外史を駆ける鬼・IS編 第006話
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外史を駆ける鬼・IS編 第006話「休息」

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その日の夜の食堂。アリーナの一件でようやく一段落ついたところだ。

 

重昌「なんとかなったな」

 

千雨「ところで…あれはどういう状況でしょう?」

 

2人が視線を向けた方向には、腹を抱え悶える一夏がいた。ふらふらしながら彼は2人の座る席に近付き一つ席を空けて座る。

 

重昌「どうした?」

 

一夏「いや、何故か知らないけど、箒が怒って」

 

千雨「何をしたの?」

 

一夏「いや、付き合う約束について話していたr「え!?2人付き合うの!?」買い物くらい、良いでしょう?」

 

どうやら、いつもの一夏の勘違いからの行動の様だ。

説明をすると、一夏と箒の間にある賭け事が行われていた。

それは『一夏が今回のアリーナ戦において箒に負かされれば、一夏が箒と付き合う』と言う条件だ。

箒自身いささか卑怯であると思ってはいたが、一夏はあっさり了承。だが当の本人は”男女として”ではなく、ただ”買い物”の付き合いと勘違いした様で今に至る。

 

空気「ポクポクポク…チーン♪」

 

千雨「………」

 

重昌「千雨、諦めなさい」

 

彼は彼女の肩を叩き、諭す様に言う。

 

千冬「織斑!影村!デュノア!いるか?」

 

食堂に来た千冬の呼びかけに、3人は集まる。

 

千冬「ん?織斑どうした?」

 

一夏「・・・いや…なんでもないッス」

 

千冬「そうか」

 

悶えていた一夏に対し、千冬は声をかける。これはこれで彼女なりの姉としての気遣いであろう。

 

シャルル「それより、先生いったいどうしました?」

 

千冬「男子の大浴場が解禁したので、報告に来ただけだ」

 

重昌「うん?解禁は来月からではないですか?」

 

千冬「いや、今日は大浴場のボイラー点検があったのだが、点検自体は終わっている。それなら男子に使ってもらう事にした。しっかり伝えたからな」

 

言うことを言い、彼女は去って言った。

 

重昌「さて、一夏君、デュノア君行って来るがいい」

 

一夏「え?重昌さんは行かないのですか?」

 

重昌「こんな状態で、風呂なんかに入れるわけないだろ?」

 

彼は右腕を上げて言う。一夏とシャルルは上げられた腕を見て、あの時の事を思い出し申し訳なさそうにする。

 

重昌「まぁ2人で楽しんできなさい。それとデュノア君」

 

重昌はシャルルに小声で耳打ちをする。

 

重昌「ライバルは多いから、積極的に攻めたいと取られるよ」

 

シャルル「か、影村さん/////!?」

 

何かを見透かされたシャルルは顔を赤くし、重昌はそのまま去っていった。そして数日後、彼の包帯はすっかり取れ、今日は男子が寮の大浴場が使える日(と言っても男子は2人しかいないが……2人?)

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重昌「あ゛あ゛〜!効くぅぅぅぅっ!……止めよう」

 

1人で浴場を独占しているのに、何故か落ち込こむ。

 

重昌「{俺は若い俺は若い俺は若い俺は若い俺は若い俺は若い俺は若い俺はk}「頭を抱えて何を考えているのですか?」あぁ千雨、何でもないさ。何でも……千雨!?」

 

まさかの訪問者につい彼は二度見してしまう。目の前にはタオル一枚の千雨の姿があり。?やかに膨らんだ胸と、綺麗に整った腰からお尻までのラインが綺麗に描かれていた。

 

千雨「ど、どうも。助けて貰ったお礼に、お背中流しに来ました」

 

重昌「……い、意外と着痩せする方なんだね?」

 

彼の言葉に千雨の顔が一気にトマト色になる。

 

重昌「い、いや、そういう訳ではなくて……わかった、おねがいする///」

 

重昌は腰にタオルだけは巻いて、千雨に背中を洗ってもらう。

 

千雨「『ごしごし』{き、気まずい。何か話題を振らないと}し、重昌さんの背中ってよく見ると大きいですよね?それに、この傷もどうして出来たのですか?」

 

重昌「………」

 

千雨「あ、す、すみません!余計な事聞いて」

 

重昌「………」

 

千雨「…『ゴシゴシ』…『ゴシゴシ』…『ゴシゴシ』」

 

彼は冷静を裝ってはいるが、内心は心臓バクバクで焦っているに違いない。千雨のタオルを一枚開(はだ)けさせれば、彼女は生まれたままの状態になる・・・・・・っと、そんな邪(よこしま)な考えではない。

いかにこの傷について言いくるめるかだ。

『別の異次元の世界から来ました』なんて事、自分の背負っている重みについて話しても、悲しいことに恐らく理解されない事も判っていた。暫くの沈黙の後、重昌の口が開く。

 

重昌「おもしろい話では無いが…聞くか?」

 

千雨「はい!」

 

そして彼は淡々と話し出す。

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重昌「まず、左肩にあるのは銃痕、腰のは斬られ傷、背のは殴られ傷…と言い出したらキリが無い。私は色んな戦いの世界を巡った。時に味方や戦いには無関係な者を庇って傷つき、かつて友と呼んだ者とも殺しあい、100を救うために10を殺した事もあった。そんな戦いの中で出来た傷だらけだ」

 

千雨「…『ゴシゴシ』…『ゴシゴシ』…『ゴシゴシ』」

 

重昌「戦いに身を投じた1年目ぐらいは、私の知恵を評価してもらい”軍師”、つまり作戦を考える役割を貰った。見習いだけどね。私の考えた作戦で多くの敵が死んでいく。私の手で殺した訳でもないのに、多くの人が死んでいく。それからは殺された者の気持ち、殺す側の気持ちを少しでも知る為に、自ら戦場に進んだ」

 

千雨「…『ゴシゴシ』…『ゴシgos』…『ゴs』」

 

重昌「初めて人を殺した時は、戦いが終わった後に思いっきり吐いてね。暫くは毎晩夢に私が殺した敵が出て来たよ……IS、世界最強の軍事兵器。今はスポーツの一環的に見られているが、もしもまた世界大戦の様な事が起これば、真っ先にIS操縦者が戦線に送られるに決まっている。この学園の生徒も例外じゃない。昨日まで一緒に笑いあっていた知人、友人、家族が互いに銃を向け合う。そんな事をまだ先の未来ある子供にさせたくない」

 

千雨「………」

 

重昌「私の体はもう、戦場の体。拭っても拭っても、取れない”血”がこびり付いている。こんな平和な日常が送れる世界に来たのも、見つけなければならない”何か”を探す為だ。”何か”を見つければ、私は再び戦場の世界に戻らなければならない。皆には、こんな汚れた体になって欲しくないな」

 

彼の言っている事は全て嘘ではない。しかし、今の彼女に言えるのはこれで精一杯であった。

 

重昌「……ははは、スマンな。ホントにつまらない話d『ガバッ!』千雨?」

 

突然千雨が重昌の首に手を回し抱きついた。

 

千雨「つまらなくなんかないですよ。お願いですから、それ以上言わないで下さい」

 

重昌「……幻滅しただろ?私はただの人殺しさ」

 

千雨「そんな事ありません!貴方は私を助けてくれた!」

 

重昌「………」

 

千雨「確かに、多くを救う為に殺した人もいるかもしれません。しかし・・・貴方は誰よりも、戦いの残酷さを知っているではありませんか。自分を卑屈に見るのは止めて下さい」

 

重昌「色んな人にそう言われたよ。だけど…これだけはどうしても直すことが出来ないんだ」

 

千雨「……重昌さん。貴方が戦いに戻るまで、貴方の傍にいていいですか?」

 

重昌「ん?」

 

千雨「私は貴方の支えになりたい。そ、その…と、友達として」

 

重昌は一つ溜め息を吐き、何か悟ったかの様に彼女の手を片手でそっと握る。

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重昌「わかった。君のことは…私が守ってやる「…はい」ところで千雨「?」大変嬉しいのだが……当たってる「////////!!」」

 

こうして風呂場での甘い?ひと時は過ぎ去った。

翌日の朝、今日は休日で、時刻は午前9時。

静まり返っている食堂に、2人の男と1人の女が机に広げられた資料と睨めっこしていた。

 

一夏「……なんで休日にまでクラスの仕事をしなければいけないんだ?」

 

重昌「ほったらかしていた君が悪い」

 

一夏「いや、臨海学校についてすっかり忘れていて…そういう重昌さんだって」

 

千雨「重昌さんは”学年代表”です。1年全ての、提出された各資料のチェックをしなければいけないのですよ。量は多いし、最近まで怪我で絶対安静でした。織斑君の様にサボっていません」

 

重昌「それより…なんで何時の間に私は学年代表に昇格しているのだ?」

 

そうタメ息を吐きながら答える。実は重昌、アリーナ事件での上級生に負けない迅速な対応が評価され、さらに周りからも”代表候補生を圧倒した”と噂になっており、さらにさらに”代表”という肩書き持ち、これらの条件で学年代表に押し上げられた。

 

一夏「なんで・・・結城さんもここにいるのですか?」

 

千雨「副代表[仮]ですから♪」

 

一夏「…さいですか」

 

重昌「そんなことより一夏君『バキッ!モグ』。私達はもう終えたぞ?『バキッ!モグ』早く終わらせた方が『バキッ!モグ』いいのじゃないか?『バキッ!モグ』」

 

千雨「ほとんど『ペキッ!モグ』重昌さんがやりましたけどね『ペキッ!モグ』」

 

一夏「え!?」

 

一夏が重昌達の方を見ると、作業を始めた頃にあった大量の資料が、彼らの隣に積み上げられていた。

重昌は自分の5倍、千雨は重昌程ではないにしろ一夏の2倍積み上げられていた。

 

一夏「何時の間に!?どうやってやったのですか!?」

 

重昌「普通に『バキッ!モグ』見て、チェックして、書いて、置いて『バキッ!モグ』」

 

一夏「…何食べてるのですか?」

 

重昌「胡桃(くるみ)だ。食べるか?」

 

一つ一夏に放るが、しかし彼が握りども叩けども胡桃は割れることは無く、中身を取り出すことは出来ず、無駄に息が上がってしまった。

 

一夏「はぁ、はぁ、なんでこんなに硬いのを、貴方達はそんな簡単に食べているのですか?」

 

千雨「簡単じゃないよ。私はこの胡桃割り機で割っているよ」

 

彼女は銀色の刃が平ら状の、ハサミの様な物を取り出す。

 

重昌「私は素手でだ。男ならこれぐらい素手で潰してみせろ」

 

一夏「いやいや!千冬姉ぇみたいな化け物じゃないのですから!はぁ〜、もうサボってやろうかな?」

 

千冬「ほう、私は化け物か」

 

重昌と千雨がニヤつく方向に、一夏が恐る恐るふりかえr

 

一夏「『ゴスッ!』」

 

いや、振り返る間も無く拳骨を見舞いされる。

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重昌「イエス!ブリュンh『ギロリ』織斑先生。各クラスの林間学校についての資料、チェック終わりました。…食べます?」

 

“うむ、ご苦労。そして貰おう”と彼より資料を貰い、袋に手を入れ、指の間にそれぞれ胡桃を挟み取り出す。

 

千冬「織斑よ。もし一枚、一行、一文字でもサボれば『バキバキバキ』判っているな」

 

一夏「……はい」

 

指の間の胡桃を、中の身ごと握り潰す姉の姿を見せられ、素直に頷く弟がここにいた。

 

重昌「先生、袋ごとどうぞ。少し買い貯めしましたので」

 

彼女は礼を言って貰い、食堂を後にした。その入れ違いで一人の女子が重昌達に近づいて来る。

 

女子「一夏、今日は僕の買い物に、付き合ってくれるのじゃなかったの?」

 

彼女はシャルル…いや、シャルロット。実は今までの姿は男装で、こちらが本当の姿である。この事実を知っていたのは、同じルームメイトだった一夏と…

 

重昌「悪いね。一夏君がこの仕事を終わらせるまで、逃がす訳にはいかないのだよ」

 

シャル「重昌さん…夏に着物って暑くないですか?」

※以降はシャルと約す

 

重昌「何を言う!?日本人が着物を着て何が悪い!それに、これは薄着だ!」

 

彼が着ているのは夏用の黒い着物。しかし知識が無い者には、ただの暑苦しい格好にしか見えない。

 

重昌「そう言うなら、今日は男装ではないのだね?”シャルル君”」

 

シャル「ちょ!」

 

一夏「そういえば、シャルr・・・シャルロットに聞きましたが、重昌さんはかなり前から男装って気付いていたかもしれないと…いつからですか?」

 

重昌「ん?最初に見た時からだよ」

 

三人「「「え!?」」」

 

彼の回答に、隣にいた千雨も変な声を出す。

 

重昌「動物にはそれぞれの性別特有の匂いがある。だがこれは推測で確信ではない。シャルロット君と初めて出会った時、アリーナへ向かう時の廊下、あの少し圧縮された空間で、千雨と箒ちゃん以外の、強い女性の匂いを感じた時にピンときたわけだ」

 

シャル「なんで報告しなかったのですか?」

 

重昌「して欲しかったのかい?自分を押し殺してまでこの学園に入ったのだ。何か理由があったのだろ?別に、意地悪でばらす事もないだろう・・・っで、一夏君、少しは終わったのか?」

 

一夏「え!?」

 

まさかここで話を振られるとは思われなかったので、彼の反応時の声は裏返る。

 

重昌「なんの為にこんな話をしていたと思っているのかね?」

 

シャル「い、いいよ、一夏、無理しないで。今日は1人で行くから」

 

そうするとシャルはとぼとぼ落ち込みながら食堂を出て行く。

 

重昌「…はぁ。一夏君、私が大部分はやっておいてあげるから、後は帰ってやればいい「でも」私に遠慮する事と、女の子を悲しませる事…どっちを選ぶ?」

 

一夏「……お願いします」

 

重昌「はい。資料は君の下駄箱に入れておく。夕方までには帰って来なさいよ」

 

そして一夏も、シャルを追って食堂を出て行く。

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重昌「さてと…千雨、君はもういいぞ。これぐらいなら1人で直ぐに出来る」

 

千雨「でしたら、2人なら早く終わりますね♪」

 

重昌「…言っても聞かないだろうな。判った、3分の1頼む」

 

こうして食堂には2つの紙がめくれる音と、ペンの音が暫く響いた。

10時前頃。

 

千雨「終わりましたね」

 

1時間もかけずに1組分の資料チェックの大部分は終了。後は一夏が少し目を通すだけの状態になった。

 

重昌「さてと…千雨」

 

千雨「なんでしょう?」

 

重昌「私も少し買い物に行きたいのだが、来るかい?」

 

千雨「え!?」

 

重昌「いや、嫌ならいいのだg「行きます!行きます!連れてって下さい!」そうか。ならば11時に校門前に集合だよ」

 

千雨「でもこの日のその時間帯では、電車は込み合っていますよ?」

 

重昌「いいから、それじゃあ11時に。それと、一夏君達は制服で行ってたみたいだから、私も制服で行くことにする」

 

そう言い残し彼も食堂を後にした。

 

11時、校門前。

 

千雨「{きたきたきたきたきた!!デートデートデートデートデートぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!}」

 

彼女は(頭の中で)絶賛発狂中であった。

 

千雨「{デートだ!これはデートだ!神様ありがとう!それにもうすぐ臨海学校。水着買わなきゃ。も、もちろん重昌さんに選んでもらって…キャーこのシチュエーションはまさしくカップルn}「千雨?」!?」

 

重昌「どうしたのだ?気分でも悪いのk「い、いえ!私は元気です!ささっ、行きましょう!」そうか。だがまず行くべき場所は、そっちではない。付いて来てくれ」

 

千雨「え?重昌さん?」

 

彼女が重昌に連れられ来たのは、近くの大型バイク店。全く予想外れた所に連れて来られた千雨はポカンとしている。

 

千雨「し、重昌さん、ここは?」

 

重昌「あぁ、この街に来てからずっと、何か移動手段は無いかな?と思ってね。ちょうど欲しいのがあったし」

 

2人が話し込んでいると、中は白のカッターシャツで、真っ黒なスーツに身を染めた店員がやって来た。

 

店員「当店に赴き頂いて、ありがとうございます」

 

重昌「先程連絡しました影村ですけども?」

 

店員「お待ちしておりました。それでは、こちらにどうぞ」

 

店員につれられ、重昌・・・千雨の方は緊張の余り一歩遅れて奥に進んでいく…

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重昌「いやぁ、いいねこの快感。やっぱり、バイクはハーレーダビッドソンだよね♪」

 

千雨「………」

 

ただ今『ドゥッ!ドゥッ!ドゥッ!』と燃費の悪い音をたてながら、重昌が千雨を後ろに乗せて爆走中である。

 

千雨「……重昌さん。もしかしてさっきの1時間って?」

 

重昌「そうだよ。バイク店の情報を調べて、予約を入れておいたのだよ」

 

彼らが乗っているのはハーレーダビットソン。全身黒光りのボディで、お値段なんと500万。

 

千雨「よくお金持っていましたね?」

 

重昌「国代表ですから♪」

 

そんなこんなで、駅前のショッピングモールに到着。バイクは地下のパーキングエリアに止めて来た。モールの中をうろついていると、こそこそ隠れているセシリア、鈴、ラウラの姿を見つけた。

 

千雨「…なにしているのですか?」

 

三人「「「ひゃ!」」」

 

千雨に声をかけられ、三人は裏声で反応する。

 

鈴「ち、千雨と重昌さん」

 

セシリア「驚かせないでくださいまし」

 

ラウラ「こんにちは、レーラァ」

 

レーラァとは、ドイツ語で師匠という意味。ラウラの暴走事件以来、彼女の心の氷は溶け皆ともそれなり打ち解けられる様になった。

助けて貰った一夏には好意を寄せて、我が嫁にせんと企み。

圧倒的な力を見せた重昌には箒と同じく弟子入りした。

 

千雨「一体何を見ているのですか?」

 

視線の先には、一夏とシャルの手を繋いで歩いている姿があった。

 

重昌「…成る程。皆、ライバルの偵察をするのは判るが、雰囲気を壊す様な事をすれば……判っているな?」

 

3人「「「さ、サーイエッサー!」」」

 

彼の何かを含む笑みに、3人は身の危険を感じ敬礼をする。そして重昌は千雨に”早く行こう”と右手を両手で引っ張られ連れて行かれる。

 

鈴「・・・・・・あれ良いわね」

 

セシリア「良いですわね」

 

ラウラ「今度”嫁(一夏)”にやるか」

 

ラウラのこの発言で、また喧嘩が勃発する。

 

重昌「さて千雨。何処に行きたい?」

 

千雨「え?今日は重昌さんの用事では無いのですか?」

 

重昌「私の用事は時間がかかるから後でいい。さっ、何処に行く?」

 

千雨「それでしたら少しショッピングd「いや!離してよ!」」

 

2人が視線を向けた先には、2人の男に絡まれている・・・どちらかというと赤毛寄りの、長い髪をまとめた女の子がいた。

 

重昌「ちょっと助けてくる」

 

………

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女の子「いや!離してよ!」

 

男1「いいじゃん。ちょっとお茶しに行くだけだから」

 

男2「そうそう、何も取って食やしないって」

 

女の子「嫌よ!離してよ!{あぁ、もう最悪。お兄ぃ何処行っちゃったのよ。先に行かなければ良かった。…助けてお兄ぃ、一夏さん!}「それぐらいにしてやりなさい」」

 

3人が視線を向けた先には重昌の姿がある。

 

重昌「全く。どんなに変な社会にも腕力や権力が強ければ、何でも我侭が通ると思っている輩がいる者だねぇ」

 

男1「っんだ?テメェ!」

 

男2「痛い目にあいたくなければとっとと失せな!」

 

重昌「ふむ、そうか。それよりこれを見てくれ」

 

重昌は先程自分が飲んでいたスチール缶コーヒーの殻の缶を取り出し、両掌で縦にプレス機の如く潰す。そして潰れた缶を更に立てに潰し、また縦に…また縦に…こんな事を繰り返す内に缶は小さな鉄片へと形を変える。

 

重昌「…で?話は何でしたっけ――?」

 

男1、2「「し、失礼しましたーー!!」」

 

男共は顔を真っ青にしながら走り去っていき、襲われていた女の子は助けてくれた礼を言う。

 

女の子「あ、ありがとうございます!おかげで助かりました」

 

重昌「いやいや、別に対した事ではないy「おぉ〜い、蘭」どうやら連れが来た様だが?」

 

女の子「あ!お兄!『タタタ、ドゲシッ!』」

 

女の子の兄「痛っ!お、おい蘭『ガバッ』蘭?」

 

女の子「ふぇぇぇっ、遅かったじゃない」

 

女の子の兄「お、おい?どうした?」

 

重昌「君がこの子のお兄さんかい?」

 

女の子の兄「そうだが・・・てめぇ蘭に何しやがった?」

 

女の子の兄は、重昌の事を、自分の妹を泣かせた者と思い込み怒気をたてる。

 

千雨「落ち着いて下さい。妹さんがしつこい男達にナンパされていたのを、重昌さんは助けてくれたのですよ」

 

女の子の兄「何?ホントか、蘭?」

 

女の子「ホントだよ!お兄が遅いからだよ!」

 

女の子の兄「そうですか。・・・・・・それは失礼しました。俺は五反田 弾でこっちは蘭。妹を助けていただいてありがとうごz「いつまでくっついてるのよ」ゴフっ!そっちからくっついたんじゃん――」

 

蘭「本当にありがとうございます」

 

重昌「いやいや、たまたま通りかかっただけですよ」

 

蘭の言葉に重昌は手で制する。次に復活した弾が彼にある疑問を投げかける。

 

弾「あれ?もしかしてその制服はIS学園の?」

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千雨「そうですけど、いったいどうしました?」

 

弾「あ、いえっ、友達が一人そこに通っていまして。っと言っても・・・そいつは学園唯一の男子生徒で、ハーレム状態を味わっている癖に、俺に愚痴を零して・・・・・・ブツブツ」

 

自分で発言しておきながら、一人鬱になる弾をよそに、妹の蘭達が話を進める。

 

蘭「もしかすると、貴方の名前は影村さんではないでしょうか?IS学園、二人目の男子生徒。兄が一夏さんに聞いたと」

 

弾「そ、そうですよ!羨ましすぎます!女の子ばかりの空間に男2人って」

 

重昌「まぁ、立ち話もなんだから何処かでゆっくり話そう」

 

こうして4人は適当なカフェに入り、少し談笑して、またの機会があればと連絡先を交換し解散した。

実を言うと・・・入ったカフェは、この街でも5本の指に入る3ツ星の店。

楽しく談笑していたのが後の祭り。メニューには値段は書いていなく、飲食物など注文したのは重昌。出ようと時にレジで見た伝票の値段はとても学生の払える値段ではなく、伝票を見た時は驚愕したが、重昌は涼しい顔をして財布を開く。

財布の中には9万円を1万円で挟んだ束が一束、二束、三束と何束か入っており。またその中身に五反田兄妹は目が点になるが、千雨はもう慣れたかの様に溜め息を吐いた。

実を言うと、重昌は自ら進んで注文を買って出た。レジに行った後の3人の慌てふためく姿が見たかったかららしい。1人は失敗したが――

 

解散後は重昌と千雨はショッピングなどデート?を楽しんだ。費用は勿論重昌持ち。千雨も最初は遠慮したのだが、背中を流してくれた礼だと――

彼女は赤くなりながらも、それを出されてはと好意に甘え奢って貰った。

 

千雨「重昌さん、私が欲しいものは大体揃いました。後の時間は重昌さんの好きに」

 

重昌「そうか、それなら少し寄る所がある。付いて来てくれ」

 

少し多めに買った荷物を持ちながら、重昌が向かった先は・・・数珠や仏具を扱っている店だ。

彼はこの店である数点の品を、時間をかけて吟味して購入し、本日の買い物は終了した。

翌日、いつもの様に朝の剣道場で朝練をしていると――

 

重昌「千雨、箒ちゃん、ちょっと来てくれ」

 

彼は2人を自分の所に呼ぶと、箒には赤の・・・千雨にはエメラルドに近い緑の数珠を渡した。

 

重昌「ちょっと古臭いかもしれないが、2人にプレゼントだ。身に付けていれば、悪い運から守ってくれる効果を念じ込めた」

 

2人はまじまじと渡された数珠を見ながら答える。

 

千雨「綺麗ですね」

 

箒「それにしても、よく作れましたね?」

 

重昌「これでも、坊主の心得があるものでね」

 

三人で盛り上がっている所に、ラウラは後ろよりちょいちょいと彼の胴着を軽く引っ張る。

ラウラも重昌に弟子入りしているので道場で練習している。習っているのは実戦における格闘術。習っているというよりかは、ただの手合わせに近い。何か注意すべき点があれば、直す様な形を行っている。勿論道場内は胴着。

ちなみに千雨が習っているのは、体作りの為の柔軟と筋トレ。これは重昌持論の持論だが、心身も鍛えればISでの戦闘能力も上がるとの事。

女性として筋肉が浮き出るのも可哀想なので、その為のマッサージのメニューも渡している。

 

ラウラ「あ、あの、レーラァ?催促するわけではありませんが・・・私のは?」

 

重昌「ふむ。ラウラちゃんとは先日知り合ったばかりで、何が好きかは判らなくて、こんな物しか用意できなかったが・・・・・・」

 

すると彼はロッカールームに戻り、何やら長細い筒状の物を持ってきた。

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重昌「君は軍人で、武器には目がないと聞いている・・・だからこんなものを用意してみた」

 

ラウラは重昌より貰った筒を開けると中には布に包まれた棒が入っており。さらに布の封をきると刀が収めされていた。

 

重昌「私が”日本”に戻ってきた時に打った(作った)刀だ。名は”黒雨(くろさめ)”。君のIS”シュヴァルツェア・レーゲン(黒い雨)”から貰った。まだ箒ちゃんと千雨には早いが、軍人である君になら大丈夫だろう。武器の手入れは筒に説明書を入れておいた」

 

彼女(ラウラ)は早く刀身を見たい・・・と言わんばかりに刀を引き抜く。

 

箒「おぉ!」

 

千雨「綺麗」

 

ラウラ「・・・・・・」

 

抜かれた刀の刀身の美しさに、3人は言葉を失う。

 

ラウラ「これが日本のKATANAという物か。・・・なんと美しい」

 

重昌「丁寧に扱えば鉄をも切り裂き、ぞんざいに扱えば脆く折れやすい。君の教官であった織斑千冬は、居合の名人でもあったらしい。これからは私が君に、日本の武道を授けてやろう。まだまだ精神は不安定で、『ヴォーダン・オージェ』にも影響されやすいかもしれないが、形だけでも憧れの”織斑教官”に近づきなさい」

 

ラウラ「レーラァ」

 

彼女(ラウラ)はここまで施してくれた自らのレーラァ(師匠)に感激し、刀を鞘に収め少し涙を流しながら『ありがとうございます』と答える。

それに重昌は”よしよし”と頭を撫でてやり、その光景を見ていた箒と千雨は・・・まるで父親が娘に撫でてやる様にも見えとも言う。

 

説明
昔の自分の作品を読んでみて思ったこと・・・・・・酷ぇな、おい(・へ・;)
まぁ今も酷いですけどww

それでもお気に入りに登録していただけける方に感謝して、こうやって作品を投稿している次第です。
昔の作品はとりあえず・・・・・・まだ消そうとまでは考えていません。
私の成長?の証ですよ!・・・多分。

色々文は工夫しているつもりですが、何か打ち込みミスなどがありましたら、遠慮なく言って下さい。それではどうぞ。
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コメント
破滅の焦土さん>お金は大事にww(IFZ)
金づかい荒いですな(笑)(破滅の焦土)
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IS デート・・・・・・なのか? おじさん、お金使いすぎ! 五反田兄妹登場 千雨  セシリア  シャル ラウラ 

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