IS インフィニットストラトス〜騎士を駆る少年〜
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それから一週間剣を箒が教えて、シュミレーターで一夏にISの運用法を教えた。モデルは織斑先生の【暮桜(くれざくら)】の近接特化型だ。おそらく一夏に渡されるISも同タイプだと考えたからだ。銃を撃ちまくってるよりは、剣を振り回している方が性に合ってるだろうし。

 

「一夏、作戦は分かっているな」

「まずは攻撃を避けまくって様子見、だろ?」

「それもある。だがまだお前のISが来ていない以上、まずは【一次移行(ファースト・シフト)】に持って行かなければならない。お前の姉はフォーマットとフィッティングを実戦でやらせるだろうからな。

【一次移行】が済んでも油断するなよ。自分と相手の武装を理解しなきゃ、勝てる勝負も勝てないからな」

「分かった。…ところでホントに兄貴はやらないのか?」

「俺が出たらお前は多分30秒も保たずにやられる。そもそも俺とお前では稼働時間、兵装、世代。あらゆる点で差がありすぎる。だから、勝負にならない」

「分かってるけど、はっきり言われるとむかつくな…。兄貴は何時からその【ナイトメアフレーム】だっけ?に乗ってるんだ?」

「乗り始めたのは小学校4年の時。当時【ナイトメアフレーム】は第5世代だった。その頃、ようやくフロートシステムが出来上がってな。そのテストパイロットをしていたんだ。その年に両親が亡くなり、俺は【ナイトメア】の開発を開始して、そして去年末に第9世代になったんだ。ついでに世界中から人員を集め、とある秘密結社を作っちまったしな」

「へぇ…。そういえば兄貴、【ナイトメア】って全部でいくつあるんだ?兄貴の機体の【ランスロット】も含めて」

「俺の専用機は【ランスロット・アルビオン】じゃないぞ?あの時は素早く、なおかつ武装が多彩だから選んだだけ。俺の専用機は別にあるからな。…公式チートみたいな機体が」

 

話し忘れていたが、当日になっても未だに一夏の機体が届いていない。いざとなったら、俺が何か機体を貸すしかないだろう。まあ、実戦やらすまえにとあるデータをインストールするが。

 

「お、織斑君!織斑君!」

「山田先生、届いたんですか?一夏の専用機」

「あ、草薙君。はい!織斑君の専用機【白式】が届きました!」

「なるほど。行くぞ、一夏。お前の機体のところにな」

「わ、分かった!」

 

俺達がその【白式】のところに行くと、そこには文字通り【白】があった。なるほどな、だから【白式】なのか。

 

「一夏、早く乗り込め。さっさとフォーマットとフィッティングの下準備を済ませるぞ」

「…どうするんだ?」

「あのな、なんでお前に一週間もシュミレーターをやらせてたと思ってるんだ?そのデータを元に【一次移行】を早めに済ませるために決まってるだろ」

「そんな事を考えていたのか…。サンキュー、兄貴!」

「土台の入力は終わった。後はお前が実戦でどうするのか、ほぼ全てそれにかかっている。いいか、一夏。己を信じ、【白式】を信じろ。そうすればきっと【白式】はお前の意志に応えてくれる」

「…ああ。それじゃあ行ってくる!」

「やるからには勝てよ」

「もちろんだぜ!…箒」

「な、なんだ?」

「行ってくる」

「…ああ、行ってこい!」

 

一夏は笑みを浮かべながら、カタパルトに向かって行った。ああは言ったけど、おそらく一夏は負けるだろう。せいぜい引き分けが関の山。良いところまでは行くだろうが、所詮1日分程度にしか出来ていないからな。

 

「あら、尻尾を巻いて逃げたかと思いましたわ。…今謝るなら許してあげてもよくてよ?」

「お断りだ!そうじゃなきゃ、この一週間頑張った意味がないんだからな!兄貴にも、箒にも、千冬姉にも面目が立たないしな!」

 

『試合開始!』

 

「ならば踊りなさい!私、セシリア・オルコットとブルーティアーズの奏でる円舞(ワルツ)で!」

 

流石はイギリス。言い方がキザというか、なんというか。やっぱりイギリスはビットシステムの研究を続けてたのか。だがまだ稼働率が低いようだな。偏向射撃(フレキシブル)もまだ放てないようだしな。まあ、あれは口で言っても理解できないから自分で分からなきゃいけないんだよな。

 

「一夏の奴、やっと【一次移行(ファースト・シフト)】になったか。まあ、まだ機体操作がぎこちないけど。あ。終わった」

 

『試合終了。勝者セシリア・オルコット』

 

「へ?」

「え?」

 

何が起こったかというと…一夏は【白式】の唯一能力の【零落白夜】を発動した。この能力は自分のシールドエネルギーすらも攻撃にまわすほどの超攻撃特化型の能力だ。それを理解してない一夏は、エネルギーの使いすぎで負けたというわけだ。

 

「残念だったな、一夏。まあ、半分見え透いたことではあったけど…ここまで善戦するとは思わなかったよ。凄いじゃないか」

「でも負けちまったんだよな。あんなに言ったのに…穴があったら入りたいぜ」

「代表候補にあんだけやれたんだから、相当な物だぜ?そう落ち込むな。たった1日分程度しか訓練してない奴があそこまで行ったんだ。もしお前が同じくらいやったら、国家代表クラスになれるかもな」

「そうかな?」

「まぁ、お前どこの国にも属してないしそもそも代表候補生じゃないから国家代表にはなれないが」

 

もはや台無し。一夏と箒がずっこけていた。

 

「まあ、お前はそんな事は気にせずに突っ走ってたらいいんだ」

 

俺はそれだけ告げると、プレハブ小屋に戻ってきた。各ナイトメアの確認があったからだ。【ペンドラゴン】も【ランスロット】も【紅蓮聖天八極式】も第9世代以上の機体だ。それはエナジーウイングを搭載しているから。順次他の機体もロールアウトしなくちゃならないから、俺は結構忙しい。

 

「だから邪魔しないでくれないか?楯無」

 

さっきから楯無が俺に後ろから抱きついている。なんかこいつは本当に猫みたいな奴だな。

 

「え?い・や♪」

「…いいからさっさとどけ。俺に色仕掛けなんぞしても無駄だ。新システムのテストとか色々あるんだから、構っている暇はない」

「もう、こんな美少女がこんなに近くにいるのに感想がそれだけって枯れてるんじゃない?」

「…ならお前を抱けばいいのか?」

「え?えと、それは…」

「そういう問題じゃないだろう?それにいくら足掻いても足りないくらいなんだ。俺は俺に出来る精一杯をやるしかないんだ。こんなところでは止まれない。だから今はお前の相手はできない。悪いな」

「いや、そこまで気にすることじゃないんだけど…私もごめんなさい」

「謝る必要はない。邪魔してくれなければ、な。…さてと、とりあえずこれで終わりだ」

 

俺は椅子を回して楯無の方に顔を向けた。そして楯無を抱きしめた。楯無の顔がもう真っ赤になっていた。こういう部分は凄く可愛いんだよな。

 

「俺はお前がいてくれてありがたいと思っているんだ。お前はなんだかんだでこちらの心配をしてくれてるからな」

「あ、ありがとう…でも、どうしたの?いきなりそんな事を言いだして」

「こんな時じゃないと、到底言えそうにないからな。言っておこうと思っただけさ。迷惑だったなら謝る」

「いや、迷惑とかじゃないから。…この分だとどれくらいで準備は終わりそうなの?」

「さあ?まあ、少なくとも夏休み後だろうな。このペースでいったら、だが。別にペースを上げれば夏休みには終了するだろうし」

 

あ、明日は弾のところに行くか。あの機体の話もしたいしな。【ランスロット】の量産型試作機【ヴィンセント】の、な。

 

「さて、飯でも食うか」

 

俺達が食堂に着くと一夏がしょぼくれながら食事を取っていた。まあ、大方箒と何か話して貶されたかなんかされたんだろう。あいつも大概のツンデレだからな。俺としてはあそこまでのツンデレとは付き合いたくない。だって照れ隠しで刀を振ってくるんだぜ?友達ならまだしも恋人とか…無理だ。

 

「な〜にをしょぼくれてるんだ?お前は」

「あ、晃の兄貴。いや、これでクラス代表はあいつなんだなと思ってな」

「なんだそんな事か。別にいいじゃないか。そもそもやりたくなかったんだろ?それならラッキー、って思っておけばいいんだよ」

「そういうもんかなぁ…?」

「まあ、そこまで気にする必要はないだろうがな」

 

俺の勘が正しければ、セシリアのやつはおそらく…

 

「え!?それどういう意味なんだよ?ちょっと、兄貴!」

「いずれ分かる。具体的に言うなら明日ぐらいに、な」

 

俺はそれだけ告げると食事の注文に行った。基本的に俺の夕食は軽い。朝にほどほどに食べて、昼にがっつり食べて、夕方に軽く食べる。夕方からよりも昼からの方がエネルギーを消費するからだ。システム組んだり、テストしたり、楯無のわがままに付き合ったり、簪の【打鉄弐式】の製作を手伝ったり。

 

楯無のはよく分からんが、まあそんなわけで体力の消費量が桁違いなんだよな。だから軽めのサンドイッチを注文した。1人でもしゃもしゃと食べていたら、いろんな人に話しかけられた。なんでだ?

 

そして翌日−−

 

「クラス代表は織斑一夏君に決定しました!あ、一つながりでいいですね!」

「あの、先生」

「なんですか?織斑君」

「どうして俺が代表なんですか?俺、昨日負けましたよね?」

「それは」

「私が指名したからですわ」

「へ?それってどういう…?」

「一夏、忘れたのか?昨日の試合は互いにクラス代表決定権を賭けた試合だぜ?だから勝者であるセシリアはお前を指名したんだ。理由は知らんが」

 

まあ、どうでもいいことなので無視した。そんでセシリアは一夏に名前で呼ぶように言ってまた一悶着。その後の実習では…

 

「それでは飛翔と急降下の実践をしてもらう。織斑、オルコット、草薙。準備しろ」

「「「分かりました」」」

 

俺は【ランスロット・アルビオン】の前世代機である【ランスロット・エアキャバルリー】を展開した。背中のバックパックで方向転換する。

 

「何をやっている。オルコットと草薙はもう終わっているぞ」

「ぐぬぬぬ…」

 

一夏は展開に手間取っているようだな。まあ、この間触ったばかりの奴にそこまで求めるのがそもそも酷なのだが。

 

「…来い、白式!」

 

ああ、終わったか。つっても強いて言うならもうちょっと早くして欲しいかな?まあそのうち速度も上がるだろうが。

 

「それでは始めろ」

 

まず最初に飛んだのは俺、セシリア、一夏の順。これは経験の差もあるのでしょうがない。それでも文句を言われていたが。めちゃくちゃだな。あのブラコンは。それから少しの間、俺たちは飛んでいた。

 

「どうも要領を得ないんだよな。なんで飛んでるんだ?これ」

「要するにイメージだからな。説明はしてたら日が暮れるから止めろ」

「わ、分かった」

「な〜に、飛び方くらい代表候補生様が教えてくれるさ。だろう?セシリア」

「え…ええ、なんなら放課後にでも」

 

「一夏!いつまでそんなところにいる!」

 

「おっと、そろそろか。セシリア、先に降りろ。俺たちは後で降りる」

「分かりましたわ」

 

そこからの手際はさすがは代表候補生。きちんと的確に降りていた。あれくらい出来るなら、俺もさっさと降りられるんだが…。それは酷か。

 

「いいか、一夏。前にも言ったが、白式を信じろ。な〜に、ISの操作なんて所詮イメージだからな。落ちついてやれよ。目標の10センチなんて今のお前じゃ無理だからな。気楽にやれ」

「分かった」

 

俺はその返事に頷いて、俺は第三世代が出せる最高出力で降下し地表に0.5センチぐらいで着地した。一夏の方を見上げると、一夏も降下体制に入っていた。

 

出力は普通だが、安全に降下出来ていた。そして着地は9.5センチ。ぎりぎり…いや、及第点のレベルだった。

 

説明
おなじみのクラス代表決定戦です。……かなりはしょりますが。
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KMF インフィニット・ストラトス コードギアス IS オリ主 

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