時代は三十年後 IS世界へ〜(とある傭兵と戦闘機) 第七話
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六月も残すところ一週間となり、日本という国は夏という季節にさしかかろうとしていた

 

ここIS学園では、学年別トーナメントというISの競技大会が開催され、学園全体が慌ただしくなる

 

ちなみに更衣室は学年別トーナメントに出る生徒で埋め尽くされていた

 

 ガヤガヤ・・・

 

 「はぁ・・・こんなに出場するんだ・・・」

 

普段使う広い更衣室がほぼ満員かそれ以上になっていた

 

元々人混みが苦手な私はさっさと着替える

 

 箒「そうだな・・・」

 

隣で着替えているのは何故か疲れ気味の篠ノ乃さん

 

彼女も人混みが苦手なのかな? 

 

 「それじゃあ私はさっさと退散しようかな」

 

着替え終えた私は更衣室を出ようとする

 

 箒「ああっ!!待ってくれ!!」

 

ふむ、やっぱり篠ノ乃さんも苦手なんだね

 

それから一緒に更衣室を出て近くのベンチに座る

 

 「それにしても凄い賑わいだね」

 

 箒「ああ、なんでも各国から重役が何人も来ているらしいからな」

 

他愛もない話をしているとプライベートチャンネルで通話がきた

 

 シャルル「フィリア、第一ピットまで来て」

 

シャルルから集合要請が来た

 

 「さて、私はISの調整をするから。がんばってね篠ノ乃さん」

 

 箒「ああ、お前もな」

 

それから第一ピットに駆け足で行く

 

 

 

 

   〜第一ピット〜

 

 

 「やほ〜」

 

 シャルル「あ、来た来た」

 

ピットでは二人が何やら話しをしていた

 

大方、作戦とかその辺の事なんだろう。所で・・・

 

 「何で織斑君は目を逸らすの?」

 

さっきから向かい側の壁の方を向いてこっちを向いてくれない

 

 一夏「いや・・・その・・・」

 

なんか歯切れの悪い返事だ

 

 シャルル「フィリア、男の子には色々事情があるんだよ」

 

おおふ、そうなのかな?

 

 「まあいっか。それで用件は?」

 

 シャルル「作戦だよ。僕は一夏のサポートにまわるから、フィリアは単独で一人を足止め、もしくは撃破して」

 

 「ん、了解」

 

 シャルル「あと織斑先生からの伝言で・・・」

 

 「先生から?」

 

また何か言われるんだろうか?

 

 シャルル「今回の学年別トーナメントは、訓練用の量産型打鉄でのぞめって」

 

 「量産型?てことはアレかな」

 

ピットのIS格納ユニットに訓練用打鉄が格納されている

 

その一つに搭乗する

 

 ピーッ カシャッカシャッ

 

順調に防護ユニットが体に装着される

 

そして打鉄を起動させる

 

 「設定・・・オートローカライズ開始」

 

空中投影ディスプレイを開いて操作をする

 

打鉄と体の感覚を一体化させる

 

 「ローカライズ完了・・・各部ユニット センサー共にオールクリア。よろしくね、打鉄」

 

ディスプレイを閉じて目を瞑る

 

 (レイ、起きてる?)

 

 レイ(はい・・・起きてます)

 

私の専用機、零式ことレイは待機状態のヘアピンのまま私の髪に付いている

 

あれから集中すると会話が出来るようになったのだ

 

 (今日はおやすみだから、ゆっくりしててね)

 

 レイ(はい、分かりましたっ)

 

うん、いい子いい子

 

それから織斑君の所へ行く

 

 「調子はどう?」

 

 一夏「上々だ。それにしても、こんなに人が集まるんだな」

 

ピット据え付けのディスプレイにはアリーナの状況が映し出されていた

 

 シャルル「三年生にはスカウト、二年生には一年間の成果の確認に、一年生はあまり関係ないらしいけど

 

  トーナメント上位者には早速チェックが入ると思うよ」

 

そしてVIPなのか、観客席の中央側に空いている場所の映像が映し出される

 

 (各国重役に軍事関係者か・・・ん?)

 

そのVIP席に何故か見覚えのある人がいた

 

USA軍事関係者グループの先頭に座るその人は、金髪でスーツを着こなしている中年ぐらいのアメリカ人

 

 「・・・気のせいだね」

 

今は目の前の試合に集中しよう

 

 ピピッ

 

という音と共にディスプレイの画面が切り替わる

 

 シャルル「あ、対戦相手が決まったみたい」

 

ディスプレイの対戦相手を見て

 

 私・シャルル・一夏「「「−−−え?」」」

 

一回戦の対戦相手はなんと、ボーデヴィッヒさん・篠ノ乃さん・女子Cさんといったかなり因縁(?)のあるチームとだった

 

 

 

 

 

  USA軍事関係者?サイド

 

 

ベルカ戦争が終結して三十年、あれから何度も戦争がありその度に英雄が現れた

 

 「今や、戦争を抑止している物はあのISとかいう兵器とはな」

 

ベルカ戦争から三度の大戦は戦闘機主流の数対数の戦いだった

 

だがISという兵器の登場で、既存の兵器が鉄くず同然の扱いになってしまった

 

そしてそのISという兵器は女性にしか扱えないという謎めいた兵器なのだ

 

 副官「変わりましたね、世界は・・・」

 

 「ああ、本当に変わったな」

 

そのISが発表されて以降、男の立場は急激に下がってしまった

 

 (これがお前が守りたかった世界なのか?サイファー・・・」

 

三十年前から行方不明の相棒を思い出す

 

あれからアイツは基地に戻ってはこなかった

 

俺はそれから五年後に空を降りた

 

そして国境の意味を探し続けて戦場を転々としていたが、司令の推薦でヴァレー基地の副司令を任される事になった

 

それから司令が定年退役し基地司令を任され今、アメリカ軍事関係者代表兼IS国際条約機関代表としてここIS学園の

 

学年別トーナメント視察に来た訳だが

 

 「全く子供同士を戦わせて何の意味があるというんだ?」

 

国境付近で戦闘活動をしていた時、まだ年端も行かない少年兵をよく見かけた

 

その少年兵達は危険な前線に送り込まれ、そして死んでいった

 

そしてアイツも同じような子供だった

 

 副官「ベルカ戦争の後のあの ”世界” 以降、円卓の鬼神は戻ってきませんでしたからね」

 

 「そうだな・・・アイツが今の世界を知ったら何て言うんだろうな」

 

 副官「思う事は一緒でしょう。フォルク米軍大将」

 

 「そうか、そうだなロージラウンド空軍大佐」

 

それから正面大型ディスプレイの表示が切り替わる

 

 TL「どうやらトーナメントが決定したようですね」

 

 「兵器を使ってスポーツなんてな・・・世も末だ」

 

そう言って配布されたミネラルウォーターを口に含む

 

 TL「一回戦は・・・ッ!?司令ッ!!」

 

 「何だよ、水ぐらい飲ませ・・・ブフォアッ!?」

 

盛大に水を吹き出してしまう

 

 重役「・・・・・」

 

 「Oh sorry」

 

横の重役が少し睨んできやがったが、ここで問題を起こすと立場的にマズイので謝る

 

だがその位驚くほどの内容だったのだ

 

 

  学年別トーナメント

 

 

  第一学年 第一回戦

 

 

  ラウラ・ボーデヴィッヒ   篠ノ乃 箒   水崎 吹奈

 

    VS

 

  織斑 一夏    シャルル・デュノア    フィリア・フェイリールド

 

 

 

 「・・・幻覚か?」

 

 TL「私も信じられません・・・でもまさか」

 

 「落ち着けロージ。まだ本人と決まった訳じゃない」

 

 TL「説得力ないですよ、片羽」

 

とりあえず様子見だ

 

本当にアイツなのか、サイファーなのか

 

 

 

 

 

   フィリア視点

 

 

 

それから遂に試合開始時刻になり、アリーナの対戦フィールドで試合開始の合図を待っていた

 

 ラウラ「一戦目で当たるとはな、待つ手間が省けたというものだ」

 

相手チームのボーデヴィッヒさんが言う

 

 一夏「そりゃどうも。こっちも同じ気持ちだぜ」

 

 ビーーーッ

 

そして試合開始のブザーが鳴る

 

 一夏・ラウラ「「叩きのめすッ!!」」

 

二人の声が重なった

 

 一夏「うおぉぉぉぉッ!!」

 

織斑君が先制攻撃をしかける

 

これが成功すればこちらが有利になるのだけど

 

 ラウラ「ふん・・・」

 

ボーデヴィッヒさんが右腕を突き出した

 

そして剣戟が当たる直前、織斑君が動きを止める

 

だが実際は、”止められた” と言った方が正しい

 

AIC・・・アクティブ・イナーシャル・キャンセラーと呼ばれるシステムによって。

 

このシステムは、”意識した目標を慣性を無視して停止させる事が出来るシステム”で、

 

それはあらゆる物理現象を無効化する事が出来るシステムであって、弾丸・ミサイル・敵機など

 

あらゆる目標に対応できる第三世代兵器・・・以上、シャルルからの入れ知恵

 

 「・・・反則じゃないのかなあのシステム」

 

でも競技上問題無いのなら、どこかに隙があるのかもしれない

 

 水崎「じゃあ、こっちも行くよっ!!」

 

(女子Cさん)が打鉄デフォルト装備のブレードを構えて突っ込んでくる

 

対して私は、打鉄デフォルト装備の一つでもある対装甲ショートライフル(何故かボルトアクション)を構える

 

 水崎「近接装備にスナイパーライフルって、やっぱりおもしろいね妹ちゃん!!」

 

・・・もうツッコまない事にしよう

 

そのまま近接ブレードを振りかぶる女子Cさん

 

私は彼女がブレードを振りかぶった瞬間、彼女に急接近し

 

 ゴッ!!

 

 水崎「ぐはっ!?」

 

ライフルのストック部分を腹部に叩きつける

 

ISの補助で車一台を殴り飛ばせる程に増幅された力によって、女子Cさんは後ろに吹っ飛ぶ

 

 「別にライフルで殴っちゃいけないなんてルール無いもんね?」

 

元々ボルトアクションのライフルは、自動装転のセミオートライフルに比べて速射性に劣る

 

だがその簡素かつ堅牢な構造、正確無比な射撃精度は開発から百年以上経った今でも最高性能を維持し続けている

 

この世界最強の兵器に搭載されている物の中に、なぜ速射性に劣るボルトアクションライフルがあるのか?

 

それは上記の長所が今なお健在だという事の証明に他ならない

 

この 打鉄 の長所は、高い防御性能による近接格闘の優位性なのだ

 

そこに頑丈かつ、速射性を補う一発の圧倒的火力

 

それに、この打鉄に装備されているライフルは ”ショートバレル” 。

 

通常より銃身を短くしたこの仕様は明らかに近接戦闘を視野に入れた仕様だ

 

そして打鉄に装備されている理由は

 

近接格闘を前提とした中距離戦闘用銃器

     

つまり使い方は、殴り倒して至近距離での射撃でとどめって感じ。うん、分かりやすいね

 

 水崎「くっ・・・こんな使い方をするなんて!!」

 

近接ブレードを銃身でいなしながら打撃を叩き込む

 

接近すれば蹴り、離れれば射撃を繰り返す

 

そうこうしているうちに、相手の打鉄はボロボロになっていた

 

 「それじゃあ、そろそろ終わらせようか」

 

接近して相手のブレードを蹴り飛ばし、がら空きになった腹部にライフルを押し当てる

 

 「Good night」

 

ライフルの引き金を引く

 

 ドォンッ!!

 

そして、相手の打鉄は活動を停止し地面に座り込む 

 

 水崎「ああ・・・織斑君との交際が・・・」

 

 「ん?何?」

 

何か聞こえた気がするが、今は戦闘中だ。

 

 「シャルル、こっちは終わったよ」

 

 シャルル「分かった。それじゃあ篠ノ乃さんをお願い」

 

ギィンッと金属がぶつかる音と共にシャルルが篠ノ乃さんから距離をとる

 

その間に私が入り込む形でシャルルと交代する

 

 箒「フィリアか・・・水崎はどうした?」

 

 「向こうで休憩してるよ」

 

正面で向かい合いながら会話する

 

さて、残弾は二発。相手は剣術に長けた篠ノ乃さん

 

打鉄との相性はいいだろうから勝率は五分五分といった所かな

 

 箒「あまりお前にも構ってられないからな。行くぞッ!!」

 

女子Cさんとは比べ物にならないほど速い動きで接近してくる篠ノ乃さん

 

たしか剣術の中には移動術もあるんだっけ

 

 「こっちも同じ様なものだけどね」

 

銃を粒子化させて、変わりに近接ブレードを呼び出す

 

 箒「はぁぁぁぁッ!!」

 

 ギィンッ!!

 

 「ぐぅッ・・・」

 

流石剣道部。振り下ろされた一撃の重さは半端じゃない

 

それに研ぎ澄まされた太刀筋、どこかの少佐を思い出してしまうほど磨かれた技

 

 「それなら・・・!!」

 

右手にライフルを、左手に近接ブレードを呼び出して

 

シャルルほどじゃないけど、一応 高速切替ってのをやってみる

 

 箒「ッ!?何をッ!!」

 

剣戟をブレードで受け止め、ライフルを突き出し

 

 ドォンッ!!

 

 箒「ぐあぁッ!!」

 

対装甲ライフルの弾薬は至近距離で食らえば、かなりのダメージを与える事が出来て距離を作る事が出来る

 

 箒「まだまだ・・・ッ!!」

 

篠ノ乃さんはブレードを地面に突き刺して後ろに吹き飛ぶのを阻止する・・・でもそれも計算済み

 

 「遅いッ!!」

 

吹き飛ばなかったお陰で距離はそこまで離れなかった。さらに自分から武器を無力化してくれた

 

間髪いれずに懐に入った私は、近接ブレードを全力で胴体にぶち当てる

 

 ガキィッ!!

 

 箒「ぐッ・・・ここまでか・・・」

 

そのまま彼女の打鉄も戦闘不能になって地面に伏せる

 

 「ふぅ、終わっ・・・ッ!?」

 

一息付こうとした瞬間、黒いワイヤーが飛んで来た

 

それを何とか回避して目線でワイヤーを辿る

 

 ラウラ「フン、反射神経はいいようだな」

 

まあシャルルの誤射じゃなければ彼女しかいないよね

 

 「まあね。さて、残るは貴女だけだよ。訓練されただけの兵士さん?」

 

織斑先生に聞いた話、彼女は訓練は受けていたものの実戦経験は全く無いらしい

 

訓練では部隊最高成績。だがそれはあくまで訓練ではという話だ

 

実戦はそんなに簡単には事は進まない

 

 ラウラ「貴様・・・私を侮辱するか!!」

 

 「侮辱はしてない。ただ、貴女は何にしがみ付いてるのかなって。ただそれだけ」

 

ワイヤーの先端には小型のブレードが付いており、ワイヤーが自由自在に動く事で高い汎用性と攻撃性能を持っているみたいだ

 

 「(厄介だな・・・)」

 

こちらの武器が一つしかない以上、相手の攻撃を防ぐ手立てはない・・・だが

 

 ラウラ「ならば・・・二度と立ち上がれなくするまでだ!!」

 

彼女のIS、シュヴァルツェア・レーゲンからワイヤーブレードが四本射出され、それらはすべて私に向かってくる

 

でも私は動かない。ちなみに回避ができない訳ではない。

 

 「フッ・・・!!」

 

一瞬でワイヤーブレードの接触予想部分をずらし

 

 ガッガシッ

 

ワイヤーブレードのワイヤー部分を掴む

 

 ラウラ「ッ!?」

 

回避する必要がないのだ

 

ワイヤーブレードはワイヤー部分さえ掴めば問題ない

 

最初の一撃をかわせばワイヤーを掴む事は容易になる

 

それに、ワイヤーブレードは四本すべて私に向かって同じ方向から飛んできた

 

飛んでくる方向が同じなら見切るのは簡単だし、一度通過すればワイヤーは同じ向きに横並びする事になる

 

後は簡単、その無防備なワイヤー部分を横から束ねるように掴むだけで先っぽに刃物が付いた花束の出来上がり、なんちゃって

 

 「・・・ほら、その程度なの?」

 

ギチッとワイヤーブレードを引っ張る

 

高性能な機体を使う相手の戦意を奪う効果的な方法はただ一つ

 

 

 ”性能面で劣る機体で圧倒的な勝利を収める事”

 

 

 「・・・喰らい尽くす」

 

ワイヤーブレードを近接ブレードで切断して捨てる

 

 ラウラ「貴様・・・ッ!!」

 

ボーデヴィッヒさんの意識がこちらに集中する

 

・・・作戦通りだね

 

レールカノンの銃口がこちらに向く

 

 ラウラ「その気味が悪い目・・・今すぐ閉ざしてやろう」

 

 警告 敵ISが次弾装転 射撃体勢に移行

 

 「それができるならやってみなよ・・・」

 

チームチャンネルで合図を送る

 

 ラウラ「ならば望み通りにしてやる」

 

ズドォンという砲撃音と共に、私は正面からレールカノンの直撃を受ける

 

 シールドエネルギー  85

 

流石に防御をしなかった為、ごっそりとシールドエネルギーが持っていかれる・・・けど

 

 「全く・・・周り、見えてる?」

 

そう呟いた瞬間、ボーデヴィッヒさんの後ろから織斑君が突っ込む

 

 一夏「おおおッ!!」

 

完全に後ろを取った。だが

 

 キュゥゥゥン・・・

 

 一夏「なっ!?」

 

それを読んでいたかの如く、あっさりとAICによって奇襲は防がれた

 

 ラウラ「この程度の戦術で、私を欺こうなど」

 

 「うん、だからーーー」

 

 ズドォッ!! 

 

 ラウラ「なっ!?」

 

完全に織斑君の方に意識が向いていて、勝利を確信した自信

 

それがさらに大きな油断を生む事を知らずに彼女はもう一人の敵の確認を怠った

 

そしてステルスモードで接近したシャルルに懐を許してしまったのだ

 

 シャルル「僕達は、三人なんだから」

 

シャルルのIS、ラファールリヴァイヴカスタムのシールドの先端がパージされる

 

 ラウラ「ッ!!シールドピアス!!」

 

そのパージされた部分にあるのは盾殺しの異名を持つ六九口径パイルバンカー

 

その威力は第二世代型の武装の中で最高威力の代物・・・らしい

 

 シャルル「この距離なら外さないッ!!」

 

それが彼女の腹部装甲に至近距離で炸裂する

 

 ズガンッ!!

 

 ラウラ「ぐぅッ!!」

 

絶対防御で相殺しきれない衝撃が彼女を貫く

 

 ズガンッ!! ズガンッ!! ズガンッ!!

 

たて続けに連射されるパイルバンカー

 

AICを発動させる余裕も無く、彼女のシールドエネルギーがどんどん削られていく

 

 「終わりだよ」

 

私は勝利を確信した。瞬間、彼女のISに異変が起こった

 

 

 

 

 

   ラウラ視点

 

 

 「(こんな・・・こんな所で負けるのか、私は・・・!!)」

 

相手を甘く見すぎた。それは間違えようも無く私のミスだ

 

だが、それでもーーー

 

 「(私は負けられない。負ける訳にはいかないのだ・・・!!)」

 

教官をあんな風に変える男に。そして

 

ただ蒼く深く底知れない冷酷な目を持ったアイツに

 

 

  願うか・・・?。汝、自ラの変革ヲ望ムカ?ヨリ強い力を欲スルカ?

 

 

自分の中にうごめく黒いモノが問う

 

言うまでも無い。力が得られるのなら、こんな私などいくらでもくれてやる。だからーーー

 

 

  よこせ、力を。比類無き最強を、全てを捻じ伏せる唯一無二の絶対的な力をーーー!!

 

 

   Damage Level D

 

    Mind Condision Uprift

 

     Cartification Clear

 

      << Valkyrie Trace System>> .....Boot

 

 

 

 

 

    フィリア視点

 

 

 

 ラウラ「あああああああ!!」

 

突然彼女のISに紫電が走り、彼女が叫ぶ

 

 シャルル「うわぁッ!?」

 

接近していたシャルルが吹き飛ぶ

 

そしてボーデヴィッヒさんのISが、黒い粘土のように形を崩し始める

 

そしてそのドロドロになったかつてISだったモノが、彼女の体を覆っていく

 

 一夏「なんだよ、アレは・・・」

 

その黒い濁りの塊はやがて地上に降り、その姿を、形をを変える

 

黒い濁りは、私達が装備している物ーーーISの形へと形状が変わる

 

そして右腕に装備されている刀、それは織斑君のISの雪片弐型に酷似していた

 

 一夏「雪片・・・」

 

呟く織斑君

 

彼が雪片弐型を構えたーーー瞬間、その黒いISだったモノが瞬時に彼の懐に入り込み雪片弐型を弾く

 

弾かれた雪片弐型は空中で回転し、地面に突き刺さる

 

そして体勢を崩した織斑君に向かって、その黒いISは大きく振りかぶる

 

 「打鉄っ!!」

 

残ったシールドエネルギーを全て推進スラスターに回す

 

 キュィィィン・・・

 

 「間に合えッ!!」

 

思いっきり地面を蹴る

 

瞬間、視界が倍速再生に切り替わる

 

まっすぐ織斑君に向かう私

 

そして、織斑君に突撃を敢行

 

 ドガッ!!

 

視界の端で迫る刀のような黒いブレード

 

 一夏「ッ!? フィリア!?」

 

 バギィン!!

 

黒い刀は、織斑君の代わりに私の背中を切り裂く

 

シールドエネルギーを全て使い切った打鉄に私を守るエネルギーは残っていない

 

でも打鉄は最後に装甲が切り裂かれる瞬間、背中にシールドを局部展開して守ってくれた

 

慣性の法則に従って私の体は地面に打ち付けられる

 

 「・・・今回は・・・守れたよね・・・ありがとう・・・打鉄・・・」

 

無理な行動に従ってくれた事

 

そして最後に私を守ってくれた事

 

私が微笑んで呟くと打鉄は機能を停止した

 

そして私もそれと同時に意識を失った

 

 

 

 

 

    〜一夏視点〜

 

 

 

ラウラが叫んだ瞬間、そのISは姿を変えた。そしてその姿は

 

 「雪片・・・(千冬姉と同じじゃないか!!)」

 

千冬姉が第一回モンド・グロッソで優勝した時と同じ姿だった

 

俺は無意識のうちに雪片弐型を中段に構えたーーー刹那

 

 ガキィンッ!!

 

黒いISに懐に入られ、不意をつかれた俺は雪片弐型を弾かれてしまった

 

その時のISの技もまた、千冬姉と同じ技だった

 

武器を失った俺にそのISは上段の構えへと移るーーーまずい!!

 

その刀が振り下ろされた瞬間、俺は横から突撃を受けた

 

 「っ!? フィリア!?」

 

ハイパーセンサーが捉えていたのは、打鉄装備のフィリアだった

 

その場から俺は弾き飛ばされ、代わりにその突撃をしたフィリアが斬撃を受ける

 

俺の身代わりとなったフィリアは、地面に倒れたまま動かない

 

黒いISはそのまま動きを止める

 

 「クソッ!!アイツ、ふざけやがって!!ぶっ飛ばしてやる!!」

 

千冬姉の真似をする。そして何よりその技を使って仲間を傷つけやがった

 

千冬姉はそんな事をする為に技を磨いたんじゃないのに!!

 

俺はそのISに向かって拳を振り上げる、が

 

 箒「何をしている!!死ぬ気か!?」

 

 「離せ箒!!邪魔するならお前もーーー」

 

 箒「いい加減にしろ!!」

 

バシッと頬を叩かれて、気勢を削がれた俺の思考は熱を失った

 

 箒「一体何だと言うのだ、分かるように説明しろ!!」

 

 「あいつ・・・あれは千冬姉のデータだ。そのデータでアイツは・・・くそッ!!」

 

命を絶つ為に創られたその技の、本当の意味を千冬姉から教わった時の事を思い出す

 

 

 

   重いだろう?それが、人の命を絶つ武器の重さだーーー

 

 

 

その言葉の通り、その時に初めて持った真剣の重さ、その冷たさをしっかり覚えている

 

 箒「お前は・・・いつも千冬さん千冬さんだな」

 

 「それだけじゃねえよ。あんな、訳わかんねぇ力に振り回されてるラウラも気にいらねえ。

 

 ISとラウラ、どっちも一発ぶっ叩いてやんねえときがすまねえ」

 

力は、強さは攻撃力じゃない。そんなものは強いとは言えない、ただの暴力だ

 

 「とにかく、俺はアイツをぶん殴る。その為にはまずアイツを正気に戻してからだ」

 

 箒「理由は分かったが、今のお前に何が出来る。見ろ」

 

 {非常事態発令! トーナメントの全試合を中止! 状況をレベルDと断定!

 

  鎮圧の為、教師部隊を送り込む! 来賓、生徒は速やかに非難せよ! 繰り返す!}

 

 箒「お前がやらなくても、事態は収拾される。だからーーー」

 

 「だから無理に危ない場所へ飛び込む必要は無い か?」

 

 箒「・・・そうだ」

 

箒は正しい。理論整然としている。でもそうじゃないんだ

 

 「違うぜ箒。全然違う。俺が”やらなきゃいけない”んじゃないんだよ

 

  これは俺が”やりたいからやる”んだよ。他の誰がどうだとか知った事か。

 

  大体、ここで引いちまったらそれはもう俺じゃねえよ。織斑一夏じゃない」

 

ここで引いたら、俺は自分の全てに対して背を向ける事になる。そう思った

 

 箒「ええい馬鹿者が!!ならばどうすると言うのだ。

 

  武器も呼び出せない程シールドエネルギーも削られてるというのにーーー」

 

 シャルル「エネルギーが無いなら、持ってくればいいんだよ」

 

箒の言葉を遮って、シャルルがそんな事を言う

 

 シャルル「普通のISなら無理だけど、僕のリヴァイヴならコア・バイパスを使ってエネルギーを移せると思う」

 

 「本当か!?だったら頼む。早速やってくれ!!」

 

 シャルル「けど!!」

 

シャルルにしては珍しく強く、有無を言わせないような口調だった

 

 シャルル「約束して、絶対に負けないって」

 

 「ああ。ここまで啖呵を切って飛び出すんだ、負けたら男じゃねえよ」

 

 シャルル「じゃあ、負けたら明日から女子の格好で通ってね?」

 

うは、それは死んでも絶対にしたくないな。でも

 

 「いいぜ?何せ、絶対負けないからな!!」

 

負ける気は毛頭ない

 

それからシャルルのリヴァイヴからエネルギーを移してもらって、白式を一極限定モードで再起動する

 

白式は一度、粒子に変換されて、再び再構築される

 

 シャルル「やっぱり武器と右腕が限界だね」

 

装甲を展開するエネルギーを全て右腕の雪片弐型へ回した

 

だから今の俺は、防御無し当たれば即死。運が良くても重症は免れないという状態だ。でも・・・

 

 「十分さ」

 

一撃を与えるにはこれで十分。あとは・・・俺次第だ

 

 箒「い、一夏っ!!」

 

箒が真剣な眼差しで言ってきた

 

 箒「死ぬな・・・絶対に死ぬな!!」

 

 「何心配してんだよ・・・信じろ」

 

 箒「え?」

 

 「俺を信じろよ、箒。心配も祈りも不必要だ。ただ、信じて待っていてくれ」

 

もう俺は、強さを見誤る事はない。力ではない強さを、俺は知っている。

 

誰かを守る為に強くあり続けた人を、誰よりも知っている

 

そして、また俺はそうした人に俺は助けられた

 

アイツにも、そうした強さがあるのだと

 

ならばーーーならば俺も、誰かの為に強くありたいと、そう願う

 

 「じゃあ、行ってくる」

 

 箒「あ、ああ。勝ってこい、一夏!!」

 

箒に勝利の約束をして、俺は目の前の相手に向かう

 

 「零落白夜・・・発動」

 

ヴン・・・と小さく頷くように、雪片弐型の刃が展開する

 

そして実体剣の二倍もの長さになった絶対無効の力を持つ刃が現れる

 

 (今回はそんなにでかく無くていいぜ。必要なのは速度と鋭さ、素早く振りぬける ”洗練された刃だ”)

 

意識を集中させる。

 

暗い闇の中、一束の光が差し込むイメージ。それをさらに細く、鋭く尖らせていく

 

その集中が頂点に達した時、雪片はイメージを反映させる

 

それまでただ膨大なエネルギーを放出するだけだった雪片の刃は、細く、鋭く変化する

 

それが収まると刃は細くなり、長さも小さくなって刀身は日本刀のそれになっていた

 

 (ありがとよ、白式。じゃあーーー行くぜ!!)

 

雪片を腰に据え、居合いの構えで黒いISへと向かう

 

そして、全神経を全て目の前の敵に向ける

 

体の全てを使って、相手の動きを感じ取る

 

 黒IS「・・・・ッ!!」

 

 ヒュオッ

 

黒いISが刀を振り下ろす

 

その動きは千冬姉の動きそのもの。だがーーー

 

 「そんなのただの真似事だ」

 

 ギィンッ!!

 

雪片を横に薙ぎ、相手の一撃を弾く

 

そしてすぐに雪片を頭上に構え、縦に真っ直ぐ振り下ろす

 

これこそが、一閃ニ断の構え

 

一足目に閃き、二手目に断つ

 

 黒いIS「ぎ・ぎ・・・・ガ・・・」

 

ジジッ・・・と紫電が走り、黒いISが真っ二つに割れる

 

そして、気を失う一瞬であろう間にラウラと目が合った

 

それは何だかひどく弱っている捨てられた子犬のような眼差しに見えた

 

助けてほしいと目で言っているようだった

 

 「まあ、ぶっ飛ばすのだけは勘弁してやるよ」

 

力なく倒れたラウラを抱きかかえてそう呟く

 

 「さて、さっさと医務室へ運ぶーーー」

 

そこで気がついた

 

倒れたフィリアを抱えるスーツを着た中年の男に

 

 男「全く、相変わらずだなお前は・・・」

 

どうやらフィリアの知り合いみたいだが

 

 男「織斑一夏君、医務室へ案内してもらえないか?」

 

 「あ、はい。自分も医務室に連れて行かなきゃならないんで」

 

とりあえず怪我人を医務室に運ぶ事にした

 

 

 

 

   〜医務室〜

 

 

あれからラウラとフィリアを医務室に連れて行って

 

俺と中年の男は廊下の椅子に腰を掛けていた

 

 男「さて、自己紹介がまだだったな」

 

男が口を開いた

 

あれから廊下で他愛も無い話をしていたが、名前をまだ聞いていなかった

 

 ラリー「私はラリー・フォルク、米軍の総司令を任されている者だ。」

 

 「・・・・・・は?」

 

今サラッと凄い事言ったよこの人!?

 

 「は、はい。よろしくお願いします・・・」

 

 ラリー「まあ、そう硬くなるな。普通に喋ってくれていい」

 

いや無理です、はい

 

初対面で普通に話せる人はかなりの大物だろう

 

 ラリー「しっかし、世の中不思議な事もあるもんだな・・・」

 

 「・・・何がです?」

 

 ラリー「サイ・・・フェイリールドの事だよ」

 

確かにアイツは不思議だ

 

一緒にいるだけで雰囲気が落ち着く

 

でもラウラとのバトルの時のような冷たい雰囲気を出す時がある

 

それが、一番寒気がした時だった

 

 「たしかに不思議ですよ・・・」

 

 ラリー「・・・君は、神様を信じるかい?」

 

 「神様・・・ですか・・・」

 

ぶっちゃけどちらとも言えないのだ

 

自分が神を信じているのか、それとも信じていないのか

 

 「あなたはどうなんですか?」

 

 ラリー「俺は・・・信じてるよ。色々な意味でな」

 

その時、ピピピッと着信音が鳴る

 

 ラリー「おおっと、もうこんな時間か。そろそろ戻らねーとな」

 

ラリーさんが椅子から立ち上がる

 

 ラリー「それじゃあまたいつか。ああ、そうだ」

 

ふと、ラリーさんが思い出したかのように近くにあったメモ用紙に殴り書きで書いていく

 

 ラリー「コイツをフェイリールドに渡しておいてくれないか?」

 

メモ用紙には英語で何かが書かれていた

 

解読不能・・・馬鹿にした奴表へ出ろ

 

 「わかりました」

 

 ラリー「それじゃあな。がんばれよ」

 

そう言ってラリーさんは廊下を歩いていった

 

 「そういえば、あの人フィリアの知り合いみたいだったが・・・」

 

米軍の総司令官が知り合いなんておかしいだろ

 

 「まあいいか。とりあえず着替えよう」

 

そのまま俺は更衣室へと向かった

 

 

 

 

 

-2ページ-

 

 

 

 更新遅くなりました

 

 ここの辺どう表現するか難しいんですよね

 

 意見・感想など募集中なので

 

 気軽に書いてください

 

 ではよろしくお願いします

 

 

 

 

 PS・  

 

  次回から執筆形式を変えて書こうと思いますが

 

  初めてなのでいたらぬ点があろうと思います

 

  その時は意見や感想をお願いします

 

    

 

 

 

説明
 前はスト魔女の世界  今度は元の世界の三十年後の世界へと飛ばされた主人公  戦闘機が旧世代と呼ばれる世界で、傭兵はIS学園の生徒として活動する事に ...

この辺から話作るのが難しくなってきました

そろそろストライクウィッチーズの方の蛇足とかも入れたいと思い

ます

今回は長くなったので二回分に分けます
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コメント
更新お疲れ様です。続き楽しみにしています。(メビウス1)
次回も楽しみにしてます!(ryuujin5648)
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