも、恋人を連れ去られたショックからでもない。

――何者か……第三者によって強制的にあんな状態にされたのは間違いない。

――そして、そのことを目の前の騎士が気づいていないはずがない。

 

 

「ランサー、ここは一旦退いて! あなたもこんな状況じゃ万全の力を発揮できないでしょ!? それに私たちを倒すことができても、その頃にはあなたの忠義を誓った主はもういないのかもしれないのよ!」

「……わかっている」

 

 

――そう呟くのと同時にランサーは手に持った魔槍を大きく弧を描くように振るい、陛下との距離をとる。

――その表情は未だに沈鬱なままだ。

 

 

「この戦い自体が俺とお前たちを潰し合わせ、漁夫の利を狙おうとする他のマスターの策略だということも……そのためにわが主を利用していることも……全て、わかっている」

「だったら!」

「だが! ここで俺がお前たちを倒さないままにこの場を去れば……。そのときはこの茶番を仕込んだ者にわが主が始末されるやもしれぬ……!」

「そ、それは……」

「無論、お前たちを倒したところでわが主が無事で済むという保証もどこにもありはしない…………。だが、たとえそうだとしても……」

「それでも、俺たちを倒した方がまだしもマスターが助かる可能性がある、か…………」

 

 

――正解のない問題。

――もはやランサー陣営の運命はほとんど決まってしまっている。

――仮にここで私たちがランサーに手を貸したとしても、それはお互いに無駄骨になる可能性が高い。

――この舞台を演出した((犯人|マスター))は今も私たちを観察しているだろうし、手を組んだところでお互いに何の情報もないのだから対処の仕様がない。

――そもそも、私たちだって聖杯を求めるマスターとサーヴァントなのだ。

――危険を冒してまでランサーたちを助ける理由がない。

 

 

「はぁ…………。こうなったら戦うことはもう避けられないな。……まったく、誰かの手のひらの上で踊ってばかりだな、俺は…………」

「陛下……」

「有昂、下がれ。これからは俺もランサーも本気でやり合うことになる。有昂が巻き込まれたらシャレにならない。……他の連中が何か仕掛けてくる可能性もあるから、くれぐれも気は抜くな」

「はい……!」

 

 

――命令に従い、陛下から一定の距離を置く。

――すでに陛下は自らの得物を構え、ランサーと対峙していた。

 

 

「ランサー。最後の確認なんだけど………………いいんだね?」

「……無論だ。もはやこの俺が取れる行動はただ一つ。天の御使い、貴様の首をわが主に捧げることのみ」

「そっか……」

 

 

――その言葉で残っていた迷いを断ち切ったのか、陛下の雰囲気が変わった。

 

 

「セイヴァーのサーヴァント、北郷一刀――誉れ高きその槍、俺の全力を持って打ち崩させてもらおう!」

 

 

 

 

 

舞台の上で踊り続ける者たち。

シナリオを書くのは誰の手か。

 

 

 

 

 

-9ページ-

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夕焼けが一組の男女の顔を赤く照らしだす。

 

 

「今日は楽しかったな」

「はい……。こんなに心穏やかな気持ちになったのは……この二週間で初めてです」

 

 

――今日は本当に楽しかった。

――陛下と町を巡って、いっしょにカフェで食事をして、洋服を選んでもらって、ぬいぐるみをモフモフして…………。

――ま、まるで、陛下とデートをしているようで、本当に……本当に幸せだった。

 

 

「…………………」

 

 

――きれいな夕日……。

――冬木の街を遍く照らす黄昏の光。

――その光景はどこか儚く、そしてどうしようもなく美しい。

 

 

「陛下……」

 

 

――そんな光景を陛下といっしょに見たからだろうか?

――私の口からは意識しないままに言葉が紡がれる。

 

 

「私の聖杯に託す願い……覚えていますよね」

「有昂の願い……。確か――世界の恒久の平和――だったよな?」

 

 

――世界は残酷で冷酷だ。

――持つ者は持つ者として生まれ、持たざる者は持たざる者として生まれる。

――そしてその境界がひっくり返ることはめったにない。

――少し運が良かっただけで人生に成功し、人の何倍も努力してもあっさりと破滅することだってある。

――恵まれた者は自らの幸福に気づかず、貧しい者は全てを呪いながら生きていく。

――そんな世界が、私はたまらなく嫌だった。

 

 

「陛下の…………天の御使いの子孫として……………私はこの世界が許せなかった。もちろん、すべての人が幸せになる方法なんてないということもちゃんと理解しています。だって誰かが幸せになるということは、同時に誰かが不幸になることですから。もしそんな方法があるとしたならば、それは『物語の世界』でしかありえないでしょう」

「だから有昂は聖杯戦争に参加したのか。万能の願望機、奇跡を自在に起こす究極の神具、聖杯の力を使って世界そのものを変革するために」

「はい……。ですが、それはもういいんです」

 

 

――わかったのだ。

――この二週間、陛下といっしょに過ごしてみて。

――数多くの歴史に名を残す英雄を間近で見て。

――図書館で陛下の伝記を読み直してみて。

――こうして冬木の街を歩いてみて。

――私の中にはある一つの思いが生まれていた。

 

 

「正直に言います、陛下。私は……もう聖杯を望んでいないんです」

「えっ!? それってもしかして……」

「あ! も、もちろん、マスター権を放棄するとかそんな話ではありましぇん! わわわ……私はこれからも陛下に聖杯を捧げるために戦うつもりです! ただ私個人はもう聖杯に頼るつもりないというだけで…………!」

「あー……よしよし。落ち着いて、落ち着いて。……でも『頼るつもりはない』ってことは、諦めたってわけでもないのかな」

「陛下を見ていて…………私がこれまで胸に秘めていた『願い』がどれだけ幼稚なものだったのか、ようやく気づいたんです」

 

 

――『天の御使い――北郷一刀』に私は憧れていた。

――乱世を鎮め、太平をもたらし、人々に笑顔を与えた、世界最高の英雄。

――幼いころから陛下の物語を何度も繰り返し読みふけり、成長してからも自分が天の御使いの子孫であることに誇りを抱いた。

――だからこそ。

 

 

「きっと今まで私が抱いてきていた『願い』は自分の心から生じたものではなかったんでしょうね……。夢見る少女が恋に恋をするように…………私の願いはただの借り物だったんです」

「有昂……」

「ですが、今は違います。今の私の願いは間違いなく心の底から生じた願いだと確信しています。だからこそ聖杯にこの願いを託すのを止めたんです」

「理由を聞いてもいいかな? ハッキリ言うけど、聖杯を使わなかったら『世界の平和』なんて夢は到底叶えられない。例えどれほど有昂が真剣にその願いを叶えようとしても、その理想に共感する人がいたとしても……ね。厳しいことを言っているかもしれないけど、それが『同じ理想』を追いかけた者としての正直な感想だよ」

 

 

――陛下はいつにもまして真剣な様子で私をじっと見つめる。

――いつの間にか私の頬を汗が伝っていった。

――覇気。

――決して叶うことのない理想を追い求めた英雄は、((同じ夢を見ている者|わたし))にこう問いかけているのだ。

――『本気でその夢を叶えるつもりなのか?』と。

 

 

「……聖杯に頼っちゃいけない気がしたんです」

 

 

――『聖杯にこの願いを叶えてもらってはならない』

――本当の意味で自分の願いを見つけた時、なぜかはわからないがそう思った。

――理由はわからないが、敢えて言うなら……勘、でしょうか?

 

 

「それにもったいないじゃないですか」

「はい?」

「聖杯を使えば、確かに『世界の平和』という私の夢は叶いますけど、そんな安楽な道を私は進みたくないんです。……他の人ならそれでもいいんです。この甘ったるい理想を叶える方法なんて奇跡しかありえないんですから。でも、私にその道を行くことはできません。だって私は陛下と…………あの御方の子孫なんですから」

 

 

――陛下は驚いたように目を丸くして、そのままどこか納得したように頷いた。

 

 

「……本気で聖杯は使わないつもりなんだね」

「はい」

「聖杯を使わないんだったら有昂の夢は叶わないよ」

「わかっています」

「子供っぽい夢だとたくさんの人に笑われると思うよ」

「私もそう思います」

「得るモノより失うモノが多いよ」

「それはどんな道でも同じです」

「誰も助けてはくれないよ」

「たとえ一人きりでも進むだけです」

「何度も人に裏切られると思うよ」

「覚悟の上です」

「多くの人に恨まれるよ」

「感謝する人もいると信じています」

「絶望して死にたくなると思うよ」

「私は死にません、絶対に」

「幸せには…………なれないよ」

「人並みの幸福を享受したいのなら、そもそもこんな戦いに参加していません」

「何度もこの選択を悔やむことになるよ」

「どんな選択をしても人は後悔しますよ」

「人生を無駄にするよ」

「幸せになることだけが人生ではないと思っています」

 

 

――問答を続けていた陛下の視線が下を向く。

 

 

「決して叶うことのない理想のために人生を浪費して、誰にも理解されないまま死んでいく…………そんな一生を送るつもりかい?」

 

 

――答えは決まっている。

 

 

「はい」

 

 

――私の答えを聞いた陛下の顔に苦笑が広がる。

 

 

「はぁ……。やっぱり有昂は頑固だな。そんなところも『彼女』にそっくりだ」

「望まない方法で夢を叶えたとしても、誰がそれを自分の夢を叶えたと言えますか? 自分の納得できるやり方で望んだままの結果を出してこそ、自分の夢を叶えたと胸を張って言えるんです。それに、陛下は勘違いしています」

「勘違い?」

「先ほど誰にも理解されないと言いましたが、少なくとも一人は私の夢をわかってくれる人がいます」

「……? 誰なんだ?」

「陛下ですよ」

 

 

――さあ、ここまできたなら全部言ってしまえ。

 

 

「陛下にお願いがございます。聖杯戦争が終結した後も、私との契約を続けてくださいませんか?」

 

 

――勇気をもって。

 

 

「この戦いが終わった後、私がどのような道を進むかはまだわかりません。政治家になって上から世界を変えるかもしれません。金融業を支配することで陰の影響力をつけるのもありでしょう。世界の変革を裏社会から行う道もあります。一般の倫理観から逸脱してしまった魔術師の常識を変えるのも……大変ですがいい手だと考えています。NGOや傭兵として世界中の戦地を回るという考え方もあります。もちろんただのボランティアとして活動する可能性もあります」

 

 

――自分の本音を。

 

 

「そのとき陛下に隣にいてほしいんです」

 

 

――全て。

 

 

「かつて同じ理想を追い求めた陛下がいっしょなら、私の夢も少しは達成に近づくでしょうし…………なによりも安心するんです」

 

 

――吐き出すんだ!

 

 

「お願いいたします! どうか………………どうか、この未熟な私を導いてくださいませ、陛下!」

「導いてください、か…………。ハハハ。久しぶりにそんなことを言われたなー」

 

 

――前に私が忠誠を誓ったときと同じように、陛下は照れくさそうに笑っていた。

――そして……。

 

 

「あわ!?」

「有昂…………」

 

 

――どれほど時間がたったんだろう?

――唐突に陛下が話し始めた。

 

 

「嬉しいよ、有昂。本当に嬉しい……」

「陛、下……」

「実を言うとさ。今日こうやって町に遊びに行ったのって、最後の思い出づくりのためだったんだ」

「陛下……?」

 

 

――どういうことですか?

 

 

「おそらく、今日か明日の夜に聖杯戦争は終結する」

 

 

――えっ!?

 

 

「理由はうまく説明できない。さっき有昂が言っていた『勘』っていうのが一番近いと思う。……終端が近づいてきている」

 

 

――終端?

 

 

「有昂――」

 

 

――っ!?

 

 

「約束する。聖杯戦争が終わった後も俺はずっと傍にいる。導くなんて大層なことは俺にはできないけど、いっしょに歩くことはできるからね。……有昂が自分の夢を叶えることができるか俺が見守ってあげるよ」

「へい、か……」

 

 

――ありがとうございます、陛下。

 

 

 

 

 

夕陽に照らされる一組のカップル。

夜の闇はもうすぐそこに。

 

 

 

 

 

-10ページ-

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一人の少年が少女を抱え上げたまま、夜が支配する冬木の街の中を疾走していた。

 

 

「……違いますね」

「……ああ」

 

 

――空気が重い。

――今までとはまるで違う。

――陛下の言葉の意味が今ならはっきりとわかる。

――聖杯戦争は今夜終結する。

 

 

「……どうやら先回りされたみたいだね」

「えっ?」

 

 

――慌てて前を向くと、新都と深山町を繋ぐ橋の上に一人の男が立っているのが見えた。

――三騎士のサーヴァントの一体、アーチャーだ。

 

 

「はぁ……。何となく予想はしていたけど、やっぱりあいつは俺の前に立ち塞がるのか。……有昂、俺はちょっとアーチャーと話をしてくる」

「大丈夫なのですか?」

「ああ。あいつも俺と話すことを望んでいるはずだ」

「……お気をつけて」

 

 

――陛下は私を降ろしたあと、何の迷いもなく敵であるアーチャーに近づく。

――対するアーチャーは何の行動もせず、ただ無表情のまま陛下が来るのを待っている。

 

 

「ひさしぶりだな、于吉。とりあえずこっちは話をしたいんだけど、いいかな?」

「……ええ。こちらも構いませんよ、北郷一刀」

「色々とお前には聞きたいことがあるんだけど…………これだけは聞いておきたい。お前、今回の外史でどういう立場なんだ?」

「……」

「今までだって散々俺の目の前に現れてきたんだから、今更お前がこの世界にいること自体は別に不思議でもなんでもない。だけどこれまでお前と左慈は三国志を基にした外史にしか出没しなかったし、いくつかの例外を除いて基本的には裏方から俺を狙っていた。それなのに今回のお前はあまりにも不自然だ。三国志以外の外史に現れ、いつもいっしょにいる左慈もいない、裏方どころか堂々とサーヴァントとして召喚され、おまけに周りからは『英雄王ギルガメッシュ』だと認知されている。極めつけはお前の行動そのものだ。いくら自由意思の少ないサーヴァントだからって、お前はあまりにも俺に対して敵対行動を行っていない。以前のお前ならどんな手段を使ってでも俺を殺しにきていたはずだ。…………一体これはどうなっているんだ?」

「…………こちらもいささかめんどうなことになっているんですよ。北郷一刀、あなたが思っている以上に、ね」

「どういうことだ?」

「まずは前提条件からお話ししましょう。あなたもわかっているとは思いますが、この世界は憎たらしい外史の一つです。しかし先ほどあなた自身がおっしゃったように三国志を基にした外史ではありません。ではこの外史は何を基にしていると思いますか?」

「聖杯戦争だろ? この世界に召喚されてからそれ以上に大きなキーワードは存在しなかったからな」

「半分正解です。確かにこの外史は冬木の聖杯戦争を基に構築されていますが、それだけではありません。ここは複数の外史が混ざり合って生まれた外史なんですよ」

「複数の外史……だと」

「ええ。例えば、『三国志の登場人物が女性だったら?』という想いで誕生した外史と、それとはまた別に『水滸伝の登場人物が女性だったら?』という想いで誕生した外史があったとします。さらにそこに『もし三国志の英雄と水滸伝の義賊が同じ時代を生きていれば?』という想いが生まれたとしたら、どうなると思いますか?」

「……女性化した三国志と水滸伝の英雄が登場する外史が誕生するんだろう?」

「正解ですよ。元々その起点が全く異なる複数の外史が混ざり合って誕生する外史…………。外史の否定者である私としては最も憎むべき外史の形ですね」

「だったらこの世界は『三国志』と『聖杯戦争』の二つを基にして生まれた外史っていうことか?」

「違いますよ。『聖杯戦争』は基になっていますが、『三国志』は違います。第一、この世界のどこに三国志らしさがあるというのですか?」

「ぐっ……。それはそうだけど……」

「……あなたですよ、北郷一刀。この世界は『もし聖杯戦争に北郷一刀が召喚されたら?』という思念で構成された外史なんですよ。……まあ、他にも様々な想いがあるようですが…………。言われてみれば納得できることも多々あるでしょう? かつて天の御使いが活躍したという歴史に、あなたのマスターになった北郷一刀の子孫の存在…………これほどのキーワードがあるんです。まず間違いなく、ここはあなたの存在を基にしていますよ」

「だったらお前がここにいるのも?」

「………………ふっ。それがまた最高に笑える話なのですが…………ここにいる『私』は本来の『私』ではないのです」

「……どういう意味だ?」

「はっきりと言いましょう。今ここにいる私は、『外史の管理人――于吉』ではなく、『外史の登場人物――于吉』……つまり、ここにいるあなた方と何ら変わりのないただの人形です。オリジナルの((于吉|わたし))と何ら変わりのなくとも、この世界のルールに従わざるを得ない人形…………それが今の私です。おそらく、本物の『私』はこの外史の存在自体に気づいてさえいないのでしょうね」

「…………つまり、今のお前は否定者として自由に動く権利がないってことか?」

「そもそも私はこの外史で生まれた存在ですからね。自分の従属する世界のルールには逆らえません。もっとも、神仙としての能力は幾らか使えますがね。……おまけに、さらにそこから『英雄王ギルガメッシュ』という存在の殻に入れられたせいで、ますます私の自由度が少なくなってしました。踏んだり蹴ったりですよ」

「そこがよくわからないんだ。お前が今回の聖杯戦争でアーチャーのサーヴァントとして召喚されたのはまだいい。だけど、なんでその真名がギルガメッシュになっていて、おまけに宝具まで使えるようになっているんだ?」

「元々オリジナルの私も三国志の外史に介入するために『于吉』という役割を担っていただけですからねえ。外史にいる何らかの存在の別のモノに置き換えるというのは、別段難しいことではないのですよ。あなただって最初の外史では劉備の役割を担っていたではありませんか。……推測でしかありませんが、この外史の誕生するきっかけになった想いの中に『于吉がギルガメッシュの役割をしたら』というものがあったのでしょう」

「なんでそんなややここしいことに…………」

「私にはその理由がなんとなくわかりますよ。本来の外史であなたの代わりにいた存在の天敵が『ギルガメッシュ』で、あなたの旧来の敵が『私』だったからでしょうね」

「……それで最後の質問は?」

「私の今回の目的ですか? そうですね。とりあえずこの外史の破壊は目論ではいませんからご安心を。そんなことをしたら登場人物である私まで消えてしまいますからね。さすがの私も自殺志願は持っていませんよ。……ああ、左慈がいてくれたら世界と共に美しく心中していたでしょうが」

「それは心底どうでもいい。ただ無関係の他の人は巻き込むな」

「私の目的は二つだけ。一つ目はこの外史に一矢報いること。仮にも神仙のコピーですから、ただ筋書き通りに踊るのだけは勘弁したいんですよ。……もっとも、この目的はほとんど達成できていませんが。そして二つ目は……………北郷一刀、あなたをこの手で殺すことです」

「……やっぱりか」

「ええ。あなたに対する積年の恨み…………ここで晴らさせてもらいます」

「どうせ説得なんてできないだろうし、同じサーヴァントである以上こちらも戦いを回避する理由なんてない…………悪いけど、俺も本気でお前を倒させてもらうよ」

「望むところですよ、天の御使い」

 

 

――話の終わった二人はまるで示し合わしたかのように同時に背を向け、ゆっくりと距離を取った。

 

 

「お帰りなさい、陛下。おケガは?」

「今のところは大丈夫。だけど本番はこれからだ」

 

 

――少し遠くに見えるアーチャーはただ悠然と立っているだけ。

――なのにその体から発せられる殺気は今までのどんな敵よりも強く、そして濃い。

 

 

「有昂、『天軍百花』を展開して一気に勝負を決める。タイミングは任せるからもしものときは超著なく令呪を使ってくれ」

「わかりました」

 

 

――陛下と私の魔力はまだ完全には回復していない。

――おそらく『天軍百花』もあと一回使用できるかどうかだろう。

――切り札を温存できない。

――今回の、そしておそらく最後の敵はそれだけ強大な相手なのだ。

 

 

「大丈夫、有昂。俺達はあんなやつには負けない。負けてやるもんか」

「……はい!」

 

 

――陛下に頭を撫でられると本当に心が落ち着く。

――自分でも意識していなかったが、いつの間にか動揺していたらしい。

 

 

「陛下、細かいことは気にしないでください。相手がどんな手を打ってきても、令呪のサポートがあれば大抵のことは切り抜けられます。陛下はただアーチャーだけに集中してください」

「わかった。信頼しているよ、有昂」

 

 

――太陽のような微笑みを浮かべて、陛下が最後に私の頭をクシャリと撫でる。

――そしてそのまま左手を天に向ける。

 

 

「((外史|せかい))よ! 我が願いに応えよ! 開け! 新たなる((外史|せかい))よ! 来てくれ、みんな!」

 

 

――元の世界が浸食され、新たな世界が具現する。

――『天軍百花』

――天の御使いである陛下の最強の宝具。

 

 

「……ありがとう」

 

 

――集結した盟友にかける言葉も少ないまま、陛下は私を抱えて自分の愛馬に飛び乗る。

 

 

「さあ! 行こう、みんな!」

 

 

――自ら先陣を切る陛下に従い、無双の軍勢が大地を駆ける。

――美しい黒髪の女性と真紅の髪の女性に両脇を守られながら、白馬に乗った陛下と私は真っ直ぐにアーチャーの元に突き進む。

――万の軍勢が目の前にせまっているのに、アーチャーの目は冷たい殺気を湛えたまま変化がない。

 

 

「やれやれ。あれだけ物語を引っ掻き回したというのに、結局オリジナルの外史と同じ状況になりましたか…………。さすがは世界の修正力と言ったところでしょうかね。いえ、それともここはこう言ったほうのかもしれませんね。――天命は変えられない、と」

 

 

――アーチャーの口に笑みが浮かぶ。

――それは見るものすべてを凍てつかせる………………氷の微笑だった。

 

 

「さあ……。とくと見なさい、北郷一刀。これが忌まわしき((外史|せかい))を創造し、そして破滅させる対界宝具の輝きです!」

 

 

 

 

 

天の御使いと神仙の導師。

運命の針は静かに歩みを止める。

 

 

 

 

 

-11ページ-

あとがき

 

というわけで、恋姫無双とFate/Zeroのクロスオーバー『交わる外史〜見果てぬ夢〜』でした。

……………ええ、みなさんが色々言いたいことはわかっています。

というわけで、以下裏話(言い訳)コーナーです!

 

 

 

 

――そもそも何で恋姫とZeroのクロスオーバーなの?

「王の軍勢ってすげーなー。あれ、でもこれって一刀でもできるんじゃね?」という自分の謎の妄想から始まった産物だからです。

 

 

――この北郷一刀って何者?

普通に恋姫無双の外史で活躍した一刀さんです。無印、真、萌将伝、その他もろもろの外史を経験済みです。

 

 

――なぜにセイヴァー?

最初の予定では普通にセイバーだったんですけど、やっぱり一刀の伝説で最も特徴的と言えば『天の御使い』の件だろ、ってことで変更しました。乱世を収めたんだったら救世の英雄と言ってもそこまで違和感ありませんし。まあ、そもそも一刀さんって別に戦闘系ではありませんしね。

 

 

――ライダーポジション?

はい。元々一刀が『王の軍勢』を使えたら?という妄想から始まったので、ライダーポジションです。もっとも、さすがに一刀さんじゃ原作の征服王ほどアグレッシブなことはしていませんが。

 

 

――ウェイバーは?

一刀との絡みが想像できないということで今回の外史では出番なしです。原作の影響もあって、個人的にはウェイバーのサーヴァントは豪快な人じゃないと合わないような気がしますし。……ヒロイン臭のするウェイバーと下手に絡ませたら一刀さんがあっちの世界に行ってしまうのでは!?という懸念もありました(アーッ!)

 

 

――有昂って結局何者?

北郷一刀と恋姫の誰かとの子孫です。まあ、子孫と言っても1800年以上の歳月が流れてますから、ほとんど血のつながりはありません。どの恋姫の子孫かは特に決めていませんから、みなさんが好きに決めちゃってください。魔術師としてのレベルは平均的。ウェイバーより少しだけまし?なくらいです。ちなみに有昂は真名という設定です。

 

 

――召喚の呪文間違ってない?

わざとです!(きっぱり) 最後の『我に従え〜』のところは本来召喚の呪文ではなく、UBWの凛がセイバーと再契約するときのセリフです。かっこよかったんで、勝手に付け加えてしまいました。

 

 

――天軍百花って……何?

簡単に言えば『王の軍勢』ver種馬。一刀さんのお嫁さんを連続召喚する固有結界です。ただし嫁だけでなく彼を慕う普通の兵士も召喚されます。自分的には一刀さんは女だけでなく男にもモテる史上最強の種馬だと思っているんで。ちなみに、裏設定ではこのときに召喚される嫁は三国志の外史だけでなく様々な外史からも呼ばれています。

 

 

――北郷一刀の願いって?

『いつか終端を迎え消え去る運命にあるこの外史を永続的に続けさせる』ことです。ただし聖杯でこの願いが叶うかは微妙なところなので、一刀さんもそこまで聖杯に固執していません。あくまで手段の一つというだけです。

 

 

――有昂は何で聖杯を諦めたの?

本編でも語られているように、一つは「聖杯を使ったらなんかやばい気がする」という野生の勘。もう一つは「聖杯で願いを叶えてもなんだかなー」という手段の選択です。自分の望んだ過程で夢を叶えなかったら結局叶ったことにならない……という有昂自身の持論です。結果だけでなく過程も重視しなくては、結局後悔するだけなんです。

 

 

――有昂の夢って……切嗣とかぶってる?

思いっきりかぶってます。ただし己の経験から夢を生み出した切嗣と、最初はただのあこがれにすぎなかった有昂では夢に対する執着心が違います。絶対に叶えないといけないという脅迫概念に追われる切嗣。世界平和はあくまで自分個人の夢と割り切っている有昂。ゆえにこの二人の道が交わることはありません。たぶんお互いに否定し合って終わるだけでしょう。

 

 

――ケイネス先生……何があった?

言峰か于吉が何かしたんでしょう。ちなみにこの件に関しては切嗣さんは無罪です。

 

 

――于吉なの? 金ぴかなの?

『英雄王ギルガメッシュ』の存在の殻をかぶった『于吉』です。あくまで殻をかぶっているだけなので、金ぴかの因子はほとんどありません。ただし宝具は使えます。卑怯です。同じ殻をかぶるでもイメージ的にはアンリではなくユリウスの方です。見た目がオリジナルと全く違う葛木センセー。

 

 

――外史の説明……これで合ってるの?

あくまでこの小説での設定です! 鵜呑みにしないでください!

 

 

――いろいろ矛盾点があるんだけど?

こまけぇこたぁいいんだよ!!!

 

 

 

 

では、また次回お会いしましょう。

(バイトで全然休めなかった)メガネオオカミでした。

説明
注意!
この作品は恋姫無双とその他の作品のクロスオーバーです!
こまけぇこたぁいいんだよ!!!の精神を持っている人だけお読みください!

そんなこんなで『交わる外史〜見果てぬ夢〜』
お楽しみいただけたら幸いです(^^)
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コメント
Sky high様>続きは……どうしましょうか?www(メガネオオカミ)
面白かったです。英雄北郷一刀!どんな場所でも一刀は一刀なんだなって思いました。続きがあるならぜひ読みたいです。(Sky high)
耶蜘蛛様>ありがとうございます! そう言ってくださると書いた甲斐がありました。(メガネオオカミ)
ロードスネーク様>初コメありがとうございます! 結末に関しては一応決まっております。(メガネオオカミ)
ダイジェストじゃなく細かく物語が観たくなります。(耶蜘蛛)
面白かったです。結末が気になります。(ロードスネーク)
タグ
真・恋姫†無双 Fate/Zero クロスオーバー 北郷一刀 オリキャラ 外史 第四次聖杯戦争 こまけぇこたぁいいんだよ!!! 

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