乱世を歩む武人〜第三十六話〜 |
ついに始まった曹操と劉備の戦。
負けられないという気持ちではお互いに一歩も譲らないものだったのだろう。
だが・・・お互いの気持ちが負けていないのであれば勝敗を分けるのは明確な「理」である。
単純な兵数に加えて将の数ですら劣る曹操軍。当然、奇跡など起きない戦場に於いてこの差は全てであり、
徐々に・・・・徐々に曹操軍は崩壊を始めていた・・・
真桜
「隊長!桂花がもう少し兵を送ってくれって!」
一刀
「マジかよ・・・!?これ以上は無理だぞ!?」
今現在、俺は華琳の命令通りに後曲で戦線を見ている。
だからこそわかる。状況は最悪だ。桂花の指揮する軍もそうだが全体的に隊列が崩れ始めている。
真桜
「わかっとるけど、それを何とかするのが隊長の役目やろ!」
一刀
「無茶言うな!予備兵力もないのに増援なんて送れるわけ無いだろうが!」
城にも最低限の兵力しか残ってない。援軍を送れと言われてもここにいる兵はほとんど送ってしまっているのだ。
実際俺の回りにいるのは真桜を含め100人にも満たない人数だった。
一刀
「華琳のところはどうなってる!」
真桜
「押されとるよ!やっぱり兵隊がたらんのが響いとるみたいや!」
一刀
「くぅ・・・」
こちらに未だ増援の要請はないが華琳が率いる本隊が間違い無く今一番相手の戦力を引き受けている。
旗に「関」の文字がみえたから相手をしているのは関羽だろう。未だに陣形を保てているのが奇跡みたいなものだ。
こんな時ににあいつがいたら・・・とつくづく思う。例え何があってもあいつがいれば少なくとも華琳の安全だけは保証されているようなものだからだ。
一刀
「って何を考えているんだ俺はっ!」
たらればを考えている暇はない。いないものはいなんだから今出来る最善を尽くさなちゃいけないってのに・・・!
・・・俺はある覚悟を決める。
一刀
「真桜・・・ここで華琳を失うわけには行かないよな?」
だがそれにはこの戦場を一人で一気に駆け抜けて行く事と変わりない。・・・正直言って怖い。
真桜
「当たり前やろ!ウチらの大将やで!」
だが・・・俺にしか出来ないことだ。
一刀
「・・・よし!」
真桜の言葉をきっかけにして恐怖に喝を入れる。目標はあの「曹」の旗。なんとしても成功させてみせる!
一刀
「真桜!ここは任せた!俺は華琳のところに行って撤退するように進言してくるから!」
真桜
「へっ!?あ、ちょっと隊長ー!」
馬に飛び乗ろうとしてその脇にあったものに目が留まる。・・・これは!?
一刀
「真桜、これ借りていくからな!」
真桜
「あああっ!それウチのやのに・・・!」
そんな真桜の言葉も無視して聞かずに俺は華琳の元へと一直線に駆け抜けていった・・・
〜一刀 side out〜
華琳
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
華琳は己の武器である大鎌「絶」を振るっていた。
つい先程まで兵が食い止めていてくれていたのだが少しづつだがに華琳の目の前にまで敵兵が現れるようになった。
周り一帯に倒れている敵味方を問わない無数の兵士がこの戦場がどれだけ苛烈かを物語っている。
かかる火の粉は払うしか無い。それに元々彼女の戦力は夏侯惇、夏候淵と戦うことの出来る程度の強さだ。雑魚程度ならば物の数ではない。
兵士
「報告っ!右翼、左翼共に陣形が崩れ始めていますっ!このままでは危険ですっ!」
横から兵士の声がきこえる。
華琳
「一刀が援軍を送るはずよ!桂花ならばうまくやるはずだわ!」
兵士
「しかしすでに後曲の兵数には限界が出ております!これ以上の戦線維持は無茶です!」
華琳
「ならばお前は私に敗走せよというのか!」
兵士
「それは・・・っ!?」
兵士は口ごもってしまう。当然だ。王に向かって負けを認めて撤退せよなんていえる兵士が存在するわけがない。
華琳
「いいからお前は目の前の敵に集中せよ!周りを見ている余裕が有るのならばさっさと敵を殲滅し私達が援護に入れる状況を作り出しなさい!」
兵士
「・・・はっ!了解しました!」
そういって兵士は華琳から離れていった。
華琳
「まさか私自ら剣を振るうまでの事態になるとはね・・・。それもまた良しとしましょう」
襲いかかる敵兵を相手に絶を振るいつづける華琳。倒した相手は10人にも満たないが流麗な舞を思わせるその動きはよくも悪くも非常に目立っていた。
関羽
「見つけた・・・!曹孟徳! いざ尋常に、勝負っ!」
そこに目をつけたのは敵部隊を率いている関羽だ。その目に油断はなく確実に華琳の首を狙っている。
華琳
「関羽か!・・・アナタならば相手にとって不足無し!来なさい!」
関羽
「参る!でぇぇぇぇいっ!」
関羽の青龍偃月刀を受け止める華琳。その一撃は春蘭並の重さであり彼女が一流であることを一撃でわからせた。
華琳
「・・・いい腕ね、関羽!はぁっ!」
華琳も負けじと反撃に移る。彼女もまた一流、その一撃は関羽が防御に回らねばいけないほどの一撃であった。
関羽
「ちぃっ・・・伊達に前線に立っているわけではないな。・・・なかなかやる!」
華琳
「舐めてもらっては困るわね。どう?その力・・・私の下で使ってみない?」
関羽
「この状況で減らず口を・・・!」
関羽は怒りをあらわに更に氣を膨れ上がらせた。
華琳
(・・・流石に天下にその人ありと言われた関雲長。まともにやりあえるのは・・・あと数合かしらね。)
華琳が焦りを覚えていた時だ。
張飛
「とりゃーっ!」
兵士
「うわっと!?」
いつの間にやら駆けつけたのか張飛がすぐ側まで近づいてきていた。
関羽
「鈴々か!お前は周りを頼む。私が曹操の相手する!」
張飛
「わかったのだ!やいお前!さっきは偶然鈴々の攻撃を防いだけど今度はそうはいかないのだ!」
そう言って改めて目の前の兵士に向かって張飛は突撃を開始する。
兵士
「ぐっ・・・!」
その攻撃を兵士は辛うじて防御した。
華琳
(まずい・・・あんなのそう長くは持たない!)
何とか防いでいたみたいだがそう長くは持たないだろう。遠目から見ても張飛の攻撃は重く、鋭いと感じさせられた。
そしてそのあと張飛、関羽の攻撃を受けるのは自分だと華琳は理解する。
絶体絶命の状況。そこに変化をもたらしたのは・・・
一刀
「華琳っ!」
後曲を任せておいたはずの一刀と
関羽
「何だっ!?何も見えんぞ・・・っ!」
張飛
「にゃにゃーっ!?真っ白なのだ!」
一刀が投げた一つの煙玉だった・・・
〜一刀 side〜
一刀
「危ないところだった・・・真桜の煙玉もってなかったらどうなってたか・・・」
俺が華琳の元にたどり着いた時、華琳の目の前には関羽がいた。
そのすぐ後ろに張飛、ウチの兵士がいたが彼女が相手では焼け石に水だろう。ほぼ2対1の状況だったのだ。
だからとっさに真桜特性煙玉をなげ華琳の腕を引きなんとか逃げ切ったのだった。
華琳
「一刀・・・どうしてアナタがこんな所に!後曲での仕事はどうしたの!」
激昂する華琳。しかし俺に答えは既に出ている。
一刀
「・・・もう送れる兵士なんかいないよ。」
だって無いそでは触れないのだから。
華琳
「え・・・?」
初めて聞いたと言わんばかりの華琳。彼女一人だけ戦線を維持していたから援軍の兵の限界に気づいていなかったのだろう。
一刀
「もう限界なんだよ。伝令を飛ばしていなかったけど・・・右翼、左翼とももう崩壊を始めているんだ。城まで下がろう。」
華琳
「ここで兵を引けというの!?劉備を相手に負けを認めろと?」
激昂する華琳。しかし現実問題ここで突撃されてもただ死にゆくだけだ。
・・・それだけは止めなくてはいけない。
一刀
「そうだ。・・・でもまだ死んだわけじゃない。城まで下がって、春蘭達の合流をまてばいくらでも挽回できるはずだ。」
華琳
「嫌よ!あの子のような甘い考えに膝を折るなんて・・・この私の誇りが許さない!」
俺は華琳の目をみた。・・・いつもの気高い光をたたえた目ではない。激昂のためか、若干にごりを感じる瞳。
一刀
「だから関羽と張飛相手に正面から戦うっていうのか?あの兵士がやられたらすぐに張飛は華琳のところに向かっていたはずだ。そんな考え、馬鹿げている。」
そういえばあの兵士無事だったのかな・・・逃げ切ってくれていればいいんだけど・・・
華琳
「馬鹿で結構。理想を貫くことを馬鹿というのなら、それは私にとっては褒め言葉だわ。それで散るというのならそれはほんも・・・」
そこから先の言葉は言わせるわけにはいかずーーーーーーーーーー
ーーーーーーー俺は華琳の横面を叩いた。
華琳
「・・・・・・・っ!」
華琳は頬を抑えてこちらを見る。・・・その目は相変わらず濁っておりいつもの冷静な華琳じゃないことを示している。
一刀
「それが・・・馬鹿っていってるんだよ!」
俺はおそらくこの世界に来て最大級の怒りを華琳にぶつける。
華琳
「かず・・・と・・・?」
一刀
「この一戦で負けだけで・・・華琳が劉備に負けたことになるとおもってるのか?そんなわけないだろ!まだ負けじゃない・・・華琳はここで生きてるだろうがっ!」
華琳が言う「理想に準じて死ぬなら本望」なんていうのは殉教者の言い草だ。決して王が言っていい言葉じゃない。そうでないと・・・みんなの頑張りが全て無駄になってしまう。
華琳を信じて今、任務を果たしている将、軍師たちにとってそれは冒涜でしか無い。なにより・・・俺が華琳を死なせたくない。
一刀
「負けっていうのは、膝が折れて、命を取られて・・・信念の折れた時じゃないのか?華琳が言ってたじゃないか。「勝敗は兵家の常」だって。
ーーーーーー今だってそうなだけじゃないか。野戦で一回押されたくらいで・・・俺達全員の理想が崩れるとで思ってるのか?」
華琳
「・・・」
ゆっくりとだが華琳の目に光が戻ってきた。いつもの覇王としての華琳に徐々に戻っていく。
一刀
「・・・今は一旦城に引こう。城に戻って、体勢を立てなおして・・・籠城するくらいならまだできるだろう?そうして春蘭達が戻ってきたらいくらだって勝てるさ。絶対に・・・な」
華琳
「・・・一刀」
一刀
「第一、春蘭や秋蘭がいない所で華琳が死んだら・・・俺はなんて言い訳すればいいんだ?城にいる桂枝だってそうだ。あいつがこんなの聞いたら劉備軍に単騎で突っ込みかねないぜ?」
俺はおどけたようにそういった。
華琳
「ふふっ・・・そうね。」
そういって笑う華琳の瞳は・・・完全にいつものそれに戻っていた。
一刀
「・・・大丈夫そうだな。」
華琳
「ええ、もう大丈夫よ・・・どうやら劉備との舌戦で少し頭に血が登っていたようね。」
華琳はいつも通りの不敵な笑みさえ浮かべている。
・・・それにしても本当に怖いな劉備。まさかただの言葉だけで華琳の冷静さを欠くまでの影響を与えるなんて・・・
一刀
「まぁ、人間そういう時だってあるだろう?、さ。落ち着いたなら・・・皆に指示を出そう。華琳が言わないと始まらない。」
華琳
「ええ、そうね・・・一旦城に引きましょう。一刀は悪いけど全軍に指示を・・・」
兵士
「二人共!ご無事でしたか!」
華琳の会話の途中で兵士が一人やってきた。あれは・・・先ほどの兵士?
兵士
「報告しますっ!先ほどの煙の発生直後より、右翼、左翼共に撤退の準備を始めました!城の動きも撤退兵の受け入れ準備を開始している模様!」
即座に目の前までやってきた兵士は膝をつき報告を始める。・・・よし、桂花はうまくやってくれたみたいだ。
華琳
「・・・一刀?」
一刀
「ははっ・・・実はさっきそう思って真桜に頼んで桂花達に撤退指示送っちゃんだよね。」
華琳
「なに?無断命令?・・・いつもならば首をはねるくらいでは済まないわよ?・・・ふふっ・」
軽く笑う華琳はすでにいつもの華琳だ。完全に調子を取り戻したことがわかる。
華琳
「一刀、本隊にも撤退命令をだしなさい。その煙幕をあるだけ使って、できるだけ長く時間を稼ぐのよ。・・・一兵でも多くに帰らせるために。」
一刀
「ああ、わかった。」
兵士
「・・・っ!」
兵士が慌てて後ろを振り向く。そこにいたのは・・・関羽!?
関羽
「怪しげな術を使いおって!しかしもう逃がさんぞ!その首級、この関雲長がもらういける!」
どうやらあの煙の中をがむしゃらに駆け抜けてきたようだ、そのまま猛スピードで迫ってくる関羽。ダメだ・・・この距離は逃げられない。
兵士
「・・・ここは私が時間を稼ぎます!ですから早く本隊との合流を!」
一刀
「おいっ!無茶だって!早く逃げろって!おい!」
俺の制止もきかずにそういってその兵士は関羽の元へと駆けていった。
関羽
「邪魔だ!どけっ!」
そういって関羽は青龍偃月刀を横に薙ぐ。
すでに見ることすら出来ないような速い剣戟。その一撃は兵士の首を刈り取ろうとしている。
一刀
「駄目だっ!やられる!」
関羽の一撃がその兵士の首に吸い込まれるように襲いかかるーーーーーーーー俺はその光景をただ見ていることしか出来なかったーーーーーーー
〜一刀 side out〜
〜華琳 side〜
駄目だ。やられる。
私は関羽の一撃が兵士に向かっていくのを見てそう思った。
一刀のおかげで頭が冷えた矢先にこれだ・・・本当にこれが天命なのかと疑いたくもなってくる。
絶望的な状況・・・私は絶を構えて関羽にそなえる。例え私が死のうともせめて一刀が逃げる時間程度は稼げるように。
兵士の首をはねたあとには当然関羽がこちらにやってくるだろう。・・・周りに味方もいないこの状況を覆せるものはいない。
私の頭をもう一人の男がかすめる。・・・いつも桂花達にくっついて何かをしていたあの男を。
何故いま頭をかすめたのかはわからない。でも・・・もしあの兵士があの男だったら・・・なんて考えてしまうくらいに今の状況は絶望的だった。
華琳
(・・・ちょっとまって。)
そこまで考えた所で私はふと先ほどまでの戦場を思い出した。
すぐに余裕がなくなったため気にしなかったが、違和感は出陣前の時点からあった。
桂花は「すでに私が指示を出していたおかげで本隊の整列が早かった」といった。しかし・・・あの時私はそんな指示を出していない。
そして思い出して見れば見るほど戦場での違和感が浮かび上がってくる。
援軍なしで戦線維持ができていたのは私だけだった・・・と一刀はいった。そのせいで私は周りにまだ兵がいると思っていたのだからそれは真実だろう。
でも・・・あきらかに相手の投入兵数が多かったはずなのに・・・何故私は戦線を維持できていた?
あの時みた戦場での死体の数・・・明らかに劉備兵が多くなかったか?
私は兵士の報告を聞いて戦況を知り得ていたが・・・よその部隊が崩壊寸前だというのならば伝令を飛ばしている余裕などあるわけがない。
ならば・・・報告をしていたあの兵士は誰に聞いて全体の戦況を把握していた?
あれだけの乱戦・・・それも自軍の崩壊時だというのに総大将たる自分のもとにきた兵士は最後の数分のみ・・・しかも数えられる程度だけしかいないなんてことがありえるのか?
様々な疑問が浮かぶ。そして一番新しく記憶に残る、一番不自然が目立った光景を思い出す。
私でも危ないとまで感じた「張飛の攻撃」を・・・「ただの兵士」が防げるものなのか?
その全ての解答は・・・
兵士
「・・・っ!」
関羽の一撃を「劉備軍の兵士の剣」を持った「ただの兵士」が「たたき落とした」ことによってもたらされる。
関羽
「何ぃっ!?」
関羽も自分の必殺の一撃をまさか兵士ごときに防がれるとは思っていなかったのだろう。二撃目につながらない。
その隙をぬって兵士は関羽との距離を詰める。そのまま剣の間合いまではいり兵士は攻撃を始めた。
関羽
「ちぃっ!」
すぐさま応戦する関羽。そのまま兵士との打ち合いが始まった。
兵士のやっていることは実に理にかなっている。偃月刀という武器の性質上近づき過ぎると刃先に触れずに攻撃力が段違いに落ちてしまうからだ。
しかし・・・それをやるには関羽の一撃を受ける力と飛び込む度胸。そして力でも相当な物を持つ関羽との打ち合いで引けをとらないことが絶対条件だ。
そんなことができる人間は大陸においてもおそらく10人にも満たないだろう。
そして・・・それができる「男」となれば答えは一つ。
そう・・・置いて来たはずの苦労性の男一人。
華琳
「ふふっ・・・フフフ・・・アッハッハッハ!」
私は笑った。自分の愚かさに。男が関羽と互角に切り結び合うという荒唐無稽なこの状況に。
いつ気づいてもおかしくはなかった。それこそ自分の率いる兵士たちの顔を少し見渡せばすぐに分かっただろう。
それなのに・・・それなのに今まで全く気づかなかったという事実。どれだけ視野が狭まっていたのかがよく分かるというものだ。
いつかに風は言っていた。「私という日輪を支えるためにここにいる」と。
私にとっての日輪は一刀なのかもしれない。この状況下で武力もないのに助けに来て、命をかけて私の目を覚まさせてくれた人物。
彼がいなかったらきっと私は劉備の甘い理想という闇に囚われていただろう。素直に言えるかはわからないけど凄く感謝している。
そしてもうひとつ風は言っていた・・・「彼は月のような存在だ」と。
まばゆい太陽の光が存在する昼間にその存在を意識することはない。
そして意識せずともその強烈な光の存在を忘れることはないだろう。
だが月明かりは夜の暗闇を薄く照らすだけであり後ろを向いてしまえば、ちょっと屋内に下がってしまえば、仮に外にいても何かに集中していれば・・・簡単に意識を外し存在を忘れてしまうもの。
でも・・・見あげればそこに確かに存在しており、いつでも夜の暗闇を照らしてくれている。
例え暗闇にとらわれていても・・・私が道を見失おうとしていてもそこにあり必ずその光で道を照らし続けていてくれた。
その光は暖かさもなく、強くもない。でもそこにあって・・・必ず照らしていてくれる。そんな存在。
関羽
「ちぃ!これでどうだ!」
関羽が目の前にいる彼に必殺の突きを放つ。
兵士
「ふっ!」
それに対して彼はまるで見えていたかのように剣を振り関羽の武器に引っ掛け後ろに思い切り跳躍。
それはどこかでみた光景・・・誰かがやっていた技術だ。
関羽
「こんなことができるやつ兵士・?・・っ!!そうか、そういうことかっ!」
関羽もようやく気づいたようだ。気迫は先程までとは比べ物にならないくらい大きくなる。
そんな様子をみてなお、兵士は泰然自若としていた。
一刀
「全く・・・なんであいつはいつもこうなんだよ。おかげで全然気づかなかったじゃないかっ!」
隣にいる一刀も呆れたような・・・でも隠し切れない安堵の声をだしながらそう呟いた。
華琳
「ええ、そうね・・・もうちょっと自分を出してくれればいいのに」
私もつい釣られてため息混じりにそう応えてしまう。
呆れ、喜び、安心・・・様々な思いをのせ私は彼の名前を口にした。
華琳
「ずっとそばにいてくれたのね。桂枝」
関羽
「貴様だったのか!荀攸!」
威圧感を増しながら彼女は武器を構え直す。
先ほど受けた剣にひびが入っている。まともにくらったらただでは済まないだろう。
桂枝
「別に隠れていたわけでもないですけどね。さて・・・」
私は背中に仕込んでおいた「無形」をとりだし一つに合わせる。その後、剣先を関羽さんに向けた。
勝つための戦いは終了。目的を変更しこれからは・・・
桂枝
「ここからはこの私、「荀公達」があなたのお相手をさせて頂きますよ。関羽さん。」
ーーーーーーーーーー後ろにいる身内を無事に城に返すために戦わせてもらう。
あとがき
間に合うもクソもなく、実は最初からいました。・・・何人の方が途中で気づいたでしょうか?
ここからは桂枝VS関羽です。ほとんど執筆が終わっているのでそんなにかからずに投稿できると思います。
・・・ちゃんとかっこいいと思われるような演出になっていればいいのですが・・・
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華琳敗走まで。さて・・・桂枝は間に合うのでしょうか。 | ||
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コメント | ||
>> アルヤさん 過労で倒れた矢先にこれですからね。きっとこのあと桂花による強烈なオシオキが待っていることでしょう。(RIN) >> 侵略!?イヌ娘 さん この話ですね。煙玉が飛んでくるちょっと前に兵士が辛うじて防ぐのを華琳が見てます。普通ならこれすら無理だろうという話です。(RIN) >> アドニスさん っべーしられてたわー構想段階の時点で既に思考読まれてたわーっべーわー(RIN) >> 不知火 観珪さん 華琳ですら気づかなかったというのに最初から気づきましたか・・・流石ですね^^(前の話のコメントを読みながら)(RIN) 想像以上に「かっこいい」という意見が多いですね。かっこ良く書けていたというのならば何よりです。いろいろはなしたいこともありますがそれはこの章が終わった時にさせて頂きます。コメントありがとうございました。(RIN) このシーンの一刀はやっぱりかっこいいですね。桂枝も最初からいたとか、ほんとかっこよすぎです。(summon) 張飛の攻撃を兵士が受け止めた話しは何話でしたっけ?(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ) ↓四十五話前なんてねぇよwww。にしても最初からかよ。桂枝お前少しは休め!(アルヤ) 知ってたわー四十五話くらい前から知ってたわー(アドニス) やばい、桂枝かっこよすぎですよw(蒼扇) 勝敗は平家の常⇒兵家 かっこいいわ〜^^(黄金拍車) 最初からいただと!? ……いや、ボクは知っていましたよ! えぇ、もう、最初から知っていたに決まってるじゃないですか。 さすが桂枝くんですね!(神余 雛) かっこよすぎです!更新ありがとうございます。(siasia) |
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