魔法少女リリカルなのはmemories 第五章 ベルカ時代の記憶(メモリー) 第六十二話 |
その頃、フェイトはそろそろヴィヴィオが学校終わるだろうと思って校門の前で待っていた。
はやてに言われた通り、聖王のクローンであるヴィヴィオや覇王の直系子孫であるアインハルトが狙われない可能性は低くない。だからフェイトははやてに言われた通りなるべくヴィヴィオとアインハルトの二人とは一緒に居ることに決めており、学校の校門で待っているのは数日前からやっていた。
「あ、フェイトママ!!」
校門で待っていると、フェイトが校門の前で待っているのに気付いたヴィヴィオと、その隣ではアインハルトの姿も見受けられた。
ちなみに、ヴィヴィオの友達であるコロナ・ティミルとリオ・ウェズリーの二人はフェイトが校門で迎えに来るようになってからは、ヴィヴィオと一緒に帰っておらず、さらに言うとヴィヴィオとアインハルトの二人はストライクアーツの練習をさせていない。
その事にヴィヴィオとアインハルトはどういう事かと思ったが、フェイトが迎えに来るっていう事は自分たちの身が危ないのかもしれないと察したようだった。ヴィヴィオだってもう14歳であるし、アインハルトに至っては17歳であるので、それくらいは理解できていた。
「二人とも、一緒に来てくれたね」
「はい、事態が事態ですので」
フェイトの言葉にアインハルトは冷静に言う。
エースオブエースであるなのはが管理局を裏切られたという事はもはや有名であり、ミッドチルダに居る人間は誰もが知っている事であった。当然その事はヴィヴィオにも届いてくるのでそのニュースを聞いたときはヴィヴィオは数日間元気がなかった。
その時フェイトはいろいろと忙しかったので構ってあげられなかったのだが、コロナやリオ、そしてアインハルトの三人によって元気を取り戻していたのである。
何もできなかったフェイトは三人にかなり感謝していたのだが、何も出来なかった自分をかなり悔やんでいた。仕事で忙しかったとしても、それよりも何もできなかったことはフェイトにとってかなり辛かったことだったのだ。
だからこそ今度は絶対に守って見せるとフェイトは思っていた。だがそれは今日で一番の親友によって裏切られてしまう事をフェイトは思いもしていなかった。
「それじゃあ、帰ろっか」
フェイトはヴィヴィオとアインハルトの二人を連れて、フェイトの家へと向かうのだった。
ちなみにアインハルトはこの数日間フェイトたちと一緒の家で暮らして貰っているので、帰る方向はフェイト達と一緒なのである。
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「そういえば、今年のインターミドルはどうなの?」
歩いていると当然フェイトは思い出したかのように、ヴィヴィオとアインハルトの二人に聞く。
今年はフェイトが仕事の方が忙しくてあまりどんな練習をしているのか見ていないので、ヴィヴィオとアインハルトの二人から聞かないと分からないのである。
「それについての練習はフェイトさんに言われなくても大丈夫です。まぁ、今はその練習もできませんけど」
「だけど、私たちが安心していられるようにならないとなりませんけどね。出場できないという場合になってしまったら困りますし」
確かにヴィヴィオの言うとおりだった。今はヴィヴィオとアインハルトを安心して過ごせるようにしなければインターミドルだって出場できるかも分からない。
だからこそこの事件は早く解決しなければならないとフェイトは思った。ヴィヴィオやアインハルトのために。そしてなのはのためにも。
「……ねぇ、なんかこの辺の空気がおかしくない?」
「確かにそうかも。なんか、この辺の魔力濃度が高いっていうか」
「ん? 二人ともどうした……」
さらに歩いて自分たちの家へと向かっていると、ヴィヴィオとアインハルトはこの付近がなんかおかしく思えていた。
フェイトは一体どうしたのかと思ったがすぐに気づき、確かにアインハルトが言った通りこの辺りの魔力濃度が余りにも高すぎる。このような状態になるのは大きな戦闘でもなかなかならないぐらいの魔力濃度であった。
しかし、そのような形跡がこの辺りには感じられない。周りの建物は至って何ともないし、異変があるのは魔力濃度だけであった。どうしてこのような状態になっているのか分からないが、何か嫌な予感するとフェイトは思っていた。
そしてもう一つ異変があることに気づく。
「人気が……全くない?」
そう、この付近に人気が全くない事であった。自分たち以外の人の気配が全く感じ誰なかったのだ。
この場所は至って普通の住宅街。それなのに人が一人も感じないのはおかしすぎた。
フェイトは警戒を尚もしながら周りを見ていると、突然人の気配が一人感じられた。その人物はこちらに近づいてきているような感じで、フェイトはそちらに顔を向ける。
「フェイトママ……」
「ちょっと静かにしてて、誰か来る」
ヴィヴィオは多分フェイトの言葉にどういう状況下把握し、アインハルトは何も言わずにフェイトに従うようにしていた。
そして人の気配を感じた方を向いていると、その人物が路地から姿を現した。
だが、その人物にフェイトは驚きを隠せない。それはフェイトに限らず、ヴィヴィオとアインハルトも同じだった。
なぜなら目の前に現れた人物は、高町なのはだったのだから――
「こうやってのんびり話せるのは久しぶりだね。フェイトちゃん」
「な、なのは……」
どうしてのこのこと現れたのかと、フェイトは馴染みあるなのはのバリアジャケットを着ていたなのはを見てそう思った。
いや、別になのははのこのこと現れているわけではない。人の気配が全くしないという事はこの辺りに人がいないという事だし、もはやなのはにとって良い状況を作っていた。
周囲の魔力濃度が高いのはなのはがしたことだろうし、そうなるとこの状況はどう見たってフェイトの不利な状況を作り上げていた。何か秘策あってこれほどの魔力濃度が高い空間を作り上げたのだろうと思った
なのでフェイトはなのはの様子を見て状況を把握するしかなく、何とかしてこの状況から脱出するしかなかったのであった。余りにも不利すぎて冷静に対処するしかなかった。
そしてこの状況を作り上げたなのははフェイトに話しかけるのだった――
説明 | ||
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。 その青年はなのはに関わりがある人物だった。 だがなのはにはその記憶が消されていた。 消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。 二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。 それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。 魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。 |
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