語られし者たちとIS 世界樹大戦 第10話 第二の幼馴染との約束 |
授業中、箒とセシリアは不機嫌になっていた
理由はもちろん、朝やってきた転校生のことだ
一夏と仲が良かった、それに二人にしかわからないような何かを感じていた
そのことにイライラしている二人だったがすぐに千冬に怒られていた
昼休み、一夏は食堂に行こうとしたらある人物に呼ばれた
(一夏、少し話がある)
本音のパートナー、リオンだ。当の本人はすでに教室にはいない
一夏は頷いて机の上を片づけながら聞いていた
(お前に言うことは二つある。今日から生徒会は忙しくなるからしばらく訓練はなしだ。だが基礎はできてきたからしばらく一人で頑張ってほしいと楯無が言っていた)
少しは褒められたからか、一夏はちょっとだけご機嫌だった
(それからもう一つ、今日来た転校生が世界樹大戦の参加者ということは僕たちが伝えておく。お前に対しての話はそれだけだ。それとジュディスに話がある。来てくれ)
(分かったわ、私がいない間気をつけておきなさい)
そう言い残してリオンは去っていった。同時にジュディスもリオンについていった
理由を聞こうか考えたが、腹の虫が鳴ったため、一夏は学食に行くことにした。その際、箒とセシリアの八つ当たりに巻き込まれていた
学食に着くと、すでに鈴が一夏の分の席を取っておいてくれた。ちなみにセシリア、箒の分の席は用意していないようだ
「遅かったわね。さっさと食べましょう」
「ああ、まだ買ってきていないからちょっと待ってくれ」
すぐに一夏は自分の昼食を買って鈴の用意してくれた座った
箒とセシリアも急いで買ってきてたまたま空いていた近くの席に座った。
「それにしても久しぶりだな。いつ帰ってきたんだ?」
「つい最近ね。あんたの方こそ驚いたわよ。女にしか動かせないっていうISを動かすんだし……それに、そっちの方もね」
鈴は一夏の肩を見て話していた
「俺だって驚いたよ……そうそう、クラスの子が話していたけどお前中国の代表候補生になったんだって?」
「おい、一夏! いい加減説明してくれ! お前とこいつの関係は何なんだ?」
「そうですわ! 一夏さん!!」
二人が話していると、箒とセシリアがわって入ってきた
とりあえず、彼女たちに説明を始めた
「鳳鈴音、箒が転校した後にやってきた俺の幼馴染……ってところかな?」
「あんたが箒ね、話は聞いているわ。よろしく」
「……ああ」
お互いに握手をしたが、二人はあることを思った
((こいつとは一夏をめぐるライバル!!))
「オホン! 私を無視しないでくださいますか? 中国の代表候補生の鳳鈴音さん。イギリスの代表候補生であるこのセシリア・オルコットを!!」
「あ、ごめん。あたしあんたのこと知らないんだ。他の国のことあんまり興味ないから」
鈴の言葉にセシリアは腹を立てるが、そのまま無視をして食事を続けていた
一夏はセシリアに何か言うと余計に怒らせると思ったので黙っていた
「ところであんた、クラスの代表になったんだって? 良かったらあたしが……」
「一夏に教えるのは私だ。遠慮してもらおうか!」
「そうですわ! 大体敵の手を借りるなんてありえませんわ!」
鈴が一夏と特訓をしようと思ったのだが、箒とセシリアに止められた
(まあ、本当に鍛えているのはあいつのパートナー……って一夏のパートナーのことを思い出したら何だかムカムカしてきた。何よ、あの女性!)
ジュディスのことを思い出したのか鈴はイライラしていた。彼女自身のスタイルには少しは自信があるが、胸が小さいことを気にしている
そんな時に一夏の前に現れたのは誰が見てもスタイル抜群の色っぽい年上の女性だった
中学の頃、一夏は年上好きじゃないかという噂を聞いたことがあったため、余計に警戒している
「まあ、いいわ。じゃあ放課後、少し様子でも見ておこうかしら。偵察ってことなら文句はないでしょ? あたし、先に戻るから」
そのまま鈴は食器を片づけて教室に戻った
放課後、一夏を鍛えるためにアリーナで訓練をすることになった。いつもはセシリアだけなのだが今回は珍しく箒もいる。それも訓練機用のISを装着して
専用機を持っていない者は手続きを行ってからISを借りなければならない。そのため時間がかかるはずなのだが、こうして目の前にいる
その状況に焦るセシリア
「く、こうも簡単に許可が出るなんて……」
「とりあえず今日は何をするつもりなんだ? 箒がいたからってやることは変わらないだろ?」
一夏の言葉に気が付いたのか、セシリアはすぐに訓練を開始しようとした
だが箒がそれを止めた
「待て、一夏の武器は接近戦用の武器だ。ここは私が教えるべきだろう。何せ一夏に頼まれたのだからな」
「箒さん! 私が最初に指導していたのにそれを横取りするとはどういうことですの?」
そのまま二人は喧嘩に発展してしまった。一夏が呆れているといつの間にかいたジュディスがクスクス笑ってみていた
(ジュディスさん、一体今までどこにいたんですか?)
(話してもいいのだけれど、あなた大変なことになりそうだから後で話すわ)
そのジュディスの言葉通り、箒とセシリアの喧嘩に巻き込まれそうになったが、適当なことを言ってすぐさまピットに戻ることにした
するとそこには鈴と彼女のパートナーの男の子がいた。この場所には他に誰もいないから男の子は姿を現している
「なんだか大変そうだネ」
「そうね、何も悪いことしていないのにね」
鈴と男の子は同情していた。そんな対応に一夏も一息ついていた
「全く……訓練をするのか喧嘩をするのか……困ったもんだよ。ってそういえば名前を聞いてなかったっけ? 鈴のパートナーの……」
「僕の名前はマオ、よろしくネ。君のパートナーのお姉さんは?」
「ジュディスよ。よろしく、マオ、鈴」
ジュディスも彼女たちに自己紹介をした
「それにしても鈴もだなんて……俺がジュディスさんとパートナーになったのって中学2年の冬だったからな。鈴は少なくとも中国に帰ってからだよな?」
「そうよ、帰ってから1週間くらい経った頃だったわね。それよりもさ、あたしがいなくなって寂しかった?」
鈴は興味津々に聞いてみた。しかし帰ってきた答えは友達がいなくなって寂しいだった
そんな一夏に鈴は少し呆れたが、それが一夏だということも再認識した
そのまま話そうとしたら、ピットに誰かが入ってくる気配を感じたのか、マオとジュディスは姿を消した
「一夏、こんな所に……ほう、私の特訓をさぼって転校生と仲良くおしゃべりか……いいご身分だな……」
「一夏さん、覚悟はよろしいでしょうか……」
そのまま二人は一夏を笑顔で殺さんばかりに見ていた。そんな状況を見かねたのか鈴が助け舟を出していた
「さっきから見てたけど、あんたたち特訓する気あるの? ただ一夏と二人っきりになりたいだけじゃないの?」
鈴の言葉は図星だったのか二人ともたじろいだ
「な、何を言っているんだ!? 断じてそのようなことは……」
「そうですわ、そんなことは少しも……」
「……まあ、何でもいいわ。一夏、あんたが決めなさい。今日はどうするのか」
「そうだな……今日はもう終わらせるか。教える側がこうだと俺も身につかなそうだし」
そんな一夏の言葉が二人には効いた。だが、箒は反撃に出た
「ええい! そう言って逃げているだけではないか! 安心しろ、私がみっちり教えてやる」
「そ、そうですわ。気持ちを切り替えて始めますわよ。ええ、大丈夫ですわ」
大丈夫じゃないだろ……発言者を除いた四人がそう思った
「さあ、一夏! さっさとやるぞ! 今日は後で部屋でも特訓をするからな」
そんな箒の言葉に鈴は反応した
「……え? どういうこと? 部屋で特訓って……?」
(うわ、嫌な予感がする……)
(奇遇ね、私もよ)
「俺も」
そんな三人は無視され、鈴は箒に質問した
「私と一夏は同室というだけだ。行くぞ、一夏!」
「ってちょっと待ちなさいよ! 一夏、どういうこと!?」
今度は一夏に詰め寄った
「本当は家から通うはずだったんだけど、政府からに寮に入るように言われたんだ。だけど、部屋の調整ができていないからって箒と一緒の部屋になったってだけ。まあ、知らない子だったらいろいろと気を使っていたけど……」
「……そう、じゃああたしにも考えがあるわ……今夜待っていなさいよ、一夏!」
良くわからない宣戦布告を受けた一夏はそのまま去っていた鈴の背中を見ていた
それが気に食わなかったのか、セシリアと箒は一夏を引っ張ってアリーナに連れて行った
「なあ、今度喧嘩したら俺本当に帰るからな」
その言葉が聞いたのか、とりあえずはまともに特訓が行われた
その日の夜、夕食を食べ終わった後、一夏達が部屋に戻ったと同時くらいに鈴がボストンバックを持ってやってきた
「篠ノ之さん、部屋代わって」
「なぜお前と代わってやらなければならないんだ!?」
速攻で断られていた
「いやね、男の子と一緒だなんて篠ノ之さんも大変だしね。その点、私はそういうのは気にしないから」
そのままぐぬぬという感じで箒と鈴は対立していた
マオは一夏とジュディスに謝っていた
(ごめん、鈴が言うこと聞かなくって……)
(それにしてもあの子……荷物が少ないのね。身軽というか……女としては驚きね)
「ちょっと一夏、あんたはどう思っているの!? 私とこの箒ってやつ」
「いや……そもそも」
「ええい、こうなったら力ずくで……」
そのまま箒が木刀を持って振りかぶった。危ないと思い、すぐに近くにあった竹刀で防ごうとした
(大丈夫だよ。鈴ならこの程度)
マオは余裕の表情で見ていた
言葉通り鈴はすぐにISを部分展開をして防いでいた
「驚いた、剣道で優秀な箒の攻撃を防ぐなんて」
「当たり前でしょ、代表候補生なんだから……それよりもあんた、あたしだったから良かったものの普通の子にこんなことしているの?」
鈴の言葉に箒は言葉を失う
「あ〜鈴、部屋のことだけどな……どうにかしたいなら千冬姉に相談してくれ。寮長だから」
そんな一夏の言葉に鈴は黙ってしまった。それを見逃していたなんて……という感じの顔だ
「じゃ、じゃあ! 今度のクラス対抗戦で私が勝ったら……一緒に頼みなさい!! 私と一緒の部屋にしてくれって」
鈴の言葉が部屋中に響いた
スキット
リオンとの会話
昼休み、一夏達が食事中の時の事。リオンとジュディス、それとヒューバートは異世界で話していた
「……そうか、お前も感じていたか」
「ええ、多分……ね。何か起こる気がするわ」
「なるほど……噂では聞いたことがありましたけど、そういう事態が起こるかもしれないということですね」
彼らの周りには何体か魔物がいた。一気に襲い掛かったが、あっという間に返り討ちにした
「ここのところ魔物の動きが活発ね。もしかしたら……」
「簪さんたちの世界にも……ですか。それは一体……」
「わからん、だが警戒はしておいた方がいいだろう。後で虚と楯無にも報告しておこう。本音が本来伝えるべきだった一夏の伝言を忘れていたこともな」
この後、本音は虚にお仕置きをされていた
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