語られし者たちとIS 世界樹大戦 第11話 クラス対抗戦開始 |
一夏はいつものようにジュディスと異世界で修業をしている。そこでジュディスはあることを話した
「え? 何かが起こるかもしれない……ですか?」
「気をつけなさい。ここ最近、魔物の動きがおかしいのよ。あまりいい予感がしないのよ。昔仲間が世界樹大戦に出た時も何かが起こったって聞いたの」
ジュディスの言うことは……案外当たっているかもしれないと一夏は思った
今まで戦ってきた魔物の様子と何か違う……一夏はいつも以上に警戒をした
そのままいつもの特訓を続けた。今彼が特訓している技の成功率は八割になっている
けど、確実に成功させないといけないため、特訓は続けている
……オーバーリミッツという技を
試合当日まで、一夏は鈴とは会うことがなかった。お互いに特訓を欠かさずにいるのだろう
そして、クラス対抗戦当日。いきなり一夏は鈴と当たることになった
アリーナは満席、お互いに専用機持ちということで注目の試合になるからだろう
「久しぶりね、一夏……何だかいい目をしているじゃない。そんな目をした奴を見たのは代表候補を決める時以来かしら」
「そりゃ光栄だ。俺も特訓を欠かさずやっているからな」
その言葉に何故か教員しか入れないはずのピットにいる箒とセシリアが頷いていた。確かに特訓を手伝っていたが、九割はジュディスとの特訓のおかげだ
それが分かっていたのか、近くにいた真耶とアンジュは苦笑いをしていた
そして、ジュディスとマオはアリーナの自身のパートナーの控室近くでスタンバイをしている
自分たちの相棒の初舞台、見逃したくないのだろう
すでにお互いにISを装着し構えている
試合開始の合図が鳴った。それと同時に一夏は唯一の武器、雪片弐型を展開させる
零落白夜は使わず、そのまま鈴の青竜刀とぶつかり合う
「く、そんな細い刀でなかなか重い一撃じゃない。じゃあこれはどう?」
鈴は一度距離を取った
彼女のISの肩のパッドが開いた瞬間、一夏は何かが来ると感じて、急加速で横に避けた
「な? 衝撃砲を避けた!?」
(いい読みよ。空気を圧縮させてぶつける攻撃ね)
ジュディスが解説してくれた。ちなみに彼らのパートナーの声は離れているが、ブローチの力で聞こえるらしい
(初見であれかわすなんて……でも、次はそうはいかないと思うよ)
マオは少し驚いていたが、余計にこの試合がどうなるのか楽しみになっているようだ
鈴はもう一度、肩のパッドから空気の塊の砲撃を打ち出した
一夏は避けた……つもりだった。だが、ダメージを受けていた
彼のISに切り傷が残っていた
「どうかしら? あたしの刃(やいば)のフォルスの力は?」
(鳳さんが完全に避けた織斑君に傷をつけた……あれは一体?)
真耶は疑問に思っていた。恐らく彼女のパートナーであるあの男の子が関係しているのは間違いないと思っている
「あの方は何を言っていますの?」
「フォルス……聞いたことがないな。織斑先生はご存知ですか?」
千冬は首を横に振った。彼女も知らないみたいだ
(フォルス能力……聞いたことがあるわ、真耶)
(アンジュ? 本当ですか?)
(ええ、私たちの住んでいた場所と違う場所でそんな能力を持っている人がいると聞いたことがあるの。確か生命力と精神力を源とする超常的な事象を起こす力の事よ。強力な力だけど、何よりも制御するのが難しい力だって聞いたことがあるわ)
(それはアンジュの使う天術よりも?)
(そうね、天術はあくまで前世の力を使うだけで制御とかはあんまり関係ないかな? ……それにしても考えたわね。あの子、ISの攻撃にフォルスの力を混ぜるなんて)
ピットにいる真耶とアンジュだけが鈴の力を理解していた
多分、観客席にいる簪たちも理解しているのだろう
真耶は一夏のことが心配になった
(あら? 彼のことが心配?)
(それはそうですよ)
(そんな心配いらないんじゃないかしら? 男の子の底力って結構すごいものなのよ)
アンジュは微笑んでいた。真耶は彼女には何か心当たりがあるだろうかと疑問に思っていた
一夏もジュディスから似たような説明を聞いてなんとなく理解した。やっぱり鈴も特別な力を得ていた
けど、それは一夏も同じ。しかし、まだ使うわけにはいかない
だからこそ、刃(やいば)のフォルスにより衝撃砲をかわしながら攻撃を仕掛ける
決定打にはならないかもしれないが、これでいいと考えている
しかし鈴はそんな彼の行動を良い印象で見てこない
「そろそろ本気で来なさいよ、まさかあたしの攻撃はかわすだけかしら?」
「そう言うなって……こっちにもいろいろと準備が必要なのさ」
どうやら一夏の準備が完了したようだ
一気に勝負を決めようとしたその時、何か来る気配がした
「おい、鈴!」
「わかってる! 何か……来る!」
その瞬間、彼らの目の前に何者かが乱入してきた。何やら灰色の正体不明の何かがやってきた。学園に張ってあるバリアを破ってだ
つまり侵入者は相当な攻撃力を持っているということになる
もしあんな奴が、客席に入ったら……ゾッとした
「鈴、一時休戦だ! あんな奴を客席に入れるわけにいかない!!」
「わかったわ」
「織斑君? 鳳さん? ダメです。急いで避難してください」
(ダメよ、真耶! あいつの攻撃を見たでしょ? 誰かがあそこで食い止めないといけないの。そして、あなたにはやることがあるでしょ?)
アンジュの後押しもあり、一夏と鈴は行動を始めた
観客席にいた簪は何が起こったのかわからず慌てていた
(簪さん、急いで逃げますよ。ここにいては危険です)
ヒューバートの声を聞いて彼女は我に返った
逃げないといけない。しかし会場はパニックになっていてうまく逃げられない
しかし様子を見ているとおかしいことに簪は気が付いた。いくら慌てていてもそれだけなら人数が減っていてもいいはずなのに一向に客席の人数が減らない
その答えがすぐに分かった。脱出口がロックされているからだ
「かんちゃ〜ん、良かった、無事で……それよりリオ君がヒューバートとかんちゃんをドアの前まで連れて来てって」
(……なるほど、行きましょう。簪さん)
本音の言葉に迷っている暇はないと感じた簪は彼女の後を追った
やはりドアがロックされていた。三年生たちが頑張っているけどまだ時間がかかりそう
(簪、ヒューバート! 今からこの扉を破壊する)
「え、ちょっと待って!? そんなことをしなくても」
(いえ、僕もリオンの意見に賛成です。見てください。一夏さんたちが戦っている場所を)
その時、簪と本音はとんでもない光景を目にした
異世界にいるはずのモンスターが……アリーナに出てきた
「え? 何あの狼?」
「何よ、あの変なカエルみたいなやつ」
しかも、世界樹大戦には関係のない人たちに見えている。そこで簪はやっと理解できた
もしもさっきの侵入者が、観客席のバリアを破壊したらここにもモンスターがやってくる。だからその前にみんなを逃がさないといけない
簪はすぐにドアの前に立った
「皆! 今からかんちゃんがISを使ってこのドアを破壊するから離れてください!!」
「本音、ありがとう……お願い! 打鉄弐式!!」
彼女に感謝の言葉を言って練習通りに展開した。どうやらいつも通りにできたようだ。後は……
(僕たちの合図に合わせてください)
(必ず成功させるぞ!)
簪はリオンとヒューバートの合図を待つ
((今だ))
「はぁぁぁ」
彼女は薙刀を一気に振りぬく。完全には破壊できなかったけどそれでいい。後は……
(爆火! フレアショット!!)
(くらえ! 魔人剣!!)
二人の攻撃が命中し、扉を破壊できた
時間差で壊れた扉に対して不思議に思っていた人たちもいたがそんなことよりも逃げることが優先だと思ったのか、急いで皆は避難を始めた
でも、簪と本音はそうはいかない。やることがある
「お願い、ヒューバート」
(ええ、行きましょう)
「リオ君!」
(ふん、遅れるなよ。本音!)
客席にやってくるかもしれない魔物に備えることにした
一方ピットでは、真耶とアンジュが悩んでいた。今はまだ魔物の姿が死角になっていて見えないが、すぐにでもここにいる箒やセシリア、千冬に魔物の姿が見られるだろう
(まずいわね、このままだと魔物の姿を見られているわ。真耶、今すぐここのモニターの電源を落とせる?)
アンジュの言葉に従う。これ以上関係のない人には魔物の姿を見せることができない
真耶はこっそりとモニターは消し、ここにいる人達にアリーナの状況が判断できなくさせた。その隙にアンジュにはモニターを破壊しに行ってもらう
彼女たちはすぐに行動を移した
「お、織斑先生。どうやらあの侵入者がモニターを……」
「そんな! これでは今戦っている一夏さんたちの様子が……」
セシリアは焦ったが、千冬は落ち着いていた
「……山田先生、何をしているのですか? 何故このようなことを?」
「……質問の意味が分からないのですが?」
千冬の質問に少しひるむ真耶
「? どういう意味ですの?」
「簡単なことだ。彼女が何故か意図的にモニターの電源を落としたんだ」
真耶は黙ってしまった
「ふう、だんまりか。まあ偶然、スイッチが当たった……ということにしておこう」
(ダメ、このままだと見られてしまう)
「待ってください。今は生徒の避難を優先させるべきでは? 織斑君たちの状況はその後からでもいいと思います。ここで無駄な電力を使わず、アリーナの生徒避難を優先すべきだと思います」
「ほう、私に意見か……だが、それは断る。そんなことをしなくても問題はないからな」
もう、だめだ。電源をつけられる
そう思っていた真耶だったが、モニターには何も映っていなかった。砂嵐が出てきただけだった
(間に合ったわよ、真耶。ジュディスやマオ君、一夏君に協力してもらってね)
それを聞いて胸をなでおろした。間に合った……
(あら? ここにいたもう一人の人は?)
そこで箒がいないことに気が付いた
「織斑先生、篠ノ之さんの姿が見えないので探しに行きます!」
彼女は答えを聞かずに探しに行くことにした
(どうか無事でいて……)
スキット
鈴とマオの特訓
一夏とは別の場所の異世界
鈴とマオは特訓をしていた
鈴は自分のフォルスキューブを出して回していた
「ほら、安定していないヨ。もっと集中しないと」
「わかっているわよ。でも本当にこれ、難しいわね。何であんたは軽々できるのよ?」
「いい先生がいたからネ。それよりも鈴のフォルスは扱いが難しいんだから練習しないと」
「でもまあ、これのおかげで強くなったと思うけどね」
少し調子に乗った鈴にマオは指導を続ける
「はあ、すぐこうなるんだから……いい? フォルス能力は本当に危険なんだから、暴走したら自分だけでなく周りの人を傷つける。下手したら簡単に人の命だって奪えるよ」
「……気をつけるわよ」
(いつものあたしなら余裕とか言ってやると思うけど……これはそんなこと考えちゃだめね)
そんな鈴とマオの特訓は続いていた
(僕の仲間たちも大変だったけど、何より僕も昔大変なことをしたしネ。鈴にはあんな思いしてほしくないんですけどネ)
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