ハイスクールD×D〜HSSを持つ転生者〜 第51話 |
第51話〜夏休みの終わりと新たな問題〜
ゲーム終了後、俺は匙がいる病室に来ていた。あんなにケガをしたんだ、
心配で、な。
「手は大丈夫か? あの時、絶対に曲がってはいけないところに曲がっていた
からな」
「ああ、それなら大丈夫だ。ほら、この通り」
匙は折れていた右手を動かした。
「そうか。…匙」
俺は真剣な表情で匙に訊いた
「お前はあの時に、俺を超えるべき目標を言っていたよな?」
俺の言葉に匙は無言で頷いた。
「なら俺は…お前が超えるべき目標としていてやる。匙もその方がいいだろう?」
「そうだな。待っていろよ、クリス。すぐに追い抜いてやるからな」
俺と匙は、拳と拳をぶつけ合った。
「さて、俺は帰るとするか。――匙、冥界の為に先生になれよ?」
俺はそれだけ言うと、匙の病室を出た。
◇
八月後半。俺達グレモリー眷属は、本邸前の駅で冥界と別れのときを
過ごしていた。
「それでは、一誠くん。また会える日を楽しみにしているよ。いつでも気兼ねなく
帰ってきてくれてかまわないよ。グレモリー家をキミの家と思ってくれたまえ」
…裏で、一誠を婿にしようと頑張っているな。将来的に一誠は幸せになると
思うけど。
赤と紅。俺はとてもお似合いだと思うぞ? 部長に一誠。
「……うぅ、私も最近涙もろくなったものだ。我が家の将来は明るい…」
部長のお父さんが、突然号泣しだした。一誠は戸惑っている。
「リアス、残りの夏休み、手紙ぐらい送りなさい」
サーゼクス様が息子のミリキャス様を抱えながら言う。後方にはグレイフィア
さんが待機していた。
「はい、お兄様。ミリキャスも元気でね」
「うん、リアスお姉さま!」
列車に乗りながら、サーゼクス様たちに別れのあいさつを告げる。
三人を見たとき、俺は気づいて、苦笑してしまった。
やっぱり、あの三名は家族なんだな。すごくお似合いですよ、魔王様。
◇
帰りの列車。一誠は今までやっていなかった夏休みの宿題をやっていた。
因みに、俺は夏休みの前日にはすべて終えている。
あんなの、教科書を見て覚えたら簡単だ。
俺は一誠に話しかけた。
「…一誠。俺には夢というものがなかった」
「………」
一誠は無言を通す。俺はそのまま続ける
「でも、今回の事で夢ができた。それは、魔王になることだ」
「はぁ!? 魔王!?」
一誠は顔を上げた。
「そうだ。匙たちのこともそうだが、俺は冥界を変えたい。みんなが安心して
くらせるような冥界をつくってみたいんだ。そして、史上初の転生悪魔の
魔王になりたい」
これは、冥界に行ったからできた夢だ。ライバルはとても多いが、それの方が
張り合いがあるしな。
「クリスにはできるさ。…俺も冥界訪問で学んだことがあってさ、今までは
ハーレムができるまでがむしゃらで頑張ってきたんだ。でも、ただのハーレム
じゃダメかなと思っている。魅力的でゲームにも強いハーレムを作ろうと思う
んだ」
「…そうかい。お互い、夢に向かって頑張ろうぜ?」
「おうよ!」
拳をぶつけ合う俺達。確か、匙にもこんな事していたよな、俺は。
と、いきなり小猫が現れて――俺の膝に座った。…小猫?
何が何だかよくわからんが――小猫が俺の膝に座り、猫耳をぴこぴこ動かしていた。
「小猫……?」
顔をのぞいてみると―――
「にゃん♪」
満面の笑みで微笑まれた。――やっば、めっちゃ可愛い!
隣で一誠が血涙していたが、小猫のこれが見られて、満足した。
まぁ、一応この言葉で締めくくろうか。
これにて一件落着、だな。
◇
人間界の地下ホームに列車は着いて、下りた。
「さて、帰ろうか」
「…そうですね」
俺の右手は、小猫が握っている。俗に、恋人繋ぎって奴でな。
階段に向かおうとしたとき、たまたま視界に入ったアーシアが優男に
詰め寄られていた。
「アーシア・アルジェント……やっと会えた…」
「あ、あの……」
優男の方は再会を喜んでいるようだが、アーシアのほうは、困惑していた。
その優男、見覚えがある。あいつは若手悪魔の会合の時にいた奴。
名前は…ディオドラ・アスタロト。現ベルゼブブを輩出した御家の奴だ
ディオドラは跪くとアーシアの手にキスをした。…一誠がキレかかっている。
「アーシア、僕はキミを迎えに来た。会合のとき、あいさつに行けなくてゴメン。
でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。―僕の妻になってほしい。
僕はキミを愛しているんだ」
ディオドラは、俺達グレモリー眷属の前でアーシアに求婚したんだ。
一難去ってまた一難って奴だな。これは新たな問題になるぞ。
いつになったら、平和に暮らせるようになるんだ?
説明 | ||
神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。 | ||
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