真・恋姫無双〜終焉の宴〜 |
それから数日後、諸葛亮が住んでいる屋敷に趙雲がいくつかの報告書を持って訪ねてくる。
諸葛亮は、自慢の手料理を振る舞って、一緒に食事をしながら報告書内容を話し合うことにした。
ただし、自慢の手料理は美味しくなかった。
正確に言い直せば、美味しいが心の底から美味しいと言えるような料理が一つもなかったのだ。
「ふむ。やはり朱里殿の手料理は美味しいっ!」
だけど、趙雲は一切顔にそれを見せず、諸葛亮もそれを気づきつつも笑顔で微笑んだ。
そもそも諸葛亮の手料理が美味しくないのは趙雲達のせいでもあった。劉備の死後、諸葛亮は業務に追われ今日に至るまで一切心休まる日がなかった。いや、休もうと思えば休めたはずなのに諸葛亮は、それを拒み全部一人でこなしてきたのだ。
そして、趙雲達はそんな諸葛亮を助けることが出来なかったのに文句など言えようもなかった。
「それで報告書を読みましたが、これは本当ですか?」
「あ、ああ……真実です。その中の一つ魏にいる北郷という軍師を罷免するように仕向けてきました」
諸葛亮は安堵した顔をする。
「よかったです。その命令は絶対に成功しなければいけなかったので、一番信用のある星さんに頼んだのです」
「……それにしても朱里殿に話を聞いたときは驚いたよ。まさか亡き主と同じ北郷という名が魏にもいたなんて」
「この蜀にいる北郷さんの話では、並行世界の自分じゃないかなと言っていいます」
「作り話では? あいにく私はそういう話は信じない方でね」
趙雲はオカルト話を信じない。彼女は幼きころから戦場で色々な出来事を体験したのか一番シリアスの武将であった。
「作り話、真実はともかく魏にいる北郷さんは、とても危険な人間ということは確かです」
「しかし、先の朱里殿が用意した策が通用するのか?」
諸葛亮は冷笑に微笑んだ。
「大丈夫ですよ。魏にいる北郷さんは、けっこう傲慢ですから♪」
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第一話『新歴史の微笑み その二』 |
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