ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第一話 プロローグ |
少年「ふ、せい、ほっ、せや!!」
少年の振るった大剣がモンスターの体を
正確に捉えて切り裂く。
モンスター[ぐるあっ!!]
モンスターは悲鳴を上げて倒れると
ガラス塊を割り砕くような大音響と共に、
微細なポリゴンの欠片となって爆散した。
完全に消滅したのを確認し、もう一度左手を振るって
アイテムウインドウを呼び出す。
ウインドウにはアイテムが所持できる限界まで詰め込まれている。
少年「うわぁぁぁ・・・そろそろ処分するか・・・」
少年はウインドウを消すとポケットから青い八面柱型の結晶
を取り出して叫ぶ。
少年「転移!アルゲード!」
鈴の音色のような音が流れ、結晶が砕け散る。
その瞬間、少年の体が青い光に包まれ消えた。
第五十層アルゲード
アルゲードはSAO内では有数の大型な街であり、完結に表現すると《猥雑》。
広大な面積いっぱいに無数の隘路が重層的に張り巡らされていて、
一度迷い込むと2,3日戻って来れないとまでいわれている。
少年は街の転移門に出現すると、西の目抜き通りに向かって歩いていく。
程なくして一軒の店にたどり着くと扉を開けて中に入る。
5人も入ればいっぱいになりそうな店内には、武器から道具、食材にいたるまで
様々なアイテムが所狭しと並んでいる。
少年はその奥でアイテムの整理をしている店主を見つけると、声をかける。
少年「ようエギル。ついに客が来なくなったか?」
少年に気付いた((店主|エギル))が振り向きながら言う。
エギル「デュオか。バカ言え、こんな朝っぱらから店に来るのはお前ぐらいしかいねーんだよ。」
この店の店主、エギルは百八十センチはある体躯の黒人で
岩から削りだしたようなゴツゴツとした顔、頭はスキンヘッドの二十代後半の男性である。
デュオ「貴重な睡眠時間奪って悪かったな。いいもの持ってきたからそれで勘弁。」
エギル「まぁお前さんには世話になってるしな。どれどれ・・・」
デュオがトレードウインドウを提示すると、エギルがそれを覗き込んだ。
その途端、エギルが目を丸くして言う。
エギル「おいおい、これはS級レアアイテムじゃねぇか。いいのか?売っちまって。」
デュオ「まだまだいっぱいあるから。」
エギル「羨ましいセリフだな。」
デュオ「そう言うなよ。で、いくら?」
エギル「そうだな・・・15万でどうだ?」
デュオ「じゃあその半分でいいよ。」
エギル「おいおいそれはいくらなんでも・・・」
デュオ「残り半分は睡眠時間代といつも世話になってるお礼ってことにしといて。」
エギル「そうか?いつも悪いな。」
エギルはそう言ったその時、後ろの入り口が開き一人のプレイヤーが中に入ってくる。
?「ようデュオ久しぶりだな。」
そう言って入ってきたのは、黒髪に全身を黒の装備で固めた少年だった。
デュオ「ようキリト。相変わらず真っ黒だな。」
キリト「大きなお世話だ。」
キリトとデュオは挨拶代わりに軽口を叩き合う。
キリト「何の取引してんだ?」
キリトはそう言ってデュオのトレードウインドウを覗き込む。
キリト「うわっ!S級レアアイテムじゃん!」
キリトもエギル同様に目を丸くする。
キリト「そうだ。スピード系の防具ってないか?出来れば黒いやつ。」
デュオ「エギルに売るんだから、売った後にそれを買えばいいんじゃないのか?」
キリト「いや、エギルから買うとぼったくられるから・・・」
デュオ「ああ、なるほど。」
エギル「お前ら、そういうのは本人の前で言うもんじゃねぇぞ。」
エギルが苦笑する。
デュオ「そうだな・・・これはどうだ?」
デュオはそう言うとアイテムウインドウから黒いシャツを呼び出す。
デュオ「防御力も結構高いし、ハイディングボーナス、毒、麻痺耐性、さらに軽量。」
キリト「それいいな。それにする。」
エギル「おい、それ俺とトレードするはずのS級アイテムじゃないか。」
デュオ「S級は他にも入れといただろ?」
エギル「いや、それが一番レア度高いんだが・・・」
デュオ「半額なんだからツベコベ言わない。」
キリト「というわけで先にトレードしてたのに悪いなエギル。」
エギル「まぁいいか、それ以外のやつだけでも、十分助かるしな。」
取引を成立させ、二人とトレードを終わらせると、
キリトとデュオはウインドウを閉じて外に出る。
キリト「お前はこの後どうするんだ?」
デュオ「ちょっと用事があって三十五層まで降りる。」
キリト「そうか。じゃあまたな。」
デュオ「じゃあそのうち。」
そう言って二人は転移門からそれぞれの行き先へ向かった。
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