IS 目覚める勇者
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凱サイド

 

「だから言ってるだろ氷竜!?心兄は、僕が作った物の方が喜んでくれる!!」

「何言ってるのか、炎竜。お前の作った絵は、線も色合いも全て絵がぐちゃぐちゃだろう。

私が作った高温でなければ融ける事の無いアイスアートの方が喜ばれるに決まっているだろう!!」

「何を〜!!!??」  

「私は何も可笑しい事は言っていないぞ!!」

 

俺の後ろでは、炎竜と氷竜が睨みあって言い合いをしていた。理由はこれから心の見舞いに向かう所なのだが、光竜がどんな物を持っていくのかという質問で、二人がそれぞれ作り上げた物を競っているのだ

 

「はぁ・・・まったく、何故あのように喧嘩になるのだろうか・・・」

「風龍、お前だって人の事は言えないと思うぜ」

「私は、炎竜兄ちゃんのも氷竜兄ちゃんのも良いと思うけどなあ?」

「私としては、早く聖心お兄様が元気になって頂ければ良いと思うのですが・・・」

 

風龍は喧嘩する炎竜と氷竜に呆れているが、雷龍に突っ込まれる。光竜は何故そこまで喧嘩するのか理解していない。闇竜は純粋に心に元気なってもらいたいようだ。心の容態は、回復に向かっているが、未だにベットから動く事は出来ていていない。そういえば、少し前にJが姿を消したがどうしたのだろうか?

 

「喧嘩するほど、仲が良いっという事で宜しいのでしょうか?」

「少し、違う気もするっぜ・・・」

「ってか、聖心が気に入るかどうかの問題じゃねぇのか?」

 

ボルフォッグとマイクは少し呆れている。ゴルディの言っている事は正論だろう。

そして、何時の間に心の病室の前に到着していた。俺は扉を3回ノックした。

 

「心、起きてるか?入っても良いか?」

『凱か?勿論だ、入ってくれ』

 

心の声は以前より明るくなっていて、俺は安心した。扉を開けると心は、ベットに凭れ掛っている。

ベットの角度を調整して、背凭れの様にしてるようだ。

 

「心兄!!僕の絵と!!」「私が作ったアイスアート!!」

「「どちらが素晴らしいか見てください!!!」」

 

炎竜と氷竜は、同時に見舞いの品である絵と氷の造形物を見せた

 

「おい、心はまだ完全じゃないんだ。大声を出すんじゃないよ」

「そうよ、いきなり調子が悪くなったんだから、まだ安静が必要なんだから」

 

先に部屋に入っていたルネと命が二人を注意した。特にルネの睨みは凄い、二人は縮み上がっている

心は、気にしないでっと言って先に炎竜の絵を手に取って眺め始めた。

炎竜の絵は・・・なんというか・・・炎のような勢いと爆発のようなインパクトがある

 

「・・ほう、中々上手く書けてるじゃないか?これはゴールデンゲートブリッジだね」

「その通り!!大正解だぜ心兄!!」

「な、何故理解出来るんだ・・・?」

 

氷竜は何故、このぐちゃぐちゃな絵が何を表しているのか理解出来ないようだ。俺も理解出来ん。

心と炎竜は何か通じる物があるのか?絵を一旦、近くのテーブルに置いて

心は闇龍からのプレゼントのメガネを掛けて、氷竜プレゼント見始めた。

掛ける必要はない筈だが、闇龍を気遣っているのだろう。

メガネを掛ける姿を見た闇龍は嬉しそうだ

 

「・・・ほう、俺の誕生花『百日草』の細かい所まで表現されてるな。もしも売り出すとしたら

4000は軽く突破するかもな」

「本当ですか!?では私の作った方が素晴らしいという事ですね!!」

「何を言ってるだ!僕だ!!」

 

炎竜と氷龍は再び、額をぶつける様に争い始めた

 

「まあまあ、落ち着け。俺はどちらも良い物だと思うし、引き分けって所かな?」

 

そう言うと、炎竜と氷竜は揃って心の方を見た。この時に、本当に双子だなっと俺は少し笑った。

 

「・・・解ったよ・・・だけど次はもっと良い物を作るぜ!!」

「私もだ」

 

炎竜と氷竜は睨み合いながら、リベンジのような戦いを誓った。

 

「しかし、何故いきなり聖心さんの容態が急変したのでしょう?」

 

ボルフォッグがボソッと言った言葉に、俺達は考えた。心は今現在サイボーグ。調子を崩すのは

やや不自然だ、叔父さんお手製のマシンに繋がれていて常に、状態がベストに保たれている筈だからだ

 

「でもさ、聖心お兄ちゃんは今はどうなの?」

「今は安定してるさ、でもなんでいきなり悪くなった理由は不明なのさ」

 

光龍の質問にルネは、少し優しげな言い方で答えた。すると、扉が開きJが入って来た

 

「J、お前何所に行っていたんだ?」

「原種が現れたものでな、その対処だ」

 

その言葉を聞いた途端、俺達は硬直した。原種が現れた?

 

「ほ、本当か!!?」

 

俺は思わず大きな声を出しながらJに向き直った

 

「ああ、だが問題はない。巨腕原種、鉄髪原種は浄解済みだ」

「そうか・・・?まてJ、どうやって浄解したんだ?」

 

原種を完全に倒すには、原種核を心の持っている能力で浄解しクリスタル状にする必要がある

もしかして!!

 

「まさか、心を連れて行ったんじゃないだろな!!?」

「それ以外にどうやって原種を浄解しろと言うのだ?」

 

Jは呆れたように俺を見るが、心の身体はまだ万全ではない。Jの言いたい事は理解出来るが

俺達は一斉に心を見ると・・・

 

「ZZZ・・・」

 

眠っているが・・・

 

「起きな!!(ガスッ!!!)」

「いてぇぇぇえええ!!!!!」

 

ルネの鉄拳が心の頭部に炸裂して、そのあまりの痛みに心は飛び起きた

ルネは凄まじい眼光で心を睨む

 

「ルネさん・・・恐い・・・」

「お、俺もだぜ・・・」

「雷龍に同感・・・」

「俺もだ・・・」

「oh・・・scary・・・」

 

皆はルネのあまりの迫力に、恐がっている

 

「凱・・・私も恐い・・・」

「奇遇だな命・・・俺もかなり恐い・・・」

 

俺は命を抱き寄せながら言った。するとルネは俺達の方を、目だけで睨みつけた

 

「二人にしてくれないかい・・・?」

「わ、解った・・・」

 

俺達はルネの圧倒的な迫力に負けて部屋を出て行った。その時、心は軽く恐怖に染まった顔をしていたが・・・

 

ルネサイド

 

「心・・・なんで行ったんだい・・・?」

 

私は心に少々威嚇するような声を出しながら、問いかけた。心は少し恐がっている

 

「あ、あのぉ・・・原種をゾンダークリスタルにするには俺の力が無いと・・・

「でも、あんたは安静が第一だった筈だ。そしてあんたは悪化した。」そうですけど・・・」

 

確かに、心の言いたい事は理解出来る。浄解能力は心しか持っていないのは解る・・・でも

私は心に無理をして欲しくない。それが仕方が無い事だとしても

 

「・・・ですがルネさん、俺が行かなかったら原種核は・・・」

「解ってるよ・・・でも私はお前に無理はして欲しくないんだ。出来る事なら戦わないで欲しい

あんたの身体はもう戻らないんだ。下手をすれば・・・生身の部分が無くなるかもしれない」

 

心の身体は、90%以上が機械で構成されているサイボーグになっている。生身の部分は頭だけ

これ以上戦いが続けば、心の身体はもっと酷い事になるかもしれない・・・

 

「・・・解りました、出来るだけ無茶はしません」

「解ってくれれば良いんだ。よし、身体は動けるようになったのか?」

「多少は、下手に全力疾走しなければ大丈夫だって、ルネさんが来る前に雷牙叔父さんから聞いてます」

 

私はその言葉で、にやりと笑みを浮かべた

 

「だったら、買い物に付き合いな」

「買い物ですか?解りました」

 

私は、買い物に行く日時を教えて心の病室を出て、走って自室に戻ってガッツポーズを取った

 

「やぁぁぁたぁぁぁあああああ!!!心がどう思っていようがこれは完全なるデート!!」

 

私は早速、クローゼットを開いて着ていく服を選ぼうとしたが・・・

 

「・・・しまった、私、まともに女らしい服を持ってなかった・・・」

 

 

 

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