IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode57 夢の出来事
「・・・・・・・・」
その者は肩で息をして辺りを見回していた。
その姿はバンシィそのものであった。
その者の周りには機械の残骸が山積みになって転げていた。
「っ!」
そしてその者の背後よりシンプルな形状のトリコロールカラーの機体が飛んできた。
「お前もか!ガンダム!!」
その者は振り向くと同時に左腕のアームドアーマーVNを展開して機体の胴体を挟み込んだ。
そしてそのまま胴体を握り潰すとその機体から血のように赤い液体が噴出してバンシィに付着する。
しかしそれ以前にかなりの量の赤い液体を浴びており、中には黒くなって機体色と同化しているのがあった。
その者は機体を放り投げると周りを見る。
周りには物凄い数の機体がおり、どれもガンダムと名の付く者達であった。
「上等じゃねぇか・・・・・来やがれ・・・ガンダム共!!」
そしてその者は機体の群れの中に突っ込んでいく・・・
「・・・・・・!」
そして隼人はそんな夢から覚めて半身起き上がる。
(・・夢、か)
隼人は額に手をつけて深くため息を付く。
(妙なもんだ・・・。前にも似たような夢を見たような・・・・)
『悪い夢でも見たんですか?』
と、隼人が寝ているベッドに毛布を巻いてもたれかかっていたリインフォースが振り向いて心配そうに聞いてきた。
「・・そうじゃない・・・。ちょっと変わった夢だよ」
『そう・・ですか』
「悪いな・・起こしてしまって」
『いいえ。心配するのは当然ですから』
「そうか・・」
そうして隼人は時間を確認してから再び眠りに付いた・・・・
そして次の日・・・・・
隼人は起きてから食堂で朝食を取っていた。
「・・・あぁぁぁぁ・・・・」
隼人は大きなあくびをすると卵焼きを食べる。
「・・・寝不足?」
と、向かい側の席に座っていた簪が聞く。
「まぁ・・・・そんなところだな・・・」
「そう・・・」
それを聞いて簪はカリカリと焼けたフランスパンを食べる。
「ねぇ隼人」
「なんだ?」
「バンシィってしばらく使えないんだよね?」
「あぁ。相当やられてしまったからな・・・・しばらくは修復に専念しないと後々支障をきたすかも知れないからな」
「・・・じゃぁ・・・『キャノンボールファスト』はAGE-3で出場するの?」
「今のところそうなるな」
キャノンボールファスト・・・・・ぶっちゃけ言えばISによる高速レースである。本来なら二年生からの行事なのだが、今年は事情が事情なので一年も参加することとなっている。ちなみに訓練機部門と専用機部門と分かれてレースが行われる。
「AGE-3にも高機動パッケージみたいなものってあるの?」
「一応ある。そういや弐式にはそういうのってあったか?」
「うん・・。でも最近忙しかったからあんまり手付かずの状態・・」
「そうか・・・。まぁそもそも弐式は機動性重視のISだからな。ある程度調整すればそれなりにはスピードは出るんだろ?」
「そうだけど・・・・やっぱり本場となるとどうしても高機動パッケージの持っているISが有利になる・・」
「そりゃまぁな・・・」
それからして二人は朝食を済ませた・・・・
「・・・・・・・・・」
そして隼人は飛行テストができる第六アリーナに来ていた。
(AGE-3展開)
そして右腕にしてる腕時計が光り輝いてAGE-3を身に纏う。
「腕試しに飛んでみるか・・・。その後に調整と装備換装・・・・やることが多いな」
そう考えながらも隼人はリアアーマーにマウントしている大型ライフル『シグマシスライフル』を抜き放つと、PICで少し宙に浮いてスラスターを一気に噴射した。
「・・・・・・・」
それなりのスピードが出ている状態で、自分の前にレースの相手を想定して不規則に動く仮想標的を表示させた。
「こいつは連射が利かないからな・・・高速移動下においてどこまで精密に射撃が行えるかが肝心なポイントだな」
そしてシグマシスライフルを前に向けると仮想標的に向けてトリガーを引くと銃口より太いビームが勢いよく放たれた。
「っ!」
発射と同時に反動が来るも隼人はスラスターを噴射して機動力を落とさず速度を上げた。
そしてビームは仮想標的の隅を擦れただけだったがそれでも威力でバランスを崩した。
(難しいな・・・・まぁ今回はあくまでも慣れるだけだ・・・。射撃はある程度の慣れで十分だな)
そして仮想標的が隼人に向けて攻撃してきた。
「おっと!」
隼人は両肩のバインダーを使ってバランスを調整して攻撃をかわしていく。
(妨害ありなレースってそうそう無いよな・・・。まぁ、その方が面白いけどな!)
そして一気にスラスターを噴射して飛び出すと左腕の下部にあるアーマー先端の穴よりビーム刃を出すと仮想標的を切り裂いた・・・・・
「・・・こんなもんか」
そしてしばらく高速飛行をして隼人は地面に着地した。
「・・・『オービタル』の調整とテストは明日にするか・・・」
そして隼人は再度AGE-3を浮かばせてピットに戻った・・・・・
「・・・・・・」
そして隼人が帰りに立ち寄ったのが・・・医務室であった。
隼人が医務室に入ると、女の子は山田先生に事情聴取を受けていた。
「あ・・神風君」
「山田先生・・・・その子に何をしていたんですか?」
「事情聴取です。記憶喪失といっても少しぐらい何か覚えているかもしれないと思って」
「そうですか・・・。それで、何か分かったのですか?」
「はい。どうやら基礎知識は覚えているようです。ですが自分の名前や知り合いなどの記憶は全く無いそうです」
「・・・・何か都合のいい記憶喪失だな・・」
「そうでしょうか?」
「・・とりあえず、私生活をするには問題は無いと?」
「そうですね」
「・・・・・・」
「じゃぁ私はこれで」
そして山田先生は医務室を出た・・・・
「・・・・・・」
そして隼人は女の子の傍にあったイスに座る。
「・・また・・会いましたね」
「そうだな」
「・・それにしても・・・不思議ですよね」
「何がだ?」
「・・あなたは・・・私と同じ顔だから・・・・不思議に思って・・・」
「そうか・・・」
「・・それに・・・あなたとは前にも会ったような気がするんです・・・」
「・・会った気がする、か」
「・・・そういえば・・・・お名前を聞いていませんでしたね・・・。お名前はなんと言うのですか?」
「あ、あぁ・・・。神風隼人だ」
「神風・・・隼人・・・。いい名前ですね」
「・・・そう思えるぐらいは記憶は保っているのか?」
「はい・・・・。自分でも驚くぐらい・・・どうしてこんなことが分かるのかなって」
「・・・・・」
「でも・・・・自分のことや・・・関わった人のことは・・・全然覚えてない・・・・」
「そうか・・・・」
「・・でも・・なんだかあなたと一緒に居ると・・・安心感があるんです」
「・・・安心感?」
「はい・・・・。お医者さんや先ほどの先生と居る時より・・・あなたと一緒に居るのがとても安心します」
「・・・・・」
「・・変でしょうか?」
「・・・いいや。変じゃないさ」
「そうですか・・・。良かった・・・」
と、ニコッと女の子は微笑む。
「・・・・・」
「どうされましたか?」
「・・・いいや。なんでもない」
「・・・?」
「それより、君ってどのくらい分かるか。問題を出してみるから」
「はい。ある程度なら分かります」
そうして二人はしばらく話した・・・・
「・・・・・・・」
そんな様子を別室で千冬と山田先生が見ていた。
その部屋は隼人と女の子が居る医務室の隣で、透けている窓もマジックミラーなので向こう側では鏡にしか見えない。
「あの子・・神風君と一緒ですと明るいですね」
「そうだな・・・。私達が話してもあんな風には話さんからな」
「確かにそうですね・・・」
「・・・・・・・」
「それで、あの子は今後どうするのですか?このまま医務室に置いておくのはあの子にも悪いことですし・・」
「・・面倒を見るやつを決めなければならないな」
「面倒をですか・・・。でも適任者が居ますでしょうか?」
「・・もう居るだろ」
「え?」
そして山田先生は千冬の視線の先を見る。
「・・まさか・・・神風君に?」
「あぁ。あの子もあいつに一番懐いているなから」
「それはそうですが・・・・・でもそれでは神風君に迷惑では?」
「そうでもないだろう。それに―――」
そして千冬は隼人を見る。
「・・・あんな風に楽しそうに話すあいつを見たのは初めてだ・・・」
「そうなんですか?」
「あぁ・・・」
「・・織斑先生って意外と神風君のことを――――」
ゴスッ!!
「・・な、何でもありません・・・」
と、山田先生は千冬より手刀を頭に受けて涙目になる。
「ふん・・・」
と、千冬は不機嫌そうにするも、その頬は少し赤かった・・・・・・・・かな?
「はぁ・・・」
と、エリーナはため息を付いて自室のベッドに腰かける。
「・・・・・・」
そして隣のベッドを見ても、そこにはいつも居たルームメイトの姿は無かった。
(・・ほんまに寂しいなぁ・・・・そういや隼人と最近話してないなぁ・・・って、言っても最近なんか話しづらくなってしもうているし・・・・あーあ・・・なんかおもろないなぁ・・・)
そしてまたため息をついて制服を脱ぎ捨てる。
「・・・・ん?」
そして下のシャツを脱ごうとした時、何かに気づいた。
「・・・・?」
エリーナが首を傾げて見る視線の先には机があって、そこにあった黒い小物入れの上に黒い何かがあった。
「なんやこれ?」
そしてその黒いものを取ると、どうやらSDメモリーカードのようであった。
「・・こんなもんあったっけ?まぁいっか」
エリーナは細かく考えずに小物入れの引き出しを引っ張った。
「?」
するとそこには紙が入っていた。
「なんなんや?」
そしてエリーナは紙を取り出して広げて見た・・・
その頃・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・」
IS学園を出て行ったティアはとある施設に隠れていた。
(・・・これからどうしよう・・・)
ティアはあの時の戦闘で左腕を負傷しているので布を首の後ろに回して腕を吊るしているので、右腕だけでISの整備をしていた。
(・・・亡国機業に戻ってもたぶんスコールは僕の正体に気付いている筈・・・。だからバシリスタに戻ろうとしても彼らの居場所は未だに分からない。アジトに直接戻るのはばれる可能性があるから・・・どうしたら・・・)
あれからティアは亡国機業のアジトには戻らず、そのまま各地を転々と移動してここに隠れてISを整備していた。
(・・隼人に真実を伝えたって・・・許してもらえないよね・・・・状況が状況だったとしても僕は彼らを裏切ったんだ・・・。今更戻ることなんかできない・・・)
実際のところあの時に事実を伝えるはずだったが、シスターが隠れていたので言えなかった。
(でも、いつかは真実が分かる時が来る・・・。そのために特殊条件が揃った時に見えるように細工したデータを送ったんだ・・・・。でも、分かるかな・・・)
「はぁ」とティアはため息を付く
(それに・・・隼人には悪いけど・・・このデータは大いに使わせてもらうよ)
と、右手で投影型モニターのパネルをタッチすると、とあるデータが表示された。
(1、5ガンダムのデータと外装・・・・。今後戦う時にスタルクリゲールじゃ厳しくなっていくから・・・・コアを1、5ガンダムに移植してスタルクリゲールには細工を施す・・・。でもコアが機体に馴染むまで結構時間を有するから、それまで見つからないことを祈るしかない、か)
そして1、5ガンダムの外装を展開して出して、コアの換装作業に入った。
(隼人・・・僕は許してほしいとは言わない・・・。だから・・・僕は僕のやり方で責任を取るよ・・・)
ティアの瞳には決意が現れていた・・・・・・
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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