魔法少女リリカルなのは〜ゼロから始まる転生者達〜第11話「温泉会談」 |
みつるside
〜放課後〜
月村邸での一件から数日が経ったけど、未だあの二人と密かに話す機会がなかった。
念話で向こうから話しかけてきたら僥倖なのだが一向に飛んでこない。こっちから念話を飛ばそうにもまだ未熟で、途切れ途切れになってしまうからだめだ。
もしかして、あの時僕がいたことに気づいていないのかなぁ。でもユーノ君が僕がいたことを知っているはずだからあの二人に話しているはずだし……
「ねえ、みつる君はどう?来られる?」
「え、な、何が?」
「今週の連休になのはちゃん家の温泉旅行に一緒に行かない?ってことだよ。」
「決まっているのは、あたしとすずかとつぐと忍さん、ファリンさんにノエルさんで後、聞いてないのはあんたととしだけよ。」
温泉かぁ。行きたいけど両親の了承を得ないといけないし、育ももしかしたら行きたいって言うかもしれないしなぁ。
「ああ、わりぃ。俺は、パスするぜ。」
「ええ?!どうして、具合でも悪いの?」
なのはちゃんが尋ねた。たしかにこういうのにとしみつ君は絶対来そうなんだけど……
「そんなんじゃねぇよ。新しい友達と約束がしてな。しばらく一緒に遊べないかもしれねえけど、済んだらその子紹介するぜ。」
ふ〜ん、としみつ君の新しい友達か、どんな子だろう……
「みつる君はどうなの?」
「ぼ、僕は、両親と相談してから決めるよ。き、決まったらメールで伝えるから。」
「わかったなの。」
「じゃあ、あたしつぐに連休のこと聞いてくるわね。」
「ありがとう、アリサちゃん」
家に帰り、さっそく母さんと父さんに連休のことについて話すことにした。
「なのはちゃんが家族旅行に友達を誘っていて、僕も誘われたんだけど行っていい?」
「私は構わないけどお父さんは?」
「高町さん家に迷惑かけなように気をつけるならいいよ。」
「お父さん、お母さんありがとう。じゃあ、なのはちゃんにメールをして」
クイクイ 誰かが僕の右袖を引っ張ってきた。両親は左手のソファーに座っているため違う。ということは…右を向くと、やはりいくがいた。
「いくも温泉に行ってもいい?」
やはりそうくるか。
「父さんたちはいいが、二人となると大変なんじゃ……」
「じゃあ、メールで聞いてくるね」
僕は、メールで『親からの許可が出たけど、いくが付いていきたいって言うけど大丈夫かな?』
とメールを打ち送信した。しばらくするとメールが届き、『お父さんもお母さんも大丈夫だって、いく君が来るの楽しみに待っているよ。』と書いてあった。
「来てもいいって、なのはちゃん家。」
「じゃあ、二人とも高町さん家のご迷惑にならないようにしてね。後、みつるもお兄ちゃんなんだからちゃんと弟の面倒を見るのよ。」
「「はーい」」
「じゃあ、父さんは夜の仕込みをしてくるから先に行ってくるよ。」
「あなた、行ってらっしゃい。」
「指を切らないよう気をつけてね〜」
僕は、冗談交じりで父さんを送った。
さて、どうやってあの二人と話ができるかなぁ。……母さんに相談してみるか。母さんには、すずかちゃんの家から帰った後あの出来事ををもう言ったから相談できるだろうし。
「母さん、相談したいことがあるんだけど」
「なぁに、みつる。」
「なのはちゃんとつぐみち君にまだ魔法のことを話していなくて……」
「う〜ん。念話とかは来なかった?」
「ぜんぜん来なかったよ。」
「じゃあこっちから…ってこの間、母さんとやったら途切れ途切れだったわよね」
「うん。何かいい方法は無いかなぁ」
「う〜ん。……そうだわ!温泉よ。温泉なら機を見つければ狩谷君となら二人っきりで話せるわ。」なるほど、特に朝か昼ごろなら入って来る時間じゃないし、そこでつぐみち君を誘えば解決できる。「ありがとう母さん。」
「そうそう、温泉にジュースとか持って行けば話しも弾むんじゃないかしら。温泉にお酒を浮かべて事件のことを話すってこともあるんだし。」
あの母さん、それって刑事ドラマを見て思いついたんじゃ……後、温泉で酒を浮かべるって、酔うと事故に遇いやすいからやってないところが多いってネットに書いてあったよ。
温泉旅館に着いて温泉を覗いたら誰もいないから今がチャンスだと思ってつぐみち君を誘おっとしたんだけど、つぐみち君どこに行っちゃったんだろう。もしかしたら先に入っているのかもと思ってもう一度温泉への入り口へと行くとそこにユーノ君を連れてきたなのはちゃん達がいた。
「あ、あれ、なのはちゃん。な、何でユ、ユーノ君を連れているの?」
「ユーノ君と一緒に温泉に入ろうってなのはちゃんの提案で」
「あたしがユーノをきれいに洗ってあげるの」
この温泉、動物入れて大丈夫なの?衛生面で駄目だと思うんだけど。
けど、つぐみち君がいない今こっそりと話ができるのはユーノ君しかいない。ここはなんとしてでもなのはちゃん達を説得してユーノ君を男湯に入れさせないと……
「あ、あのねなのはちゃんこ、今回だけユーノ君僕に貸してくれない?」
「え、どうして?」
「そ、それは……ユ、ユーノ君を久しぶりにもふもふしたいから。も、もちろんちゃんと洗ってあげるよだ、だからお願い」
僕はもう必死でなのはちゃんにお願いした。
「う、うん。じゃあユーノ君をお願いね」
「ちゃんとあたしよりきれいに洗ってあげるなさいよ」
「う、うん。もちろん」
ユーノ君を連れて男湯に入ると誰もいなくて、つぐみち君も入ってなかった。
〜男湯〜
僕は、やわらかいタオルでユーノ君をやさしく洗っている。ユーノ君の毛が柔らかくてふにゃってなりそうだけどきちんとユーノ君とお話しないと。
「ねえ、ユーノ君。君喋れるんでしょう。僕、ユーノ君とお話したいんだ。」
「――やっぱり気づいてたの。」
「うん。すずかちゃん家の林のところでね。」
「あのね、みつる魔法のことなんだけど……」
「ああ、大丈夫だよユーノ君。僕もなのはちゃん達ほどじゃないんだけど魔法が使えるから。魔法のことは秘密にでしょ」
「そうなんだ、安心した。」
やはり僕が魔法のこと知らなくてみんなに言うんじゃないかって心配したんだね。魔法が世間に知れ渡ったら、変な組織とがやってきたら大変だもんね。ユーノ君を洗い終えて桶の中に入れ、自分の頭を洗いながら話を続けた。
「ねえ、ユーノ君ジュエルシードってなに?」
「ジュエルシードっていうのは(略)というものなんだ。」
「ふえ〜そんな危ないものをなのはちゃん達集めているんだ……」
頭を洗い終えて体を洗おうとしたその時、脱衣所に人影が見えた。
「!?ユーノ君、誰か来るからストップ。」
ガラリッと浴場に入ってきたのは、つぐみち君だった。
「みつる先に入っていたのか、ってユーノを温泉に入れていいのか?」
「大丈夫みたいだよ。なのはちゃんが入れようとしたみたいだし。」
つぐみち君が僕の隣に座り体を洗い始めたが、しきりにチラチラッと僕を見ていたのを僕は見逃さなかった。つぐみち君もしかして魔法のこといつ言い出したらいいのかタイミングを計っているのかなぁ?じゃあ、こっちから言っちゃおう。
「つぐみち君魔法のことなんだけど……」
「う゛、みつるそのことなんだが」
「大丈夫だよつぐみち。彼、魔法のこと知っているから」
「そう…なのか?」
「うん。母さんが元デバイスマイスターで母さんの魔導を僕が受け継いでいるの。あ、大体のことは
もうユーノ君から聞いたよ。」
「そうか。」
「少し質問してもいい?」
「なんだ。」
「なんで念話で話しかけなかったの?」
するとユーノ君が代弁した。
「ごめんあの後二人にみつるに見られていたって話したけどもしかしたらリンカーコアを持ってなくてたまたま入っただけかもしれないって思って、やっぱり僕の方から念話を飛ばしていれば……」
そうか、僕がリンカーコアを持っているかわからなかったんだ。それだったら僕から念話をなのはちゃんかつぐみち君にでもいいから飛ばせば良かった。
「ううん。僕の方から途切れ途切れでもいいから念話を飛ばせばよかったんだ。それともう一つ、二人はいつから魔法を手にしたの?」
自分の体を洗い終えてもう一つ質問した。
「俺は、5歳のころから。なのははたしか…今年のいつからだったかユーノ?」
「今月の頭ごろからだよ」
え…今月の頭ごろからだって!?一ヶ月も経ってないじゃん。5歳から訓練をしてきて、いまだ念話ができていないのに一ヶ月であんな高威力な砲撃魔法が使えるなのはちゃんにこんなに差をつけられるなんて……
「みつる何落ち込んでいるんだ?」
「えー、その、劣等感っていうものを感じて……」
「だ、大丈夫だよみつる魔法にはそれぞれ個人差があるし、それにみつるはまだ成長するから。」
ユーノ君慰めありがとう。でもねそれって二人もまだ成長するってことでもあるんだよ。
「みつる、話は温泉に入ってから話そう」
「……うん」
先につぐみち君と僕が入り、ユーノ君は溺れると危ないから桶の中に温泉の湯をユーノ君の体の半分ぐらいまで入れて温泉を楽しんでもらおう。
「ユーノ君気持ち良い?」
「うん。最高だよ。」
「……一つ聞いていいか。ユーノはそのフェレット姿がお前の姿なのか?」
たしかに遺跡発掘をするのにその体だと狭いところならともかく力不足になるよね。
「いや、元の姿は人間の男の子だけどこの姿の方が魔力消費を抑えられるし、大分癒えたけど怪我の治りも早いからこの姿のでいるんだ」
そうなんだ、ユーノ君の人間の姿ってどんなんだろう。フェレット姿みたいに可愛いのかな。あ、でも男の子だから可愛いじゃおかしいよね。カッコいい?かっこかわいい?
「――誰か来る」
僕が思案しているとつぐみち君が警告した。ガラリッとドアが開くと恭也さんといくが入ってきた。
「やあ、二人とも」
「恭也さんお先に入ってます」
「お、お、お先に」
「あ〜フェレットさんだ!可愛い」
いくがユーノ君を見つけ、ギュ〜と抱きしめた。
《みつる、つぐた、助けて》待っててユーノ君今助けるから。
「いく、お風呂に入ったら先に体を洗うんだよ」
「うん。体を洗い終わった後にフェレットさんをギュッとするからねお兄ちゃん」
……ごめんユーノ君。
「しかし、お前家族だけとなら普通に話せるんだな。」
「さ、三人以上だと、き、き、緊張してしまうから。け、けど前よりもかなり良くなってきているんだよ」
みんなと出会えなかったらきっともっとひどくなってたかもしれない。本当に感謝している。
《なあ、みつる。ジュエルシードのことなんだが、関らないでくれないか。》
つぐみち君から念話がきた。
「うん、そうする。僕、二人みたいにすごく強くないし、二人の足を引っ張りたくないからね。」《そうか、それならいい》
そうだよね。僕なんかの魔導師が手伝っても二人の邪魔になるだけだし、あの金髪の女の子とまともに戦える自信も無い。
つぐみち君は僕が邪魔なんだと思っていないはずだ、ただ純粋に僕を危ない目に合わせないようにするために言ったんだろう。
ちょっと長湯しちゃった。最後にサウナに入ったせいかなぁちょっとふらふらする。ユーノ君は、しばらくいくにもふもふさせられたけど回収できた。
しばらく廊下を歩いていくとなのはちゃん達と合流したけどアリサちゃんがプンプンと怒っていた。
「ア、アリサちゃん何怒っているの?」
「さっき女の人がなのはに変なこと言ってきたの。何あの人!酔っ払ってるんじゃないの!?」
うわ〜アリサちゃんかなり怒っているよ……
「落ち着け、顔が苗字みたいに燃えてるぞ」
「あたしの苗字はバニングスよ!あんたわざと言ってるでしょ!」
つぐみち君冗談を言ううならもっと上手く良いなよ。火に油を注いだじゃないか……
「もう〜この怒り卓球で思いっ切りぶつけるわ。つぐ、あんたが相手になさい」
「なんで俺が……」
「あんたもこの怒りの原因のひとつよ。いいから来なさい!」
アリサちゃんは、遊技場までつぐみち君を引っ張って行った。
「――私達も卓球やろうか」
「そ、そうだねすずかちゃん」
僕達も遊技場に入って卓球をすることにした。
「つぐ……ハァ、ハァ、もう一回よ」
「もうやめとけアリサ……ハァ、ハァ、俺もお前も限界だ」
隣の台で二人が息を荒げていた。二人とも運動神経が良いが試合はつぐみち君が先制してアリサちゃんが同点にしてまたつぐみち君が先制するとイタチゴッコが続いた。
「まだよ。ハァ、まだあんたから先制取るまでやるわよ」
「アリサちゃんもうやめようよ」
すずかちゃんがアリサちゃんを止めに入った。たしかにつぐみち君はもう止めたがっているがアリサちゃんを止めない限り終わらないだろう。
「ねえ、もう一回お風呂に入らない?すっごく汗かいちゃったし」
ナイスなのはちゃん。お風呂に入って部屋でトランプでもすれば勝負のことを忘れるだろう。それに僕達もアリサちゃん達ほどじゃないけど汗をかいてるし、お風呂汗をで流したい。
「わかったわ。でもお風呂に上がったらもう一度勝負よ」
どうか忘れてくれますように。
「じゃあ、ユーノ君を連れてくるね」
すずかちゃんが隣の使ってない台にいたユーノ君を連れて行こうと…
「ちょ、ちょっと待って」
「え!?」
危ない危ない姿はフェレットでも元の姿は健全な男の子だ。女性の裸なんか見たら鼻血の海に沈んじゃう。
《ありがとうみつる》
お、ユーノ君からの念話だ。いやいやこれくらいどおってことも。
「どうしてみつる君?」
あ、理由を考えてなかった。
「ユーノは汗かいてないし、それにさっき風呂に入れたら嫌そうな顔してたぞ」
ナイスフォローつぐみち君。
「え、そうなの……じゃあ無理やり入れたら可哀そうだよね」
よしユーノ君の体裁は守られた!
「あれ?僕が見たときユーノ全然嫌そうじゃ無かったよ」
ちょ、いくぅーーー。
「もしかして、みつる。あたしがユーノをきれいに洗えないと思っているんじゃないでしょうね」「い、いやそうじゃなくて」
「それに、ユーノ君わたしとお風呂に入るとき気持ち良さそうにしていたよ」
……え、ユーノクンソレワドウイウコトカナ。
《え、いやその》
つぐみち君の顔を見ると、どうやら同意見のようだった。
((見捨てよう))
「じゃあ、ユーノ君連れて行くけどいい?」
「「どうぞ、どうぞ」」
「――なんでつぐみち君も返事するの?」
その後ユーノ君からの叫びがきたけど気のせいだよね。さて僕ももう一度入ろっと。
〜夜〜
旅館から借りた部屋は3つで男子グループが一つ、女子グループが二つという割り当てだ。僕を含めた子供グループは先に床に就いているけど、まだ眠くなく布団を被って起きている状態。隣の部屋はなのはちゃん達仲良し3人組が寝ている。
《――ねえ、みつる君起きている?》
なのはちゃんから念話がきた。普通に話すとまだ起きている大人のみんなに聞こえるから僕からも念話してみよう。
《うん。……ねえ僕の念話聞こえ難くない?》
《ううん。大丈夫だよ。》
良かった。どうやら途切れ途切れになってないようだ。
《みつる君も魔導師なんだね。ユーノ君から聞いたよ。》
《うん。なのはちゃん達ほど強くないけど。ごめんねジュエルシードを集めるの手伝えなくて。》
《ううん。みつる君にはみつる君の事情があるし、それにジュエルシード集め最初はユーノ君のお手伝いだったけど、今は自分からやりたいからやっているんだ。》
このことを知っていて二人は進んでこの町を守ろうとしているのに弱い自分に罪悪感を感じた。
《わたし、まだ魔法を知って一ヶ月も経ってないからまだ上手く魔法を扱えてなくて……ユーノ君とつぐみち君に鍛えてもらっているんだ、よかったらみつる君からも魔法を教わっても良いかな?》
《こんな僕でよければいつでも》
《ありがとう。じゃあおやすみみつる君》
《おやすみなのはちゃん》
念話を終えると僕は少し憂鬱になった。僕は二人のように強くない、……二人の力にもなれない、僕はなんて弱いんだ。
僕はそんなことを思いながら眠りに就いた。
第11話「温泉会談」 完
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今話で投稿ペースが落ちますけど一週間に一話を目標にします。 | ||
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