魔法少女リリカルなのはStrikerS〜二次創作〜 第19話 「集合!海鳴市にて」 |
両手に花
そんな状態を男なら一度は体験してみたいと思うのではな いだろうか?
だが、漫画や映画などでそういうシーンがあっても、現実 ではなかなかお目にかかれないシチュエーションである
それに、ましてや普段とは違う状況に置かれていては、そ んなこと考えている暇などないに等しいだろう
だが・・・
「よかった?、男の子が一緒で。人数がいっぱいいるから 荷物どうしようかと思ってたんだよね?」
「たくさん食べそうな子達もいたし、でもダンテなら十人 や二十人分くらい平気よ」
「いや・・・さすがにそれは・・・」
図らずも・・・現在進行形で実現化してしまっているのだ
それもとびっきりの美人さんが俺の両方を陣取り、俺はと いうと周りの羨ましいといった視線や嫉妬という視線を集 めてしまっているのだ
「うーん・・・これと、これ。あとこれもかなぁ」
「はい、はい、はい。よろしくねダンテ」
「りょ、了解・・・です」
月村さんとアリサが選んだ品物を次々とカゴへ入れていく
帰りにこれを全部持つことを考えると・・・うん、なんと かなるさ
「ダンテ君、本当に大丈夫?凄い量だよ」
「だ、大丈夫ですよ月村さん!これでも男ですから」
「うふふ、頼もしいね。ダンテ君」
俺の方が背が高いので、自然と下から覗きこむような状態 になる月村さんに少し緊張しながらもそう答える
「それに、すずかでいいよ?同じくらいでしょ?」
「え?あ・・・いや、でも・・・」
「うう・・・アリサちゃんはいいのに私はダメなの・・・ ?」
そう言って涙ぐむ月村さん
「あーあ、すずか泣かしたー」
「わ・・・わかりました!だからす、すずかさん泣き止ん でくださいよー!」
ここはデパート
ただでさえ視線を集めているのに、泣かれでもしたら確実 に俺に疑いがかけられる
それに第一、なのはさんの友達を泣かせたりしたら、後で お話があるとかなんとか言われて呼び出された挙げ句ボコ ボコにされるかもしれない
というより女の子を泣かせるわけにはいかない!
「すずかさん!これでいいですよね!?」
「はい、よく出来ました」
「・・・へ?」
今まで泣いていたのが嘘のように、コロッと笑顔になるす ずかさん
え?もしかして・・・嘘泣き?
アリサを見てみると、何かを企んでいたかのような笑みを 浮かべている
「ふふふ、これくらいしないとダンテは呼んでくれないか らね?」
「ま、まさか・・・」
すずかさんの方を見てみると
「ふふふ」
満足そうに、アリサと同じような笑みを浮かべていた
「さ、次に行こう?ダンテ君」
「は、はい」
まさか、すずかさんも共犯だったとは・・・
ーーーーーーーーーー
「ただいま?、はやてちゃん」
「はやてだー!」
「おかえりー、おお!アリサちゃんやんか!」
コテージに着くと、八神やシグナムさん、ヴィータさんに シャマル先生がいた
「相変わらず元気そうね、はやて」
「もちろんや!アリサちゃんも相変わらずやなぁ」
八神さんもアリサもお互いに近づき再会を喜んでいた
「八神さん、食料をお持ちしました」
俺はというと、両手に食べ物が入っている袋を持ち、八神 さんにそれを渡していた
「お、ダンテ君もしっかり仕事しとるなぁ。感心感心」
「ダンテ君本当にいい子よ、さすがはやてちゃんの部隊の 子ね」
いや、すずかさん
勘違いしているようですが俺は機動六課の人間じゃないで すよ
ただ誘われて来ただけで
「いや、すずかさん。俺は機動六課の人間では・・・」
「そうやろそうやろ?期待のホープなんやけど、こういう 性格だからなぁ」
「戦闘力は、ずば抜けているのだがな・・・」
「普段の姿見てると強いんだか弱いんだかわからない時が あるんだよな」
八神さんに続いてシグナムさんとヴィータがそれぞれ意見 を述べる
確かにアリサもすずかさんもさっき、優しいねと言ってい たけどそんなにかなぁ・・・
というより
「大きなお世話です」
俺はホープでもないし、この戦闘力も特に必要と思ってい ない
いや、あの世界に引き込まれることがまたあるかもしれな いから多少は必要・・・か?
とにかく、ありすぎても困る
俺は元の世界に戻れればいいだけで・・・
「それより八神さん。何か手伝うことありますか?」
そう、今は目の前にあるこの食べ物をどう調理するかだ
「またそんな・・・まぁ今はええわ、うーん・・・ダンテ 君はのんびりしててええで?」
「いや、でもそれじゃ・・・」
「ええんやええんや、ダンテ君誘ったの私らやし。それに な・・・ここは女の戦場なんや!」
八神さんの言葉に頷く、他の一同
なるほど、男がいる手前料理は女の闘いということなのか ・・・
「ダンテ君に私が料理上手いことを見したるんや!いつも 食べさせてもらっとるだけやからな!」
「はやての料理はギガウマだぞ!腰抜かすなよダンテ!」
ヴィータさんが腕を組みながら言う
八神さんの料理かぁ・・・どんなのができるんだろう
「あ、強いて言うならシャマルの監視を頼むわ」
「はやてちゃん!?」
八神さんの言葉に驚き、シャマル先生は八神さんの方を見 る
俺は八神さんの言葉に首を傾げていた
なぜシャマル先生に監視が必要なんだろう・・・
「なぜ、シャマル先生に監し」
「いいかシャマル、ダンテと一緒に居るんだ。絶対に調理 場には近づくな!絶対だ!」
「そうだ!絶対に近づいちゃダメだぞ!」
「みんな酷い!これでも少しは上手くなったのに・・・」
シグナムさんやヴィータさんの言葉に、シャマル先生は涙 目になっていた
そんなに酷いのだろうか・・・
「わ・・・わかりました八神さん。じゃあシャマル先生、 行きましょうか?」
「ダンテ君も酷い!お願いはやてちゃん、材料を切るだけ でも!」
「まぁ・・・それくらいならええな」
シグナムさんもヴィータさんも、それならと納得していた
一方、俺とアリサとすずかさんは苦笑いをするしかなかっ た
「そういえば・・・」
俺が調理場を離れ湖を見ようと近くまで行こうとしていた ところ、ふとすずかさんがそう呟いた
「はやてちゃんのことは『八神さん』なんだね?」
言われてみれば・・・そうだ
というのも、八神さんを『はやてさん』と呼ぶきっかけが ないだけなのだが・・・
「ええんやすずかちゃん、八神さんて呼ばれるの慣れとる し、ダンテ君もそれで定着しとるみたいやしな」
「そう?それならいいんだけど・・・」
そんなすずかさんの言葉を背中に受け、俺は湖の近くに向 かう
八神さんもああ言ってるから大丈夫そうだ
ーーーーーーーーーー
「ダンテ君、いつまで経っても私のこと『はやて』って呼 んでくれないんやぁ?!なのはちゃんやフェイトちゃんは 名前で呼んでるのに?!」
「お?よしよし」
「うわぁぁぁ?!」
ダンテが湖へ向かい、こちらの声が聞こえなくなるくらい まで離れると、はやてはすずかに泣きついてしまった
やはり名前のことが気になっていたらしい
「主はやてがここ最近頭を悩ませていた理由がこれだった とは」
「まぁ確かにあいつは、はやてのことを名前で呼んだこと ないな」
はやての様子を見てシグナムとヴィータは普段の様子を思 い出していた
確かに、何だか重大なことでは無さそうだが悩んでいたよ うな気がする・・・と二人は思うのであった
「くぅ・・・こんなことでめげへん!常にどんなことでも ベストを尽くす、それが部隊長ってもんや!絶対ダンテ君 に上手いって言わせたるんやぁ?!」
はやてはそう言うと調理場に戻り、その意気込みのまま料 理を作り始めた
その姿は、女の戦場という名に恥じない堂々たるものであ った
「主はやて、ご立派になられて・・・」
「さすがはやてだ!」
「はやてちゃんさすがね?」
「まぁ・・・頑張ってるってことで・・・いいのかな?」
はやてのやる気に感動し、シグナムとヴィータは心底感心 していた
アリサは、頑張っているということで納得しているらしい
「ん?あ、お帰り?!」
「なのはちゃん!フェイトちゃん!」
車が止まった音がしたので振り向いてみると、ナイスタイ ミングなのかそうでないのか、任務が一段落したのであろ うなのはとフェイトとフォワード陣がいた
「すずかちゃん!」
「すずか!」
駆け寄るアリサとすずかに、なのはとフェイトも駆け出す
「久しぶり?、元気だった?」
「うん!そっちも元気そうだね」
「大学の方、相変わらず?」
「勉強大変?」
(ティア、なのはさん達が普通の女の子だよ・・・)
なのは達が再会を喜んでいる傍ら、スバルがティアナに念 話を飛ばした
やはり、普段の様子から想像できないのだろう
(同感・・・ちびっこ達的にはどうなの?)
(えっと・・・僕たちにとっては、なのはさんもフェイト さんも普通の女性なので、そう言われましても・・・)
(はい)
エリオとキャロは元々フェイトと会う機会が多いので、特 に何も思わないようだ
「それよりも・・・」
エリオが目を向けた先には
「みんなお帰りや?、うわぁぁぁ・・・」
涙を流しながら料理しているはやてと、それを感心しなが ら手伝っているシグナムとヴィータとシャマルがいた
「ねぇティア、ニンジンって切ったら涙が出る食べ物だっ たっけ?」
「いや、違うと思うけど・・・地球ではそうなのかしら? 」
「「「「うーん・・・」」」」
四人が顎に手を当て同じように?を浮かべている
フォワード陣は、なぜ涙を流しながら料理しているのか少 し気になっているようだ
「そういえば、ダンテ君はどうだった?」
「とってもいい子よ?、荷物も持ってくれたし」
「なのは達が言ってた通りだったわ」
「よかった・・・仲良くなって」
一方なのは達は、ダンテがどういう様子だったか気になる ようだ
何事もなかったことに二人とも胸を撫で下ろした
「それで、ダンテは?」
「あそこ」
フェイトの問いにアリサが答えた
アリサが示した先には、湖の波打ち際でしゃがみこんでい るダンテの姿があった
「ダンテ君・・・」
なのはがその姿を見て呟いた
「やっぱり、寂しいのかな・・・?」
「同じだけど・・・違う地球・・・なんでしょ?」
「うん、ダンテにとって少しでも帰ってきた気分にさせた かったんだけど・・・かえって辛い気持ちにさせちゃった かな・・・」
「ダンテ君、何も言わないからね・・・優しいんだよ。私 たちにいつも心配かけないようにしてくれてる」
「ダンテ・・・」
アリサもすずかも、なのは達と同じようにダンテの寂しそ うな後ろ姿を見ていた
ーーーーーーーーーー
「へぇ?・・・ヤドカリって湖にもいるんだ」
湖に近づくと、浜辺をトコトコ歩いていたヤドカリを見つ けたので、現在しゃがみこんで一緒に遊んでいる
都会育ちであまり海にも行けなかったので、つい子供のよ うにしゃがみこんでしまった
後ろを振り返ってみると、なのはさん達が帰ってきていて 随分と賑やかになっていた
・・・なぜか八神さんが涙を流しながら料理をしていて、 なのはさん達は何とも言えない表情をしてこちらを見てい るのだけど・・・何でだろう?
「どう思う?ヤドカリくん」
ヤドカリの貝殻をつつきながら特に何もないけど話しかけ た
でもヤドカリはのっしのっしと歩くだけ
うーん、八神さんに手伝うことは特に無いと言われても、 このまま何もしないのも癪だし・・・皿を並べるくらいな らできるか
料理に直接関わることでもないし、これなら女の闘いとや らに首を突っ込むこともない
「よっこらしょっと、またねヤドカリくん」
俺は腰を上げ、八神さんの元へ向かった
・・・そうだ、たまにはこういうのもいいかもしれない
どんな反応するかな・・・?
あれ?いつの間にか、また人が増えてる
一人はなのはさんのお姉さんで・・・後の二人は?
ーーーーーーーーーー
「あれ?どうしたんや?ダンテ君」
「はい、お皿を並べることぐらいならできるかと」
調理場に戻ると、それぞれがそれぞれの持ち場につき慌た だしく動いていた
「そうか、じゃあよろしく頼むわ」
「はい、何なりとご命令を八神部隊長」
そう言って敬礼した瞬間、周りの空気が一瞬凍った気がし た
八神さんはもちろん、バーベキューを作っていたスバルさ んまでフリーズしていた
次の瞬間、八神さんの目から涙がぶわっと溢れた
「あわわわ!八神さんどうしたんですか!?」
「今な・・・私の目の前で、一番見たかった光景が広がっ てるんや・・・」
「ダン兄!こっちで一緒にバーベキュー作ろう!一緒に訓 練しよう!」
「え?あ、スバルさん!?」
俺はスバルさんに手を引かれ、他の皆さんとバーベキュー を作る作業に入った
これも訓練ですよね!と妙に意気込んでいるスバルさんと 一緒に
「あれ?はやてまた泣いてる・・・」
「何か嬉しいことでもあったのかな?」
「うわぁぁぁ?!」
また泣きながら料理している八神さんに今、周りにいなか ったなのはさんとフェイトさんが不思議そうな顔を浮かべ ていた
二人に聞かれていたらどうなっていたことだろう・・・
ーーーーーーーーーー
「さて、皆さん!任務中にも関わらず、何だか休暇みたい になってしまいましたが・・・」
「丁度、サーチャーの反応と広域探査の結果待ちというこ とで少しの間休憩出来ますし」
「六課メンバーは食事で英気を養って、ひき続き頑張りま しょう!」
「「「「はい!」」」」
それぞれに食事と飲み物が行き渡り、隊長たちの言葉に答 えるフォワード陣
「現地の皆さんは、どうぞゆっくりしていてくださーい! 」
「「「「「はーい!」」」」」
「はーい」
「ダンテ君はこっち!」
「あ?、えー?」
現地メンバーの後ろにこっそり隠れていたが、なのはさん に見つかって連れ戻されてしまった
「では、せっかくの機会ですので六課メンバーや初対面組 など、それぞれ自己紹介などを・・・」
「じゃあ、そっちから順番に」
「はい!」
そして、アリサから順番に自己紹介が始まった
ちなみにさっき居た新しい二人は
一人目は、聞くところによると、フェイトさんのお兄さん のお嫁さんのエイミィ・ハラオウンさん
二人目は、聞くところによると、フェイトさんの使い魔で あるアルフさん
フェイトさんとは10年以上の付き合いらしい
見た目はエリオ君やキャロちゃんと同じくらいだけど、本 当は大人の姿をしているという
このサイズだと燃費がいいとか
「じゃ、最後はダンテ君ね」
「え?俺もやるんですか!?」
「当たり前やん、ほらほら」
八神さんに諭され、俺は自己紹介を始める
この視線が一気に俺に集中する感じがどうも慣れない
「えーと・・・機動六課の食堂でアルバイトをしています 、ダンテといいます。今日は八神さん達のお誘いで地球に 来ました。よろしくお願いします」
「こう見えてダンテ君はめっちゃ強いねん。フォワード陣 が束になっても勝てるかどうか」
「いやいや八神さん、そんなことは・・・」
八神さんの言葉に六課メンバーはうんうんと頷いていた
そんなに強いとは思ってないんだけどなぁ
「それじゃあ、自己紹介も一段落ということで」
「そろそろ始めましょうか」
「それでは皆さんグラスを持ってくださーい」
隊長たちの言葉で一同はグラスを持った
「では、かんぱーい!」
『かんぱーい!』
そして、食事会は始まったのであった
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