とらドラif 竜児×奈々子 21 |
呼び出し場所に現れた竜児はなぜ呼び出されたかは分かっていないようで、
明らかに動揺が見て取れた。
「ごめんね、急に呼びだしたりして。来てくれてありがとう」
「お、おう。大丈夫だぞ」
「いきなり本題なんだけど」
「あのね、私ね、ずっと前から高須君のことが好きだったの!」
奈々子はそれだけ言うのが精いっぱいだった。
理由とか色々文章を考えていたはずなのに目の前に立つと
その一言を絞り出すのにさえ苦労がいった。
波の音も風の音も全て消え去り二人だけの世界に来てしまったような錯覚に陥る。
奈々子はただ目をつぶって竜児の反応をまった。
その時間は一分にも一時間にも、永遠にさえ思えた。
「あ、そのありがとう。俺なんかのこと好きになってくれて。
でも今は香椎の気持ちにこたえられない。ごめん」
そんな不思議な空間はそんな一言であっけなく壊れる。
(あっやばい)
「ううん。こっちこそ突然ごめんね」
泣けない。この人は優しいからまたおろおろしながらも優しく声を掛けてくれるに違いない。
だから泣けない。
(でも、無理よね、我慢なんて)
「ごめんね。用はこれだけ、かな。残りの旅行も楽しみましょうね」
部屋についたら、そうしたらその時思い切り泣こう。
奈々子にはそう思って背を向けるだけで精一杯だった。
「いや、ちがうんだ!香椎をふったとかじゃなくてそのうまく説明できないんだけど」
「どういうこと?ゆっくり落ち着いてでいいから話してほしいな」
全てをあきらめかけた奈々子だったが背中を追う竜児の言葉に
何とか自分をもちなおし笑顔を被った。
「あのな、香椎には幽霊は見えてるか?」
「幽霊?私は霊能力者じゃないもの。みえないわ」
「そう、だよな。あの実は俺ずっと櫛枝のことが好きで昨日告白したんだ」
やっぱり……
落ち込みようを見るに振られてしまったのだろう。
それにしてはあのみのりの態度はなんなのだろう?
「それでだな、告白したんだけど幽霊がみえない(ryっていわれて・・・
なにがなんだか分からなくて、告白はぐらかされちゃった感じなんだ。」
「そう・・・それはちょっとひどいわね。でもそれと私に何の関係が?」
「その、らくーじゃでいったこと覚えてるか?」
もちろん覚えている。みのりともう一人の間で揺れ動いてるという話のことだろう。
忘れられるはずがない。
「あの時言ったもう一人ってのは実は、香椎のことなんだよ」
「えっ?」
奈々子には全く信じられなかった。
てっきり大河か亜美だと思っていたのだから、自分はこれっぽっちも竜児の心にとどまっていないと思っていたのだから。
「本当だ。それでおれのなかで決着がついてから告白しようって思ってたんだけどな
その、大河とかにせかされる形で櫛枝に告白したんだよ。でも結果がこれだ
言い訳がましいかも知んないけどまだ俺のなかで整理が出来てないんだ、すまん」
そういいながら、申し訳なさそうに頭をたれる竜児は嘘を言ってるようには見えなかった。
これでじつは嘘でした、なんていえたら主演男優賞ものである。
「私高須君のこと信じるわ。決着がついたらちゃんと返事するから保留にしてほしいってことよね?」
「あ、ああ。そういうことだ、本当にすまん」
普通の人ならここで怒って、竜児にビンタでもする場面かもしれない。
しかし、彼は私のことが好きなのかも。
そう思うだけで奈々子は絶望の淵から救われたような気持ちになれた。
説明 | ||
21です。 今回は重要な場面なのですが、書き方が難しいです…… 変な文章になってしまっているところがあるかもしれませんが 目をつぶっていただければ幸いです。 よろしくお願いします。 |
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2029 | 1990 | 8 |
コメント | ||
>峠崎丈二さん いつもコメントありがとうございます。すごく励みになってます。 竹宮ゆゆこさんの作品はみんないい女キャラですよね。みんながみんな一歩引いてるせいでこじれるみたいなw(ひらららら) 一種の『落として上げて』だからなぁ……うむ、殴られても仕方ないww ったく、竜児の周囲はいい女ばっかだな。(峠崎丈二) |
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