ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第六話 紅蓮の劫火 |
シリカ視点
帰りは、来る時にモンスターを倒してきたためかほとんどエンカウントすることは無かった。
弾む胸を押さえながら小川にかかる小さな橋を渡ろうとした時、不意に後ろからデュオさんに肩をつかまれた。
どきんとして振り返ると、デュオさんは鋭い目で向こうに広がる木々を見据えていた。
デュオ「そこに隠れてる奴。バレバレだから出てきたら?」
デュオさんがそう言ってから数秒後、
現れたはプレイヤーはあたしも知っていた。
細身の十字槍を携えた、真っ赤な髪の女性プレイヤー。
シリカ「ろ、ロザリアさん・・・!?」
ロザリア「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなか高い索敵スキルね剣士さん。その様子だと首尾良くプネウマの花をゲットできたみたいね。」
ロザリアさんはそこで言葉を切るとにっこりと微笑む。
ロザリア「おめでとう。」
デュオ「それはどうも。でもお祝いに来てくれたって感じじゃないね。」
デュオさんの言葉にロザリアさんは不適な笑みを浮かべる。
ロザリア「プネウマの花って今が旬でとってもいい相場なのよね。わざわざ取って来てくれてありがとう、シリカ。じゃ、早速花を渡してちょうだい。」
この人がいったい何を言っているのか、あたしには一瞬理解できなかった。
すると、デュオさんがあたしの前に進み出て言い放つ。
デュオ「ご苦労なことだね。わざわざ強盗するために集まったのか。」
デュオさんは呆れたように言う。
ロザリア「その余裕もいつまで続くかな?」
デュオ「う〜ん・・・死ぬまでかな?」
デュオさんがそう言うとロザリアさんはパチンと指を鳴らす。
すると後ろの茂みから数人のプレイヤーが出てきた。
見るとそのほとんどのカーソルがオレンジ色をしている。
それを見たデュオさんは不適な笑みを浮かべる。
デュオ「また汚ねぇのがたくさん出てきやがった。」
その言葉を聞いたときあたしは気になった。
シリカ〈気のせいなのかな?デュオさんの言葉遣いが荒々しくなってるような・・・〉
だけど、今はそんな事を気にしている場合じゃない。
シリカ「デュオさん、人数が多すぎます!脱出しないと・・・!」
するとデュオさんはあたしの頭にポンと手を置いてから
デュオ「大丈夫。俺が逃げろって言うまでは、その辺で見てればいいよ。」
と言って、ゆっくりと歩き出す。
通常視点
シリカ「デュオさん・・・!!」
その声がフィールドに響いた途端、オレンジの一人が反応した。
オレンジP「デュオ・・・?」
そして笑いを消して、記憶を探るように視線をさまよわせる。
オレンジP「紅いロングコートに鞘無しの両手剣・・・【((紅蓮の劫火|レッドプロミネンス))】・・・?」
そう言った途端、急激に顔を蒼白にしながらオレンジが後ずさる。
オレンジP「やばいよ、ロザリアさん。そいつソロで前線に挑んでる、こ、攻略組だ・・・」
シリカ「攻略組・・・!?」
未踏破の迷宮やボスモンスターに挑み続ける、真のトッププレイヤーの1人。
その力のほとんどはSAO攻略に使われていて、中層ではほとんど見かけることは無い。
それが分かると、オレンジたちは一気に怯むが
ロザリア「攻略組がこんなとこいるわけないじゃない!さっさと殺して身包み剥いじゃいな!」
ロザリアのその言葉で怯んでいたオレンジたちが勢いを取り戻した。
そしてオレンジプレイヤーたちはデュオに襲い掛かる。
一人の男が剣をデュオに振り下ろした。しかし、その剣はデュオには届かなかった。
男の剣は、いつの間にかデュオの剣によって根元から破壊されていたのだ。
デュオが握っているのは背中に背負っている両手剣ではなく
ストレージから呼び出した片手剣だった。
オレンジP「こいつ・・・!」
いかつい男たちの攻撃は空を切るばかりで、その10人の周りには様々な色彩の光が飛び交っている。
デュオが動きを止めた時には、ロザリアを除いたオレンジたちは全員HPがレッドに達していた。
ロザリア「あんたら何やってんだ!さっさと殺しな!!」
しかし男たちは何も答えない。オレンジは全員、足が震えている。
デュオの圧倒的な強さに対する恐怖で動けなくなっているのだ。
ロザリア「チッ・・・」
不意にロザリアが舌打ちすると、腰から転移結晶を取り出す。
ロザリア「転移・・・」
ロザリアが叫ぼうとした瞬間、デュオはストレージから別の片手用直剣呼び出して投げつけ
ロザリアの手から結晶を弾いた。
そしてデュオはロザリアの襟首を掴んで、棒立ちになって震えているオレンジの中央に投げ捨てる。
ロザリア「どうする気だい!?」
その質問に対して、デュオは不気味な笑みを浮かべる。
デュオ「もちろん。皆殺し。」
その言葉には、シリカを含めた全員が凍りついた。
デュオ「・・・というのは嘘で、本当にどうする?キリト。」
デュオが振り向きながらそう言うと、
そこには黒衣を身に纏った剣士、キリトが立っていた。
キリト「気付いてたのか?」
デュオ「まぁな。」
キリトに対していつもの口調で話すデュオ。
しかしその目には、まだ凶暴な鋭さが残っている。
キリト「こいつらは俺に任せてくれ。ある人の依頼で、こいつらを牢獄に送るってことになってるから。」
デュオ「そうか。」
キリトにそう言うとデュオはオレンジたちに向き直る。
デュオ「だそうだ。よかったね〜。キリトが来なかったら本当に皆殺しだったかもよ〜」
デュオはあっさりととんでもないことを言ってのける。
その間にキリトは回廊結晶を使って、牢獄への道を開く。
だが誰も動こうとしない。
デュオ「今すぐ行かないと、本当殺すよ。俺はてめぇらみたいなのは生かしておきたくないから。」
にっこりと笑いながら言うデュオの目にはひどく冷たい殺気が込められていた。
この言葉でオレンジたちはようやく動く。
あるものは毒づきながら、またあるものは無言のまま回廊へ消えていった。
そして最後にロザリアだけが1人残った。
仲間全員が回廊に消えても、強気に動こうとしない。
地面にあぐらをかき、挑発的な態度で2人を見上げている。
ロザリア「やりたきゃ、やってみな。グリーンのアタシを傷つけたら、今度はあんたらがオレンジに・・・」
デュオ「なら、死ね・・・」
デュオは剣を抜き放つとゆっくりとロザリアに迫る。
ロザリア「ちょ、あんた、ほんとにオレンジになる・・・」
デュオ「言ったはずだ。生かしておきたくないって。」
ロザリア「ちょっと待って・・・止めて・・・!」
デュオ「じゃあ、回廊に入ってくれる?」
デュオの威圧によって、ロザリアは回廊に消えていった。
後書き
デュオ「いや〜終わった終わった〜。」
作者「貴様、どこから湧いて出た?」
デュオ「ひでぇ〜、人を害虫みたいに・・・」
作者「このコーナー、【登場人物と雑談】は1章終わるごとにやるようにしようと思ってたんだ。」
デュオ「もう第一章終わったじゃん。」
作者「アホか〜!!まだピナが帰って来てないだろうが〜!!」
デュオ「し、しまった〜!!」
作者「精進が足りん出直せ!!」
デュオ「そんな〜・・・」
作者「次回が終わったらまた来い。」
デュオ「了解・・・」
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